特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan)は9月25日、世界各地のプロジェクト資金を一括で寄付する「まるごとプロジェクト募金」の対象に、新たにタジキスタンでの障がいのある女性支援プロジェクトを追加した。この募金は、寄付者が支援するプロジェクトを特定でき、その進捗や成果について現地駐在員から直接的な報告を受けられる透明性の高い仕組みを特徴としている。
「まるごとプロジェクト募金」は、AAR Japanが世界で展開する支援活動の中から、現地の喫緊の課題に対応するプロジェクトを選定し、その運営資金をプロジェクト単位で募集するものだ。寄付者は個人・法人を問わず、支援の成果を具体的に把握できるため、寄付金がどのように社会的なインパクト創出に繋がったかを実感しやすい。
今回新たに追加されたのは、タジキスタンにおける「障がいのある女性たちに縫製研修とミシン提供」プロジェクトだ。募集金額は115万円で、障がいのある女性や障がい児を育てる女性6名を対象に、6カ月間の縫製研修を実施する。研修修了後には開業に必要なミシンなどを提供し、自宅で仕事ができる環境を整えることで、経済的・社会的自立を後押しする。タジキスタンでは女性の社会進出が遅れており、特に障がいを持つ人々は差別や偏見から社会的に孤立しやすい状況にある。

障がいのある女性たちに縫製研修とミシン提供
AAR Japanはタジキスタンのほか、ウガンダ、ザンビア、アフガニスタン、ミャンマーの計5カ国でプロジェクト資金の募集を継続している。ウガンダでは難民の保護者を対象とした生計支援(150万円)、ザンビアでは難民居住地での英語教室の開講(250万円)、アフガニスタンではパキスタンからの帰還民への生活必需品提供(380万円)、ミャンマーでは障がい者のための職業訓練校の運営支援(500万円)がそれぞれ計画されている。募集期間は2026年3月までだが、資金が集まり次第終了する。

ザンビアの寄付募集プロジェクト「難民居住地で人生を切り拓く英語教室を開講」
ザンビア駐在員の小林鮎実氏は、現地での英語教室について「『娘や息子、孫たちに今よりもっと明るい未来を』と、自らの力で明日を切り拓こうと学ぶ受講生のひたむきな姿や、修了証を手にした瞬間の目の輝きを目の当たりにしてきた。彼らは就労機会を広げるため、この教室を心待ちにしている」と、支援の意義を語っている。
また、ミャンマー駐在員の山本慶史氏は、国内の紛争が続く厳しい状況に触れ、「紛争下の絶望的な状況にあるミャンマーの障がいのある人々にとって、職業訓練校は暗闇に差す一筋の希望だ。四半世紀にわたり続くこの職業訓練校という灯を絶やさぬよう、共に支えてほしい」とコメントした。
AAR Japan(難民を助ける会)は、1979年にインドシナ難民支援を目的として日本で発足した、政治・宗教・思想に偏らない国際NGO。現在は世界各地で、難民支援や障がい者支援を活動の柱としながら、災害支援、地雷対策、感染症対策など多岐にわたる人道支援を展開している。国連経済社会理事会(ECOSOC)の協議資格を持つ。
【特設サイト】AAR Japan[難民を助ける会]「まるごとプロジェクト募金2025」

HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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