不動産投資で副業、メリット・デメリットは?税金や注意点も解説

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副業として不動産投資を始めることを検討しているものの、不動産投資のメリット・デメリットやリスクなども総合的に考慮して判断したいという方も多いと思います。

この記事では、副業で不動産投資をおこなう際のメリット・デメリットを整理し、税金や注意点についても解説します。

※記事内の税金・税率などは2021年3月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁のウェブサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。

目次

  1. 副業でおこなう不動産投資とは
  2. 副業で不動産投資をおこなうメリット
    2-1.融資を受ける際に本業の属性を活用できる
    2-2.手間をほとんどかけることなく運営できる
    2-3.資産性の副収入を得ることができる
    2-4.団体信用生命保険に加入することができる
    2-5.インフレリスクに対応することができる
  3. 副業で不動産投資をおこなうデメリット
    3-1.投資の収支管理、確定申告が必要になる
    3-2.不動産投資に付随するリスクを背負う必要がある
    3-3.不動産の運用には管理コストや手間がかかる
    3-4.本業に影響を及ぼすおそれがある
  4. 副業で不動産投資をおこなう際の税金
    4-1.所得税・住民税
    4-2.固定資産税・都市計画税
  5. 副業で不動産投資をおこなう際の注意点
    5-1.投資の収支に注意し、必要なら対策を講じる
    5-2.リスクに備え、手元資金を充分に確保する
    5-3.本業に影響がないようにおこなう
  6. まとめ

1.副業でおこなう不動産投資とは

副業でおこなう不動産投資とは、本業の収入で生活しているサラリーマンなどの方が、収益不動産に投資をおこない、賃貸収益や売却収益を得る、というものです。

不動産投資による収益は、基本的に勤労性のものではないため、本業の合間におこなって収益を得ることも可能です。

ただし、税務的には5棟10室基準があり、所有不動産がこの基準を超えると本業と同様の事業とみなされる可能性があります。また、サラリーマンの方が、勤務している企業で不動産投資を副業とみなされるかどうかは、それぞれの企業の社内規程の問題であるといえるでしょう。

※国税庁「事業としての不動産貸付けとの区分」を参照

2.副業で不動産投資をおこなうメリット

副業で不動産投資をおこなうメリットとして、融資付けに本業を生かすことができるという点があります。さらに、本業や経済環境に有事が起こった際のリスクヘッジになるというメリットなどがあるといえます。

2-1.融資を受ける際に本業の属性を活用できる

不動産投資では、投資効率を上げるために融資を受けて物件の購入をすることが可能です。本業で給与収入があったり、資産を築いていたりする人は、そのような属性が融資審査の際に評価され、有利な条件で融資を受けることができます。

これに対して、不動産投資を専業としている場合には家賃収入が主な返済原資となるため、融資を受ける際に購入しようとしている物件の収益性や担保性がより厳しく審査されることになります。

2-2.手間をほとんどかけることなく管理できる

不動産投資では、運用していく過程で入居者の募集・入居者対応・集金管理・物件の修繕・原状回復などの管理業務が発生します。

これらの業務は、不動産管理会社などの外部業者に委託することができます。委託手数料はかかりますが、オーナーはほとんど手間をかけることなく運用することが可能です。

ただし、物件の売却や、物件の大規模修繕などの大きな意思決定は、オーナーがおこなう必要があります。

2-3.資産性の副収入を得ることができる

不動産投資の収入は、人が労務を提供することの対価である勤労性の収入ではなく、資産を運用することによって得られる資産性の収入です。

人の労働することができる時間や体力には限度があり、病気や怪我、老化などで労働できなくなるリスクもあります。不動産投資によって資産性の副収入を得られることは、このようなリスクに備えることができるメリットがあるといえます。

2-4.団体信用生命保険に加入することができる

収益不動産を購入するために金融機関で融資を受ける際、団体信用生命保険に加入することが可能です。団体信用生命保険とは、金融機関等から融資を受けている債務者が、死亡したり高度障害状態になったりしたときに、生命保険会社が債務残高相当分の保険金を金融機関等に支払い、保険金を債務の弁済に充てる制度です。

団体信用生命保険に加入することで、不動産投資で融資を受けていてる本人が死亡等の状態になったとしても、遺族に借入のない状態で不動産を残せる可能性があります。

2-5.インフレリスクに対応することができる

財産を現金のまま保有している状態で、インフレが発生した場合、現金の財産価値は物価上昇に対して相対的に下落してしまいます。

財産を不動産で保有して、このようなインフレによる財産価値の下落を防ぐことが可能になります。また、不動産投資の家賃収入は、インフレに連動して上昇する傾向があるため、運用収入面からもインフレリスクに強いというメリットがあります。

3.副業で不動産投資をおこなうデメリット

副業で不動産投資をおこなうデメリットとしては、取得や管理の手間がかかることが挙げられます。オーナーが最低限おこなう収支管理などの業務があり、管理業務を自分でおこなう場合にはさらにオーナーの負担は大きくなるでしょう。

場合によっては、本業に影響が生じるおそれもあります。また、不動産投資に付随するリスクを背負う必要があることもデメリットといえます。これらのデメリットについて詳しく見て行きましょう。

3-1.投資の収支管理、確定申告が必要になる

副業で不動産投資をおこなうにあたり、管理については外部に委託して手間を省くことが可能です。

しかし、投資の収支管理は最低限、オーナーが行わなければなりません。オーナーの業務として、収支がマイナスになっていないかどうか、そして想定通りの運用ができているかどうかを定期的に確認する必要があるでしょう。

運用実績が想定を下回っている場合はその原因を分析し、投資の収支を改善するために何らかの対策を講じたり、対策に付随する手続きをおこなっていくことになります。

さらに、不動産所得が20万円を超える場合、毎年、翌年の3月15日までに確定申告をおこなう必要があります。

3-2.不動産投資に付随するリスクを背負う必要がある

不動産投資には様々なリスクがあります。運用収入面からは、空室リスクや陳腐化による家賃下落リスクがあります。

また、運用費用の面では、修繕費用・原状回復費用などの支出リスクがあります。売却収入面からは、経年劣化がおきる建物価格について不動産の価格が下落するリスクもあります。そのほか、災害リスク、金利上昇リスクなど、様々なリスクが想定されます。

不動産投資では、このような付随するリスクを認識し、それぞれのリスクの範囲や大きさを勘案しながら事前に対策を行ったり、損失が出た際の損切り(売却など)を考慮したシミュレーションをしておくことが重要となります。

3-3.不動産の運用には管理コストや手間がかかる

不動産投資では、不動産を運用していく過程で、入居者の募集、入居者対応・集金管理、物件の修繕・原状回復などの管理業務が発生します。

これらを外部に委託しようとすると、管理コストがかかります。また、管理コストを抑えようとすると、オーナー自身がこれらの業務をおこなうことになり、手間がかかります。

不動産を運用するには、管理コストや手間がかかることが不動産投資のデメリットといえるでしょう。

3-4.本業に影響が及ぼすおそれがある

副業で不動産投資をおこなう場合、本業にも、手間や社内規程などの観点から影響が生じるおそれがあります。

管理を外注していれば、ほぼ手間がかからない不動産投資ですが、運用における重要な意思決定や手続きには、オーナー自身が関わる必要があります。

また、自主管理の場合は管理業務をオーナーがおこなう必要があります。特に、不動産投資の規模が大きくなると業務量も増え、これらの業務が本業に影響を及ぼすおそれがあるでしょう。

その他、本業がサラリーマンや公務員の方の場合、副業禁止規定に触れる可能性もあります。本業への影響が無いよう、これらの注意点について事前に確認しておくことが大切です。

4.副業で不動産投資をおこなう際の税金

副業で不動産投資をおこなう際、家賃収入に対しては、毎年所得税と住民税がかかります。また、不動産を所有していると、その土地・建物に対しては、固定資産税と都市計画税が毎年課せられます。

4-1.所得税・住民税

所有不動産の家賃収入は、不動産所得として翌年の3月15日までに確定申告をおこなって、その収入にかかる所得税と住民税を納める必要があります。

不動産所得は、「不動産収入―必要経費」によって算出されます。所得税は累進課税といい、所得が増えるにつれて段階的に、5%から最大45%まで税率が上がる仕組みになっています。

本業による所得と不動産所得との合計所得に対して、累進税率が適用されるので注意しましょう。

住民税はそれぞれの市区町村が所得税の確定申告をもとに税額を計算し、6月以降に納付書を送ってきます。税率は一律10%です。

サラリーマンであれば、特別徴収といって、勤務先企業に納付書を送ってもらい、12回に分割して給与所得から天引きして企業に納めてもらう徴収方法となっています。

これに対し、普通徴収といって住所に納付書を送ってもらい自分で納めることも可能です。普通徴収であれば、通常は4回の分割払いになります。

4-2.固定資産税・都市計画税

毎年、1月1日に不動産を所有している人に対して、固定資産税や都市計画税が課せられます。固定資産税の税率は、原則として、課税標準額と呼ばれる評価額に対して1.4%、都市計画税は0.3%になります。ただし、住宅用地等の特例により、固定資産税や都市計画税が軽減されることがあります。

5.副業で不動産投資をおこなう際の注意点

副業で不動産投資をおこなう際は、手間を最低限に抑えるために、本業に影響が生じないようにしましょう。ただし、投資の収支についてはオーナーが定期的にチェックし、対策を講じるなどの運用・投資判断をおこなう必要があります。

また、不動産投資に付随するリスクに備え、手元資金を充分に確保しておくようにしましょう。

5-1.投資の収支に注意し、必要なら対策を講じる

不動産投資の収支について、想定通りの運用ができているかどうか、定期的に確認する必要があります。想定通りに収益が上がっていなかったり、マイナスになっていたりするようなら、その原因を突き止めて対策を講じるようにしましょう。

たとえば、内装や設備の老朽化、陳腐化により家賃が下がっているのであれば、リノベーションをおこなうなどの対策を検討します。対策による支出が大きい場合は、費用対効果のシミュレーションにも注意を払いましょう。

5-2.リスクに備え、手元資金を充分に確保する

不動産投資には、様々なリスクがあります。空室が生じて家賃収入が入らなかったり、大規模な修繕が必要になり多額の支出を強いられたりすることがあります。そのようなリスクに備え、手元資金に余裕を持って運営をおこなうようにしましょう。

5-3.本業に影響がないようにおこなう

本業がフルタイムの方の場合、本業に影響が生じないように、管理業務は外注することも検討してみると良いでしょう。運用や投資における重要な意思決定や手続きは、できる限り週末や休日におこなったり、家族に任せたりするなど工夫しましょう。

また、サラリーマンの方の場合、勤務先の企業の就業規則等において副業を禁止していることがあります。サラリーマンの方が不動産投資をおこなう場合は、勤務先に前もって確認した方がよいでしょう。

特に、国家公務員の場合、国家公務員法で営利企業との兼業が原則禁止されています。不動産賃貸業は、一定の条件の下、承認を受けた場合にのみ認められることとなっていますので、注意しましょう。

※人事院「アルバイト等の制限」を参照

まとめ

副業で不動産投資をおこなうのは、融資付けに本業を生かすことができ、本業や経済環境に有事が起こった際のリスクヘッジになるというメリットがある一方、オーナーの業務として、収支管理とそれに伴う運用・投資判断をおこなう手間がかかります。様々なリスクがあることも念頭に置く必要があります。

投資の収支には定期的に注意を払い、手元資金は充分に確保して投資をおこなうようにしましょう。また、確定申告と税金の納付にも注意しましょう。本業には影響が生じないよう、サラリーマンの方は社内での副業禁止規程を確認しておくことも大切です。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。