NPO法人とは?一般社団法人、社会福祉法人、宗教法人との違いも

「寄付」「ボランティア」と言えば、NPO法人や一般社団法人などに寄付をする、ボランティアとして携わるという方法を思い浮かべる方も多いと思います。

寄付の対象となる支援団体には、一般社団法人・社会福祉法人などの法人もありますが、NPO法人とどのような違いがあるのでしょうか?

本記事では、NPO法人とはどんな団体か、NPO法人と一般社団法人・社会福祉法人・宗教法人の違い、寄付先の法人を選ぶ際の注意点を解説していきます。

目次

  1. NPO法人とは
    1-1.NPO法人と認定NPO法人の違い
  2. NPO法人と一般社団法人・社会福祉法人・宗教法人の違い
    2-1.一般社団法人
    2-2.社会福祉法人
    2-3.宗教法人
  3. 寄付先の法人を選ぶ際の注意点
  4. まとめ

1.NPO法人とは

「NPO(非営利団体)」とは「Non-Profit Organization」または「Not-for-Profit Organization」の略称で、利益を目的とせずに社会貢献活動を行う団体を指します。

NPO法人は保健・医療又は福祉の増進を図る活動、社会教育の推進を図る活動など20種類の分野に該当する必要があり、法律で定められた分野以外のことを主たる活動目的として行うことができません。(※参照:内閣府NPOホームページ「活動分野」)

また、NPO法人は収益を目的とする事業を行うことはできますが、事業で得た収益は基本的に社会貢献活動に活用します。特定非営利活動促進法第5条で、以下の通り事業の収益の使い道が定められているためです。

特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において、利益を生じたときは、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。

※引用:特定非営利活動促進法第5条

特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人を「特定非営利活動法人(NPO法人)」と呼び、一定の期間内で定められた基準を満たすものとして所轄庁の認定を受けたNPO法人は、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)となります。

1-1.NPO法人と認定NPO法人の違い

認定NPO法人は、認定を受ける際に一定の期間における事業費の総額のうち特定非営利活動に関わる事業費の額の占める割合が80%以上である必要があります。加えて「事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること」が要件の1つとなります。(※参照:内閣府NPOホームページ「認定NPO法人制度の概要」)

認定NPO法人への寄付には、寄付金のうち一定額が寄付金控除になるなどの税制優遇があります。税制優遇制度により寄付金を集めやすい点は認定NPO法人のメリットとなりますが、報告の義務、情報公開の義務が厳しくなる点がデメリットと言え、小規模な団体ではこれらの義務を満たすことが難しい側面もあります。

2.NPO法人と一般社団法人・社会福祉法人・宗教法人の違い

  • 一般社団法人
  • 社会福祉法人
  • 宗教法人

2-1.一般社団法人

一般社団法人・一般財団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団(財団)法人です。一般社団法人・一般財団法人はNPO法人と同様に営利を目的としない法人ですが、行うことができる事業に制限はありません。

一般社団法人・一般財団法人は収益事業を行うことができ、事業により得た利益を法人の活動経費に充てることが可能です。しかし、社員や設立者に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与えることはできません。

一方、認定・特例認定NPO法人に個人が寄付をした際は所得税の税額控除を受けられますが、一般社団法人・一般財団法人への寄付は税額控除を受ける事はできません。

2-2.社会福祉法人

社会福祉法人は、「社会福祉法」に基づき社会福祉事業を行うことを目的として、都道府県道府県知事又は市長などの認可を受け設立される法人です。

社会福祉事業とは、社会福祉法第2条に定められている第一種社会福祉事業(特別養護老人ホーム・母子生活支援施設・児童養護施設・障害児入所施設などの経営)と第二種社会福祉事業(助産施設・保育所・デイサービスセンターの経営、障害児相談支援・児童自立生活援助事業など)を意味します。

NPO法人の「非営利活動」、特定NPO法人における20種類の「特定非営利活動」のうち「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「子どもの健全育成を図る活動」などと共通している部分があります。

社会福祉法人は社会福祉事業の他に、経営する社会福祉事業に支障がない範囲で、下記のような分野で継続して行われる収益事業を行うことが可能です。

  • 子育て支援・人材育成・介護予防などの公益事業
  • ビルの賃貸・駐車場運営・公共施設内の売店運営など

収益事業で得た利益は、社会福祉法人が行う社会福祉事業又は公益事業の財源に充てることが定められています。

なお、社会福祉法人の設立には、所轄庁による認可が必要となります。なお、NPO法人を設立する際にも、所轄庁の条例で定める必要書類を添付した申請書を所轄庁に提出し、設立の認証を受けることが必須です。

2-3.宗教法人

宗教法人は教義を広める、儀式や行事を行う、信者を育成することなどを主な目的とする宗教団体が都道府県知事又は文部科学大臣の認証を経て、法人格を得たものです。

NPO法人の活動内容は主に社会貢献に関するものですが、宗教法人は宗教の教義を広める、儀式や行事を行う、信者を教化・育成することなどが活動内容であり、団体の活動目的に違いがあると言えます。なお、宗教法人もNPO法人と同様に設立する際には所轄庁の認可が必要です。

宗教法人には、神社・寺院・教会など礼拝の施設を備える「単位宗教法人」と、神社・寺院・教会などを傘下に持つ「包括宗教法人(宗派・教派・教団など)」があります。

単位宗教法人のうち包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」、傘下にないものを「単立宗教法人」と呼びます。

宗教法人は、宗教法人法によって宗教団体の定義や事業、設立などについて定められています。宗教活動の他に公益事業を行うことが可能で、目的に反しない限り公益事業以外の事業や一定の収益事業を行うこともできます。

利益を得た際には、宗教法人・宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人もしくは公益事業のために使用しなければいけないと宗教法人法によって定められています。

3.寄付先の法人を選ぶ際の注意点

寄付をするにあたって、どの法人を選ぶべきか悩んだ時には寄付の目的や支援対象・それぞれの団体の理念や信頼性などによって決める事になります。

例えば「子供のために寄付金を使ってほしい」という方は、NPO法人・社会福祉法人・子供の福祉に関する事業を行っている一般社団法人の中から寄付する団体を選んでみると良いでしょう。

法人のホームページやパンフレットをチェックし、理念に共感できる、寄付金が希望される支援に使われていると判断できる場合には、該当する法人への寄付を検討しましょう。

寄付金を所得から控除したい方は、一般社団法人や認定NPO法人以外のNPO法人に関しては控除の対象外であることをおさえておきましょう。社会福祉法人、認定NPO法人に対する寄付金のうち一定額は控除の対象です。

【関連記事】寄付金控除となる対象団体は?金額の上限や申請手順も解説

4.まとめ

NPO法人と一般社団法人・社会福祉法人・宗教法人の違い、寄付先の法人を選ぶ際の注意点をお伝えしました。

寄付をする際には、自身の寄付への思いや団体の理念・信頼性、寄付金控除の可否などを基に法人を選びましょう。この記事でNPO法人と他の法人との違いについて知り、今後のアクションに繋げていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。