本を寄付・寄贈する方法は?主な寄付先や送る前の注意点も

「読まなくなった本を寄付したい」「本を寄贈する事で地域や社会に貢献したい」というような場合、本を寄付する方法としては、NPO法人や図書館などに本をそのまま送付する、業者に売却し代金を寄付するという2つがあります。

本記事では本を寄付・寄贈する方法と図書館・児童養護施設などの寄付先9ヶ所、送る前の注意点を解説していきます。

目次

  1. 本を寄付・寄贈する方法
  2. 本の主な寄付先、図書館・学校・NPO法人など9ヶ所を紹介
    2-1.図書館
    2-2.被災地
    2-3.乳児院・児童養護施設
    2-4.幼稚園・保育園
    2-5.中学校・高等学校・大学などの学校
    2-6.社会福祉協議会
    2-7.クラウドファンディング・ふるさと納税
    2-8.本を売却した代金で寄付を行う企業
    2-9.NPO法人・公益財団法人などの支援団体
  3. 本を送る前の注意点
  4. まとめ

1.本を寄付・寄贈する方法

本を寄付・寄贈したいと希望する方には以下の2つの方法があります。

  • 本をそのまま贈る
  • 売却してお金に換え寄付を行う

自身が寄付を行いたい団体や、持っている本の種類によってそのまま寄贈した方が良い場合と、売却した後に代金を寄付したほうが良いケースがあります。

例えば、「児童養護施設に本を贈りたいけど大人用の小説しかない」という場合には換金化して寄付し、「昔使った参考書を学校に寄付したい」という際はそのまま寄贈する方法が適していると考えられるでしょう。

また、図鑑など大きい本は送料がかかりますので、寄付者の負担になってしまうこともあります。寄付したい本が寄付先の団体・支援したい人のニーズにマッチしているか、送料は負担にならない範囲であるかを調べた上で、寄付方法を決定しましょう。

認定NPO法人・児童養護施設など寄付を募っている団体のホームページに、寄付の対象となるもの・ならないものが掲載されている 事もあります。寄付先が決まっている方は事前に確認しておくことでスムーズな寄付ができます。

2.本の主な寄付先、図書館・学校・NPO法人など9ヶ所を紹介

本の寄付先には主に以下の9ヶ所があります。

  • 図書館
  • 被災地
  • 乳児院・児童養護施設
  • 幼稚園・保育園
  • 中学校・高等学校・大学などの学校
  • 社会福祉協議会
  • クラウドファンディング・ふるさと納税
  • 本を売却した代金で寄付を行う企業
  • NPO法人・公益財団法人などの支援団体

2-1.図書館

自治体が運営する図書館に本を寄贈します。場合によっては申し込みが必要で、寄贈できる本が指定されている、または一部の本を受け付けていない図書館もありますが、他の方法より手間が少なく地域に貢献ができます。

話題になっており貸出予約で多くの人が待っている本、地域の郷土資料は積極的に寄贈を受け付けている図書館も多く見られます。

一方で、多くの図書館では参考書・高度な専門書、破損・汚損・書き込みのある本は受け付けていません。どのような本が受付可能であるか、事前に確認をしておきましょう。

2-2.被災地

2016年に起こった熊本地震により仮設住宅に暮らす人々のために「特定非営利活動法人もったいないジャパン」では仮設図書室に置くための古本の募集を行っています。(※参照:特定非営利活動法人もったいないジャパン「【古本大募集】熊本地震仮設住宅支援KASEIへの支援

仮設住宅に住む方々のために、不要な本・新書・単行本・漫画・絵本・児童書などの他に、食器や衣服、小型家電なども受け付けています。

2011年に東日本大震災が起きた時には、公益社団法人・全国学校図書館協議会が被災地にある学校図書館へ本の寄贈を募るプロジェクトを開催していました。(※参照:全国学校図書館協議会「被災地学校図書館への図書の寄贈をお考えの方へ」)

上記の例のように、災害時には被災地の方のための本の寄贈活動が行われる可能性があります。

2-3.乳児院・児童養護施設

「何らかの事情で親がいない・家族と生活できない子供のために本を贈りたい」という方は乳児院・児童養護施設に本を寄贈し、役立つ事があります。

全国児童養護施設協議会のホームページ「全国児童養護施設一覧」から児童養護施設のホームページを確認し、本の寄付を受け付けているか調べましょう。

自身の住んでいる近隣の施設や出身地にある施設、小さな子供達へ絵本を提供したいなど思い入れのある土地や所有している本の種類で寄付先を選ぶ方も多く見られています。

施設のホームページ又は電話やメールで、寄付できる本の種類や寄付方法について確認した上で寄付を行いましょう。子供達にはコミック本が人気で、着払いで受け付けている施設もあります。

2-4.幼稚園・保育園

幼稚園・保育園では主に絵本の寄付を受け付けていることがあります。施設によっては本の種類や対象年齢が限定されていますので注意しましょう。

2-5.中学校・高等学校・大学などの学校

高等学校・大学などの学校法人では主に本の寄付を直接受け付けているところ、基金を通じて古本を売却したお金を学生の環境整備などに利用する2つのパターンがあります。

例えば、東京大学では古本募金「Books for NEXT」として本の寄付を募り、書籍の売却代金を大学の教育・研究に役立てています。(※参照:東京大学基金「古本を寄付する」)

一方、和歌山市教育員会では、「リサイクル図書寄贈ボランティア活動」として県内の公立小・中・義務教育学校・特別支援学校・児童養護施設・乳児院などの読書活動を支援するため、読み終えた図書の寄贈を呼び掛けるボランティア活動を行っています。(※参照:和歌山県教育委員会「リサイクル図書寄贈ボランティア活動~子供の読書応援団~」)

上記のように教育委員会で募集しているケースもありますので、検討している方は調べてみましょう。

2-6.社会福祉協議会

横浜市社会福祉協議会・横浜市ボランティアセンターでは、民間の古本業者と提携を行い、読み終わった本を売却し、お金に換えて寄付金として地域福祉推進・団体支援のために活用する取り組みを行っています。(※参照:横浜市社会福祉協議会・横浜市ボランティアセンター「ヨコハマ寄付本」)

「本をお金に換えて地域に貢献したい」という方には適した方法となります。社会福祉協議会は、民間の社会福祉活動を推進することが目的である営利を目的としない組織です。興味のある方はエリアの社会福祉協議会に尋ねてみましょう。

2-7.クラウドファンディング・ふるさと納税

クラウドファンディングサイトでも「オリジナルの絵本を製本し、児童養護施設に寄付したい」といった本に関する寄付プロジェクトがあります。金銭による寄付となりますが、最終的には本が寄付される仕組みです。

愛知県日進市では、「子どもたちのために、保育園、放課後児童クラブ・子ども教室、小中学校図書室、図書館の本を充実させたい!」という目的で、2020年にふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を通じたプロジェクトが実施されています。(※参照:愛知県日進市「こどもたちに本を!コロナ禍だからこそ素敵な本に出会う機会へ」)

このプロジェクトは、新型コロナ感染が拡大した2020年4月頃、日進市が個人の寄付者から「こんな時だから、せめて楽しい本を子ども達に読んでほしい」と定額給付金の全額(10万円)分の本の寄付を受けたことをきっかけにスタートし、寄付金により約2,100冊の子どもの本の購入につながっています。

【関連記事】寄付型クラウドファンディングの仕組みは?メリットや注意点も

2-8.本を売却した代金で寄付を行う企業

「ありがとうブック」や「チャリボン」など、古本を買い取り、買い取ったお金をNPO団体や寄付を必要としている人の為の支援する企業があります。

「チャリボン」では寄付先団体を選ぶ事が可能で、「国際連合世界食糧計画WFP協会」や「陸前高田市立図書館」などNPO・NGO団体だけではなく教育機関や自治体の図書館にも寄付が可能です。

「ありがとうブック」は本を始め、DVD・CD・ゲームなども寄付ができます。リユース品として買い取り、料金はNPO・NGO団体などに寄付されます。

寄贈対象にはならないものの、価値のある本を持っている方、様々な場所に送るのが面倒な方には適した方法です。

2-9.NPO法人・公益財団法人などの支援団体

NPO法人・公益財団法人などの支援団体の中には、本を買い取って支援活動のための資金にする又は直接本を活用するために本の寄付を募っている所があります。

「一般財団法人アジア図書館・アジアセンターをつくる会」では、アジアを知る、日本・世界を知るための「アジア図書館」建設のために本の寄付を募っています。

文庫本・新書・単行本・雑誌・コミックなどリサイクル可能な本を貰い受け、アジア図書館用蔵書やリサイクル販売などに仕分け・活用しています。(※参照:一般財団法人アジア図書館・アジアセンターをつくる会「本の寄贈について」)

公益財団法人・がん研究会や独立行政法人・環境再生保全機構では古本基金を設置し、古本を買い取ったお金を活動資金として利用しています。(※参照:公益財団法人・がん研究会や独立行政法人・環境再生保全機構「古本で寄付をする」)

支援したいジャンルや自身が希望する本の活用方法などを考慮し、決定しましょう。

3.本を送る前の注意点

本を送る前には、「送料」と「寄付対象の本であるか」という2点に注意しましょう。

本の送料は多くの場合寄付者の負担となりますが、寄付先の団体によっては送料無料・着払いとしている所もあります。ホームページで送料の詳細が分からない時には、電話やメールで問い合わせてみましょう。

送料を負担できない時には、自身で古本屋に買取を依頼し、買い取って貰った料金を寄付するという選択肢を検討してみましょう。

また、幼稚園・保育園、小・中学校等では子供の年齢により寄付できる本の対象が限定されていることがあります。「子供の年齢に適した本であるか」を考慮した上で、寄付を検討しましょう。

多くの団体では破損した本、破れた本は寄付の対象外で、ジャンルによっては受け付けていない事もあります。本を寄贈することが対象団体とって負担となってしまわない様に、送る前に確かめておくことが大切です。

まとめ

本の寄付先には図書館や乳児院・児童養護施設、企業などがあり、本を直接寄付する方法と売却して現金化、お金を寄付する方法があります。自身の希望する方法や支援したい人などから寄付先を選びましょう。

本の対象年齢やジャンルによっては寄付ができない可能性があります。この記事を参考に事前に寄付先に確認を行い、送料負担をチェックしてから寄付を行いましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。