採鉱業界の主要4団体で構成する統合採鉱基準イニシアティブ(CMSI)は10月8日、責任ある採鉱活動を推進するための統合基準、保証プロセス、クレーム方針に関する最終パブリックコンサルテーションを開始した。11月17日まで実施し、世界中のステークホルダーから意見を募集する。
CMSIは、カッパーマーク、国際金属鉱業評議会(ICMM)、カナダ鉱業協会(MAC)、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の4団体が参画する共同プロジェクト。現在、採鉱業界では複数の責任採鉱基準が並立しており、企業にとって認証取得の負担が大きいことが課題となっていた。統合基準は、既存の4つの基準の優れた要素を一つに統合し、採鉱から精錬、精製、その後の工程まで、金属のバリューチェーン全体をカバーする包括的な基準となる。
今回の最終協議では、バーチャル公開ウェビナーの開催、市民社会組織や政府関係者への直接説明、先住民族組織との専門的な対話など、多様な形式で意見収集を行う。協議文書は英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語(簡体字)、日本語、ブラジルポルトガル語の8言語で提供される。
2024年10月から12月に実施された第1回パブリックコンサルテーションでは、25カ国から192のステークホルダーが参加し、約4,700件の個別コメントが寄せられた。これらの意見を反映した改訂版が今回の協議対象となっている。統合基準の策定プロセスは、国際的な基準設定機関であるISEALの優良実践規範に準拠し、透明性と包括性を確保している。
採鉱業界における責任ある事業慣行への関心は近年急速に高まっている。特に電気自動車や再生可能エネルギー設備に不可欠な銅やニッケルなどの需要増加に伴い、環境・社会・ガバナンス(ESG)面での取り組み強化が求められている。カッパーマークによると、現在世界で採掘される銅の40%が同団体の認証を受けた鉱山で生産されており、統合基準の導入により、さらなる責任ある採鉱の普及が期待される。
最終的な統合基準は、多様なステークホルダーが参加する独立した理事会によって承認される予定で、2026年前半の正式発表を目指している。採鉱業界の標準化と持続可能な発展に向けた重要な一歩となることが期待される。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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