不動産投資ローンの団信と生命保険の違いは?メリット・デメリットを比較

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不動産投資ローンを契約する際に、団体信用生命保険(団信)への加入が必須であるケースがあります。

団信は生命保険の一種で、契約者に万が一の事があった時に保険金でローンの残債を弁済する仕組みです。金融機関にとってはローン債務を回収できる確率が高くなるため、契約時に団信を勧める又は加入必須とする事例が多くなっています。

本記事では不動産投資ローンにおける団信の概要や生命保険との違い5つ、団信と生命保険のどちらを選ぶべきかを解説していきます。

目次

  1. 不動産投資ローンの団体信用生命保険(団信)とは
  2. 不動産投資ローンの団体信用生命保険と生命保険の違い5つ
    2-1.保障の内容
    2-2.契約期間
    2-3.保険金を現金で受け取りたいか、ローン返済に充てたいか
    2-4.所得税の支払い
    2-5.団信はローン残高や返済期間によって保険料が変わる
  3. 団信と生命保険、どちらを選ぶべき?
  4. まとめ

1.不動産投資ローンの団体信用生命保険(団信)とは

団信とは生命保険の一種で、自身にもしものことがあったときに保険金でローンを完済する仕組みです。保険料はほとんどの場合、ローンの金利に上乗せされます。

団信は契約者が死亡又は高度障害になった時に保険金がローンに充てられますが、がんや生活習慣病にかかった時にローンを弁済する商品もあります。

がん・生活習慣病などは「診断されたらローン残高の○%を弁済する」という形で設定する場合が多く、通常の団信より上乗せされる金利が高い点が特徴です。

「持病があるから団信に加入できない、ローンを契約できないのでは?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、加入時の健康に関する要件を緩和した「ワイド団信」という団信も存在します。

ワイド団信の場合は通常の団信より上乗せされる金利は高めとなりますが、持病のある方でも加入できる可能性があります。

2.不動産投資ローンの団体信用生命保険と生命保険の違い5つ

不動産投資ローンの団信と生命保険の主な違い5点を見ていきましょう。

  • 保障の内容
  • 契約期間
  • 保険金を現金で受け取りたいか、ローン返済に充てたいか
  • 所得税の支払い
  • 団信はローン残高によって保険料が変わる

2-1.保障の内容

団信と生命保険の大きな違いの1つが「保障内容」です。

生命保険には契約者が死亡・高度障害になった時に保険金がおりる死亡保険、がんや急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病など所定の病気にかかった時に給付金が出る医療保険などがあり保障内容は多岐に渡ります。

女性に多い子宮がん・乳がん等に備えた保険やケガに対応できる保険など、団信より保障内容が手厚くきめ細やかな点が特徴です。

保険料が割高ではあるものの貯蓄としての機能もあり一定の要件を満たすことで、解約返戻金を受け取れる貯蓄型保険もあります。

ただし「最低限の保障で構わない」「保険料をおさえたいから団信のみ」という方もいるため、各々の家計状況や保障への考え方によってどちらを選ぶかが決まることになります。

2-2.契約期間

生命保険の契約期間は「定期」と「終身」の2種類があり、一定の契約期間内に亡くなった場合に保険金を受け取れるタイプが「定期」、一生涯に渡り契約が続くタイプを「終身」と言います。

一方で、団信の場合は不動産投資ローンを支払い終えるまでが契約期間となります。

2-3.保険金を現金で受け取りたいか、ローン返済に充てたいか

不動産投資ローンでは契約者に万が一の事が合った際、保険金はローンの返済に充てられます。残された家族は不動産が手に入りますが、手元に現金という形では残りません。

一方で生命保険は所定の疾患・死亡の際に保険金・給付金が支給されます。現金を葬儀費用や当面の生活費に充てる事はできますが、投資用不動産のローンは残ってしまいます。

2-4.所得税の支払い

生命保険の死亡保険金や満期保険金などを受け取る際、所得税が発生することがあります。保険を掛けられている人(被保険者)、保険料負担者、受取人が誰かによって異なり、所得税ではなく相続税・贈与税の納税義務が生じる可能性もあります。

一方で団信は保険金がローンの返済に充てられるため、税金を支払う義務はありません。ただし、ローンの残債が無くなるために、ローンを債務として遺産から差し引くことはなく、不動産の評価額に応じた相続税が発生することになります。

※出典:国税庁「団体信用生命保険に係る課税上の取扱いについて

2-5.団信はローン残高や返済期間によって保険料が変わる

団信の保険金はローン残債に充てられるため、ローンの残高が少なくなるにつれて保険料は段々安くなっていきます。

生命保険は、契約後に年齢とともに保険料が見直されるもの、変わらないものと商品によって異なりますが、団信のように自動的に減っていくことはなく保障内容・保険料を変更したい時には契約者が変更手続きを行う必要があります。

3.団信と生命保険、どちらを選ぶべき?

団信と生命保険の判断基準のポイントとして、まずは「保障内容の重複」が挙げられます。

団信と生命保険の保障内容が重複しており、どちらか一方の保険金で保障が十分である際には生命保険を解約又は団信に加入する必要がないという結論になります。

商品によっては団信と生命保険を一本化する事も可能です。例えば「生命保険とがん保険に加入しており、団信のがん特約を付帯して生命保険を解約する」という事例もあります。

第2のポイントは契約期間で、「一生涯の保障が欲しい」と言う方は生命保険の終身タイプ、「ローン完済まで死亡保障を付けたい」という方は団信が適しています。

ただし「一定期間内で良いけど保険金を現金で欲しい」というケースでは、生命保険に加入する必要があります。

その他、個人の貯蓄額やライフプランによっても、判断基準は異なります。例えば貯蓄が十分にあり、団信加入必須のローンを契約した場合にはいざという時の生活費は確保されているため、生命保険は必要がない可能性もあるでしょう。

まずは保障内容の重複が無いかを調べ、契約期間の希望、貯金額や保険・保障に関する考え、今後のライフイベントなどを想定しながら、総合的に判断していきましょう。「どうしたら良いかわからない」という方は不動産会社、保険会社のスタッフと相談することで自身の意思が明確になることがあります。

4.まとめ

団信と生命保険には保障内容や契約期間などの違いがあり、それぞれメリット・デメリットが存在します。

団信と生命保険の両方に加入しており見直しを行う際には、保障内容の重複や契約期間、ライフプラン・貯蓄額などを考慮しながら判断しましょう。場合によっては月々の保険料が安くなる可能性があります。

この記事を参考に団信と生命保険の違いやメリット・デメリットを知り、今後に活かしていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。