日本人の海外旅行先として人気のハワイは、近年不動産価格の上昇が続いており、海外不動産投資先としても注目されています。
ハワイの不動産を検討する場合、現地の商慣習に注意しながら、利益を出せる物件選びが重要になります。
そこで今回はハワイで不動産投資を始めるための方法をご紹介します。節税目的でハワイの物件を検討している方などもぜひ参考にしてください。
目次
- ハワイ不動産購入の資金計画を立てる
- ハワイでローンを組む(ローンオフィサー審査)
- ハワイ現地のエージェントを探す
- 物件を決める
4-1.ゾーニング(土地の利用規制)に注意する
4-2.節税目的なら建物比率に注意する - 購入申し込みをする
5-1.購入条件の交渉
5-2.手付金の支払い - 売買契約を結ぶ
- エスクロー業者が仲介する
- ホームインスペクション(物件検査)を行う
- 登記する
- 物件の引き渡し
1 ハワイ不動産購入の資金計画を立てる
ハワイで不動産投資を始める場合、まずは資金計画を立てることが大切です。日本の不動産を購入する場合は物件の購入申し込みをしてからローン申請することができますが、ハワイの場合、申し込み前にローンの仮審査が通っている必要があります。
物件を購入する際はエージェントを通して交渉することになりますが、ハワイでは買主よりも売主の立場が強く、売主は申し込みをする買主の中から交渉する相手を選定することになります。
買主の中で最も交渉力が強いのは「現金で購入できる人」と言われます。次に「ローンの仮審査が通っていることを証明できる人」、続いて「申し込みをしてからローンの審査を受ける人」となります。ハワイで人気物件を確実に押さえたいという場合は、現金で購入するか、最低でもローンの仮審査を通っている必要があります。
そのためにまずは資金計画を立て、ローンを利用するのであれば事前に仮審査を通しておくのが良いでしょう。
ハワイの不動産ローンを国内銀行で組む場合、金利の低い西京銀行を利用することができます。国内ではハワイの不動産を担保に融資を受けることができる唯一の銀行です。このほか、オリックス銀行や日本政策金融公庫の海外不動産用のローンを利用することもできます。
2 ローンを組む(ローンオフィサー審査)
現地銀行のローンを利用してハワイ不動産を購入する場合、最初にローンオフィサーの審査を通す必要があります。ローンオフィサーは、申し込み者のクレジット・スコア(クレジットカードの支払い履歴や勤務年数など)によって借入限度額を算出してくれます。
あとは頭金をいくら用意できるかによって、購入可能金額を割り出します。なお、外国人の場合、頭金は30〜50%程度とされます。ハワイでは日本語対応可能なローンオフィサーも多いため、気軽に相談できます。
ローンオフィサーの審査を通ると、証明書として「プレ・クオリフィケーション・レター(pre-qualification letter)」を発行してもらえます。これを売主に提出することで物件の申し込みができるというわけです。
また、ハワイの物件は、ステュディオタイプ(日本でいうワンルームのような間取り)や1ベッドルーム、2ベッドルームなど部屋タイプによってローン審査が下りない場合があります。対象物件の条件も細かく確認しておくと良いでしょう。
3 エージェントを探す
ハワイでは、物件探しから建物の内見の申し込み・購入申し込みなどを行う専属のエージェントを探す必要があります。
新築のコンドミニアムを購入する場合は、日本からの視察ツアーに参加してそのまま申し込むという方法もありますが、中古で投資価値の高い物件を購入する場合、エリアごとの特徴に精通しているエージェントが不可欠です。
優秀なエージェントはうまく交渉を行い、少しでも買主に有利となる条件で購入する権利を勝ち取ることができます。そのようなエージェントはブローカーからの信頼も厚いため、ブローカーを通して紹介してもらうこともできます。
例えば観光スポットで人気のオアフ島エリアの物件はMLS(Multiple Listing Service)というサイトで一元管理されています。ハワイのエージェント(不動産会社)はこのサイトを通じてオアフ島全ての物件を取扱うことができます。
エージェントに依頼する際は過去の取り扱い実績など客観的なデータをもとに選ぶようにしましょう。
4 物件を決める
ハワイの不動産価格は上昇を続けており、特に再開発が進む「カカアコ」やハワイ最大のショッピングモールがある「アラモアナ」周辺の新築コンドミニアムは売り出し価格も高騰しています。
それに対して賃貸利回りの上昇が追い付いていないため、完成後の運用でどのように利益を確保するかが課題になります。また高値で購入した新築コンドミニアムを売却してキャピタルゲインを得られるのかも考えて物件選びをすることも大切です。
4-1 ゾーニング(土地の利用規制)に注意する
ワイキキでは新築のコンドミニアムはありませんが、中古物件は値上がりを続けています。ホノルルの中心地でも、一戸建てもコンドミニアムも価格は上昇傾向にあります。新築のコンドミニアムを購入するのか、中古でこれからさらに値上がりが期待できる物件を探すのかがポイントになります。
また購入後の運用において、賃貸期間に関してはゾーニング(zoning)に注意が必要です。ゾーニングとは土地利用に関する規制のことで、主に観光客相手にコンドミニアムを貸し出すワイキキでは、ゾーニングによって賃貸の最短期間が定められています。
ゾーニングで規制されたコンドミニアムは基本的に30日以上のレンタルしか許可されていないため、デイリーやウィークリーといった形で観光客に貸し出すことはできません。またコンドミニアムによっては3か月以上、あるいは6か月以上のレンタルを規定されている物件もあります。購入前にはゾーニングを確認して、賃貸運用の計画を立てるようにしましょう。
4-2 節税目的なら建物比率に注意する
またハワイの物件は減価償却による節税効果が高いことでも人気がありますが、注意点もあります。
日本とは異なり、土地に対する建物の比率が高いことから減価償却費を大きく計上できますが、物件によってはその割合が低いものもあります。「カイムキエリア」「ワイケレエリア」などでは建物比率が30%台となる物件もあります。
またホテル機能を持つコンドミニアムである「ホテルコンド」を購入する場合には、宿泊客に1日単位で貸すことが可能です(通常のコンドミニアムは、前述の通り、30日以上の規制がある)。
普段はホテルとして営業するためのコンドミニアムになるため、私物を保管することはできませんが、ハワイ滞在時の別荘として利用できるなどのメリットがあります。
ハワイの不動産のほとんどはMLSに登録されているため、どの不動産会社も同じ物件を取り扱うことになります。
したがって物件の中からより有利な条件で物件を購入することがポイントになってきます。そのためにも優秀なエージェントの選定は欠かせないでしょう。
5 購入申し込み
新築のコンドミニアムでも中古物件でも、ローンを組む場合には プレ・クオリフィケーション・レター(ローンを借りられるという証明書)が必要となります。
新築コンドミニアムを購入する場合、プレ・クオリフィケーション・レターを発行する金融機関を指定されることがあります。売主に事前確認したうえでローンオフィサーに相談すると良いでしょう。
5-1 購入条件の交渉
中古物件を購入する場合には、購入契約書を作成して売主に提出し、申し込みをします。購入契約書には、「希望金額」「支払い方法」「登記日」などさまざまな条件をまとめておきます。売主がその条件に承諾(accept)すれば契約成立となりますが、条件変更(counter offer)や、拒否(reject)されることもあります。
条件変更の申し出を受けた場合、買主は承諾するか断るか、あるいはさらに条件を変えるか選んで返答します。これらの交渉は全てエージェント(不動産会社)を通して行うことになります。双方が条件に承諾すれば、売買契約を締結します。
5-2 手付金の支払い
申し込みをする際には、手付金を一緒に支払います。手付金はわずか数千ドルですが、日本での不動産売買契約における手付金とは意味合いが若干異なります。
日本では数百万円という金額で手付金を支払う場合、これを放棄すれば買主は契約を解除することができます。売主も倍返しすることで、契約を白紙に戻すことができます。
一方、ハワイでの不動産売買では、手付金を放棄するだけではなく、解約のための違約金も支払う必要があります。ただし、後述するコンティンジェンシーに該当する場合を除きます。
6 売買契約を結ぶ
売買契約の締結は、買主と売主の双方が条件に合意することで決定します。やりとりはすべて双方のエージェントを通して行うため、直接買主と売主が顔を合わせる必要はありません。
7 エスクロー業者が仲介する
売買契約が成立したあとは、売買契約が成立したあとは、このエスクロー業者を通してお金や書類をやりとりすることになります。エスクロー業者は公正な取引を行う際に利用され、購入希望者はエスクロー会社に購入代金を預け、エスクロー業者が売主に支払います。
登記移転の前に弁護士が新しい権利書を作成し、同時にエスクロー会社が登記簿から名義関係などを調査します。
申し込み時に渡した手付金はこの時点でエスクロー会社によって、小切手から現金化され売主に渡されます。次に述べるホームインスペクション(物件検査)の結果、合意に至らなかった場合には、手付金はエスクロー会社を通して買主に戻ります。
8 ホームインスペクション(物件検査)を行う
売買契約書には細かな項目が記載されていますが、特に注意が必要なのがペナルティなしで契約解除できる条件を細かく指定した「コンティンジェンシー」です。
物件に重大な欠陥があったり、定められた期限までにシロアリ検査を実施しなかった場合に、手付金の全額払い戻しを受けたうえで売買契約を解除することができるといった内容です。
エスクロー業者は売買の対象となった不動産に問題がないかを調べる必要があります。ハワイでは一般的に白アリ検査も行いますが、他にも物件の改装状態や情報確認などを行うためにホームインスペクターを雇います。費用は一般的に300米ドル程度です。費用は売主が負担し、業者は買主が指定します。
検査が無事に終了すれば2週間以内に中間金(買値の10%程度)を支払います。仮にホームインスペクションで重大な問題が発覚すれば、売買契約を解約することができます。
ホームインスペクションは通常、契約書に署名してから7〜14日間で行い、検査結果を出す必要があります。これはコンティンジェンシーがこの期間に設定されているためです。もしこの期間中に何かしらの問題が発覚した場合、買主は売主に対して修繕や改善を要求できますが、売主はこれに応える義務があるわけではありません。
また買主はホームインスペクションでの検査結果に問題がなかったとしても、コンティンジェンシーに基づいて契約を解除することができます。これは検査結果がどのようなものであっても、その内容に満足しなければ解約できると記載されているためです。
9 登記する
エスクロー会社が売主と買主の本人認証を行い、それぞれがサインをします。本人認証は大使館や領事館、あるいは公証人役場で行います。
アメリカには日本のような住民票や印鑑証明書といった公的書類がないため、資格を持った公証人の前で本人であることを証明する公証手続きが必要となります。
なお、本人認証では本人がわざわざハワイへ行く必要はありません。日本国内でも大使館や領事館で担当官の面前でサインすれば済みます。
その後、売主と買主がエスクロー会社に諸費用を支払い、登記移転は完了します。エスクロー会社が登記書類を受領したあとに、買主から受け取った残金を売主に支払います。
10 物件の引き渡し
登記が完了すれば引き渡しとなります。契約書では一般的に売買契約成立日から40日前後を指定しています。
契約書では売主か買主のどちらか一方が引き渡し日の延長を求めた場合には、その当事者が他方に対して書面での通知をすることで延長できます。もし書面による合意がない場合には、引き渡しがなされない場合には売買契約は解約となります。
まとめ
ハワイ不動産を購入する場合、日本と比べて現金が重視されることや「プレ・クオリフィケーション・レター」と呼ばれるローンを借りられる証明書が必要になるケースが多いこと、またゾーニングを考慮に入れて賃貸計画を立てなければいけないこと、節税目的の場合は建物比率に注意するべきといった色々な違いがあります。
ハワイ不動産をご検討の方は、まずは信頼できる国内の海外不動産エージェントを探して相談されてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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