株式投資で確定申告をした方が良いケースは?給与所得との税率の比較も

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株式投資は特定口座を選ぶことで確定申告が不要となります。しかし、ケースによっては確定申告をしたほうが良いケースもあります。

そこで今回は、株式投資にかかる税金の種類や、確定申告が必要なケース・不要なケース、確定申告をしたほうが良いケースなどについて解説していきたいと思います。

目次

  1. 株式投資で得た利益には税金が掛かる
    1-1.原則として確定申告が必要になる
    1-2.確定申告が必要になるケース
    1-3.確定申告が不要になるケース
    1-4.確定申告をした方が良いケース
  2. 株式投資に掛かる税金と所得税の税率を比較
  3. まとめ

1.株式投資で得た利益には税金が掛かる

株式投資により利益が発生した場合、その利益に対して税金がかかります。税金の種類は以下の2種類です。

  1. 株式を売却して発生した利益に掛かる「譲渡益課税」
  2. 企業から受け取る配当金に掛かる「配当課税」

もう1つ、株式を保有することで受け取れる「株主優待」にも税金がかかることがありますが、こちらは「雑所得」として課税対象になります。

1-1.原則として確定申告が必要になる

説明した通り、株式投資によって発生した利益には税金が掛かります。そのため、原則として確定申告によって税額を申告し、税金を納付する義務が発生します。確定申告をしなければ、追加徴税が課せられることがあり、せっかくの利益が税金に消えてしまうこともありますので、注意したいところです。

ですが、株式投資に掛かる税金に対して、確定申告が必要な場合と、不要な場合がありますので、その違いを理解しておかなくてはなりません。

1-2.確定申告が必要になるケース

株式投資で確定申告が必要になる場合は、以下の通りです。

  1. 株式投資で利益が発生している場合
  2. 株式投資の利益に対して源泉徴収をしていない場合

繰り返しになりますが、株式投資による利益には税金が掛かりますので、確定申告が必要になります。そして、株式投資の利益に対して源泉徴収をしていない場合、確定申告は必須となります。これは、「一般口座」もしくは「特定口座(源泉徴収なし)」にて株式取引を行った場合が対象となります。

1-3.確定申告が不要になるケース

一方で、確定申告が不要になるのは、以下の場合です。

  1. 「特定口座(源泉徴収あり)」にて取引を行なっている場合
  2. 年収2,000万円以下で給与・退職所得以外が20万円以下の場合
  3. 利益が確定していない場合

「特定口座(源泉徴収あり)」にて取引を行なう場合、証券会社が利益に対する税金を差し引いて代わりに納付してくれますので、確定申告を行う必要はありません。

また、給与所得者の場合、年収が2,000万円以下で、株式投資による利益も含む給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下の場合には確定申告義務はなく、その分の所得税を納付しなくても良いのです。ただし、他に確定申告の義務が生じる場合は20万円以下でも申告が必要になるほか、いずれにせよ住民税の申告は必須になりますので注意しましょう。

さらに、株式を保有している状態で利益が確定していない場合にも税金は掛かりません。あくまでも確定した利益に対して税金が掛かるものと覚えておきましょう。

1-4.確定申告をした方が良いケース

確定申告が必要なケースと不要なケースについて解説しましたが、以下のようなケースの場合、不要だとしても確定申告をした方がいいでしょう。

  1. 損失が発生していて損益通算ができる場合
  2. 「譲渡損失の繰越控除」を利用する場合
  3. 配当金に家財される場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

損失が発生していて損益通算ができる場合

株式投資で損失が発生している場合、「損益通算」が可能です。損益通算とは、損失を申告することで、翌年以降の課税対象額から損失分を差し引くことをいいます。

例えば、昨年の取引で10万円の損失が発生したとします。その損失を申告し、翌年には50万円の利益が出たとしましょう。この場合、課税対象となるのは50万円ですが、昨年に10万円の損失を申告していたことで、課税対象額を40万円に圧縮することができます。これが損益通算です。

損益通算を行なうには確定申告が必要になるため、損失が発生していても確定申告をした方が良いといえるのです。

「譲渡損失の繰越控除」を利用する場合

上記した損益通算は、最大3年間にわたって繰り越して税額を控除することができます。

例えば、ある年に150万円の損失が発生したとします。翌年から毎年50万円の利益が3年間発生した場合、各年の損益通算によって課税対象額は0円になります。

このように、3年間損益通算を継続できることを「譲渡損失の繰越控除」といいます。こちらも確定申告をしておけば適用可能となります。

配当金に課税される場合

株式の配当金は、源泉徴収なしの特定口座で取引していても、課税した分を差し引いた利益が振り込まれることがあります。

自分で確定申告をして税金を払う用意があっても、課税されてしまった場合には確定申告によって過剰に支払った分の税金を取り戻すことができます。

本来必要ない税金が徴収されている場合は、内容を確認し必要ならば確定申告を行ったほうが良いでしょう。

2.株式投資に掛かる税金と給与所得の税率を比較

株式投資では利益に対して20.315%の税金が掛かりますが、その中身は「所得税」(15.315%)と「住民税」(5%)です。※株式投資の所得税には「復興特別所得税」が含まれています。

そして、一般的な所得税・住民税と株式投資に掛かる税金には、1つ決定的な違いがあります。

一般的な所得税・住民税の税率は課税所得によって変動する一方、株式投資での所得税・住民税の税率は誰に対しても一律であるということです。住民税に関しては、一般的には課税所得の約10%が目安となるため、株式投資で発生する住民税の税率は半分ということになります。

そして、大きく影響するのが所得税です。通常の所得税は課税所得に対して5%~45%の税率が掛かるため、その変動率がかなり大きいといえます。

ちなみに、所得税の税額は以下のようになっています。

①課税所得 ②所得税率 ③控除額 税額(①×②-③)
195万円以下 5% 0円 ①×5%-0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円 ①×10%-97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円 ①×20%-427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円 ①×23%-636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円 ①×33%-1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円 ①×40%-2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円 ①×45%-4,796,000円

参照:国税庁(2020年6月時点)

上記の表のように、所得税率には5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7つのパターンがあります。所得が高額になるにつれて税率が上がっていきますので、同じ所得額を獲得するにあたって給与所得よりも株式投資の譲渡益・配当のほうが税率が低くなるケースも出てきます。

まだ投資を始めていないという方は、現在の課税所得額や手元の余裕資金、今後の資金計画なども考慮しながら、株式投資も検討されてみると良いでしょう。

まとめ

今回は、株式投資で確定申告をしたほうが良いケースや不要なケースなどについて解説しました。この記事を参考に株式投資の税金などについても意識して投資を進めてみて下さい。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。