【2019年最新版】ふるさと納税制度の変更点と新たな返礼品探しのコツ

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地方創生政策の一環としてふるさと納税制度が開始されてから10年以上が経ちました。納税先を自由に選択できるようになったことで、生まれ育った故郷や応援したい地域を支援する納税者は増えましたが、同時に地場産品とは関係のない返礼品競争まで過熱したことで2019年6月にルールの改正が行われました。

以降は返礼品を「地場産品」に限り、かつ返礼品の返礼割合は「3割以下」に定められ、この基準を守れない自治体は原則ふるさと納税の対象外となります。

この記事ではふるさと納税の基本的な仕組みから、6月に施行された変更内容および変更後の返礼品探しのポイントを詳しく解説します。新制度の変更内容を知りたい方や、今後の返礼品選びが心配な方は参考にしてみてください。

目次

  1. ふるさと納税の基本的な仕組み
    1-1.ふるさと納税の申告方法
  2. ふるさと納税制度の改正内容
    2-1.「地場産品」「寄付額3割以下」
    2-2.改正後にふるさと納税の対象外になった市区町村は?
    2-3.ふるさと納税の改正による影響
  3. ふるさと納税改正後の返礼品探しのコツ
    3-1.還元率の高い返礼品を探す
    3-2.家電製品等の返礼品を探す
    3-3.コト消費型の返礼品を探す
  4. まとめ

1 ふるさと納税の基本的な仕組み

ふるさと納税は、納税者が自分の故郷や応援したい地域の自治体への寄附を通じて税金の優遇が受けられる仕組み(制度)のことです。

納税者が自分の選んだ都道府県・市区町村へふるさと納税(寄付)を行った場合、ふるさと納税(寄付)額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と住民税から原則として全額が控除されます(*全額控除が受けられるふるさと納税額の上限は給与収入額等や家族構成などにより異なるため確認が必要です)。

例えば、年収700万円のサラリーマンの方(扶養家族:配偶者のみ)の場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分の28,000円(=30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されることになります。

総務省 ふるさと納税 ポータルサイトより)

また、寄付をした自治体から希望によりお礼の品である「返礼品」が受けられる場合もあります。主に地域の特産品などの返礼品として用意されており、納税者がふるさと納税をする理由のひとつにもなっています。なお、復興支援目的などの場合は返礼品がないケースもあります。

1-1 ふるさと納税の申告方法

ふるさと納税を行った後に寄付金控除を受けるためには、寄付をした翌年の3月15日までに住所地等の所轄の税務署で確定申告をしなければなりません。この際、寄付をした自治体が発行した寄付の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要になります。

確定申告をすると、所定の控除額の計算に従って所得税と住民税の控除額が決定され、所得税分はその年の所得税から控除され、住民税分は翌年度の住民税から控除されます。

また、確定申告が不要なサラリーマンなどの給与所得者の方は、手続きが簡単に済む「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用できます。この制度では、ふるさと納税先が5団体以内の場合に、ふるさと納税先団体へ申請することで確定申告せずに控除が受けられます。

なお、この特例制度が適用される場合、所得税からは控除されず全額が翌年度分の住民税から控除されることになります。

2 ふるさと納税制度の改正内容

2019年6月、返礼品の提供による過度な寄付金集めや競争を是正し、自治体への応援や納税への関心といった本来の理念に沿った制度運用へと回帰させるため、地方税法等の一部が改正されました。

2-1 「地場産品」「寄付額3割以下」

2019年6月以降に返礼品を送付する地方団体は、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 返礼品の返礼割合を3割以下とすること
  2. 返礼品を地場産品とすること

施行後、各自治体は総務省の事前審査を受けて「返礼品は地場産品」「寄付額の3割以下」等のルールに従う必要があります。改正前までは地場産品と関係のない高価な家電、アマゾン商品券などの返礼品もありましたが、規制により自治体も出品を控えるようになっています(※地域の特産品等に関係のある製品や共通券などは問題なしの場合もあります)。

2-2 改正後にふるさと納税の対象外になった市区町村は?

この改正でふるさと納税の対象団体となったのは、全国で1,783団体(46道府県、1,737市区町村)です。

一方、対象外となった自治体は、次の5団体(1都、4市町)となりました。

  1. 東京都(※東京都から申出書の提出がなかったため指定対象外)
  2. 小山町(静岡県)
  3. 泉佐野市(大阪府)
  4. 高野町(和歌山県)
  5. みやき町(佐賀県)

(総務省自治税務局「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」より)

2-3 ふるさと納税の改正による影響

返礼品が「調達額で寄付金の3割以下」「地場産品」に限られたことで、この基準に従わない運営を行ってきた自治体は6月1日から同制度の指定団体から外されました。その結果、小山町、泉佐野市、高野町、みやき町へ同年6月以降に寄付しても寄付金控除はされないことになります。

なお、今回の改正による措置に納得できず、その解除を求めて提訴するとの意向を示した自治体もあるため、今後の動向にも注目しておきましょう。

4ヶ月間だけ指定された自治体は7月の申請の結果が影響する

2019年6月1日〜同年9月30日までの4ヶ月間だけふるさと納税の指定団体となった自治体が43市町村あります。これらは、2018年11月〜2019年3月までの間に、「返礼割合3割超」または「地場産品以外」の返礼品を提供したことで、2億円超の寄付金を集めた自治体とされています。

なお、10月以降の指定については、同年7月1日〜同月30日までに行う申請の結果により決まります。審査で認定されれば同年10月以降も指定団体となり、否認されれば10月以降は指定から外れます。これらの自治体に寄付する予定の方は、事前に直接問い合わせておきましょう

返礼品への影響は?

需要の高い返礼品で寄付金集めに努力してきた自治体に対しては、今後、地場産品等を全面的に押し出すことが期待されています。各地域には知名度は高くなくても良質な地場産品があるため、地方創生の観点から地場産業の活性化に向けた取組みの強化なども予想されています。

さらに、今後の返礼品として、「モノ」消費から「コト」消費関連のものが増える可能性があります。地域の特産品といった「モノ」に限らず、観光資源なども大きな特徴になることからそれらを活用した「コト」消費関連の返礼品も増えるでしょう。神社仏閣などの年中行事、地域の名物の特売会、いちご・ぶどう狩り、温泉巡り、花火大会など様々なイベントへの招待等を返礼品とするケースが期待されます。

3 ふるさと納税改正後の返礼品探しのコツ

ふるさと納税の改正後、寄付をする側としてどのような返礼品を探すとお得になるのか、メリットが大きいのか、といった返礼品を探すポイントをご紹介します。

3-1 還元率の高い返礼品を探す

ふるさと納税の「還元率」とは、寄付金額に対する返礼品の価値の割合(返礼割合)を指します。たとえば、1万円の寄付金を行った際、返礼品として一般市場において3,000円で売買されている商品が送られてきた場合の返礼品の還元率は、3,000円÷1万円=30%(0.3)となります。

ふるさと納税の今回の改正後は「返礼品の返礼割合を3割以下」という基準で判断されるため、今までのように還元率50%以上というような返礼品は存在しにくくなります。

ただ、市場での流通価格は様々で、どの価格水準が相場かを判断するのは容易ではありません。果物や米等の農作物、豚・牛等の畜産品、魚・貝類等の海産物などにおいては市場での相場もありますが、季節、天候や災害等により相場が大きく変化することもあります。

また、流通の少ない産品などでは取引価格に大きなバラツキがあり、平均的な価格の算定が困難なケースも少なくありません。そのため、時期や商品等の状況により還元率3割以上になる可能性もあります。

なお、返礼品によっては寄付で入手するより他の調達先で入手したほうがお得になるケースもあるため、自治体以外から入手できるかどうか、どちらが得になるのかの確認をすると良いでしょう。還元率をチェックする場合は、「さとふる」のようなふるさと納税の返礼品を紹介するサイト等での「還元率ランキング」などが参考になります。

さとふる

ふるさと納税サイト「さとふる」

3-2 家電製品等の返礼品を探す

改正後では地域の特産品等に関係のない家電製品などは返礼品の対象外になりますが、地場産業の1つが家電等である地域では返礼品として認められています。

たとえば、長野県は家電製品関連の産業で成り立っている地域が多く、そうした地域では地場産業にゆかりのある製品は返礼品として扱われています。中でも観光地として人気の安曇野市にはソニーから独立したパソコン・メーカー「VAIO」があり、同市では返礼品にVAIOのパソコンを選定しています。

たとえば570,000円の寄付を寄付すると、14型のノート型パソコンが返礼品として受け取れます。本製品は同社の公式ストアでは205,480円(税込)で販売されており、税抜きベースの還元率は186,800円÷570,000円×100%=約32.7%になります。

なお、このノートPCには「転売防止用シール」が貼付され、国が懸念している返礼品の転売を防ぐ措置も講じられています。

他の地域でも、新潟県燕市のコーヒーメーカー、クリーナーやオーブントースター、茨城県日立市のロボット掃除機、オーブンベーカリー、宮城県角田市のLEDシーリングライトなど多数用意されているので、返礼品で家電製品が欲しい方はチェックしてみると良いでしょう。

3-3 コト消費型の返礼品を探す

今後コト消費型の返礼品が多くなる可能性があり、よりお得感や価値の高いサービス等なども期待できます。このような返礼品は以前からありましたが、制度改正以降は、各種施設の入場券・利用券・優待券、温泉利用券、体験・ツアーチケット、お祭り・花火大会チケット、スキーチケットなども増えてきました。

コト消費型の返礼品の中には、市場価格で示されていない価値の高いサービスも含まれることもあり、「安く優先的に利用できる」「日常生活にはない貴重な体験ができる」といったメリットもあります。

実際に寄付する地域に訪れてその地場だけで味わえる食べ物や体験型のイベントなどを堪能してその地域を応援するという新たなカタチは、商品での返礼品以上の大きな価値も期待できます。

4 まとめ

地場産品とは関係のない返礼品は規制されるようになりましたが、改正以降でも還元率の高い商品を探したり、地場産業の家電製品等やコト消費型返礼品などを狙ったりすることは可能です。特に今後は地方でしか体験できないようなサービスや旅行・イベントのチケット類などを積極的にアピールする自治体も増加してくるでしょう。

ふるさと納税制度の本来の目的は、生まれ育った地元の支援や地方創生・地方活性化にあります。この記事を参考にふるさと納税に興味の湧いた方は、応援したい自治体がどのような返礼品を用意しているのかをチェックしてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 ふるさと納税チーム

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