一般的に金融商品に投資をして得た利益には、20%程度の税金がかかることになりますが、一定の投資額に対して非課税となるNISA口座やつみたてNISA口座を利用すれば、税金を節約することができます。
ただ、NISAやつみたてNISAを始めるためには、専用の口座を開設しなければなりません。そこで今回は、NISA口座・つみたてNISA口座の開設手順について解説したいと思います。
目次
- そもそもNISA・つみたてNISAって何?
1-1.名前は似ているがそれぞれの特徴は違う
1-2.NISAかつみたてNISAどちらかしか選べない
1-3.NISAでもつみたてNISAでも専用口座開設が必要 - NISA口座・つみたてNISA口座の開設手順
2-1.オンラインで開設する場合
2-2.郵送にて開設する場合 - まとめ
1. そもそもNISA・つみたてNISAって何?
専用口座の開設について紹介する前に、そもそもNISAやつみたてNISAがどのようなものなのか解説します。
NISAとは別名「少額投資非課税制度」といって、年間120万円までの投資によって得た利益について最大5年間非課税になるという制度のことをいいます。
もともと、NISAが始まる前までは「証券優遇税制」という制度があり、上場株式や投資信託の売却益や配当、分配金に掛かる税率は10%となっていました。しかし、この制度が2014年に終了したことを受け、その代わりの優遇制度としてNISAの運用が開始されました。
一方、つみたてNISAは国の基準を満たした投資信託に対して「自動積立機能」を利用して投資した場合に、その利益に掛かる税金が免除される制度です。年間40万円まで投資ができ、最長20年間の非課税期間が設けられています。
どちらも、投資などで得た利益に対する税金が免除される制度ということになります。
1-1. 名前は似ているがそれぞれの特徴は違う
NISAとつみたてNISAは、それぞれ名前はよく似ていますが、その内容は全く異なるといえます。それぞれの特徴について正しく理解しておきましょう。
まず、NISAの特徴は以下の3つです。
- 上場株式、投資信託、ETF、REIT、ETNに自由に投資可能
- 年間120万円まで投資が可能
- 非課税期間は5年間
NISA最大の特徴は、投資できる金融商品が豊富であることです。そのため、投資する対象やタイミングを自分で決めることができます。それに加え、投資によってキャピタルゲインを得たい場合や、リスクを抑えて投資をしたい場合など、幅広く対応することができます。
一方で、つみたてNISAの特徴は以下の3つとなります。
- 国の基準を満たした長期運用向け投資信託にのみ投資可能
- 年間40万円まで投資可能
- 非課税期間は20年間
つみたてNISAが一般のNISAと大きく異なるのは、投資対象が長期運用向けの投資信託のみであること、また自動積立機能を利用して投資を行うことが要件ということです。そのため、一般NISAと比較して、投資先や購入・売却のタイミングを考える手間を省くことができるうえ、毎月自動で積立投資を行うことができます。
長期間にわたって、コツコツ少額ずつ投資することを考えるのであれば、つみたてNISAを利用することを検討したほうがいいでしょう。
1-2. NISAかつみたてNISAどちらかしか選べない
NISAとつみたてNISAの特徴がわかったところで、実際に始める場合には注意しなければならない点も押さえておきましょう。それは、その年ごとに「NISAかつみたてNISAのどちらか一つを選択しなければならない」ということです。
制度として、毎年原則1人につき1つの口座しか利用することはできません。そのため、両方を同時に利用することはできないということになります。つまり、NISAとつみたてNISAの特徴を理解して、どちらで運用していくのか事前に決めなければならないのです。
1-3. NISAでもつみたてNISAでも専用口座開設が必要
また、もう1つの注意点として、NISAとつみたてNISAのどちらを始める場合でも、専用の口座を開設しなければなりません。
NISA口座・つみたてNISA口座はさまざまな証券会社で開設することが可能です。また、それぞれの証券会社によって、NISA関連の口座を開設することで受けられるサービスが異なりますから、しっかり比較検討する必要があるといえます。
2. NISA口座・つみたてNISA口座の開設手順
それでは、NISA口座やつみたてNISA口座を開設するための具体的な手順について解説していきます。
ある証券会社でNISA口座もしくはつみたてNISA口座を開設する場合、その証券会社で証券口座を開設する必要があります。つまり、「Aという証券会社の証券口座は持っていないけれど、NISA口座だけ開設したい」ということはできないのです。
ただ、NISA口座やつみたてNISA口座を開設したい場合には、証券口座もまとめて開設できる証券会社がほとんどですので、一緒に申し込みをしておくといいでしょう。
また、NISA口座・つみたてNISA口座を開設する方法には、以下の2種類があります。
- オンライン(インターネット上)で開設する
- 郵送にて開設する
どちらの場合でも、NISA口座とつみたてNISA口座で大きな違いはありません。それでは、それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
2-1. オンラインで開設する場合
NISA口座またはつみたてNISA口座をオンラインで開設する場合の、一般的な流れは以下の通りです。
- フォームの入力と必要書類のアップロード
- 証券会社での書類確認
- 税務署による審査
- 口座へのログイン
フォームの入力と必要書類のアップロード
まずは、口座を開設したい証券会社のホームページにアクセスして、氏名や住所、連絡先などの情報や、どちらの口座を開設したいのかなどを入力します。ひと通り入力が完了したら、本人確認書類とマイナンバーカードの情報をアップロードすることで提出します。
ちなみに、一般の証券口座の開設と同じように、NISA口座・つみたてNISA口座を開設するためには、マイナンバーの登録が必須となっています。マイナンバーカードか通知カードを手元に用意しておきましょう。
多くの証券会社では、専用のスマートフォンアプリを使うかパソコン経由で必要書類の写真をアップロードすることになります。本人確認書類として利用できるものの種類については、各証券会社の指示に従うようにしてください。
証券会社での書類確認
手続きと書類の提出が終われば、口座開設の申し込みは完了します。
その後は証券会社が提出された書類について確認することになり、無事確認が取れれば一般的にはそれぞれの口座の仮開設が完了することになります。
仮開設が完了すると、NISAの取引を始めることができます。インターネットでの口座開設では、申し込みの翌日や翌々日には口座の仮開設が完了するケースが多いといえます。
税務署による審査
証券会社での書類確認が終わった後は、税務署による審査が行われます。この審査を通過すれば、正式に口座開設が認められることになります。
なお、ほかの証券会社などですでにNISA口座・つみたてNISA口座を開設しているなどの理由で審査に通過できない場合もあります。その場合、仮口座の開設と申し込みが無効になります。
口座へのログイン
税務署による審査を通過した時点で、証券会社から口座開設が完了したことについて通知されます。
その後は、通知メールの内容や証券会社から発送される書類に従って口座へとログインすることで、NISA口座・つみたてNISA口座を本格的に利用できるようになります。
2-2. 郵送にて開設する
郵送にてそれぞれの口座を開設する場合でも、途中まで同じ手続きを踏むことになります。インターネットで手続きを完結する場合と異なるのは、「必要書類の提出を郵送にて行う」という点です。
この場合、必要書類の準備や郵送に掛かる時間の分だけ、それぞれの口座が開設されるまでの時間が長くなってしまいます。一般的には申し込みから1週間程度は掛かると考えておきましょう。
必要書類について確認されれば、後の工程は全く同じです。税務署での審査を通過した後、NISA口座・つみたてNISA口座が開設された旨の通知書が郵送されてきます。
あとはその書類に指示に従って自分の口座にログインすれば、それぞれの口座を本格的に利用できるようになります。
まとめ
今回はNISA口座・つみたてNISA口座の開設手順について紹介しました。
証券会社によっては多少違いがあるかもしれませんが、基本的な手順は本記事で開設した通りとなります。また、証券口座、NISA口座、つみたてNISA口座のいずれを開設する場合でも、マイナンバーが必須となることは覚えておきましょう。
NISAやつみたてNISAを始める第一歩を踏み出すために、本記事が参考になれば幸いです。
山本 将弘
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