収益不動産、購入するなら大手と中小どちらがいい?

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収益不動産を購入する場合、大手不動産会社と中小の不動産会社のどちらから購入すればメリットがあるのか悩んだことがある方もいらっしゃるでしょう。大手だと安心感はありますが、事務的な対応をする印象があったり、中小の不動産会社は小回りが利きそうなものの倒産する可能性などもあるのではないか、という不安が残ります。

今回は大手不動産会社と中小の不動産会社のメリットデメリットを比較して、どちらで取引をするとより効果的なのかを考えてみたいと思います。

  1. 1.大手不動産会社、中小の不動産会社のメリット、デメリット
    1-1.大手不動産会社のメリットとデメリット
    1-2.中小の不動産会社のメリットとデメリット
    1-3.REINS(レインズ)で中小企業も大手の情報を得られる
  2. 2.大手不動産会社と中小の不動産会社を目的別に使う
    2-1.新築の不動産を購入したい場合
    2-2.中古の物件を購入したい場合
    2-3.所有している収益不動産の管理を委託したい場合
    2-4.所有している収益不動産を売却したい場合
    2-5.土地活用をしたい場合
  3. 3.大手不動産会社の中でもそれぞれ特徴がある
    3-1.大手企業を資本金と従業員数、社歴で見てみる
  4. まとめ

1.大手不動産会社、中小の不動産会社のメリット、デメリット

大手不動産会社というと資金が豊富にあり、経営が安定しているイメージがあります。しかし、近年では、大手企業でも倒産する時代ですので、大手だからという理由だけで経営が安定しているとは言いにくい環境にあります。では、何を指標にして企業を選べば良いのでしょうか。

以下の表に、大手不動産会社と中小の不動産会社の経営の状態だけではなく、情報量や営業手法などを整理してみました。
                     

大手の不動産会社 中小の不動産会社
資金力 資金力があり、経営が安定 資金力が少なく、経営が不安定
情報量 広範囲のネットワークで情報量が充実 特定地域の情報量が豊富
仕入れや物件選定のノウハウ ノウハウが企業で共有されている ノウハウが個人単位であることが多い
案件規模 金額の小さな案件を取り扱わないことが多い 金額の小さな案件でも対応してくれる
開発・仲介・管理の実績 開発や仲介、管理の実績が豊富 開発や仲介、管理の実績が少ない
対応の早さ 関係部署への確認が多く、対応に時間がかかることが多い フットワークが軽く、確認なども少ないのでスピーディーに対応してもらえる。ケースによっては社長が担当してくれることも
アフターフォロー・サポート体制 アフターフォロー・サポート体制が整っている 大手に比べてアフターフォロー・サポート体制が不十分なことがある
コンプライアンス コンプライアンスがしっかりしている コンプライアンスが徹底されていないことがある
融資 融資で金利優遇が受けられることがある 提携金融機関が少なく、金利が高くなることがある

上記は大手不動産会社と中小の不動産会社の特徴をまとめた表です。それぞれのメリット、デメリットについて細かく見てみます。

1-1.大手不動産会社のメリットとデメリット

大手不動産会社のメリットは、資金力や顧客数、情報量などとなっています。資金力を生かした大きな範囲でのネットワーク力が強みになっているのではないでしょうか。支店などを通して、県をまたぐ情報網は中小にはない強みだと言えるでしょう。

逆に大手不動産会社のデメリットは、多くの情報を持ってはいるものの、地域の大家などとの密接な関係が比較的薄いという点です。中小企業の営業マンは、日々、地場に根付いてきた大家と顔を合わせて営業を展開しています。

広い範囲で情報網を張り巡らせている大手企業でも、顔と顔を合わせて作り上げた中小企業のネットワークに入り込み、自社の優先順位を上げるのは難しいでしょう。

1-2.中小の不動産会社のメリットとデメリット

中小企業の一番のメリットは大手には真似のできない素早い対応でしょう。上司の判断を仰ぐステップが大手に比べて少ないので、その分顧客に対する対応が早くなります。

また、広告などにお金を使えない分、積極的な営業活動を展開していますので、短期間で客の要望に応え、案件を前に進める営業力を持っているというメリットがあります。

大手企業のような県をまたいでのネットワークは、なかなか構築できませんが、地場の地元不動産会社との繋がりは大手に負けないでしょう。

デメリットとしては、大手と比較して少人数での規模になりますので、顧客数や実績などは大手に及びません。顧客から入ってくる情報量なども劣ると思われます。また、規模が小さい分、経験値も少ないため、色々な業務のノウハウの蓄積や効率化の面では大手に及ばないでしょう。

1-3.REINS(レインズ)で中小企業も大手の情報を得られる

REINS(レインズ)とはReal Estate Information Network Systemの略で、不動産業者が使っている不動産情報システムのことです。不動産会社であれば大手中小に関わらず利用していますので、大手が売りたい物件や賃貸物件などを中小の不動産会社でも手に入れることができます。

REINSを使うことで、大手の物件を中小が仲介したり、逆に大手が中小の物件を紹介したりすることができますので、REINSの情報を利用する場合、企業の大小は関係ありません。

大手と中小のメリットとデメリットについて見てみました。たとえば、投資するエリアが明確に決まっていない場合や複数ある場合は、大手企業を利用した方がメリットはあります。その反面、特定地域の狭い範囲で不動産取引を検討しているのであれば中小に依頼することにもメリットがでてきます。

2.大手不動産会社と中小の不動産会社を目的別に使う

大手不動産会社と中小の不動産会社について比較してみました。これらの比較の結果から、どちらかが有利だという優劣はつけがたいことがわかりました。

収益不動産の取引をする際は、どちらか一方に偏るのではなく、目的や投資エリアなどによって使い分けることが、賢明な選び方だと言えるのではないでしょうか。そのような視点から以下に目的に合わせた使い方を整理してみました。

2-1.新築の不動産を購入したい場合

新築物件を購入したい人の場合、大手や中小企業家というより、投資の利回りや入居率、立地や、物件の設備が気になるのではないでしょうか。そういった点から大手なのか、中小なのかは気にしなくて良いでしょう。

新築物件の情報はネットやチラシなどから手に入れることができます。大手だからといって、誰もが好む場所やデザインの物件を取り扱っているわけではありません。まずは物件から探してみると良いでしょう。

購入後の管理体制については、大手も中小もグループ内に管理会社を抱えているところが多くなっています。グループ内に管理会社がある場合は、購入から、管理、出口戦略まですべてをワンストップで任せられる点が魅力となります。

2-2.中古の物件を購入したい場合

購入したい物件をより広い範囲から探したいのか、あるいはエリアを絞って探したいのかで、大手と中小を使い分けると良いでしょう。

物件の条件や築年数などにこだわっていて、場所にこだわりがない場合は、広い範囲に支店を置く大手が有利です。

逆にエリアが決まっているということであれば中小の方が有利なケースもあります。中小の不動産会社は拠点となるエリア内で、他の中小の不動産会社と顔見知りであるというケースも多く、会社間での情報のやり取りについても期待できます。

そのようなつながりがあれば、何らかの事情でREINSに載せていない物件を紹介してくれたり、これから売却を検討しようというような、外部に出ていない物件情報が手に入ったりする可能性があります。

2-3.所有している収益不動産の管理を委託したい場合

主要駅の近くのエリアであれば、大手不動産会社の賃貸管理を行っている店舗がありますので、その場合は大手と地域にある中小の不動産会社の両方に見積もりを依頼すると良いでしょう。同じ間取りでも会社によって家賃設定や管理費が違います。最初から一社に絞るのではなく、見積もりを見て会社を選ぶのもひとつの手でしょう。

2-4.所有している収益不動産を売却したい場合

売却を依頼した際、大手も中小も目先に購入希望者がいない場合はREINS情報を掲載し、購入者を募集します。その点は大手も中小も変わりはありません。

違いがあるとすれば、仲介手数料の発生の仕方です。仲介手数料には、購入者と売り主の両方からとる「両手」と呼ばれる方法と、どちらか片方からしかとらない「片手」という方法があります。

中小は状況に応じて柔軟に「片手」でも取引してくれることがあるのですが、大手は規定で決められている場合「両手」にこだわるケースがあります。その場合、売却のチャンスを逃す可能性もありますので、手数料の取り方は確認して依頼しましょう。

2-5.土地活用をしたい場合

土地を所有していて、相続税の対策のために土地活用したいというケースは、アパート経営が主流になります。

アパート専門で建築をしている大手企業や、中小企業、地域の工務店が依頼する業者になってきます。価格帯だけでいうと、中小や地域の工務店が大手に比べて安めで、有利になります。しかし、アパートは数十年先までメンテナンスをともなう運用になりますので、どれだけしっかりサポートしてくれるかまで見て、会社を決めることが重要です。

特にアパートの外壁は「雨水で洗浄ができる」、「耐熱性、耐火性に優れている」といった特徴があり、特殊な加工が施されています。このように特殊加工された外壁を定期的にメンテナンスするには、それなりのノウハウと資金力が必要とされるため、そこまでできるかどうかを判断の目安にすると良いでしょう。そのためにはサポートまで含めた見積もりを取り検討することが大切です。

3.大手不動産会社の中でもそれぞれ特徴がある

大手不動産会社と中小の不動産会社の特徴はわかりました。それぞれにメリットとデメリットがあり、目的によって使い分けるのがより効果的な手法だということがわかりました。

ただ、大手、中小という大きなくくりで会社を絞り込みができたとしてもそこで終わりではありません。新築の物件を購入したいのに中古しか扱っていなかった、ということにならないように、最終的には会社概要や事業内容などの企業情報を見て決めましょう。

次に売り上げや、従業員数などから企業を掘り下げてみたいと思います。中小企業は細かい情報を公開していないことが多いので、ここでは大手企業から数社ピックアップし売上高や資本金の額、主な業務について見てみたいと思います。

まずは大手企業のラインナップと事業などの特徴を簡単にご紹介します。

同じ大手企業というカテゴリーの中でも、中古不動産を販売していたり、新築アパートを取り扱っていたりと、取り扱っている不動産や営業形態は違います。更に詳しく見てみましょう。

3-1.大手企業を資本金と従業員数、社歴で見てみる

以下では、上記4社の資本金と従業員数、社歴などを見てみたいと思います。

会社設立年 売上高 従業員数
シノケングループ(※1) 1990年 1,045億25百万円(2022年12月期) 1,107名(2022年12月末現在)
ミガロホールディングス(※2) 2004年 372億円(2023年3月期) 132名
FJネクスト 1980年 846億8,800万円(2023年3月期) 580名(連結)

※1 シノケングループは、シノケンプロデュースの親会社
※2 ミガロホールディングスは、プロパティエージェントの親会社

社歴を見ると、シノケングループが1990年、FJネクストが1980年とバブル期以前に設立されていて、他社より歴史があることがわかります。また、売上規模や従業員数の数も大きく、サポート体制の厚さや長期的に付き合っていくことができるという点もメリットとなります。

プロパティエージェントは、マンション入居率99.59%(2024年1月末時点)や満足度の高いディベロッパー評価3年連続1位(※2018年度ing.com調べ)などの実績があり、質の高い物件と購入後も安心して管理などを任すことができる点などがメリットです。

従業員数や売り上げが全てではありませんが、このような数値やホームページの情報などから、大まかではありますが会社がどのような規模・スタンスで事業を行っているのかが見えてきます。

大手といっても全ての会社が同じことをしているわけではありません。細かく見て、自分の目的にあった企業とつきあうことが、長く不動産投資を続けられるポイントだと言えるでしょう。今回は大手しか見ていませんが、中小においても同じことが考えられます。

まとめ

大手と中小の特徴について見てみました。大手・中小ともにメリット・デメリットがあり、投資目的や投資スタイルによって付き合うべき会社も変わってきます。

ただ、収益不動産は買って終わりではありません。購入した後も長期間、二人三脚での運用や資産運用などの相談をしていくことになります。それだけにパートナーとなる企業を選ぶのは大事な作業になります。

もし、大手か中小か迷った場合は、まずは自分の目的から大手・中小を振り分け、さらに会社概要などを参考にして、細かな点まで調査して決めるようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。