日本ガイシのESG・サステナビリティの取り組みは?株価・配当推移も【2022年11月】

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企業が環境や社会などに配慮した事業活動を行っているかどうかは、銘柄を選ぶポイントの一つです。環境・社会などへの企業の取り組み内容を考慮した上で、その銘柄の企業に投資することをESG投資と言い、中でも日本ガイシは、ESGやサステナビリティの取り組みを積極的に行っているため、注目している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、日本ガイシの株価動向、ESG・サステナビリティの取り組み内容、配当情報などについて詳しくご紹介します。日本ガイシの特徴について詳しく知りたい方も参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年11月3日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 日本ガイシの特徴
  2. 日本ガイシのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.NGKグループ環境ビジョン
    2-2.環境行動5カ年計画
    2-3.ステークホルダーとのコミュニケーション
    2-4.従業員の人権尊重や安全な労働環境の提供
  3. 日本ガイシの株価動向
  4. 日本ガイシの配当・株主優待
  5. まとめ

1 日本ガイシの特徴

日本ガイシは、愛知県名古屋市に本店所在地を置く、国内の碍子メーカー企業です。1919年に高級陶磁器や砥石メーカーの株式会社ノリタケカンパニーリミテドの碍子製造事業を分割した上で設立され、碍子などの電力関連機器、自動車排ガス浄化用などの各種産業用のセラミック製品、特殊金型製品の製造・販売事業を行っており、「エンバイロメント事業」「 デジタルソサエティ事業」「エネルギー&インダストリー事業」の3部門が設けられています。

また、日本ガイシは、2050年までに独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献することを目標としており、それを実現するため、「ESG経営の推進」「収益力向上」「研究開発への注力」「商品開花への注力」「デジタルトランスフォーメーションの推進」の5つの変革に取り組んでいます。

さらに、ESG経営の推進のため、サステナビリティの取り組みも行っています。世界的なESG投資指標「DJSI」や、ESG投資指数「FTSE4GOOD Index Series」「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄にも選定されており、機関投資家からも高いESG評価を得ています。

2 日本ガイシのESG・サステナビリティの取り組み

日本ガイシを含むNGKグループは、新たな価値を創造して社会に提供するだけではなく、社会問題の解決にも貢献するために事業を行っています。日本ガイシが取り組むESG・サステナビリティの具体的な取り組み内容は、以下の通りです。

2-1 NGKグループ環境ビジョン

NGKグループ環境ビジョンは、日本ガイシが独自の技術で新しい価値を提供しながら、持続可能な社会の実現に貢献し、社会の人々から信頼を得られる企業になるために策定された長期的な事業構想です。

以下の通り、事業活動を通じて、社会からの要請事項である「カーボンニュートラル」「循環型社会」「自然との共生」の3項目の実現を目標としています。

カーボンニュートラルの実現 カーボンニュートラル社会の実現できる製品・サービスを開発・提供するとともに、日本ガイシを含むNGKグループ全体の事業活動において、2050年までにCO₂の排出量ネットゼロを目指す。
循環型社会の実現 循環型社会の実現に貢献するため、天然資源の使用量を抑えて、資源効率の高い製品を開発・提供する。
自然との共生の実現 自然との共生の実現のため、生態系への環境負担を最小限に抑えた上で、啓発活動を通じて一人ひとりが意識を高める。

また、NGKグループ環境ビジョンの実現のため、以下4つの戦略からなる「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」を策定した上で、取り組みを行っています。

カーボンニュートラル関連製品・サービスの開発と提供 カーボンニュートラル関連の既存製品の提供、開発品の製品化、NAS電池を活用した再生可能エネルギー供給事業の提供などを行う。
トップダウンでの省エネ強化 これまでよりも省エネ活動を強化した上で、高効率設備の導入やエネルギーの運用改善などに取り組む。
技術イノベーションの推進 セラミックスの焼成工程において、水素やアンモニアなどへの燃料転換をはかり、化石燃料フリー化を目指す。
再生可能エネルギーの拡大 さまざまなスキームで再生可能エネルギーの調達を進め、製造拠点に太陽光発電設備を設置したり、NAS電池やZNBを併設したりして電力消費を抑える取り組みを行い、将来的にはすべての使用電力を再生可能エネルギーで賄えるように取り組む。

2-2 環境行動5カ年計画

日本ガイシを含むNGKグループは、NGKグループ環境ビジョンの実現のため、5年ごとの環境行動計画を策定し、それを下に環境活動を推進しています。2021年度~2025年度までの環境活動の目標としては、「第5期環境行動5カ年計画」が策定されています。

第5期環境行動5カ年計画では、NGKグループ環境ビジョンの実現の目標である「カーボンニュートラルの実現」「循環型社会の実現」「自然との共生の実現」への取り組みだけではなく、社会との連携である「環境社会貢献」「環境コミュニケーションの推進」も掲げられています。

第5期環境行動5カ年計画の各テーマ区分とそれぞれの取り組み項目は、以下の通りです。

テーマ区分 取り組み項目
カーボンニュートラルへの取り組み ・生産活動で発生するCO₂の削減
・バリューチェーンで発生するCO₂の削減
循環型社会への取り組み ・生産活動にともなう排出物削減
・資源循環の推進
・水リスク管理と対応
自然との共生への取り組み ・生物多様性保全の推進
環境社会貢献 ・環境貢献製品・サービスの開発普及
・CSR調達の推進
環境コミュニケーションの推進 ・地域社会への貢献
・環境意識の向上

2-3 ステークホルダーとのコミュニケーション

日本ガイシを含むNGKグループでは、ステークホルダー(お客さま、取引先、株主・投資家、地域社会の人々、行政・国際機関、大学・研究機関、従業員)との対話を通じ、活動方法や取り組み方法の改善を継続的に行っています。

また、NGKグループが定める企業行動指針では、経営の健全性と透明性を高めるため、社会が必要とする情報の積極開示を行うとともに、ステークホルダーの意見を受け止め、説明責任を果たす旨を掲げています。

各ステークホルダーに対する日本ガイシを含むNGKグループの対応方法は、以下の通りです。

ステークホルダー 対応方法
お客さま 地球環境の保全と社会の安全を実現する商品やサービスを開発・提供して新たな価値を創造することで、お客さまの信頼を得られるように取り組む。
調達パートナー 「門戸開放」「共存共栄」「社会的協調」を基本方針とする調達で、公正、自由、透明な取引に努める。
株主・投資家 適切な情報開示を務めるとともに、株主・投資家との対話を通じて意見を受け止めながら、企業価値の向上を目指す。
従業員 従業員の人権尊重と安全で働きやすい職場環境の提供に努めるとともに、人材成長の支援にも取り組む。
地域社会 地域から信頼される企業市民を目指し、地域で需要のある社会貢献活動を積極的に行う。
行政・国際機関 お互いに主体となって社会の課題解決のために協力し、国際的イニシアチブなどへ積極的に参加している。
大学研究機関 科学技術の発展や社会の課題解決に貢献する技術開発に取り組む。

2-4 従業員の人権尊重や安全な労働環境の提供

日本ガイシを含むNGKグループでは、従業員の人権尊重や安全な労働環境の提供にも努めています。「NGKグループ企業行動指針」においても、人権尊重と安全・快適な職場環境の提供の項目で以下のように定められています。

項目 規定内容
人権尊重 人権に関する国際規範を遵守して、人々の多様性を尊重する。
・人権を尊重して、強制労働や児童労働のない事業活動を行う。
・社員の個性や自主性を尊重し、差別を行わない。
・職場のハラスメントを予防し、発生した場合は迅速に対応する。
安全・快適な職場環境の提供 安全・快適で誰もが働きやすい職場環境を提供する。
・各国および地域の労働と安全衛生関連の法令を遵守する。
・仕事と生活の調和をはかり、多様な働き方の実現を目指す。
・社員との誠実な対話と協議を通じ、信頼関係を構築する。
・社員に教育の機会を与え、意欲や能力を伸ばす機会を提供する。

3 日本ガイシの株価動向

直近1年間の日本ガイシの株価は、1,500円台~2,000円台の間を推移しており、横ばいの状況が続いています。2022年1月17日時点で2,031円あった株価は、2022年3月14日の時点で1,593円まで下落した後、上昇に転じ、2022年6月6日に1,944円まで戻っています。2022年11月2日時点では1,766円となっています。

日本ガイシが製造・販売を行っている自動車排ガス用のセラミックは、内燃機関向けのものになります。ガソリン車から電気自動車への移行による自動車のEV化が進む中、上記事業の需要減少が懸念されて株価が伸び悩む可能性もあります。

一方、カーボンニュートラルやデジタル社会に貢献できる技術や、製品の事業化や実用化にも取り組んでいるため、収益維持や事業拡大が期待されています。それに加えて、ESG・サステナビリティの取り組み内容が投資家から評価されることで、株価が上昇していく可能性もあります。

4 日本ガイシの配当・株主優待

日本ガイシでは株主優待制度を設けていません。しかし、日本ガイシは株主への利益還元が経営の最重要政策の一つであるという考えの下、毎年一定額の配当金を出しています。

株主重視・ROE重視の経営を目指しながら、業績、財務体質、今後の事業展開などを総合的に考慮した上で、連結配当性向30%を中期的な目処に利益配分を行うのが、日本ガイシの配当方針です。

2019年3月期~2022年3月期までの4年間の日本ガイシの配当実績(1株当たりの配当額)は、以下の通りです。

項目 中間配当金 期末配当金 年間配当金
2019年3月期 25円 25円 50円
2020年3月期 25円 25円 50円
2021年3月期 10円 20円 33円
2022年3月期 30円 33円 63円

2019年3月期と2020円3月期は、中間と期末にそれぞれ1株当たり25円、年間合計50円の配当金を出していました。2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んだため、1株当たりの配当金額も減少しました。しかし、2022年3月期の1株当たりの配当金額は、中間が30円、期末が33円の合計63円の増配となっています。

2023年3月期は、中間に1株当たり33円の配当が実施され、期末も33円の配当を予定しており、1株当たりの年間配当金額は2022年3月期よりも多くなる見込みです。

まとめ

日本ガイシは、2050年を目標に独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献することを目指して事業を行っています。環境・社会などの面でESG・サステナビリティへの取り組みにも積極的で、表彰制度での受賞やESG指数の対象銘柄への選定といった実績もあります。また、2022年3月期以降、配当金が増額傾向にある点も特徴です。

ESG投資として日本ガイシを検討している方は、取り組み内容のほか、株価動向や株主還元などの情報も参考にしてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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