マンション経営初心者が知っておきたい5つの落とし穴

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マンション経営は、アパート経営よりも規模が小さいため、初期投資の費用を抑えることができます。そのため、不動産投資の初心者でも比較的気軽に始めることができますが、全くリスクが無いというわけではありません。

そこで今回は、マンション経営初心者がマンション経営を行うにあたって、知っておきたい5つの落とし穴についてご紹介したいと思います。

目次

マンション経営の5つの落とし穴とは

アパート経営は、アパートを1棟丸ごと購入して運用するため初期費用が大きくなってしまいますが、マンション経営は、マンションの1室から購入・運用することができるため初期投資を抑えることができます。

そのため、マンション経営は少額から始めてみたい方でも取り組むことができるという特徴がありますが、だからこそ陥りやすい落とし穴もあるため注意が必要です。

以下では、マンション経営初心者が気をつけるべきポイントについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

【落とし穴1】空室の場合には家賃収入が0になる

不動産投資の初心者に多い勘違いは、運用を開始した瞬間から長期的な家賃収入が入るというものです。不動産投資は、入居者との間で契約を締結することで初めて成立するため、入居者が現れない限り家賃収入は発生しません。

アパート経営であれば複数の部屋を運用しているため、1つの部屋が空室であったとしても他の部屋の家賃収入で補うことができます。しかし、マンション経営で1室しか運用していない場合は、空室が発生すると家賃収入が0になってしまいます。

家賃収入が0になるだけであれば、マンション経営によって得る予定だった副収入がなくなるだけなので問題はありません。しかし、家賃収入が0になった状態でも、マンションを購入する際に契約したローンの返済や固定資産税、管理費や修繕積立金など、家賃収入から返済する予定のランニングコストは残り続けるため注意が必要です。

【落とし穴2】1年あたりの節税効果が小さい

マンション経営を始めるきっかけは、給与所得の足しにするためや老後の生活費の確保のためなど人それぞれです。しかし、減価償却などの節税効果を期待して、マンション経営を始める場合には注意が必要です。

減価償却とは、建物の構造ごとに耐用年数が決められており、毎年一定の割合で資産価値が目減りしていくというものです。鉄筋コンクリート(RC)造は47年、重量鉄骨造は34年、木造は22年と耐用年数があらかじめ決められています。この減価償却は、劣化するものに対して適用されるため、劣化することがない土地に対しては適用されません。

例えば、物件価格3,000万円(建物価格2,000万円、土地価格1,000万円)、RC造の新築マンションを購入した場合における1年あたりの減価償却費は以下の通りです。

2,000万円×償却率0.022(耐用年数47年)=44万円/年
(※土地代の1,000万円には減価償却が適用されない)

この44万円は、毎年実際に支出するわけではありませんが、家賃収入から差し引くことができるため利益の圧縮による節税効果が期待できます。しかし、マンションのように構造がしっかりしていて耐用年数が長い建物であればあるほど、1年あたりの減価償却費が少なくなってしまいます。

そのため、木造や重量鉄骨造のアパートを購入して運用する場合よりも大きな節税効果が期待できないため注意が必要です。

【落とし穴3】マンション経営特有のコストの存在

マンション経営は、アパート経営よりも初期投資を抑えることができます。しかし、運用にかかるコストの割合で見ると、マンション経営の方の割合が高くなる傾向があります。

アパート経営もマンション経営も運用にかかるコストの内容はほとんど変わりませんが、マンション経営特有のコストとして以下の2つが挙げられます。

  • 管理費
  • 修繕積立金

それぞれのコストの詳細について見ていきましょう。

【管理費】入居者の募集や清掃などを代行する費用

アパート経営を行う場合には、入居者の募集や入退去に伴う手続き、家賃の徴収、退去時のリフォーム、建物全体の清掃など、様々な作業を行う必要があります。仕事と並行しながらこれらの作業などを行うことが困難なため、不動産会社に管理委託費を支払って代わりに行ってもらうのが一般的です。

しかし、マンション経営の場合には、入居者の募集などのほか、居室の管理は不動産会社が行うものの、建物全体の管理はマンションの管理会社が行います。そのため、不動産会社に支払う委託管理費に加え、マンションの管理会社に支払う管理費も発生するため、コストが多くなってしまいます。

不動産会社に支払う管理委託費は、不動産会社との契約によって異なりますが、家賃収入に対して数%と設定されているのが一般的であるため、空室の場合には費用がかかりません。しかし、マンションの管理会社に支払う管理費は、空室の場合でも関係なく一律に発生するものであるため注意が必要です。

【修繕積立金】建物の設備や外観などの修繕を行うための積立金

アパート経営を行う場合には、建物の劣化状況に合わせて外壁の塗装など修繕を行います。そのため、築年数が経過しても劣化があまり見られない場合は、修繕を行う必要がないため修繕費が発生しません。

しかし、マンション経営を行う場合には、長期修繕計画に基づき積立金という形で修繕費が徴収されます。劣化状況に関係なく毎月一定の金額ずつ徴収されるのがアパート経営との大きな違いです。

修繕積立金は部屋の広さによって金額が決められているため、エレベーターの利用の有無、駐車場の利用の有無に関係なく一律で徴収されます。また、一度徴収された修繕積立金は、個人のものではなくマンションのものになるため、マンション売却の際に使用していない修繕費を返却してもらうこともできないため注意が必要です。

【落とし穴4】新築マンションは価値の低下が著しい

新築マンションを購入して運用してみたものの、想像よりも運用がうまくいかない場合もあります。「うまくいかなければすぐ売却すれば被害は最小限に済むのでは」と考える人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

新築マンションの価格には、以下のような費用が上乗せされているため、売却時にはそれを差し引いた分の価格まで低下する可能性があることを想定しておかなくてはなりません。

  • 販売促進費用の上乗せ
  • 修繕積立基金の上乗せ

それぞれの上乗せ費用について見ていきましょう。

販売促進費用の上乗せ

デベロッパーが新築マンションを販売する際は、営業マンの人件費、モデルルームの設営費、CMやチラシなどの広告費が発生します。また、デベロッパーは販売するにあたって利益を出す必要があることから、これらの経費に加え利益を販売価格に上乗せするため、実際にはマンションの本来の価値よりも2割前後高くなっています。

新築マンションと中古マンションの価格の違い

そのため、極端な話をすると、購入した翌日にマンションを売却したとしても、8割程度の価格でしか売却できない可能性があるということを、新築マンションを購入する場合には覚えておく必要があるでしょう。

修繕積立基金の上乗せ

新築マンションを販売しても、完売するとは限りません。完売を想定して管理費や修繕費の徴収計画を立てていた場合は、金額が不足してしまうことになるため、マンションの運営がうまく機能しなくなってしまう可能性があります。

そこで新築マンションの場合には、マンションの運営がうまく機能するようにするために、販売価格に数ヶ月分の管理費や修繕費を上乗せすることによって、金額が不足することを防いでいます。

販売促進費用や修繕積立基金は、新築マンションにしか上乗せされないため、運用に不安があって売却する可能性がある場合には、中古マンションからマンション経営を始めた方が良いと言えるでしょう。

【落とし穴5】利回りが低くなりやすい

利回りとは、年間の家賃収入をマンションの購入価格で割って求めます。新築マンションの場合は、販売促進費用や修繕積立基金が購入価格に上乗せされることに加え、管理費や修繕積立金が家賃収入から差し引かれるため、利回りが低くなってしまいます。

たとえ、中古マンションで購入価格を抑えることができたとしても、新築よりも空室になりやすいことや賃料が低くなりやすいこと、設備の故障や修繕費などがかさみやすいため注意が必要です。

また、デザイナーズマンションなどの内装や外観にこだわりがあるマンションを購入して運用する場合には、デザイン料が販売価格に加わるため初期投資が多くなります。しかし、このデザイン料が上乗せされた分を家賃に上乗せした場合には、入居者がこのデザインを求めているとは限らないため、入居率を下げてしまうことにつながる可能性があります。

マンション経営を行う場合には、できる限り無駄な支出をなくし、少しでも収入を増やして利回りを高く維持できるように心がけておくと良いでしょう。

まとめ

不動産投資は、株式投資や投資信託などと比較すると、毎月安定したインカムゲイン(家賃収入)が期待できるため資産運用の手段として注目されています。

特にマンション経営は、アパート経営と比べて初期投資を抑えることができるというメリットがあります。そのため、不動産投資の初心者でも比較的気軽に始めやすいという特徴がありましたが、だからこそ陥りやすい落とし穴があるため注意が必要です。

マンション経営初心者が陥りやすい落とし穴は以下の5つです。

  1. 空室の場合には家賃収入が0になる
  2. 1年あたりの節税効果が小さい
  3. マンション経営特有のコストが存在する
  4. 新築マンションは価値の低下が著しい
  5. 利回りが低くなりやすい

初期投資が少ないということが必ずリスクを抑えることにつながっているとは言えません。不動産投資であれば何でも儲かるという安易な考えでマンション経営を行うのではなく、これら5つの落とし穴を踏まえて、綿密なシミュレーションなども行うと良いでしょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。