千年建設がシングルマザーの住まい支援に特化した子会社設立、インパクト投資家を募集へ

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千年(ちとせ)建設株式会社は11月1日、母子向けの住まいの提供に特化した子会社、株式会社LivEQuality大家さんを設立した。所得が低い人でも住居費を払い、その残りで衣食、教育といった費用を負担できたり、就労を獲得出来たりする住宅を供給する「アフォーダブルハウジング」の普及を進めていく。代表は千年建設社長の岡本拓也氏が兼任する。

千年建設は名古屋市に本社を置く総合建設会社。2021年から住まい探しに困難を抱えたシングルマザーに「住まいと繋がり」を届ける事業「LivEQuality(リブクオリティ)」を開始し、これまで66部屋の物件を取得し、7世帯のシングルマザーを中心とした家庭に住まいを提供している。

子会社の設立の経緯について、同社は次のように説明する。「国債金利の低下や円安などの影響で投資マネーが流入し、不動産価格は上昇の一途。住まいのセーフティネットである公営住宅は財政健全化の影響で供給戸数が減少し、老朽化が進む。このような住宅市場は世界的にも相対的貧困率が著しく高い母子家庭の経済的自立を妨げる大きな要因になっている」。母子向けの公営住宅はあるが、「高倍率で入居できず、市場の賃貸物件では賃料の高さから、アクセスが悪い、老朽化の進んだ低質な物件を選ばざるを得ない。アクセスの悪さや低質さは、就業機会を奪い、子どもの成長の妨げとなっている」と警鐘を鳴らす。

このような母子家庭の住まいの貧困を解決するため、子会社のLivEQuality大家さんは、就業機会を得やすい、アクセスのよい物件、そして一定の品質の物件を取得し、母子家庭に市場相場より安価な賃料で物件を提供する。

千年建設が管理する物件の例

市場相場水準の居住者と市場相場水準以下の居住者がバランスを保ち居住することにより、収益性を確保でき、かつ「低所得者向け住宅」といった偏見や差別が地域に生まれることを防ぐ狙い。

新会社とNPO法人のLivEQuality HUB、千年建設が連携する。LivEQuality大家さんが多様な資金を集め、住まいを提供し、LivEQuality HUBが居住するシングルマザーに社会サービスや地域を繋ぐことで、シングルマザーの自立をハードとソフトの両面からサポート。さらに、営繕に強みを持つ千年建設が建物の維持管理を行い、修繕コストを最適にコントロール。建設・不動産・居住支援が一体となることで、伴走型支援をソーシャルビジネスとして実現させる。

また、インパクト投資家と呼ばれる財務的リターンと並行して、ポジティブな社会的インパクトを同時に生み出すことを目指す投資家などと一緒に、事業モデルを全国に拡げていく。

最初に、千年建設が現在所有する1年以上の運用実績のある物件の一部を子会社へ移管する。また、インパクト投資家を募集し、調達した資金を原資に新たに物件を取得、さらに多くのシングルマザーに住まいを届ける計画だ。

岡本代表はLivEQuality HUBの代表理事も務めており、これからは2つの会社とNPO法人のトップとしてシングルマザーと子供の支援に携わっていくことになる。「LivEQualityが展開する“ソーシャル大家”事業を分社化し、志高いインパクト投資家をはじめとするステークホルダーと一緒に、より多くの母子に住まいを届け、よりインパクトを追求していきたい」と、応援を呼び掛けている。

【関連サイト】千年建設株式会社
【関連サイト】LivEQuality(リブクオリティ)

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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