遺贈寄付は「お金持ちがすること」?遺贈寄付に関する実態調査結果、肯定的な一方で誤解も

死亡後に残った財産の一部、または全部を遺言等によって社会課題の解決のために使ってもらうよう非営利活動法人などに寄付をする「遺贈」。人生で使わずに残った財産を未来に届けることができ、社会貢献や叶えたかったことに使える手段として海外で注目されており、英国はじめ欧州では、9月13日の「国際遺贈寄付の日(International Legacy Giving Day)の日前後で遺贈寄付の普及啓発のためのキャンペーンが実施され、今年も 22ヶ国で展開を予定している。日本ではまだなじみの薄い遺贈について、一般社団法人日本承継寄付協会は「遺贈寄付に関する実態調査」を実施、9月11日に結果を発表した。調査は、同協会の2020 年9月からの事業活動の開始に先立ち、全国の50~70代の男女1000名を対象にオンラインで行った。回答者の内訳は、50代が男女各166人、60代が同各167人、70代が同各167人。

近年、日本国内でも個人の寄付額が増加しており、今回の調査でも全体の69.9%が寄付を行ったことがあると回答。しかし、自身が残す財産(相続財産)から寄付をすることを考えたことがあると答えたのは 22.9%で、性別や年代によっての回答の差はなかった。しかも、「遺贈寄付に興味がある」と回答した人の半数以上が、「寄付の手続きや方法を相談したいと思っているが、どこに相談したらよいかわからない」と答えた。逆に「遺贈寄付をしない」と答えた人で最も多かった理由が「今後の生活費が不安だから」、続いて「相続時に残る財産がないから」となり、遺贈寄付についての誤解があることもわかった。

ポイントとして、遺贈寄付に対する印象は「お金持ちが行うことだと思う」(45.7%)が全体的に最も強かった。興味がある層では「実践にあたりサポートが必要」との回答が最も多く、「情報が少なくて手続きが進まない」「手続きが面倒」というイメージを持っている。遺贈寄付に対する興味度は全体として2割が興味を持っており、男女とも年齢が低いほど興味を持っていた。実際に相続財産から「寄付をする」場合の金額を尋ねたところ、実践意向者は47.0%、非意向者は53.0%と約半数に分かれた。

遺贈寄付に対する印象

遺贈寄付に関する評価で、最も評価が高かった内容は「少額でも遺贈できることが良い」が(全体:そう思うが計 48.5%)と肯定的。遺贈寄付に興味を持つ層からは、さらに高評価(92.0%)で、「自分がやりたいと思うことを実現できる」(84.9%)も高い評価となった。

遺贈寄付に関する評価

一方、遺贈寄付に関する不安点として、遺贈寄付に興味を持つ層では「遺贈に関する知識不足」(50.3%)が最も高い不安内容として挙がった。遺贈に関する相談機関の重視点を尋ねると、全体では、「支援機関の信頼性」(53.8%)が突出しており、重視点として過半数を超える結果となった。

遺贈寄付に関する不安点

調査結果に対し、同協会の代表理事で司法書士法人東京さくら・司法書士の三浦美樹氏は「多くの方の“遺贈寄付をしない理由に数々の誤解があると感じた。老後資金を心配することなく、少額でも大きな意義があることを知ってもらうことが今後の遺贈寄付を推進していく上で重要。寄付や財産に関する法務の相談先が全国に必要だと確証した」とコメント。同協会として全国各地の相続実務家や寄付に関する相談窓口の数を増やしていくと同時に、安心して信頼できる支援ができるよう、関係機関とも連携を図っていく方針だ。目指すのは「寄付したい人が誰でも無理なく寄付できる体制を整えることで承継寄付の間口を広げ、『おもいやりのお金が循環する社会』」。

調査結果は「遺贈寄付ウィーク 2020 (9月5日~14日)」の「特別イベント」(11日開催)でも公表した。また、本調査と同時に、相続の相談を受けている実務者(司法書士・税理士・弁護士等の士業など)120名を対象とした「相続に関する実務者アンケート調査」を実施しており、調査結果は同協会ウェブサイトで公開されている。

【関連サイト】一般社団法人 日本承継寄付協会
【関連サイト】司法書士法人東京さくら

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HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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