非営利団体(NPO)の社会的基盤の強化を目指す認定特定非営利活動法人日本NPOセンターは、IT大手4社の協力を得て、NPOのデジタルトランスフォーメーション(DX)化を支援する「NPTechイニシアティブ」を立ち上げた。9月5日から「IT初心者のための連続基礎セミナー」を無料で開講、初回は70団体、約90人が参加した。
NPTechは「NonProfit Technology」の略称で、NPOのデジタル活用を目指した活動を指す。インテル株式会社、TIS株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、株式会社NTTデータグループが同イニシアティブに参画、各社の事業と理念に基づき、NPOのDX化を支援していく体制だ。
日本NPOセンターとNTTデータは2019年から、経営視点でIT導入を担うIT人材を育成する「ソーシャルテクノロジーオフィサー(STO)創出プロジェクト」を共同で進めており、22年にデル・テクノロジーズが参画した。今年から、多くの現場NPOに対して直接的にIT研修を実施する同イニシアティブにステップアップ。IT利活用の促進で事業インパクトの拡大、組織基盤の強化、さらに日本の社会課題解決に繋げていく考えだ。
STO創出プロジェクト活動中の20年9月、日本NPOセンターとNTTデータ、一般社団法人 コード・フォー・ジャパン、認定特定非営利活動法人 ETIC.はNPOのIT活用状況に関する全国調査を実施している。回答団体数は1326で、事業活動におけるIT活用について、調査時点では「インターネットを通じた広報の強化」「団体ウェブサイトの改善・機能強化」「オンラインでのセミナーや研修・体験、相談対応など」が中心で、将来は「オンライン教材の開発・導入」「オンラインでの会話・相談等の自動応答の開発・導入」「情報伝達に配慮が必要な方のサポート」「モバイルアプリの開発・導入」など、より多様な活用方法、より細分化された課題解決に向けた活用に高い関心があることがわかった。
組織運営におけるIT活用については、「データ・書類の保存、共有」、「会計」「寄付者・会員管理」「テレワーク」が中心であるが、将来的にはテレワークの進展を見越した各スタッフの「業務の可視化」、業務効率の向上に向けた「電子契約」での活用を期待していることが判明。
一方、回答団体の7割を占める年間総支出予算規模5000万円未満の団体の場合、ITの有給職員がいる団体は3割にとどまった。うち7割が、人数と質ともに人材が不足していると回答。IT人材の人数と質を確保できない理由について、4割の団体が「原資や予算の不足」を、また、2割が「事業活動や組織運営でのIT活用に関する情報や知識が少ない」ことを挙げた。
こうした課題を受け、STO創出プロジェクトの次段階として、現場職員のITスキル向上に特化した同イニシアティブが発足する運びとなった。当面は、主催団体は日本NPOセンターで、参加企業が持ち回りで、Zoomを使用した無料の基礎セミナーを計4回開催する。
初回はNTTデータ、インテルによる「ITリテラシー入門講座~用語説明からパソコン選び~」。基本的な用語や背景を知り、これから学んでいくための基礎固めをする内容。さらにパソコンシステム(OS)もWindows, Mac, Chrome, Fireなど種類が増えています。事務作業をするにはどのようなパソコンを買えばいいのか、OSの違いは何かといった疑問に、IT企業の社員がわかりやすく解説した。
第2回「データ保存入門~デジタルデータの保存と保護を考える~」は10月17日午後2時半~午後4時開催。パソコンやタブレット・スマホなどで作業を行うときの注意点、電子データの取り扱いについて理解しておくべきポイントを解説する予定。講師はデル・テクノロジーズが担当。定員50名。民間の非営利団体。法人格の有無は不問。
【関連サイト】日本NPOセンター「10/17 NPTechイニシアティブ② データ保存入門~デジタルデータの保存と保護を考える~」

HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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