公務員が不動産投資に向いている理由。注意点も合わせて説明します

土地・建物などを両親から相続した場合や、遠方に転勤して所有している不動産が空き家となる場合などには、賃貸に出して収入を得ることを考える方もいるでしょう。しかし、職業が公務員の場合は、副業が禁止されているために「不動産投資はできない」と誤解している方も多いのではないでしょうか。

確かに公務員の副業は原則禁止ですが、一定の条件下なら公務員でも不動産を所有し家賃収入を得ることが可能な上、安定した職業であることから融資を受けやすいなどのメリットもあるのです。

この記事では公務員の方が行う不動産投資について解説します。不動産投資が公務員の方に適している理由や、公務員の副業に関するルール、公務員が不動産投資をできる条件、不動産投資を行う際の注意点などをご紹介しますので、公務員の方は参考にしてみてください。

目次

  1. 公務員が不動産投資に向いている理由
    1-1.公務員は信用力が高く融資を受けやすい
    1-2.不動産投資は手間や時間が取られない
  2. 公務員と副業
    2-1.公務員の不動産投資は副業に当たる?
    2-2.公務員の不動産投資は「条件付き」で可能
  3. 副業に該当する不動産投資の具体的なケース
    3-1.一定規模以上の場合
    3-2.不動産収入が年500万円以上
    3-3.一定規模以上でも「承認」があればOK
  4. 公務員が不動産投資をする場合の注意点
  5. まとめ

1 公務員が不動産投資に向いている理由

不動産投資では土地や建物などを取得する必要があるため、投資額が高額になります。そのため一般的なサラリーマンの方や公務員の方などが物件を購入する際は、購入費の大半を金融機関からの融資で賄うことになります。

1-1 公務員は信用力が高く融資を受けすい

必要資金を金融機関から借りる際、対象物件の内容や本人の属性を評価するための融資審査を受けます。本人の属性評価では特に個人の「職業」「年収」「年齢」などが重要な評価項目となります。

融資額は投資家の自己資金力や社会的信用度などに従って決定されるため、解雇がなく安定した職業・勤務先である公務員は評価が高くなりやすいといった特徴があります。多額の借り入れも期待できるため、収益性の良い物件を購入できるチャンスが広がり、より有利な条件で不動産投資を始められる期待があります。

このように公務員であること自体が融資審査でアドバンテージになりやすいため、一般のサラリーマンの方よりも不動産投資に向いていると言えます。

1-2 不動産投資は手間や時間が取られない

不動産投資の開始後は、建物の維持管理や入居者管理(入居者の募集や家賃の回収等)など運用面での管理が必要になりますが、管理業務は管理会社(あるいは家族等)に委託するのが一般的です。管理会社に委託すれば運用面での手間や時間を減らせるため、本業で忙しい公務員の方でも大きな負担とはなりません。

このように不動産投資は手間や時間を取られず、今後の資産形成の柱として貢献してくれる投資であることも大きな特徴です。

2 公務員と副業

働き方改革を背景に民間企業の間では副業やダブルワークが推進されていますが、公務員の場合、副業は原則として禁止されています。ここでは公務員が行う不動産投資が副業に当たらないのかどうかを解説します。

2-1 公務員の不動産投資は副業に当たる?

公務員の副業禁止規定は、「国家公務員法」「地方公務員法」などにより次のように定められています。

  1. 営利企業からの隔離…国家公務員法第103条第1項
  2. 他の事業又は事務の関与制限…国家公務員法第104条
  3. 営利企業等の従事制限…地方公務員法第38条

営利企業からの隔離(国家公務員)

「職員は、営利を目的とする私企業(営利企業)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない」(国家公務員法第103条第1項)とされています。つまり、国家公務員は営利企業の役員兼業のほか、商店、不動産賃貸などの副業を行うことが原則的に禁止されています。

他の事業または事務の関与制限(国家公務員)

「職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する」(国家公務員法第104条)と定められています。

つまり、各省庁などの許可がない場合、国家公務員の方が報酬を得て、全ての事業(第103条の兼業以外)や事務(アルバイト含む)を行うことは禁止されています。

営利企業等の従事制限(地方公務員)

「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(営利企業)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」(地方公務員法第38条)とされています。

つまり、地方公務員は、市長などの許可がない限り、「営利企業の役員になること」「営利企業を経営すること」「従業員として報酬をもらって働くこと」が禁止されています。

そもそも公務員は憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定められているため、一部の民間企業等に従事することは憲法違反となり、原則的には副業にあたる不動産投資も認められません。

2-2 公務員の不動産投資は「条件付き」で可能

公務員の副業は原則禁止ですが、一部例外があります。「国家公務員法第103条第2項」「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)」により、公務員の不動産投資は条件付きで認められています。具体的には所轄庁の長等の「承認」が得られれば、公務員の方がマンション・アパートや土地の賃貸を行うことも可能です。

さらに賃貸規模が一定以下の場合は副業に該当しないため「承認」を必要とせず、自由に不動産投資を行うことが可能です。「一定以上となる賃貸規模」については次章で解説を行います。

3 不動産投資が公務員の副業に該当する2つのケース

公務員(国家公務員)の不動産投資が副業に該当する賃貸規模のケースは次のとおりです。

  1. 一定規模以上の場合
  2. 収入が年500万円以上

3-1 一定規模以上の場合

投資物件が「5棟以上」「10室以上」などの規定以上の規模となる場合は、副業(規定では自営)に該当することになります。このほか、土地や設備の条件については次のとおりです。

  • 独立家屋の賃貸の場合、独立家屋の数が5棟以上(戸建なら5棟以上)
  • 独立家屋以外の建物の賃貸の場合、貸与可能な独立した区画の一の部分の数が10室以上(1棟のアパートやマンションなら10室以上)
  • 土地の賃貸の場合、賃貸契約の件数が10件以上
  • 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものである
  • 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものである

また、駐車場を賃貸する場合は、次のとおりです。

  • 建築物である駐車場または機械設備を設けた駐車場である
  • 駐車台数が10台以上

不動産等の賃貸物件の種類が複合している場合、一戸建て1棟はアパート2室相当、また土地1件(または駐車場1台)はアパート1室相当、として換算されます。これらを合計して10室相当以上となるときや、上記の各規程に当てはまる場合は自営(副業)と見なされるため注意しましょう。

3-2 不動産収入が年500万円以上

不動産(もしくは駐車場)の収入が年額500万円以上の場合は副業にあたります(両方の場合はその合計額)。なお収入は、「賃貸予定の不動産等の毎月の家賃収入額×室数×12月」などで計算されます。

3-3 一定規模以上でも「承認」があればOK

なお、一定規模以上の賃貸となる場合でも、次の「人事院が定める場合」に該当すれば、「承認」を得ることで賃貸経営を行うことが可能です。

  • 不動産賃貸業と職員の職務との間に利害関係が発生しない
  • 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委託するなどにより職員の職務遂行に支障がでない
  • 公務の公正性や信頼性が損なわれない

なお、上記は国家公務員の場合です。地方公務員の場合、不動産投資の扱いについては国家公務員法や人事院規則に準じているケースが少なくないですが、独自の規則が設けられている場合もあるため、所属の人事担当者に確認したほうが良いでしょう。

4 公務員が不動産投資をする場合の注意点

一定規模以上の不動産投資が公務員の「副業」に該当するケースは上記のとおりですが、これ以下の場合なら必ずしも「副業」に該当しないというわけではありません。そのため対象の不動産投資が規則違反に該当するかどうかで迷う場合は、事前に承認申請するか、人事担当者に確認するほうが望ましいでしょう。

なお、確認しないまま「承認なし」で投資を行った場合、規則違反に該当すれば懲戒処分を受ける可能性もあるため注意してください。

また人事院に事前に相談することも有効ですが、個別の事案に関する自営兼業の判断は、職員の所属する各府省で行われるため、その人事担当者に事前に確認する必要があることを留意しておきましょう。

さらに、承認を得た不動産投資でも、投資が成功するとは限らないため、リスクなど必要な知識を習得した上で投資に臨むようにしましょう。公務員はその信用度の高さから多額の融資を受けられる可能性が高くなるのですが、借入額が多くなると大きなリターンが期待できる反面、失敗した場合の損失も大きくなります。

不動産投資を始める前に、「空室リスク」「家賃滞納リスク」「修繕リスク」「自然災害リスク」「金利上昇リスク」などのデメリットがあることも認識し、適切な収支計画等を立てた上で不動産投資に臨みましょう。

5 まとめ

公務員の方は信用度の高さから一般の会社員よりも融資などの面で有利になることがあるため、不動産投資に適していると言えます。しかし賃貸規模が一定以上となる恐れがある場合は、事前に承認を求めるか確認することが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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