投資型クラウドファンディングの中には、案件の運用対象として保育園を扱っているものがいくつかあります。マンションやアパートなどの賃貸用不動産ではなく、保育園という公共性の高い物件を運用し収益を確保し、投資家に分配していく投資ファンドの案件です。
今回は、保育園ファンドを扱っている投資型クラウドファンディングのサービスと、保育園ファンドに投資するときの注意点をお伝えしていきます。
目次
- 保育園ファンドの特徴
1-1.保育園の運営資金を募集するファンド
1-2.保育園ファンドは補助金による収益が見込める
1-3.運営期間はやや長いものが多い - 保育園ファンドを運営するクラウドファンディングサイト
2-1.CREAL(クリアル)
2-2.FUELオンラインファンド - 保育園ファンドに投資する注意点
3-1.待機児童や利用する可能性の高い児童の数を見る[PR]
3-2.運営期間が長いものが多いので環境変化リスクがある
3-3.オペレーションリスクや人員リスクがある
3-4.認可外になると経営が苦しくなる可能性もある - まとめ
1.保育園ファンドの特徴
保育園ファンドは、どのような特徴を持ったファンドであるのかを見ていきましょう。
1-1.保育園の運営資金を募集するファンド
保育園ファンドでは投資家から集めた資金は保育園の運営資金として扱われます。
資金の用途はファンドごとに異なりますが、保育園の土地の購入費用であったり、建物の建築費用であったり、また運営資金ということもあります。大まかには、集めた資金を用いて保育園を運営し、地域の保育環境を改善しつつ、投資家に対して利益を分配する仕組みになっています。
1-2.保育園ファンドは補助金による収益が見込める
居住用物件の場合、物件を運営して得られる収入の原資は家賃収入や売却時の売却益となります。
一方、保育園ファンドの場合、収益源は家賃収入だけではなく、保護者から集める保育費、自治体からの補助金が主な収入源となってきます。
また、認可保育園の場合は保護者から支払われる保育費は収入により変動するため保育園側で金額を設定できません。収入の変動性が非常に小さいため、自治体からの補助金によって一定の収入が見込みやすい事業形態と言えます。
1-3.運営期間はやや長いものが多い
保育園ファンドでは、保育園の土地の取得や建築から行うものもあるため、ファンドの運用時間はやや長めです。半年などの短期間運用案件はなく、1年や2年といったある程度の時間がかかるファンドが多くなっています。
2.保育園ファンドを運営するクラウドファンディング
保育園ファンドを運営しているクラウドファンディングの具体的なサービスをご紹介します。
2-1.CREAL(クリアル)
CREAL(クリアル)は、クリアル株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングサービスです。1口1万円から小口不動産投資を始めることができ、運用資産評価額の下落が一定割合までであればクリアルが損失を負担する仕組みになっており、少額・短期で始めてみたい初心者の方も始めやすいサービスの一つと言えるでしょう。
CREALでは、過去に3つの例の保育園ファンドを扱っています。東証プライム上場企業「学研ホールディングス」グループ企業である株式会社学研ココファン・ナーサリー、東証プライム上場企業「株式会社グローバルキッズCOMPANY」のグループ企業である株式会社グローバルキッズといった有名企業関連の案件となっています。
取得運営した後保育園を売却して、投資家に投資元本を返済します。すでに過去3つのファンドは運用を完了し、投資家に対して分配と返済を行っているという実績があります。
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2-2.FUELオンラインファンド
FUELオンラインファンドは、FUEL株式会社が提供するクラウドファンディングサービスです。間接的に企業やプロジェクトに投資することで金銭的な利益を狙えるだけでなく、経済活性化の一役を担えるのが、FUELオンラインファンドの大きな特徴です。
FUELオンラインファンドでも2020年に保育園関係のファンドを募集しています。 このファンドは東証マザーズ上場企業である株式会社さくらさくプラスの持分法適用関連会社である、株式会社あかるいみらいアセットへの融資案件です。この案件も満額を集めることに成功しています。
3.保育園ファンドに投資する注意点
保育園は自治体からの補助金が主な運営の収入源となるため、一定の収益を見込みやすいのが特徴だと言えます。しかし、保育園の経営が失敗したり、預かる児童数が減るといったリスクも存在しています。保育園ファンドに投資するときの注意点について詳しく見て行きましょう。
3-1.待機児童や利用する可能性の高い児童の数を見る
保育園に自治体からどれほどの補助金が支給されるのかはその保育園で預かっている児童の数で変わります。つまり預かる児童の数が少なくなると補助金の金額も減ってしまうのです。
待機児童がいるエリアは、地域の保育園の預かることができる人数が足りていない状況であるため、預かる児童数が減るという事態は起こりにくいと考えられます。しかし、周辺に保育園の数が増えると、預けられる児童数が減り補助金の金額も減る可能性があります。
その保育園のあるエリアの待機児童の数や年齢別の子供の数を確認するなど、投資前にこのようなリスク対策も検討してみましょう。
3-2.運営期間が長いものが多いので環境変化リスクがある
保育園ファンドは運用期間が長いものが多いために、運営期間中に周辺環境が変わる可能性があります。
多くの投資型クラウドファンディングのデメリットとして、運用期間中の資金が拘束され、自由に引き出せないという点が挙げられます。長期案件では資金が拘束される期間が長くなり、市場の変化に合わせて資金を移動させることが難しくなります。
保育園ファンドでは、児童数が減ったり子供を預けるようなご家庭の数が減っていったり、他の地域に需要が移動するという可能性があります。1~2年では大きく状況変化は起きにくいと考えられますが、長期に渡って運用されるファンドへの投資は注意しておきましょう。
3-3.オペレーションリスクや人員リスクがある
保育園運営によくあるリスクとして、オペレーションリスクや人員リスクが挙げられます。オペレーションリスクとは預かった際の事故などにより保護者が保育園に子供を預けなくなること、人員リスクとは保育園で働く人間が確保できなくなるというリスクです。
保育園で子供が関係する事故が起きてしまった場合、保護者は別の保育園に子供を預けるようになり、預かり児童が大幅に減少することが考えられます。
また、保育士は国家資格の有資格者であり転職がしやすいため、競合となる保育園が増えることで保育士の採用が難しくなり、運営がままならなくなってしまうことがあります。
3-4.認可外になると経営が苦しくなる可能性もある
また保育園は認可外保育園と、認可保育園と認証保育園(東京都の場合)では補助金の金額が異なってきます。(※参照:東京都福祉保健局「認証保育所」)
認可外になった保育園は自治体の補助金がもらえなくなり、経営環境が悪化することがあります。運営する会社や法人などの運営実績を見て、慎重に投資判断をしてみましょう。
まとめ
保育園ファンドは自治体から支給される補助金を見込め、投資の是非についても判断しやすいメリットがあります。一方で小さな子供を預かることによるオペレーションリスクや、職員などの人員確保により問題が起こる可能性もあります。
保育園ファンドへの投資を検討する際は、まずは運営元の会社の実績をきちんと見極め、信用できる実績のある会社が運営する保育園ファンドを選ぶことを検討してみましょう。
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