一般社団法人日本承継寄付協会は10月1日、八十二銀行および山梨中央銀行の全店舗にて、遺贈寄付情報誌「えんギフト」の設置を2025年9月より開始したと発表した。超高齢化社会を背景に個人の資産承継への関心が高まる中、金融機関が顧客の社会貢献ニーズに応える動きが広がっている。
今回の連携は、2024年12月の静岡銀行への設置、2025年7月の埼玉りそな銀行への設置に続くもので、3行が締結する包括業務提携(アライアンス)の一環として実現した。遺贈寄付とは、個人が遺言書を通じて自身の財産の一部をNPOや大学、自治体といった団体に寄付する仕組みだ。個人の想いを次世代や社会のために役立てる有効な手段だが、日本では遺言書の作成に対する心理的なハードルなどから、まだ十分に普及していないのが現状だ。
八十二銀行は2021年10月から遺言信託の取り扱いを開始しており、同行のサービスと親和性の高い遺贈寄付という選択肢を顧客に提示する手段として「えんギフト」を活用する。山梨中央銀行も、顧客の相続・資産承継に関する情報提供を強化する中で、本誌を通じて顧客の想いを次世代へつなぐ支援を行う方針だ。

日本承継寄付協会による金融機関との連携は加速しており、地域金融機関の広範な顧客ネットワークを活用することで、遺贈寄付の認知度向上と普及を促進する狙いだ。
同協会は情報誌の発行に加え、遺贈寄付に関する専門家育成にも注力している。金融機関職員や司法書士などを対象とした「承継寄付診断士講座」を開講しており、より高度な専門知識を習得できる1級講座が11月1日(土)に開催される予定だ。また、オンラインでの録画受講も可能となっている。

この講座は、寄付を希望する方の相談に応じ、次世代へ想いをつなぐ支援を行うための専門知識を身につけることを目的とし、これまで全国から400名以上が受講した。士業、金融機関、FP、不動産業界など相続・終活関連の仕事に携わる者、寄付を受け入れる非営利団体の職員、その他関心のある者なら誰でも受講できる。
「えんギフト」は、遺贈寄付の解説や体験談、寄付先の選び方などを紹介する年1回発行の無料情報誌で、発行部数は23,000部に上る。今回の連携により、静岡、長野、山梨の各県において、地域住民が遺贈寄付をより身近な選択肢として検討できる環境が整備される。
【関連サイト】
一般社団法人 日本承継寄付協会「遺贈寄付情報誌えんギフト」
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HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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