認定NPO法人難民を助ける会(AAR Japan)は2022年8月29日、大規模な洪水被害を受けたパキスタン北西部ハイバル・パフトゥンハー州の被災地にイスラマバード、ハリプール両事務所の現地職員を派遣し、緊急支援を開始したと発表した。
パキスタンでは6月以降、各地で大雨による洪水が発生し1,000人以上が死亡、3,300万人が被災する非常事態となっている。被災状況を調査しているのは、大きな被害が出たハイバル・パフトゥンハー州ノウシェラ郡、チャルサーダ郡。両郡では豪雨によりカブール川が氾濫し、広範囲で浸水被害が起きている。州政府の発表によると、8月29日時点で小学校など76カ所の避難所に2万6,200人が避難中だという。
ノウシェラ郡ピル・サバック地区では8月25日から氾濫が始まり、住民は早めの避難で無事だったものの、約600世帯のうち500世帯が床上浸水した。被災者は近隣の学校や家庭に身を寄せているが、食料や飲用水、衛生用品、医薬品などが不足している。また、蚊の大量発生によるデング熱、衛生状態の悪化によるコレラなど感染症の発生も懸念される。
チャルサーダ郡では広範囲が水没し、避難できる施設もないため、被災者は周辺よりも数メートル高い位置にある高速道路に避難している。派遣されたAARの職員によると、高速道路上に約500~600世帯が避難し、ありあわせの衣類やシーツで日よけを作っているが、食料や日用品、寝具などはないという。被災者の中には幼児や障がい者、高齢者が含まれ、生命にかかわる劣悪な状態で避難生活を余儀なくされている。
AARは現在、ハイバル・パフトゥンハー州の被災者を対象とした食料、水、衛生物資などの配付の準備を進めており、被災者の命をつなぐAARの緊急支援への協力を呼びかけている。
【関連サイト】AAR Japan「寄付の申込み」
【関連サイト】AAR Japan「【パキスタン洪水被災者支援】緊急支援にご協力ください」
岡村 幸治
Twitter:@koji__O
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