住みながら家をスムーズに売る方法は?住み替えで使える2つの特例制度も

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住みながら家を売却する際には、ローン残債の確認や不動産会社とのやり取り、売り出し価格の決定などやるべきことが多く、戸惑ってしまう方も少なくありません。新居への住み替えの場合は、売却の手続きに加えて新しい住居の購入や賃貸の手続きを行う必要もあります。

スムーズに家を売却し住み替えを行うには、事前に手順を確認し、準備を進めておくことが大切です。

本記事では、家の売却と新居の購入(賃貸)のスケジュール、住みながら家をスムーズに売る方法、住み替えで使える特例制度2つを解説していきます。

目次

  1. 住みながら家をスムーズに売る方法
    1-1.複数社に不動産査定を依頼する
    1-2.2~3社に不動産会社を絞り、訪問査定を依頼する
    1-3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
    1-4.売出価格の決定・売却活動開始
    1-5.内覧対応・購入希望者との交渉
    1-6.不動産売買契約の締結
    1-7.売主の引っ越し・名義変更の準備
    1-8.引き渡し・精算
  2. 家に住宅ローンが残っている場合の注意点
  3. 家の住み替えで使える特例制度2つ
    3-1.特定の居住用財産の買換えの特例
    3-2.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  4. まとめ

1.住みながら家をスムーズに売る方法

住みながら家をスムーズに売るためには、あらかじめ手順・スケジュールを把握しておく必要があります。家の売却と新居の購入(賃貸)は主に以下の流れで行います。

家の売却の流れ・手順

  1. 不動産の査定
  2. 売出価格を決定
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 売却活動を開始
  5. 購入希望者が見つかる
  6. 内覧・契約条件の交渉
  7. 売買契約を結び、手付け金を受け取る
  8. 引き渡し日までに引っ越し
  9. 引き渡し・清算

新居の購入(賃貸)の流れ・手順

  1. 資金計画を立てる・居住エリアを決める
  2. 物件を探す
  3. 物件の内覧
  4. 売買(賃貸借)契約を結ぶ
  5. 場合によっては手付け金を支払う
  6. ローンの申し込み(購入の場合のみ)
  7. 引き渡し・清算(購入の場合のみ)

住み替えには、新居の購入を先に行う「買い先行」と、旧居の売却を先に行う「売り先行」の二つの方法があります。売り先行では、売却価格が分かってから新居についての資金計画を立てられる、売却を急がないため売却価格が下がりにくいといったメリットがあります。

住みながら売却する時や、売却価格をできるだけ高くしたい時には基本的に「売り先行」で検討してみましょう。売却の流れを優先しつつ、購入や賃貸をできる限り早めに行います。

ただし、売り先行では新居の購入(賃貸)の時期によっては仮住まいが必要となる、新居探しを急ぐ可能性があるというデメリットが生じます。デメリットを最小限におさえるためには、「購入(賃貸)」と「売却」を並行して行い、時期が近くなるように調整することが重要です。

購入(賃貸)と売却の時期が近くなることで、仮住まいに引っ越すことなく新居に転居できる可能性があり、売却活動と並行して新居探しを行うことで、売却後に焦って新居探しを行う事態を回避できます。

本記事では、住み替えで重要なポイントとなりやすい家の売却手順にフォーカスし、スムーズな売却に向けた流れと注意点について詳しく解説していきます。

1-1.複数社に不動産査定を依頼する

家の査定価格は、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼して比較してみましょう。不動産会社によって査定の方法や抱えている顧客層も異なるため、査定価格に大きな差が生まれることがあるためです。

なお、悪質な不動産会社の場合には査定価格を相場よりもあえて高く設定し、売却を促してくるケースもあります。査定価格だけを単純に比較するのではなく、査定の根拠も合わせて確認してみましょう。

複数の不動産会社へ査定を依頼する際は、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトはおよそ1週間程度で家の築年数やエリアの相場などから査定額を算定し、複数の不動産会社の査定結果を受け取る事が出来ます。

下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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HOME4U[PR] 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国2100社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

1-2.2~3社に不動産会社を絞り、訪問査定を依頼する

一括査定を申し込んだ会社の中から2、3社選び、訪問査定を依頼してみましょう。

訪問査定では、不動産一括査定サイトで算出した査定価格(簡易査定)に問題がないか、家の周辺状況や日当たり、欠陥などがないか細かな条件を確認します。

1-3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、違いは以下の通りになっています。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

一般媒介契約は、複数の不動産会社との契約が可能ですがレインズへの登録義務が無く、不動産会社が宣伝に力を入れてくれないことがあります。人気エリア・新築の物件で利用されることが多くなっています。

一方、専属専任・専任媒介契約では1社にしか依頼できない点はデメリットですが、不動産会社の積極的な売却活動を見込めます。契約形態に迷う場合は、はじめは一般媒介契約を締結し、その後様子を見て専属専任・専任媒介契約に切り替えるなど、工夫をしてみましょう。

1-4.売出価格の決定・売却活動開始

売出価格を決め、売却活動を開始します。専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合は、指定流通機構(レインズ)へ登録されることによって情報が拡散される可能性が高くなります。

1-5.内覧対応・購入希望者との交渉

購入希望者の内覧対応や価格・契約時期などの交渉を行います。

1-6.不動産売買契約の締結

売買契約書を交わし、契約を締結します。手付金として物件価格の5~10%程度のお金を受け取ることがあります。契約を締結した時点で、引っ越しの計画を立て準備に入りましょう。

1-7.売主の引っ越し・名義変更の準備

住んでいる家を売却する場合、契約を締結してから引き渡しまでに売主が引っ越しを行います。売却する家の所有権移転登記(名義変更)の手続きを行う必要がありますので、準備しておきましょう。

ローンが残っている際には抵当権抹消登記も行い、確実な手続きが必要となりますので所有権移転登記手続きと併せて司法書士に依頼します。

1-8.引き渡し・精算

物件を引き渡し、残りの売却代金の決済を行います。売主は買主に残金の領収書・所有権移転登記に必要な書類を買主に渡します。なお、実際の引き渡しの場面では多くの場合、司法書士が所有権移転登記を申請するために同席しているため、司法書士に手渡すことになります。

固定資産税・都市計画税の精算やその他に必要となるもの(家の鍵・実測図など)を渡し売却活動は終了です。

2.家に住宅ローンが残っている場合の注意点

売却予定の家にローンが残っている場合、売却活動を行う前に家のローン残債と査定価格を比較してみましょう。

家のローン残債と査定価格を比較したとき、ローン残債が下回った際は「アンダーローン」状態で、家を売却した代金でローンを完済できます。

一方、家のローン残債が査定価格を上回る「オーバーローン」の状態である場合は、売却代金をローン返済に充ててもなお債務が残ってしまいます。売却時には、この残債を一括返済する必要があるため必ず確認しておきましょう。

家のローンの残債は金融機関から送付される残高証明書又は金融機関の窓口で尋ねることで確認できます。残高証明書が送付された後のローン残高が知りたい方は直接金融機関に尋ねてみましょう。

家がオーバーローン状態だった時の対処法

オーバーローン状態の家を売却するには、残債を一括返済する必要があります。資金が足りず、一括返済が出来ない場合には「任意売却」という方法を検討してみましょう。

任意売却はローンを契約した金融機関に売却の可否・売却価格の許可を得て、家を売却し、抵当権(家を差し押さえる権利)を外してもらうという方法です。残債については、金融機関と協議のうえ、分割で支払うことになります。

【関連記事】不動産の任意売却とは?メリット・デメリットや売却手順を解説

旧居がオーバーローンの状態で新居をローンで購入する方は、自己資金の用途をローン返済に優先したり、住み替えローンを組むなど任意売却以外の方法でローンを完済できるか確認してみましょう。

ただし、住み替えローンは旧居の残債と新居の購入資金を一本化できるローンですが、通常のローンよりも金利が高く融資の審査が厳しい傾向にありますので、慎重に検討しましょう。

上記の方法でも住宅ローンを完済できない場合には、自己資金を貯め住み替えを先延ばしにするなどの対処法を考えてみると良いでしょう。

【関連記事】住み替えローンのメリット・デメリットは?利用時の注意点やリスクも

3.家の住み替えで使える特例制度2つ

家の住み替えを行うとき、特定の要件に当てはまることで受けられる税控除の特例があります。住み替えでは大きな資金を必要とするケースもあるため、これらの要件に当てはまっているか確認をしておきましょう。ここでは、適用できる可能性がある2つの特例をご紹介します。

3-1.特定の居住用財産の買換えの特例

特定のマイホームを、2021年12月31日までに売却し別のマイホームに買い換えた際には、一定の要件を満たした場合、売却で生じた利益に関する税金を将来に繰り延べることができます。なお、あくまで税金が繰り延べられる制度で、控除されるわけではない点に注意が必要です。

「売却で生じた利益(譲渡所得)」とは、売却代金から住宅取得に関わる費用と売却費用を差し引いたものです。取得に関わる費用には購入費用や建築費用、手数料等が該当し、売却費用は不動産会社への仲介手数料・売主が負担した印紙税などがあります。

譲渡所得には所有期間の長さによって一定の税率が掛けられ、所得税・住民税を納める義務が生じますが制度を利用することで税金を繰り延べられます。

この特例の適用を受けるためには、自身が住んでいる家屋を売却する、または家屋と共に敷地や借地権を売却する、売却代金が1億円以下である、などの要件を満たし、売却した年の翌年に確定申告を行い、所定の書類を税務署に提出する必要があります。

※出典:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例

3-2.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

2021年12月31日までにマイホーム(旧居)を売却、新しいマイホーム(新居)を購入した際に、旧居の売却で損失(譲渡損失)が生じた時には一定の要件を満たす場合、他の所得から控除(損益の通算)することができます。

損益通算で控除しきれなかった損失は、売却の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することが可能です。

譲渡の年の1月1日時点での所有期間が5年超の住宅(旧居)、一定の期間内に日本国内にある新居(床面積が50㎡以上)取得するなどの要件があります。「特定の居住用財産の買換えの特例」と同様に、確定申告を行い所定の書類を提出することで適用されます。

※出典:国税庁「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

まとめ

住みながら家をスムーズに売るためには、まず住み替え・売却活動のスケジュールを把握しておきましょう。ローンが残っている時には家のローンの残債と査定価格を比較し、オーバーローン・アンダーローンのどちらの状態であるかを確認する事が重要です。

オーバーローンの際には売却後の経済的な負担を考え、ケースバイケースで慎重に判断しましょう。売却時点でローンを完済できる方は、経済面・住み替えにさける時間などを考慮し売却方法を決定しましょう。

この記事を参考に、スムーズな売却方法・手順・スケジュールを知り実際の売却活動に活かしていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。