PTS取引ができる証券会社、どこがおすすめ?5社を徹底比較

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将来への備えや資産運用として株式投資を検討している方も少なくないと思いますが、取引可能な時間が限られているため、フルタイムで働いている方にとって取引をしにくい場合があります。そのような方に便利なのがPTS取引で、証券取引所の営業時間外でも取引を行える上、手数料も安く、有利な価格で約定しやすいのが特徴です。

この記事では、PTS取引についての基本的な知識、PTS取引を行える証券会社について詳しくご紹介します。夜間取引を行える証券会社を探している方、証券会社選びで悩んでいる方はご参考ください。

※記事中の情報は全て2022年6月30日時点のものです。最新の情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. PTS取引とは
  2. PTS取引のメリット
    2-1.時間帯を問わず取引ができる
    2-2.通常よりも手数料が安い
    2-3.信用取引も可能
    2-4.希望する価格で発注・約定がしやすい
  3. PTS取引のデメリット
    3-1.取引量が少ない
    3-2.注文方法は「指値」のみ
    3-3.取扱銘柄が限られている
    3-4.夜間取引に非対応の証券会社もある
  4. PTS取引ができる証券会社5選
    4-1.SBI証券
    4-2.松井証券
    4-3.楽天証券
    4-4.マネックス証券
    4-5.auカブコム証券
  5. まとめ

1 PTS取引とは

PTS取引の「PTS」とは「Proprietary Trading System」の略称です。「私設取引システム」と訳され、公設の証券取引所ではなく、民営企業による私設取引をするための仕組みとなります。

投資家はPTS取引を利用することによって、証券取引所が開く前の時間帯や、大引け後の時間帯の取引が可能です。日本の証券取引所は、前場が9:00~11:30、後場が12:30~15:00まで開いており、取引ができるようになっています。

フルタイムで働く方にとっては勤務時間帯と重複しており、取引を行いにくい状況もありますが、PTS取引を利用すると取引所の開いている時間の前後や休憩時間にも取引を行うことが可能です。

PTSの運営会社は証券取引所を通しませんが、日本証券業協会の定める「上場株券等の取引所金融商品市場外での売買等に関する規則」などに従って取引ルールを定めています。PTSにおける注文は、取引所での注文や市場価格とは異なります。PTSでの注文が取引所に引き継がれることもないので、注文の約定価格と市場での取引価格に乖離が生じることもあります。

現在、日本におけるPTSの運営会社は、SBIジャパンネクスト証券が運営するジャパンネクストPTS(JNX)、チャイエックス・ジャパン運営のチャイエックスPTS(Chi-X)の2つのみです。この2社と提携している証券会社でPTS取引が可能になっています。

ジャパンネクストPTSの市場には、J-Market(第1市場)、X-Market(第2市場)の2種類があり、日中の取引時間は8:20~16:00、夜間の取引時間は16:30~23:59です。取引所の寄りよりも早くスタートし、引け後も続けてトレードを行うことができます。

チャイエックスPTSでは、ルールの異なるChi-AlphaとChi-Selectの2市場を提供しています。日中の8:00~16:00のPTSのみが提供されており、夜の時間帯の取引はできません。どちらのPTSも営業日は東京証券取引所と同じで祝日を除く月曜日〜金曜日となっています。

2 PTS取引のメリット

PTSは投資家にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットについて紹介します。

2-1 時間帯を問わず取引ができる

PTSの大きなメリットは、時間帯を問わずに取引ができることです。FX市場のように24時間ではありませんが、PTSを利用することで深夜帯を除き、株取引をいつでも行うことが可能です。

仕事の時間と重なっていて集中して取引ができないという方や、副業として夜の時間帯に投資を行いたいという方でも投資機会を失うことがありません。朝の寄り前に取引ができるのも特徴で、夜間に大きなニュースがあっても市場が開く前に迅速な対応が可能です。

通常の取引所での取引では、発注はできても約定はできませんが、PTSでは約定まで可能ですので、すぐに取引結果を得られるのもメリットです。

2-2 通常よりも手数料が安い

PTS取引は、通常の時間帯に取引所で取引を行うよりも手数料が安い場合がほとんどです。PTSに取り次ぐ証券会社が手数料を安く設定しているので、5%ほど安くなるケースもあります。特にデイトレードなど頻繁に売買を繰り返すスタイルの投資家にとってメリットが大きく、夜間の時間帯は手数料が無料になる証券会社もあります。

2-3 信用取引も可能

PTS取引では、現物株の売買だけでなく信用取引も可能です。信用取引も手数料が割安になっており、使いやすくなっています。ただし、PTSでは現物株よりも時間帯が短くなっているので注意しましょう。

2-4 希望する価格で発注・約定がしやすい

PTSでは取引所での売買と比較して呼値(=売買する時の価格の刻み幅)の単位が細かく設定されています。そのため、投資家が希望する価格で発注・約定がしやすいという特徴があります。なお、発注時には注文時の価格をよく検討し、細かく設定することが大切です。

3 PTS取引のデメリット

PTS取引は便利ですが、注意が必要なポイントもあります。主なデメリットについて確認していきましょう。

3-1 取引量が少ない

PTS取引は私設取引所であり、基本的には時間外の取引がメインです。そのため、東証などの取引所と比較するとどうしても取引量が少なくなっています。

取引量が少ないと、値が大きく動いたり、なかなか注文した価格で取引が成立しなかったりします。特に、もともと取引量の少ない株の場合は取引のしにくさがより顕著になります。PTS取引をする上では、この点を必ず意識しておき、慎重に取引を行うことが大切です。

3-2 注文方法は「指値」のみ

PTS取引では、「指値」注文のみが可能です。成行注文や条件注文はできない点に注意が必要です。また、有効期限は当日のみで週や無期限といった注文もできないため、毎日約定したかを確認し、注文を入れ直す必要があります。

特にデイトレードを行う場合、注文が約定したのを確認して反対売買の注文を新しく出す必要があるため、手間に感じることもあります。また、日々の取引量が少ない銘柄の場合、なかなか約定しないため、キリのいい数字で発注したり、注文をし直したりして少しでも約定率を上げる工夫などが必要となります。

3-3 取扱銘柄が限られている

PTS取引を提供しているジャパンネクストPTS、チャイエックスPTSともに東京証券取引所の上場株式とETF、REITが売買対象となっています。そのため、東証1部・2部、東証マザーズ、JASDAQに上場している銘柄は取引可能ですが、外国株や外国ETF、名古屋や大阪、福岡、札幌の証券取引所のみに上場している銘柄は取引できません。

また、一部銘柄は、PTSの運営会社や各証券会社が独自に売買停止銘柄として指定している場合もあるので注意が必要です。

3-4 夜間取引に非対応の証券会社もある

PTS取引は、もともと時間外取引を目的としたものでしたが、その利便性や日中の休憩時間も対応できることから、ひとつの取引市場として活用するケースも増えています。

例えば、証券会社が投資家から受け付けた注文を、取引所だけでなくPTSにある反対注文を確認して、より有利な価格で約定できるシステム(SOR注文等)がよく利用されています。

必ずしもPTS取引=夜間取引というわけではないため、各証券会社の取引可能な時間帯の確認が大切です。

4 PTS取引ができる証券会社5選

2020年10月現在、PTS取引ができる証券会社をご紹介します。夜間取引が可能な証券会社は、SBI証券、松井証券、楽天証券の3社のみで、マネックス証券とauカブコム証券はSOR注文によるPTS取引となります。それぞれ時間帯や取引条件は次の通り異なるので、ご自身の投資スタイルに合ったものを選ぶようにしてください。

証券会社名 PTS運営会社 取引時間帯 信用取引 手数料 備考
SBI証券 ジャパンネクストPTS
大阪デジタルエクスチェンジ
8:20~16:00
16:30~23:59
0円 夜間取引対応
松井証券 ジャパンネクストPTS 8:20~15:30
17:30~23:59
0円~(1日の総額で決定) 夜間取引対応
楽天証券 ジャパンネクストPTS 8:20~16:00
17:00~23:59
0円(ゼロコースのみ) 夜間取引対応
チャイエックスPTS 8:20~16:00
マネックス証券 ジャパンネクストPTS 9:00~11:30
12:30~15:00
95円~ SOR注文のみ(夜間取引不可)
auカブコム証券 ジャパンネクストPTS 9:00~11:30
12:30~15:00
90円~ SOR注文のみ(夜間取引不可)

4-1 SBI証券

PTSを提供するジャパンネクスト証券とグループ会社の関係にあるSBI証券は、取引時間の長さと手数料の安さが強みとなります。

特に取引手数料が無料なので、手数料を気にせず取引をすることができます。引け後の決算発表や記者会見などで、株価が大きく動くような状況があった場合でも対応しやすい証券会社です。もともと手数料の安さは業界でもトップクラスなので、日中の取引と併せてコストを抑えて取引できるのが特徴です。

4-2 松井証券

松井証券はジャパンネクスト株式会社のPTSを利用しており、17:00~23:59までの夜間取引にも対応しています。また、松井証券では、投資家の注文をPTS市場も含めて処理するSOR(Smart Order Routing)を取り入れており、日中の取引の約定率の向上に活用しています。

松井証券のPTS手数料は通常の株式と同じボックスレートの枠内で決定されます。1日の約定金額の合計金額によって手数料が決定する仕組みで、1日の約定金額が50万円以内の場合、手数料無料です。サービスやツールの使いやすさで人気があり、投資初心者でも使いやすいネット証券会社の一つです。

4-3 楽天証券

楽天証券楽天証券は、国内で唯一2つのPTSを利用している証券会社です。2つのPTSを利用できることによって、PTSの取引量も増えるため、希望する価格で約定しやすくなります。PTSが利用できる時間帯も長く、自分のライフスタイルに合わせて取引を行えるのが特徴です。

手数料は現物株、信用取引ともに無料であり、PTSだからと追加でかかる費用はありません。普段行っている株式取引と同じように利用することができます。ネット証券の中でも手数料はSBIと同様にトップクラスの安さなので、使いやすいのがメリットです。

4-4 マネックス証券

マネックス証券では、ジャパンネクスト株式会社のPTSを利用することによって、有利な条件での約定を可能にするSOR注文サービスを提供しています。現物株、信用株とも約定率を高くできるようになり、取引が快適になります。

一方、夜間取引は行っておらず、基本的にPTSの利用は通常の取引時間帯の中でのサポートという位置づけです。そのため、手数料や取引ルールは、一般の株式取引のルールに準じます。また、信用取引のほうが現物取引よりも少しだけ手数料が安くなっているのが特徴です。

4-5 auカブコム証券

auカブコム証券auカブコム証券でも、マネックス証券と同様にPTS取引はSOR注文のみで、夜間取引を行うことはできません。通常の取引時間帯の中でPTS市場を使い、システムによって自動的に有利な条件での約定を支援します。

auカブコム証券でも、PTSを利用した取引は手数料や取引ルールは通常の株式取引と同じです。auカブコム証券の信用取引は、取引価格に対してパーセンテージで手数料が決まるほか、キャンペーンなどでさまざまな割引特典があるので活用すると良いでしょう。

まとめ

東証などの証券取引所では取引時間が限られているため、PTS取引は投資家の利便性向上に繋がるほか、海外市場の動向によって株価に影響が生じるケースなどにも柔軟な対応が可能になる仕組みです。その他にも手数料が安いなど、多くのメリットがあります。

しかし、PTSだからといって必ずしも夜間取引ができるわけではないため、各証券会社の対応可能な時間帯のチェックは欠かせません。また、取引数の少なさや発注ルールの違いに慣れるまでは慎重な取引も求められます。メリット・デメリットを踏まえ、自分に合った証券会社でPTSの利用を検討しましょう。

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