世の中にはさまざまな投資の方法があります。しかし、そこから得ることができる利益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類に分けることができます。自分に適した投資方法を選択するためには、これらの違いについてしっかり理解しておくことが大切になります。
そこで今回は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」がどのようなものなのか解説していきたいと思います。
目次
- 投資で得られる「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」とは
1-1.インカムゲインとは?
1-2.キャピタルゲインとは? - インカムゲインの特徴
2-1.一回に発生する利益は比較的小さい
2-2.定期的に利益を得られる機会がある
2-3.利益が発生するのは資産を保有している間のみ - キャピタルゲインの特徴
3-1.発生する利益が比較的大きい
3-2.利益が発生するかどうかはわからない
3-3.資産を売却したときのみ得ることができる - どちらにもリスクがある
4-1.リスクは最小限に抑えることができる - まとめ
1.投資で得られる「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」とは
私たちが何らかの投資を行う場合、そこから得られる利益には以下の2種類があります。
- インカムゲイン
- キャピタルゲイン
この2種類は「投資から得られる利益」という意味では共通していますが、その本質は大きく異なります。それぞれの利益の内容と特徴について見ていきましょう。
1-1.インカムゲインとは?
インカムゲインとは「資産を保有している間に得られる利益」のことをいいます。資産に当たるものはさまざまで、株式や債券、投資信託、不動産などが該当します。
例えば株式取引の場合なら、銘柄を保有することで得られる「配当金」や「株主優待」などがインカムゲインとなります。
1-2.キャピタルゲインとは?
投資で得られるもう1つの利益が、キャピタルゲインです。キャピタルゲインとは「資産を売却することで得られる利益」のことをいいます。
例えば株式投資の場合、銘柄の購入金額よりも売却金額のほうが高ければ、その差額が利益になります。
2.インカムゲインの特徴
インカムゲインの特徴には以下の3つが挙げられます。
- 一回に発生する利益は小さい
- 利益が安定的に発生しやすい
- 利益が発生するのは資産を保有している間のみ
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.一回に発生する利益は小さい
インカムゲインは長期的に資産を保有することで発生します。しかし、その利益は後述のキャピタルゲインに比べ基本的に小さいものになるという特徴があります。
例えば、現在株価が1,000円の銘柄があり、1株当たりの配当金が50円に設定されているとします。この銘柄を100株購入して1年間保有した場合、配当金は5,000円になります。
配当金額が変更されない場合、20年間保有すれば株式の購入金額を回収できることになります。
10万円の投資に対して年間に得られる配当金額が5,000円であれば、購入金額の5%がインカムゲインということになります。一気に大きな利益が発生するわけではなく、数年~数十年をかけて投資回収を狙うものがインカムゲインなのです。
2-2.定期的に利益を得られる機会がある
一度に発生する利益は小さいインカムゲインですが、配当金のように半年~1年に1回など定期的に利益を得られる機会があるという側面も持っています。
例えば不動産投資では、あるマンションを購入して、誰かがそこに入居することで家賃収入を得ることができます。そして、入居者がいるマンションを保有している限り、家賃収入は原則として毎月継続的に発生し続けることになります。
資産を保有することで定期的な収益機会がある(※)というのは、インカムゲインの大きな特徴といえます。
※株式の場合は業績悪化などで配当が出ないこともあります
2-3.利益が発生するのは資産を保有している間のみ
定期的な収益機会があるというのがインカムゲインの特徴ですが、それは資産を保有している間だけのことです。先ほどのマンションの例ならば、マンションを売却して自分の手元から離れてしまったらインカムゲインを得ることはできなくなります。
つまり、インカムゲインを得るためには、資産を保有し続けなければならないということになります。
3.キャピタルゲインの特徴
キャピタルゲインには、以下の3つの特徴があります。
- 発生する利益が大きい
- 利益が発生するかどうかはわからない
- 資産を売却したときのみ得ることができる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1.発生する利益が大きい
キャピタルゲインの特徴として、発生する利益が比較的大きいことが挙げられます。こちらは株式銘柄を例に見てみましょう。
現在株価が1,000円の銘柄を100株購入したとします。その後株価が上昇し、1,200円となったところですべて売却すると、損益は以下のような計算式になります(手数料は考慮していません)。
(1,200円×100株)-(1,000円×100株)=2万円
つまり、差額による2万円のキャピタルゲインを得ることになります。長期保有した場合の配当金が5,000円であることと比較すれば、金額が大きいことが分かります。
株式などの資産を売却するタイミングは投資家自身が決めることができますので、うまくいけばより大きな利益を狙うことも可能です。このように一度に大きな利益を得やすいというのは、キャピタルゲインの大きな特徴です。
3-2.利益が発生するかどうかはわからない
発生する利益が大きい一方で、キャピタルゲインを狙うにはあるデメリットがあります。それは、利益が発生するかどうかはわからないということです。
先ほどの株式銘柄では、株価が1,000円から1,200円に値上がりしたため、売却益を得ることになりました。しかし、株価は上昇することもあれば、下落することもあります。
仮に、株価が800円に値下がりしたときに売却したとすると、以下のようになります。
(800円×100株)―(1,000円×100株)=-2万円
つまり、2万円の損失が発生することになります。このように、大きな利益を得られる反面、大きな損失を被る可能性もあるというのが、キャピタルゲインを狙う場合の注意点となります。
3-3.資産を売却したときのみ得ることができる
資産を保有している間に得られるのがインカムゲインであるのに対して、資産を売却したときのみ得られるのがキャピタルゲインとなります。
そして先述している通り、最終的に資産の売却が利益となるか損失となるかはその時まではわからないため、キャピタルゲインを得るには投資に対する戦略が必要になります。
特に、株式投資やFXなどのように、価格変動が大きい金融商品に投資を行う場合、損失を最小限に抑えるためのルールに従って取引を行うことが望ましいと言えます。
4.どちらにもリスクがある
インカムゲインとキャピタルゲインについて共通していることは「どちらにもそれぞれのリスクが存在する」ということです。
キャピタルゲインでは、得られる利益が大きい一方で、損失が大きくなるリスクがあることを説明しました。またインカムゲインでは定期的な収益機会がある一方、業績や資産価値などによってその利益の額が変動したり、無くなったりする可能性もあります。
さらに、インカムゲインとキャピタルゲインはどちらも資産価値の変動によるリスクを持っていると言えます。購入時よりも資産価値が下がれば、インカムゲインと売却時の損益を合わせても元本割れしてしまう可能性がありますし、金融商品によっては配当が下がることでそれを上回る損失が継続的に発生してしまうこともあります。
このように、投資では利益を得ることができる分だけ必ずリスクがあるということは覚えておきましょう。
4-1.リスクは最小限に抑えることができる
このようなリスクの説明をすると「やっぱり、投資は怖いもの」と感じてしまうかもしれません。たしかに、何かに投資をする場合、多かれ少なかれリスクは存在することになります。しかし、リスクというものは、最小限に抑えることができるものでもあります。
例えば、損失が発生することをあらかじめ考え、一定以上の損失が出ないように「損切り」の条件設定を行うというのは、リスクを抑えるための方法です。
他にも、同時期に複数の株式銘柄を購入する「分散投資」を行えば、1つの銘柄で損失が発生しても、他の銘柄でカバーすることができます。さらに、株式の購入時期を分散することで高値で投資をしてしまう危険性を下げる方法など、リスクを抑えるためにはさまざまな方法があります。
このようなリスク回避のための方法に関する知識を深めていけば、様々なリスクに対して柔軟に対応できるようになります。これによって投資に対する恐怖感をうまくクリアすることができるでしょう。
まとめ
投資で利益を得るためには、インカムゲインとキャピタルゲインの違いについて知っておくことが大切です。自分の投資スタイルに合わせた主な利益の取り方を選び、リスクへの対策をしっかり講じることができれば、投資がより楽しくなることでしょう。
本記事を参考に、それぞれの利益について知識を深めていただければ幸いです。
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山本 将弘
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