不動産投資でサラリーマン大家が生き残っていくための7つの投資術

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サラリーマンでも手放しでできるのが不動産投資のメリットの一つでもあります。そういった理由から、不動産投資はサラリーマンに人気のある投資商品となりました。しかし、中にはうまくいかずに物件を手放したり、毎月の収支が赤字だったりする人も多くいます。

不動産投資は手軽に始めることができる投資である反面、「経営」であるという意識を持たないと、後々で大きなリスクを抱えることになります。

そこで今回は、不動産投資を事業として「経営」するために注意しなければいけないポイントを見ながら、サラリーマン大家が生き残っていくための投資術について考えてみましょう。

  1. 1.サラリーマン大家が不動産投資をするメリットとリスクのおさらい
    1-1.年金代わりになる
    1-2.手放しで運用できる
    1-3.生命保険代わりになる
    1-4.節税になる
  2. 2.不動産投資の主なリスク
    2-1.金利上昇リスク
    2-2.空室リスク
    2-3.地震、災害リスク
  3. 3.不動産投資のメリットとリスクを自分でコントロールするには
  4. 4.不動産投資を始める時点で注意したい8つのポイント
    4-1.建物価格や家賃相場を調べないで契約する
    4-2.シミュレーションを鵜呑みにしてしまう
    4-3.相場の家賃設定になっているか
    4-4.不動産取得税や固定資産税は反映されているか
    4-5.減価償却費は正確に計算してあるか
    4-6.金融機関選びは慎重に行う
    4-7.確定申告の還付金を当てにした計画になっていないか
    4-8.ギリギリの準備金でスタートしていないか
  5. 5.不動産投資を始めてから注意したい4つのポイント
    5-1.設備交換や修繕の履歴などを把握する
    5-2.空室になった際は適切な家賃で募集する
    5-3.敷金、礼金について管理会社の言いなりになっていないか
    5-4.毎月の収支はプラスになっているか
  6. 6.不動産投資でサラリーマン大家が生き残るための7つの投資術
    6-1.投資術1.出口戦略を明確にする
  7. 6-2.投資術2.自己資金は多めに準備する

  8. 7.シミュレーションはここをチェックする
    7-1.投資術3.金利上昇リスクに耐えられる計画になっているか
    7-2.投資術4.還付金をあてにしない計画をたてる
    7-3.投資術5.トラブル防止のために家賃相場と下落率をチェック
    7-4.投資術6.シミュレーション時点では空室期間は多めに
    7-5.投資術7.売却する時期を具体的にする
  9. まとめ

1.サラリーマン大家が不動産投資をするメリットとリスクのおさらい

不動産投資には数多くのメリットがある反面、無視できないリスクもあります。運用をしていくうえで大切なのは、いかにメリットを大きくし、リスクを最小限に抑えるかでしょう。このメリットとリスクをコントロールする視点が不動産経営につながっていきます。まずは不動産投資のメリットとリスクをおさらいした上で、それらを経営視点からどのようにコントロールすればよいかを見てみましょう。

1-1.年金代わりになる

不動産を購入する際に組んだローンの支払いを完済すれば、家賃収入をそのまま収入として得ることができます。この収入が退職後に毎月得られる年金の代わりになります。

1-2.手放しで運用できる

株式投資などと違い、不動産投資は管理会社に任せておけば手放しで運用できます。株式投資は売るタイミングを見るために、場合によってはパソコンの前に張り付かなければいけないこともあるかもしれません。その点不動産投資は、大家は本業に打ち込みながら、物件は管理会社が管理してくれる点で大きなメリットになります。

1-3.生命保険代わりになる

団体信用生命保険に入っていれば、所有者に万が一のことがあった場合はローンの残債が全て保険金で完済されます。遺族には無借金の不動産が残り、不動産から得られる家賃収入は遺族に引き継がれます。

1-4.節税になる

年収の多い人であれば不動産投資をして節税ができることは、とても大きなメリットになります。不動産で発生した赤字を本業で得ている給与と損益通算することで、払いすぎている税金が還付できるという点で節税になります。

2.不動産投資の主なリスク

不動産投資の主なリスク

一般的に不動産投資のメリットと言われる大きなメリットを挙げてみました。次に不動産投資のリスクについて触れてみたいと思います。

2-1.金利上昇リスク

不動産投資を始めた後に金利が上がるリスクです。固定金利で融資を受けていれば、返済額は金利上昇に関わらず一定の返済額ですが、変動金利で融資を受けている場合は返済金の金利に適用されますので返済額は上がります。その点がリスクになります。

2-2.空室リスク

入居者が退去したあと空室になるリスクです。1,2ヵ月であれば手元資金でなんとかなるかもしれませんが、長期になると大きな損失になります。

2-3.地震、災害リスク

日本は地震大国ですので、地震による損壊や倒壊が大きなリスクになります。最近は集中豪雨などによる災害も多くなったため、震災以外の災害リスクにも備えなければならないでしょう。

以上に大まかではありますが、メリットと想定されるリスクを挙げてみました。こういった情報は投資を始める時点で説明を受けたり、自分でもネットなどで調べたりすることができます。しかし、実際に物件を購入して運用が始まると管理会社に任せっきりになり、リスクコントロールを自分でする人は少なくなります。

3.不動産投資のメリットとリスクを自分でコントロールするには

では、「経営」という視点で不動産投資に取り組むためにはメリットとリスクをどのようにコントロールしていけば良いのでしょうか。メリットとリスクはいきなり表面化するわけではありません。

メリットについては知らないうちに享受できる分には問題はありませんが、リスクに通じる現象が自然に大きくなることは回避したいもの。リスクには回避できるものとできないものがあるので、回避できるリスクについては極力最小限に抑えるようにしましょう。

以下では、メリットとリスクが発生するであろうと思われるタイミングを、不動産投資を始める時点と始めてからに分けて見てみましょう。

4.不動産投資を始める時点で注意したい8つのポイント

動産投資を始める時点で注意したいポイント
メリットとリスクを分ける起点はいくつかあります。きちんと調べたり、的確な判断ができればリスクも最小限になるでしょうし、メリットも大きくなるでしょう。

ここでは、不動産投資を「始める時点」と「始めてから」に分けて見てみたいと思います。まずは不動産投資を始める時点のポイントを洗い出してみましょう。

4-1.建物価格や家賃相場を調べないで契約する

不動産会社から物件を提示される場合、建物価格や家賃はすでに設定してあることがほとんどです。担当者が作成したシミュレーションを確認し、「これなら大丈夫」と判断し契約する流れが一般的です。ただ、その価格と家賃は本当に相場の価格なのでしょうか?

以前から話題になっているサブリースの問題などでは、保証家賃が支払われなくなるという問題以外にも、最初に設定されていた家賃が、相場よりかなり高すぎたということも問題の引き金になっているケースがあります。購入から数年後には数万円ほど家賃を下げなければ賃借人がつかない、という理由で毎月の収支が大赤字になるというパターンです。

建物価格を算出するのは難しいとは思いますが、家賃相場はネットなどで調べれば大まかにわかりますので、きちんと調べたうえで計画をたてることが大切です。

4-2.シミュレーションを鵜呑みにしてしまう

不動産投資を始める際にシミュレーションを作成します。シミュレーションはソフトを使えば自分でも作成できますが、たいていの場合、不動産会社の担当者が作成して説明してくれます。シミュレーションを見る際にチェックしておきたいポイントを解説します。

4-3.相場の家賃設定になっているか

先にも触れたように不動産会社と大家間でトラブルになる原因で多いのが家賃に関する問題です。家賃相場がネットで調べてもわからない場合は、地域の不動産会社に相談してみるのも手でしょう。

4-4.不動産取得税や固定資産税は反映されているか

不動産を購入すると不動産取得税や固定資産税がかかってきます。金額にして数万円から数十万円になりますので、シミュレーションに反映されているかいないかで、収支は大きく変わってきます。特に固定資産税は毎年支払う税金ですので、シミュレーションにきちんと組み込まれているか確認しましょう。

4-5.減価償却費は正確に計算してあるか

不動産投資を始めて数年間は減価償却費の額が大きいため、節税にも有利に働きます。しかし、年数経過とともにその効果は薄れてきます。あまりに長期間、節税の効果がある場合は減価償却費の計算が正しく行われていないことがあります。

間違って計算していると、確定申告をした際の還付金が変わってきます。再計算することが必要です。計算を頼める税理士などがいれば再計算を依頼してみましょう。ソフトを使えば自分でも試算できますので、相談できる税理士などがいない場合は、ソフトを使って自分でも計算してみましょう。

4-6.金融機関選びは慎重に行う

不動産投資が初めてという人にとっては、金融機関の条件はどこも同じに思えるかもしれません。しかし、金融機関が違うと同じ物件でも、金利や要求される頭金、融資額は違ってきます。金利が1%違ったり頭金が違ったりすれば、今後の計画も変わってきます。

不動産会社が金融機関を紹介してくれると思いますが、金利が高いケース(新築マンション投資で金利が2.5%超、新築アパートで3.5%超など)や、融資条件が思わしくないケース(頭金が2割以上必要、返済期間が20年未満など)の場合には、積極的に担当者に相談することが重要です。場合によっては、もっと条件の良い金融機関を紹介してくれることもあります。

4-7.確定申告の還付金を当てにした計画になっていないか

確定申告をすると最初のうちは多めに還付を受けることができます。その還付されたお金を運用の口座に組み込んだシミュレーションになっている場合は注意が必要です。還付金がなければ毎月の収支が数千円しかプラスがなかったり、赤字だったりする可能性があるからです。

確定申告の還付は数年するとゼロになることがあります。その時点で収支が一気に赤字になるとかなり大きな痛手となります。

還付金は返金されたら別口座に入れて、還付金なしでもキャッシュフローを得られるシミュレーションにしましょう。そのためには頭金を多めに入れて毎月の返済額を抑えたり、口座に準備金を多めに入れたりしておく工夫が必要です。

もし、そのような工夫ができなければ、物件を変えたり、金融機関を変えたりして、支出を抑えることも検討しましょう。

4-8.ギリギリの準備金でスタートしていないか

不動産投資は実際に住む住居と違い、頭金を入れなくても物件を購入することができます。なるべく手元資金は使いたくないので、良い条件に思えてしまうでしょう。しかし、頭金を入れない分、融資額は大きくなっていますので、月々の返済額は多くなります。その分キャッシュフローが悪くなるということにつながります。

また、頭金を入れても手元資金を準備できなければ、空室になった時に自分の給与からローンの返済をしなければいけません。1,2回であればなんとかしのげても、数ヵ月続くと生活にも支障が出てくるでしょう。

いずれもギリギリの準備金でスタートした場合に起こりうる事態です。このようなことにならないように準備金は余裕をもってスタートすることが必要です。

以上に不動産投資を始める際に注視しなければいけないポイントを見てみました。次に不動産投資を始めてから注意しなければいけないポイントを見てみましょう。

5.不動産投資を始めてから注意したい4つのポイント

サラリーマン大家の場合は不動産投資を始めたら、管理会社に任せっきりになってしまいます。普段の実務は任せても、修繕をする時や、賃借人の募集をする時など、資金計画の判断は大家がすることになります。ただ、どのように判断すればいいのか、わからない方も多いでしょう。ここでは、不動産投資が経営になるように注意したいポイントを解説します。

5-1.設備交換や修繕の履歴などを把握する

これは中古物件の場合になりますが、過去に行った修繕の履歴は必ず把握しておきましょう。履歴を見ることでこれまでの修繕箇所がわかるだけでなく、今後の修繕箇所や時期を計画することができます。

5-2.空室になった際は適切な家賃で募集する

新築物件の場合、最初は相場より高めの家賃が設定されていることが多いのですが、それでも新築ですので入居者はいるものです。しかし、数年もすると家賃は徐々に下がり始めます。

築2年くらいでの入れ替わりの際は家賃を下げなくても良いかもしれませんが、それ以上の築年数になると、家賃を下げて募集するのか、そのままで募集するのかの判断が必要になります。管理会社に任せっきりにせず、相談しながら進めましょう。

5-3.敷金、礼金について管理会社の言いなりになっていないか

敷金、礼金の金額の設定も、家賃設定同様、重要な判断になります。

たいていは敷金、礼金はほとんどの場合管理会社主導で決められてしまいますが、できれば自分で決めるようにしましょう。自分で決めようとする作業は賃貸経営を考えるきっかけにつながるからです。

金額については周りの入居募集などを見て、相場を知ることから始めましょう。

5-4.毎月の収支はプラスになっているか

キャッシュフローを良くすることは、不動産投資をする上で常に考えておかなければならない問題です。マイナスであれば家賃を上げたり、金利の低い金融機関に借り換えをしたりしなければいけません。

収支がプラスでも毎月数千円しかない場合は、空室が続いた場合、運用資金だけでは持ちこたえないということも考えられます。準備金を追加したり、金利の低い金融機関に借り換えをしたりすることも必要になるでしょう。

6.不動産投資でサラリーマン大家が生き残るための7つの投資術

不動産投資を事業として経営するという視点から進めていく場合は、スタート時点から色々なことに注意しなければいけないことがわかりました。上記の注意すべきポイントをもとに、サラリーマン大家を目指す方のための投資術を考えます。

6-1.投資術1.出口戦略を明確にする

不動産投資でいう出口戦略とは売却を意味します。出口戦略を明確にすることでスタートの段階から物件を見る目が変わってくるでしょう。例えば売却しやすいと思われる物件は、駅から近い、管理が行き届いている、周りに医療機関や学校などが整っているといったように、賃借人の目から見て魅力的に感じる物件でしょう。売却のことまでを考えると、購入する際もそういった点にも目がいきやすくなります。

中には売却はせず年金代わりに家賃収入を得たい、という人もいるでしょう。それも一つの選択肢です。その場合は、早めにローンを完済して年金タイプの収入にする工夫をしましょう。

出口戦略を立てるというと「売却する」ことをイメージする方も多いかと思いますが、出口戦略を立てたうえで売却をしないという選択肢もある、ということを知っておくと良いでしょう。

また、出口戦略を明確にすることで、売却までの道のりが決まります。繰り上げ返済はするのかどうか、これくらいまでは空室に耐えよう、あるいは家賃はこの時期に上げよう、といったスケジュールが明確になります。

売却の計画があると、売却に向けて物件の品質管理や入居率を上げる工夫も行われることになりますので、高い価格で売却しやすくなります。そうすると、物件に管理が行き届いた状態となりますので、仮に売却しなくても入居率が高い、修繕が少なくて済むなどのメリットが生まれます。

6-2.投資術2.自己資金は多めに準備する

不動産投資では、区分マンションとアパート1棟、のように物件が違うと必要な頭金の額が違ってきます。不動産の種類に関わらず、余裕をもった投資を心掛けることが大切です。

投資で注意したいポイントの項目で触れたように、頭金だけでなく、長期の空室やいざという時の修繕にも対応できるように、自己資金は多めに準備して資金をストックしておきましょう。

7.シミュレーションはここをチェックする

経営視点で不動産投資をするために、シミュレーションのチェックポイントを紹介します。

7-1.投資術3.金利上昇リスクに耐えられる計画になっているか

日本では長い期間、低金利の状態が続いていますが、今後金利が急に切り上げられるという可能性もあります。提示されたシミュレーションでは、金利が上昇したときに果たして耐えられるでしょうか。

金利上昇に対する対応策の一例として、

  1. 固定金利でローンを組む
  2. 頭金を多めに入れて返済額を抑えておく
  3. 繰り上げ返済をして収支を改善する
  4. 金利の低い金融機関に借り換えをする

といった方法があります。一旦金利が上がると、対応するには一時的に資金が必要なことが多いですので、金利上昇対策はシミュレーションを作成する時点で必ず講じておきましょう。

7-2.投資術4.還付金をあてにしない計画をたてる

投資を始める段階で注意したいポイントでも触れたように、還付金を口座に入れて運用するシミュレーションになっている場合は、月々の収支に赤信号が点滅している状態だと思った方が良いでしょう。

今は赤字ではなくても将来的に赤字になる可能性を秘めていますので、還付金が運用の資金に含まれていないかを確認して、もし含まれてしまっているようであれば、運用資金に還付金が「ない」状態でのシミュレーションを作成するようにしましょう。

7-3.投資術5.トラブル防止のために家賃相場と下落率をチェック

投資を始める時点で注意したいポイントで触れたように、家賃相場を把握することはトラブルを回避するためには必須の作業です。また下落率もチェックしましょう。

金利は上がらない可能性もありますが、家賃はほとんどのケースで下落します。2年後、5年後、10年後の家賃が下落した状態で作成されているか確認しましょう。

7-4.投資術6.シミュレーション時点では空室期間は多めに

一般的には入居者が退去した後は3ヵ月くらいの空室期間がとってあります。空室の間は手元資金からローンの返済をしますので、返済に充てる資金のストックが必要です。また、2~3ヶ月で賃借人が付いたとしても、そこで資金を使い切ってしまうのは不安が残ります。

そこで、次のリスクにも耐えられるように空室期間を多めに設定したシミュレーションを作成しましょう。空室期間を多めにすることで、必然的に余剰資金を残す工夫が必要でしょう。余裕を持った資金計画をたてましょう。

7-5.投資術7.売却する時期を具体的にする

出口戦略と重複しますが、売却する時期を具体的に決めることでいくつかメリットがあります。売却までのスケジュールが自然にできますし、資金の使途も明確になることは触れました。

売却時にはローンの返済をしても利益が残る思惑があるのが一般的です。そのような見積もりでは手元に数百万円入ってくる試算になるはずです。その時期をイメージすることで、待ち遠しいと思うと同時に、不動産投資にしっかりと向き合うきっかけになるのではないでしょうか。

まとめ

サラリーマン大家にとっては、不動産投資を「経営」という視点でとらえるには時間がかかるかもしれません。しかし、不動産投資はメリットもあればリスクもありますし、全て自分に返ってくる立派な経営です。

サラリーマン大家でも生き残れる投資術ということで、メリットをできるだけ多く享受し、リスクを最小限に抑える、あるいは回避する方法を解説しました。管理会社に任せっきりにもできますが、ほんの少し注意深くなることで経営視点から見ることができるのではないでしょうか。

お金と時間をかけて始めた不動産投資ですので、積極的に運用に関わって不動産投資を楽しみましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。