ESG投資、銘柄選びの方法は?6つの有効ツールと投資判断の方法も

世界規模での環境問題や、人権・格差といった社会問題が注目されるなか、ESGを経営目標に取り入れる企業が増えています。株式投資においても、ESGへの取り組み状況が考慮される傾向が強まっていることから、企業側も従来の財務情報に非財務情報を加えた統合報告書を発行し、企業のESGへの取り組みを公表しています。

しかしながら、ESG評価方法は複雑で、一般個人では評価が難しい状況です。ESG銘柄をどう選んでよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ESG投資をする場合の銘柄の探し方、投資判断などを解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ESG投資とは
  2. 銘柄選びの有効ツールと活用方法
    2-1.統合報告書を参考にする
    2-2.ESG企業ランキングを参考にする
    2-3.ESGスコアを参考にする
    2-4.ESG投資信託の保有銘柄を参考にする
    2-5.投資家や金融機関のレポートを参考にする
    2-6.環境省のESGファイナンス・アワード銘柄を参考にする
  3. まとめ

1 ESG投資とは

ESG投資とは、従来の財務情報だけではなく、E(Environment=環境)、S(Social=社会)、G(Governance=企業統治)に配慮している企業に投資することです。

最近では、「企業が長期的に成長するためには、ESGに取り組むことが重要である」という考えが広がっているため、ESGに取り組む企業は増加しています。

ESGの具体的な取り組み例は以下の通りです。

  • 環境:地球温暖化防止に向けた二酸化炭素排出量削減
  • 社会:人権問題・労働問題
  • 企業統治:内部統制の構築や、積極的な情報開示

日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2017年度からESG指数に基づいた銘柄選別を行っています。その影響もあり、多くの機関投資家が投資対象企業を選ぶ際にESGを重視する傾向にあります。

2 銘柄選びの有効ツールと活用方法

ESG投資をする際に、何を基準に投資をしてよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。そこで、銘柄選びの有効ツールと活用方法を紹介します。

2-1 統合報告書を参考にする

統合報告書は、企業が従来の財務情報と非財務情報を統合し、公表している資料です。非財務情報とは、経営理念やコーポレートガバナンス、サステナビリティ課題への取り組みといった情報のことです。この報告書は、各社のウェブサイト上で確認できます。

統合報告書の発行は義務付けられていませんが、発行する上場企業は増加傾向にあり、2021年12月時点では718社と、前年同期比127社増加しています(参照:㈱ディスクロージャー&IR総合研究所「統合報告書発行状況調査2021」最終報告」)。

統合報告書を基に銘柄を選ぶ方法がESG投資の主流ですが、個々の企業の統合報告書を読破するには専門的知識が必要であり、分量が多く時間もかかるため、銘柄を絞って読むと良いと思われます。

2-2 ESG企業ランキングを参考にする

ESG企業ランキングを利用することも、ESG投資の有効なツールの一つです。ESG企業ランキングは、さまざまな評価機関が発表しています。ESGの評価は複雑で単純比較ができないため、投資対象を選ぶ際には複数のESGランキングを比較し、重複する企業を選ぶという方法も考えられます。

2-3 ESGスコアを参考にする

ESG投資対象銘柄を探す際には、ESGスコアの高い銘柄の中から選ぶ方法もあります。

ESGスコアは、第三者評価機関が企業の取り組みを評価し算出しています。評価機関としては、ブルームバーグL.P.、MSCI、日本経済新聞社(日経NEEDS)、東洋経済新報社などがあります。

例えば、米国のMSCI ESGリサーチは世界企業を対象にESG格付け(最も高いAAAから、最も悪いCCC)を付与しています。日本企業では、AAAが17社、AAが66社、Aが71社、BBBは49社(2022年10月時点)です。A格以上の高格付け銘柄の中から投資対象を選ぶという方法もあります。

2-4 ESG投資信託の保有銘柄を参考にする

ESG投資信託の保有銘柄から投資対象銘柄を探す方法もあります。SBI証券の投資信託パワーサーチでESG投資信託を検索すると、最も純資産額が多い銘柄(REITを除く)はブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)で、日本銘柄を対象とした投資信託は、「世の中を良くする企業ファンド」です。

投資信託は月間レポートを公表しており、その中で組入上位銘柄が確認できます。

ブラックロックESG世界ファンドの組入上位10銘柄は、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、メタ・プラットフォームズ、JPモルガン・チェース、テスラ、ネスレで、世の中を良くする企業ファンドの組入上位10銘柄は、信越化学、日立製作所、ダイキン、中外製薬、ソニーグループ、大和ハウス工業、ユニ・チャーム、SOMPOホールディングス、キーエンス、オービックです(2022年9月末時点)。

運用のプロが精査し選んだESG銘柄ばかりなので、これらの中から投資対象を見つける方法もあります。

2-5 投資家や金融機関のレポートを参考にする

投資家や金融機関のレポートを参考にする方法も考えられます。

例として、2022年2月にGPIFが公表したESG関連のレポート「GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」」が挙げられます。それによると、運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」として日立製作所、リコー、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京海上ホールディングス、オムロン、伊藤忠商事などが挙げられています。

こうした企業は、GPIFから資金運用を任されている複数の運用機関から認められた企業との見方が可能なため、ESG銘柄を選ぶ際に参考にすると良いと思われます。

2-6 環境省のESGファイナンス・アワード銘柄を参考にする

環境という観点から環境省のESGファインス・アワード銘柄を参考にする方法も挙げられます。

環境省は、ESG金融や環境・社会事業に積極的に取り組んだ企業を表彰(ESGファイナンス・アワード・ジャパン)しています。第3回(2022年2月)の環境サステナブル企業部門の金賞は、積水ハウス株式会社、銀賞が住友化学とセイコーエプソン、銅賞がアサヒグループホールディングズ、伊藤忠商事、積水化学、ユニ・チャーム、特別賞が5社です。

これらの企業についても専門家が選んだ企業ばかりなので、投資の参考にすると良いと思われます。

まとめ

ESG投資の対象銘柄選びには、統合報告書を精査し、その中から投資対象を絞り込む方法が王道です。しかし、統合報告書を理解するには専門知識が必要で、全ての企業を読破するには時間も必要です。そこで、ESG格付けの高格付け銘柄や、ESGランキング、ESGアワードなどで高評価の銘柄に投資する方法もあります。

また、ESG投資信託も複数販売されているので、投資信託が保有している銘柄リストを作成するなどし、複数の投資信託に共通する銘柄に投資する方法も考えられます。

上で紹介した方法で銘柄を絞り込んだ上で、自身が共感できる企業を選ぶようにすると良いでしょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。