非課税投資制度のNISA。中でも子育て世代に魅力があるのが、ジュニアNISAと呼ばれる制度です。しかし、ジュニアNISAの制度概要や利用方法、具体的にどのようなメリットがあるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ジュニアNISAの仕組みや特徴をはじめ、メリットや子育て世代に嬉しい理由、注意点を解説します。
目次
- ジュニアNISAとは
1-1.日本に住んでいる0~19歳を対象とした非課税制度
1-2.ジュニアNISAの対象となる金融商品
1-3.ジュニアNISAの要件と口座開設 - ジュニアNISAのメリットと子育て世代に嬉しいポイント
2-1.非課税で子供の資産形成ができる
2-2.制度終了後も非課税で資産を管理できる
2-3.非課税対象の商品が多い
2-4.払出制限があることで不用意に引き出さずに済む
2-5.子供の金融・投資に関する教育につながる - 利用前に知っておくべきデメリット・注意点
3-1.ジュニアNISAは2023年に終了
3-2.金融機関を変えることはできない
3-3.投資なので元本保証はない - まとめ
1.ジュニアNISAとは?
まずはジュニアNISAとは、どのような制度で何を目的としているものか確認していきましょう。対象者と非課税の適用要件、適用期間などは特に覚えておくことが大切です。
1-1.日本に住んでいる0~19歳を対象とした非課税制度
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)は2016年1月に始まったもので、主に子育て世代や子どもの資産運用をサポートする、金融商品に関する非課税制度です。
子供が将来、結婚資金や住宅資金・老後資金で困らないよう、早い段階で資産形成を行うために投資にかかる税金を一定期間非課税にしてくれるというものです。
対象者の具体的な年齢や要件は、国内に住んでいる0歳~19歳ですが、運用や管理は親権者でなければいけません。未成年者が売買を行う際は、必ず親権者の同意・確認が必要です。
1-2.ジュニアNISAの対象となる金融商品
ジュニアNISAの非課税対象は、以下の通りとなっています。
【ジュニアNISAの対象となる金融商品】
- 国内・海外株式:国内と海外の株式のこと。銘柄などに制限なし
- 国内・海外ETF(上場投資信託):投資信託と同様に1ファンドで複数銘柄に投資可能
- 国内・海外REIT(不動産投資信託):不動産を投資対象としたファンド
- 株式投資信託:株式を組み入れた投資信託。1つのファンドで複数の銘柄へ投資ができる
- 上場投資証券(ETN)
- 新株予約権付社債
あまり聞きなれない金融商品かもしれませんが、上場投資証券は、金融機関の信用力を背景にした証券で、特定の指標と価格が連動するように設計された証券です。ETNには裏付けとなる資産がなく、したがって金融機関に対する信用リスクもありますが、ETFなどでは難しい資産へ投資することができます。
また新株予約権付社債は、あらかじめ定められた価格で株式を取得できる権利を持った社債です。
このように多くの商品が非課税となるものの、公社債投資信託やFX、金投資や預貯金、債券投資などは課税対象となります。
1-3.ジュニアNISAの口座開設と利用方法
ジュニアNISAは、2023年まで適用される制度です。そのため2024年1月からは、新規に口座開設することはできません。2020年現在の要件は以下の通りです。
- 口座開設者:国内に住んでいる0歳~19歳
- 口座の管理・運用者:口座開設者の二親等以内(両親や祖父母など)
- 口座開設数:1人1口座まで
- 非課税投資枠:1年間の上限80万円
- 非課税期間:5年間(2024年1月から、5年未満でも非課税制度終了)
なお払出(ジュニアNISA口座から資産の引き出し)については、18歳まで制限されています。
ジュニアNISAを始めるためには、ジュニアNISAに対応している金融機関で口座開設書類を取得します。続いて口座開設書類に必要事項を記入・提出し、税務署による審査通過となれば、金融機関から申請確認および口座開設処理完了の連絡が届きます。
その後はジュニアNISA口座で、株式投資や株式投資信託などの購入が可能です。
2.ジュニアNISAのメリットと子育て世代に嬉しいポイント
ジュニアNISAは、早い段階で子供の資産形成を目指せるのが魅力です。また、他にも子育て世代に嬉しいポイントや、活用するメリットがあります。子供の資産・将来について悩んでいるご家庭は、ジュニアNISAのメリットも把握した上で、さまざまな対策を考えてみてはいかがでしょうか。
それでは各メリットを確認していきましょう。
2-1.非課税で子供の資産形成ができる
ジュニアNISAは、上記の非課税期間内において、0歳~19歳の人が非課税で投資することができます。
通常の口座であれば、株式投資による売却益には20.315%の税金がかかります(所得税15.315%と住民税5%)。一方ジュニアNISA口座で株式投資を行った場合は、売却益に対しての課税はありません。さらに売却益だけでなく、配当金(分配金)に対してかかる税金も非課税対応としてくれます。
配当とは、株式を保有している場合に年1回もしくは2回程度、企業の利益を投資家に一部還元してくれる制度のことです。配当金には売買による譲渡益と同じく20.315%の税金がかかります。
また分配金は、投資信託法人の決算後に、全体の利益から分配されるものです。配当金のように売買以外から得られる利益で、20.315%の税金がかかります。
ジュニアNISAは、売却益と配当金(分配金)にかかる税金が非課税になるので、効率よく運用できるのが魅力です(ただし、年間の投資枠は80万円までとなります)。
2-2.制度終了後も非課税で資産を管理できる
ジュニアNISAは2023年で制度終了となるため、非課税で取引できるのは最長で5年間、最短では1年未満となってしまいます。しかし、制度終了後も口座開設者の年齢が20歳になるまでは、ジュニアNISA口座の資産を保有・非課税で長期間管理することができます。
たとえば2020年に15歳でジュニアNISA口座を開設し、Aという銘柄の株式を50万円で購入したとします。制度終了年の2023年以降も資産の保有を19歳まで続けている場合は、非課税枠を継続できますロールオーバーといいます)。
ちなみに20歳以降も資産を保有し続ける場合は、一般口座(課税口座)へ資産が移動されます。
2-3.非課税対象の商品が多い
ジュニアNISAでは非課税枠の対象となる商品が多いので、柔軟にポートフォリオを考えられます。具体的には株式・株式投資信託や、上場投資信託のETF、ETN、REITなど、多種多様な金融商品に投資することが可能です。
仕事や家事・育児などで運用管理の時間が少ない場合は、運用会社に運用を任せられる株式投資信託などのファンド型商品を軸に非課税投資を行うのも有効です。
また、投資信託で積立投資をしたり、短期間で一定の利益を得るために株式投資を始めたりするなど、目的や資金量から運用方法を柔軟に組み立てることも可能です。
2-4.払出制限があることで不用意に引き出さずに済む
ジュニアNISAでは、3月31日時点で18歳になる年の前年まで、保有している資産や売却代金をジュニアNISA口座以外に引き出すことはできません。また、このような制限措置を、「払出制限」と呼びます。
資産や売却益を早期に引き出したい方にとっては、メリットを感じにくい部分でしょう。しかし、ジュニアNISAのコンセプトでもある「子供の資産形成をサポートする」という点では、不用意に資産を引き出さずに済むためメリットのある措置といえます。
また、教育資金・結婚資金などは100万円単位で用意しなければならないので、簡単に投資資金を引き出せない方が子供にとってもメリットにつながります。
2-5.子供の金融・投資に関する教育につながる
ジュニアNISAは、投資教育としてのメリットも考えられます。
学校教育では一般教科や道徳などを教わるものの、日常生活で投資や資産形成について知る機会はほとんどありません。また、独学で投資を勉強するのは、子供にとってハードルの高い内容です。
ジュニアNISAは、親子共に資産運用や投資について触れたり学んだりする機会にもつながります。
日本は金融やお金に関して学ぶ機会の少ない傾向にありますが、人生において重要な要素の1つです。また、マイナス金利政策やデフレ、老後2,000万円問題など、今の子供達はこれまで以上に厳しい経済状況の中で資産を守らなければなりません。
このような社会に対応していくためには、ジュニアNISAも活用して早期に資産について学ぶ必要もあるのではないでしょうか。
3.利用前に知っておくべき注意点
ジュニアNISAは、将来の教育資金などをサポートしてくれる非課税制度ですが、いくつか注意点もあります。また、必ず利益を得られる訳ではありませんので、運用前に口座の管理者でもある両親や祖父母が、リスクを把握しておくことも大切です。
ジュニアNISAの注意点を確認していきましょう。
3-1.ジュニアNISAは2023年に終了
ジュニアNISA制度は、2023年12月末をもって終了します。2020年に口座開設を行ったとしても、3年間の非課税投資期間に限られてしまいます。非課税投資の最長期間は5年間ですが、すでに5年間の非課税投資はできない状況となっています。
制度終了後もジュニアNISA口座の保有や、非課税で資産を保有することは可能です。しかし、非課税での投資(売買)期間が短いため、もし5年間の投資を考えていたご家庭であれば、再度計画を検討する必要もあります。
3-2.金融機関を変えることはできない
一般の証券口座は、資金を別の金融機関へ自由に移動できます。しかし、ジュニアNISA口座は、金融機関を変えたり資金を別の金融機関へ移動したりといった手続きは認められていません。
あとから金融機関を変えるためには、一旦ジュニアNISA口座の廃止手続きが必須となります。また、廃止手続きを行うと、これまでの非課税分が課税対象となります。
ジュニアNISAの口座開設先を選ぶ時は、証券会社の使いやすさやツールも含めて慎重に検討するのが大切です。
3-3.投資に元本保証はない
ジュニアNISAは株式や投資信託など、元本保証のない金融商品を取り扱っています。つまり、状況によって投資額未満に資産額が減少するリスクがあるということです。
たとえば株式投資の場合、株価は常に不規則に変動しています。また、売買のタイミングや市場の状況によっては、購入時より売却時の株価が下がることもあります。
そのため、少なくとも以下のような点に注意することが大切です。
- 子供のために貯めておいた預貯金を、全てジュニアNISAに充てない
- 生活費に充てている資金は投資に活用しない
- 融資を受けてまで投資資金を用意しない
まずは「預金」ではなく「投資」という意識を持ち、投資の基礎を学びながらジュニアNISA口座を活用していきましょう。
まとめ
ジュニアNISAは、日本に住む0歳~19歳までの方を対象にした非課税制度です。制度のコンセプトは、子供のための資産形成をサポートすることですので、特に子育て世代に嬉しい制度の1つです。口座開設は、証券会社などジュニアNISAに対応している金融機関で手続きを進めることができます。
非課税投資期間は最長5年間ですが、2023年に制度終了となるので、2020年現在から数えると最長でも実質3年間です。また、非課税枠は年間80万円で、株式や株式投資信託、ETFやREITなどが非課税対象となります。
ただし非課税メリットと同時に損失リスクはあるので、運用者である両親・祖父母の方などで慎重に対応する必要もあります。
まずはジュニアNISAで目標とする資産額と制度終了後の運用を考えた上で、口座開設について検討してみましょう。
菊地 祥
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