アパート・マンション経営は副業になる?公務員の就業規則を事例として解説

サラリーマン不動産投資家の場合、「アパート・マンション経営が副業に該当し、会社の就業規則で制限されるのではないか?」と気になる方も多いでしょう。

会社からペナルティを受けたりすることがないよう、兼業・副業が厳しく禁止されている公務員の場合の取扱いを参考に、副業の定義や内容について確認してみましょう。

本記事では、アパート・マンション経営は副業に該当するのかという点について、公務員の副業禁止規定を中心に解説していきます。

目次

  1. アパート・マンション経営と副業禁止の関係
    1-1.副業・兼業の促進に関するガイドライン
    1-2.公務員の副業禁止
  2. 公務員のアパート・マンション経営が副業にあたらない基準
    2-1.4棟9室以下の規模
    2-2.賃貸料収入500万円以下の規模
    2-3.自主管理をしないこと
  3. 公務員が許可を得てアパート・マンション経営を行う方法
  4. まとめ

1.アパート・マンション経営と副業禁止の関係

アパート・マンション経営が、会社で禁止されている副業に該当する可能性はどれぐらいあるのでしょうか。また、アパート・マンション経営はそもそも副業という位置づけになるのでしょうか。

厚生労働省の「副業・兼業に関するガイドライン」と、公務員の副業禁止規定を参考に考えてみましょう。

1-1.副業・兼業の促進に関するガイドライン

厚生労働省が平成30年1月に公表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、原則として、副業・兼業を認めるべきであるものの、例外的に、次のような場合には副業・兼業を制限することもできるとしています。

  • 本業の労務提供に支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏洩する場合
  • 競業により自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なったり、信頼関係を破壊したりする行為がある場合

会社員の場合、アパート・マンション経営が副業にあたるとされた場合であっても、このような例外的に副業・兼業が制限されるケースに該当しない限り、問題は生じないといえます。自社の就業規則では、副業・兼業制限規程がどのように定められているか、確認してみましょう。

1-2.公務員の副業禁止

公務員は、国民に奉仕する立場にあり職務専念義務があることから、営利企業との兼業や自ら営利企業を営むことを法律によって禁止されています。(※参照:内閣官房長官人事局「国家公務員の兼業について」)

兼業が厳しく禁止されている公務員ですが、例外的に、その営利企業との間に特別な利害関係がなく、職務の遂行に支障がない範囲内であれば、副業をおこなうことも認められています。

公務員の兼業禁止基準は、民間の会社員よりも厳しいといえるため、公務員の基準で許容範囲であれば民間であっても許容範囲である可能性が高いでしょう。

国家公務員が例外的におこなうことのできる副業の範囲については、「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」において定められており、その具体的な運用についても通達が発せられています。

2.公務員のアパート・マンション経営が副業にあたらない基準

国家公務員の兼業禁止を定める通達によると、禁止される兼業に該当しない不動産賃貸業の基準は、主に次のような条件を満たすケースになります。

  • 4棟9室以下の規模
  • 賃貸料収入500万円以下の規模
  • 自主管理をしないこと

以下で、それぞれの条件について詳しくみていきましょう。

2-1.4棟9室以下の規模

国家公務員の禁止される兼業基準に該当するものとして、家屋・建物であれば5棟10室以上、土地であれば10件以上という条件があります。

駐車場の場合は、建物内もしくは機械式のもの、あるいは10台以上という条件になります。また、太陽光発電投資の場合、太陽光発電設備の出力10キロワット以上が条件になっています。

4棟9室以下の規模のアパートあるいはマンション経営、9台以下の駐車場経営、10キロワット未満の太陽光発電投資であれば、国家公務員であっても兼業・副業とみなされません。

2-2.賃貸料収入500万円以下の規模

国家公務員の禁止される兼業・副業基準では、賃貸料収入の額も年500万円以上という条件を示しています。500万円という基準は、家賃のみならず、駐車場の賃貸料などのすべての不動産収入の金額を合計した金額で判断します。

賃貸料収入が年額500万円未満であれば、兼業・副業とみなされない可能性が高いといえるでしょう。

2-3.自主管理をしないこと

国家公務員の禁止される兼業・副業基準に反しない場合として、「入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職務の遂行に支障が生じないこと」が条件とされています。

いわゆる自主管理をしていると、この条件を満たさないことになり、兼業・副業基準に抵触する可能性が高いといえます。

3.公務員が許可を得てアパート・マンション経営を行う方法

国家公務員は、禁止される兼業基準に該当するアパート・マンション経営はできないのが原則です。

しかし、法令では、職務との間に特別の利害関係がなく、職務の遂行に支障がない場合は、兼業の許可の申請を許可することができることも定められています。(※参照:総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する調査」)

国家公務員の場合、「自営兼業承認申請書(不動産賃貸関係)」という許可申請様式があり、これに賃貸する不動産の数、所在地、予定賃貸料などを記載して申請することになっています。申請して許可を受けることができれば、禁止されている基準以上の規模のアパート・マンション経営も、おこなうことができる可能性はあります。

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公務員でない会社員の人は、公務員の兼業・副業禁止基準ほど厳しく制限されないと考えられますが、アパート・マンション経営が副業に該当しそうであると判明した段階で、上司に許可申請の相談をすることを検討してみましょう。

まとめ

会社員の場合、アパート・マンション経営が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に抵触するようなものでない限り、会社から禁止される副業に当たる可能性は低いといえます。

アパート・マンション経営が副業に当たるのか、という判断基準として、公務員の兼業禁止基準を参考にすることができます。4棟9室以下、賃貸料収入500万円未満の規模であれば、副業に該当しない可能性が高いでしょう。これらの規模を超えて、なおかつ自主管理をしている場合は、副業に該当する可能性が高くなります。

副業に該当しそうな場合は、会社の就業規則を確認し、上司にアパート・マンション経営をおこなうことの許可を求めることを検討してみましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。