投資信託の6つの比較方法を現役ファンドマネージャーが徹底解説

資産運用の中で投資信託を上手に活用していくためには、自分のライフスタイルなどに合った投資信託を選択する必要があります。しかし、2020年4月末時点で、一般社団法人投資信託協会の投信総合ライブラリーに登録されている運用中の投資信託の本数は6,037本もあり、何を選んだらいいか戸惑う方も多いと思います。

そこで今回は、投資信託の特徴をつかむために見るべき6つのポイントとその比較の仕方を解説していきます。

目次

  1. 投資信託の運用方法
  2. 投資対象資産
  3. 投資信託にかかるコスト
    3-1.販売手数料
    3-2.信託報酬
    3-3.信託財産留保額
  4. 投資信託の運用成績
    4-1.純資産総額
    4-2.基準価額
    4-3.リターンと標準偏差
  5. 投資信託の分配方針
  6. 為替リスクの有無
  7. まとめ

1.投資信託の運用方法

投資信託には、大きく分けてアクティブ運用とインデックス運用の二つのスタイルの運用方法があります。それぞれメリットデメリットはありますが、過去の運用成績と信託報酬を見比べて選択していきましょう。

良いアクティブファンドの見分け方のコツは、ベンチマークが右肩上がりの時にしっかりと上回る成績が出せているかどうかです。多くのアクティブファンドマネージャーは高度な運用手法に基づいてリスクを計算しながら運用しているため、ベンチマークが下がる局面では、リスクヘッジが効果を発揮してベンチマーク以上の成績になることが多くなります。

ポイントはベンチマークが右肩上がりの時にどれだけ大胆にトレンドに追随出来るかで、ここはファンドマネージャーの力量にかかわってきます。

一方、インデックスの場合は、信託報酬が低いことから一般的に投資初心者向けと言われることが多いのですが、信託報酬が低いからと言ってリスクが低いわけではありませんのでご注意下さい。むしろ、あらかじめどの資産に投資をするのか決まっている人、つまり、ある程度金融知識がある人の方が、手数料の低さを有効に活用出来ているケースが多いのです。

※インデックス運用…運用目標とされるベンチマーク(国内株式型の場合、TOPIXや日経平均株価など)に連動する運用成果を目指すタイプで信託報酬が低い
※アクティブ運用…運用目標とされるベンチマークを上回る運用成果を目指すタイプで信託報酬が高い

2.投資対象資産

投資資産によってリスクが異なることを念頭に入れておきましょう。下記に一般的な資産ごとのリスクを順位付けしておきますので、参考にしてみて下さい。

【リスク小⇒⇒⇒リスク大】
日本債券⇒外国債券⇒国内リート⇒海外リート⇒日本株式⇒外国株式

※リート…不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品

ちなみに、外国資産への投資といっても先進国と比べて新興国ではリスクは大きくなります。自分で複数の投資対象が異なる投資信託を購入して分散投資を考慮したポートフォリオを構築しても良いですし、元々複数の資産をミックスしたバランス型投資信託を購入するという手段もあります。

3.投資信託にかかるコスト

投資信託には買う時(販売手数料)、持っている時(信託報酬)、売る時(信託財産留保額)と3回のコストがかかります。この中で一番重要なのは信託報酬になります。販売手数料・信託財産留保額は、購入/売却時にかかる手数料で、それぞれ1回ずつ徴収されるものとなりますが、信託報酬は保有中に毎年かかるものだからです。

3-1.販売手数料

販売する金融機関ごとで独自に設定でき、投資信託の購入金額に対して最大で3%程度かかります。ただし、投資信託の中には「ノーロード投信」といって、販売手数料がかからないものも多くあります。特にネット証券で販売されている商品は、似たような商品の中身だったとしても手数料が安く設定されていることが多いので、チェックしてみましょう。

3-2.信託報酬

保有している間は運用に対するコスト(信託報酬)が毎日差し引かれます。複雑な仕組みや海外に投資するタイプのものは、運用に手間がかかるため信託報酬は高めです。したがって、インデックス型よりもアクティブ型の方が信託報酬は高く設定されます。

リターンは毎年不確定ですが、信託報酬は毎年決められた額が差し引かれます。一年では小さな費用でも長期間保有すれば、手数料負担が重くのしかかってきてしまいます。リターンとコストの両方を考慮したトータルリターンで検討することが大事です。

3-3.信託財産留保額

売る時にかかる手数料が信託財産留保額です。投資信託を売却(解約)すると、運用会社は投資信託の中に含まれる株や債券を売って現金を用意しなければなりませんが、その際にかかるコストです。ただし、この手数料は必ずかかるわけではなく、かからないファンドもあります。通常、投資信託を解約するときの時価(基準価額)に対して、0.1〜0.5%かかります。

4.投資信託の運用成績

投資信託の運用成績については、以下の項目を見るのが良いでしょう。

4-1.純資産総額

ある程度の規模(30億円)以上かつ、右肩上がりで増え続けているファンドがおすすめです。純資産総額がまさにファンドの価値そのものを表していると言えます。

4-2.基準価額

これは余り気にしなくてもよい点です。投資信託にも株のように安く買って高く売るという意識があるかもしれませんが、基本的に基準価額の高低は、そのファンドの割安・割高には関係しません。例えば解約が多いファンドの場合、受益権の口数が少なくなるため、純資産残高が下がる一方で基準価額は上がる、ということがよくあります。

4-3.リターンと標準偏差

基本的には大きなリターンを期待するのであれば、標準偏差も大きくなることは仕方のないことですが、投資プランに合ったリスクバランスを検討しましょう。

リターンについては検証期間が長ければ長いほど良い傾向です。仮に運用期間が短かった場合、少なくとも一つは大きなリスクイベント(直近では新型コロナウイルス等)があった時の成績が含まれているファンドを検証しましょう。

標準偏差についてはドローダウン(過去成績が一番落ち込んでいる箇所)がどの程度となっているかが重要です。アクティブファンドを選択する場合はドローダウンに加えて、ベンチマークが右肩上がりの時に成績が上回っているかも確認しておきたいところです。

5.投資信託の分配方針

決算時に収益をどのように受益者へ還元するかという方針を分配方針といい、この方針にもとづいて、決算期毎に分配可能な原資が計算され、収益分配が実行されます。

ここでポイントとなることは、分配金はファンド資産の中から支払われるので、支払うたびにファンドの資産が減ってしまうということと、分配金には20%の税金がかかってしまうということです。長期投資を目的としているなら、毎月分配型のようなものを選択すると複利効果が働きにくくなりますので注意しましょう。

※複利効果…利益を再投資することで雪だるま式にお金が増えていく効果のこと

6.為替リスクの有無

外国の資産に投資するファンドを選ぶ時には、為替ヘッジが「あり」か「なし」かを確認しましょう。

米国債券取引を使って簡単に説明すると、為替ヘッジなしの場合、購入した債券価格はドル価であるため、ドル円レートによって円換算額が変動します。米国債券購入時のドル円レートが120円で、最終円転時のレートが100円だった場合、為替レートだけで20%程度の損失が出ることになります。逆に利益になる場合もあるのですが、いずれにしてもかなり変動が大きくなってしまいます。

為替ヘッジは非常に高度なスキルが求められるので、できればしっかりとした為替運用を行っている専門部隊が存在する運用会社のファンドを選ぶのが望ましいでしょう。

次に為替ヘッジありの手法について解説します。これは米国債券の円換算額が変わらないように購入と同時にドル円を売ってしまい、ヘッジコストと言われる手数料を最終円転時まで払いながらレートの変動を抑えようとする方法です。

しかし、このヘッジコストが世界的低金利によるイールドカーブ(利回り曲線)のフラット化(短期金利と長期金利の差が小さくなること)の影響を受けて近年高騰しており、為替ヘッジをつけてしまうと、リターンがほとんど得られないケースもありますのでご注意下さい。

まとめ

以上、投資信託の比較の方法について解説しました。比較すべき項目は多岐にわたりますが、この記事を参考に一つひとつ検証していただければと思います。

投資にあたっては、商品のパフォーマンスを見るだけではなく、自分自身の投資の目的に照らした商品・投資手法を選ぶことが大切です。投資信託も組み入れ商品によってリスク性向や値動きの特徴が変わりますので、焦らず慎重に投資対象を選んでみることをおすすめします。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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