国際協力が重要な理由は?ODAを行う意義や事例など詳しく解説

日本では国際協力のために公的資金が使用されており、主に発展途上国への援助を目的とした2020年のODA(政府開発援助)支出総額は20,310百万ドル(約2兆3千億円)で、主要国ではアメリカ、ドイツに続き3位となっています。(※参照:外務省「ODA実績」)

本記事では、国際協力が必要な理由とODAの役割や意義・事例、海外から見た日本の評価をお伝えしていきます。

目次

  1. 国際協力とODA(政府開発援助)とは
  2. 国際協力が必要な理由3つ
    2-1.発展途上国の問題は地球規模である
    2-2.国際社会での日本の存在感を高めることができる
    2-3.輸入にも影響がある
  3. ODAの意義・事例
    3-1.モルディブと島国同士の助け合い
    3-2.チリでサーモン養殖に技術協力、サーモン大国に
    3-3.日本のODAに対する海外の評価
  4. まとめ

1.国際協力とODA(政府開発援助)とは

国際協力とは、主に日本やアメリカ・ヨーロッパなどにある先進国が国際社会全体の平和と安定・発展のために、開発途上国の医療や衛生環境などの問題解決を目的に支援を行うことを指します。

国際協力の中の1つ、「経済協力」の中に公的資金を援助する「ODA(政府開発援助)」があります。

2021年時点で世界には196の国があり、そのうち150ヵ国以上が開発途上国と呼ばれる国々です。国連に加盟している国は193に上りますが、国連総会の決議により特に開発の遅れた国々と認定された「後発開発途上国」は46ヵ国で、アフリカ33ヵ国、アジア9ヵ国など日本に比較的近いエリアにも存在します。(※参照:外務省「世界と日本のデータを見る」)

後発開発途上国は下記3つの指標が一定値以下の国とされています。

  1. 一人当たりのGNI(国民総所得)
  2. 人的資源指数(栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率など)
  3. 農作物生産量の安定度などに基づく経済的脆弱性指数が一定値以下

※引用:外務省「後発開発途上国>定義

日本も第二次世界大戦直後は貧困状態の国でしたが、多くの支援を海外から受けながら復興・経済発展を遂げ2020年のGDP(国内総生産)はアメリカ・中国に次いで3位となっています。

2021年時点で「後発開発途上国」と呼ばれる国では、環境汚染や感染症の流行、紛争問題など地球規模の問題も多く存在しており経済協力の一環としてODA(政府開発援助)が行われています。

2.国際協力が必要な理由3つ

国際協力としてなぜ発展途上国を支援する必要があるのか、以下の3つが主な理由です。

  • 発展途上国の問題は地球規模である
  • 国際社会での日本の存在感を高めることができる
  • 輸入にも影響がある

2-1.発展途上国の問題は地球規模である

発展途上国が抱える問題には環境・気候変動、大規模自然災害、エネルギー問題などがあり、日本を始め他の国・地域にも影響を及ぼす地球規模のものがあります。

世界的に資源の大量消費を原因とした地球環境への負荷が問題視されており、特に二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化は大きな課題となっています。

そのためCO2排出量の削減を目的とした再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の技術研究は先進国だけではなく、開発途上国にとっても重要な問題となります。

2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」における17のゴールの中には、貧困・ジェンダーなどに加え「エネルギー」の項目があり「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」というゴールが掲げられています。

2-2.国際社会での日本の存在感を高めることができる

国際社会では非国家主体の影響力増加、国家間の食料・資源の依存などのリスクが世界的に悪影響を及ぼす可能性があり、開発国や途上国の経済発展は世界的に重要な課題となります。

新興国・開発途上国などの国々との協力関係を築くことは、結果的に日本にとっても国益となります。例えば途上国の経済が発展することで、経済援助を行った日本の電化製品や車などを購入して貰えるようになり、日本経済に影響を及ぼします。

2-3.輸入にも影響がある

日本ではエネルギーの約80%を海外からの輸入で賄っており、農林水産省の「⾷料⾃給率の基本的考え⽅」によると、2020年度の食料自給率はカロリーベースで37%と公表されています。

特に魚介類や大豆・牛肉などは農林水産省の設定する「生産努力目標」を下回っており、輸入に頼っている状況です。

日本は途上国を含めた世界の各国から輸入したエネルギーや食糧などで成り立っている状態です。国際協力を行う事で輸入の維持・拡大に繋がる可能性が高まり、安定的なエネルギーや食糧の輸入を見込む事が出来ます。

3.ODAの意義・事例

これまで日本が行ったODA(政府開発援助)の意義や事例を解説していきます。

3-1.モルディブと島国同士の助け合い

2004年にスマトラ沖地震により発生した津波がモルディブ共和国を襲い、大きな被害を受けました。モルディブはインド洋に浮かぶ1,192の島で構成された国です。

過去に日本の支援で整備された護岸が津波の被害をくい止め、日本政府は災害支援として資金協力や港湾・下水道などのインフラの復旧支援などを迅速に行いました。(※参照:JICA「モルディブ津波復興事業」)

2011年に起こった東日本大震災では日本でも津波による被害がありましたが、モルディブからはツナ缶約70万缶の寄付や、マレ市民2万人が参加した被災者支援のウォーキング大会の開催など様々な支援が寄せられました。

同じ島国で自身による津波被害を受けた際に助け合える関係を築けたことは、ODAや寄付による所が大きいと言えます。

3-2.チリでサーモン養殖に技術協力、サーモン大国に

日本はチリに対して、1970年代から約 20年間に渡ってJICA(国際協力機構)の技術協力により、鮭の養殖産業を発展させました。

水産庁が公表する2020年度の「水産白書」によりますと、日本のサケ・マス類の輸入額1996億円のうち60.2%をチリが占めており、チリはサーモンの輸出大国となりました。産業の創出に加え、雇用促進や貧困問題改善などチリの経済問題の改善に貢献した事例となっています。(※参照:JICA「チリ水産養殖プロジェクト」)

3-3.日本のODAに対する海外の評価

2019年度に外務省が行った「海外における対日世論調査」において、東南アジア10カ国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)で、93%が「日本を信頼できる」と評価しました。

日本を信頼できる理由として「国際社会における開発協力」と答えた割合は37%でした。最も多い回答は「経済的結びつき(投資・良好な貿易関係)」で67%に上ります。

加えてアメリカでも85%の方が「日本を信頼できる」と回答し、アジアにおけるパートナーとして日本が1位に選ばれています。国際社会において日本の開発協力は高く評価されており、各国との結びつきに発展していることが分かります。

まとめ

国際協力は、①開発途上国の問題は地球規模である、②外交政策、③食料やエネルギーなどの輸入への影響があるという3つの理由から必要とされています。

これまで日本が行ったODAにより、途上国にとって新たな産業・雇用の創出や災害援助などの恩恵があり、結果として日本は国際社会で高い信頼を得ていることが分かります。

国際協力とODAの意義や重要性を知ることで、国際レベルでの社会問題や支援活動や寄付の効果について具体的に把握することにもつながります。この記事が、社会貢献の意義やその背景にある要因について理解を深める参考となれば幸いです。

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田中 あさみ

田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。