ボランティア募集の中にはゴミ拾いや清掃に関するものが数多くあります。ゴミ拾いボランティアを行うことで、空いた時間にできるメリットがあり、エリアを綺麗にすることで生活環境の向上や、街の景観が良くなることも期待できます。
しかし、これまでボランティアに参加したことが無い方や、ゴミ拾いのイメージが沸かない方にとって、「どのように参加募集を見つければよいのか」「体験することでどのようなメリットがあるのか」という不安を抱えることもあるのではないでしょうか?
このコラムの筆者は、2019年6月に「認定NPO法人グリーンバード」のゴミ拾いボランティアに参加した経験があります。地元のゴミに関する実態が分かり、他のスタッフと交流を楽しむことができました。
そこで本記事ではゴミ拾いボランティアの概要と始め方、メリットとデメリット、私が参加したきっかけや体験談を解説していきます。ボランティア参加に悩む方の参考となれば幸いです。
目次
- ゴミ拾いボランティアとは
- ゴミ拾いボランティアに参加したきっかけ、体験して分かったこと
2-1.ゴミ拾いボランティア参加のきっかけ
2-2.ボランティア活動の流れ - 実際にゴミ拾いボランティアに参加して感じたメリット・デメリット
3-1.メリット:無理のない範囲で活動に参加できる
3-2.メリット:様々な世代の人と交流できる
3-3.デメリット:天候に左右される - ゴミ拾いボランティアの始め方
4-1.ボランティア活動の情報を収集、検討する
4-2.団体に連絡する
4-3.活動に参加する - まとめ
1.ゴミ拾いボランティアとは
ゴミ拾いボランティアは、街に落ちているゴミや草木を拾う無償の清掃活動です。ゴミを拾うことでエリアが綺麗になると同時に、街の環境向上や治安が良くなる効果が期待されています。
アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング氏が提唱した「窓ガラスの割られたクルマを街に一台放置しておくと、近隣では急激に犯罪が増える」という「割れ窓理論」という学説があります。
例えば、京都府や埼玉県警などでは、割れ窓理論の実践運動に取り組んでいるという事例があります。
京都府の「割れ窓理論」実践運動
京都府では、より地域に密着した持続可能な防犯活動と、身近な場所で防犯意識を醸成していけるような仕組みの一つとして、平成20年度から商店街やPTAなど地域住民の方やボランティア団体の皆さんと一緒に、まちの落書き消しや張り紙撤去などを行う「割れ窓理論」実践運動に取り組んでいます。
※引用:京都府「「割れ窓理論」実践運動」
埼玉県警「割れ窓理論-犯罪者が好むまち、嫌いなまち」
犯罪者は経験により、ゴミが散乱するまち、落書きの多いまち、あいさつを交わすことのないまちを見て「このまちでは怪しまれない。とがめられない。」と思うのです。
犯罪者が一番嫌いなまちは、防犯意識・連帯意識の高いまちです。
犯罪者に、住民同士の結束が固く、スキのないまちであると思わせるためには、まちに住む一人ひとりが、防犯意識を高め、互いに守りあい、相談し合えるコミュニティを築き上げることが大切です。
※引用:埼玉県警「割れ窓理論-犯罪者が好むまち、嫌いなまち」
2.ゴミ拾いボランティアに参加したきっかけ、体験して分かったこと
筆者は2019年6月に「認定NPO法人グリーンバード」のゴミ拾いに参加しました。グリーンバードのゴミ拾いボランティアに参加したきっかけ、活動の流れをお伝えしていきます。
なお、ゴミ拾いボランティアは団体によってルールが異なり、グリーンバードでも募集内容によって細かな違いがあります。ここでご紹介するのは、筆者が過去に体験したボランティアの経験であり、必ずしも同様の活動ができるとは限らないという点に注意してください。
2-1.ゴミ拾いボランティア参加のきっかけ
認定NPO法人グリーンバードは北海道から沖縄まで全国で65ヶ所のチームで活動を行っています。スリランカやイタリア、フィジーなど海外にも7ヶ所のチームがあります。活動にあたって事前の連絡や登録などは必要なく、手ぶらで参加が可能です。
私が数あるボランティアの中でグリーンバードのゴミ拾いを選んだ理由は、「地元が好き」という思いと「好きな時に気軽に参加できる」という点です。
私は北海道の札幌生まれ札幌育ちで、半年ほど会社の研修で関西圏に住み現地での生活も楽しかったのですが、一度離れたことでより「地元が好きで貢献したい」と感じるようになりました。
当時の勤務先企業が地元の企業ではなく、ボランティア活動も行ってなかったことから個人で参加する事にしました。生まれ育った札幌に貢献できること、仕事もあり自身の負担にならない範囲での活動がしたいということで、いくつかの団体を比較してみた結果、グリーンバードへの参加を決めました。
2-2.ボランティア活動の流れ
グリーンバードのゴミ拾いボランティアは、トングやゼッケンなどは団体が準備してくれるので手ぶらで参加でき、事前連絡も不要で現地集合・解散と自由度が高い活動でした。
始めにスタッフから説明があり、チーム分けとトング・ゼッケンの配布がありチームごとに別のルートでゴミ拾いを行います。札幌市の中心部にある大通で10分程度歩きながら、1チーム4、5名程度でゴミ拾いを行いました。
ボランティアによく参加する女性の参加者の方が、「一番多いゴミはたばこの吸い殻」と教えてくれました。個人的にたばこの吸い殻が最も多いというのは意外に感じましたが、運営スタッフによると、人が多い街中ではたばこだけではなく「ゴミのボイ捨て」が多いという話でした。
トングでたばこの吸い殻などを拾い、スタッフが持つゴミ袋にゴミを入れていきます。ゴミ拾いの途中、ボランティアの男性がソフトクリームを買い食べながらゴミを拾っていたり、私は初対面の女子大生とおしゃべりしながらゴミを拾うなど自由で和やかな雰囲気でした。
最後に元の場所に戻り、現地で解散となります。
3.実際にゴミ拾いボランティアに参加して感じたメリット・デメリット
私がグリーンバードのゴミ拾いボランティアに参加して感じたメリット・デメリットです。
3-1.メリット:無理のない範囲で活動に参加できる
グリーンバードのゴミ拾いボランティアでは、当日具合が悪くなった、急用で参加できなくなったとしても連絡が不要である、道具も要らないという点は、参加者にとって負担が少なくメリットに感じたポイントです。
一方で「キャンセルがしやすい」という点は、当日の参加者が少なくなってしまうなどのデメリットにもなる可能性があります。ゴミ拾いボランティアに興味のある友人・知人がいるのであれば、一緒に参加するのも良いでしょう。
3-2.メリット:様々な世代の人と交流できる
ゴミ拾いボランティアは年齢制限が無く様々な世代の方が参加するため、普段の生活では出会わない方とも交流できる可能性があります。
私は30代ですが、10代の学生や20代の社会人、50~60代の方と幅広い年代の方が参加していました。1人で参加したため、同じく1人で参加していた10代の女子大生や50代の女性と好きな芸能人の話やボランティアの参加経験など世間話をしながらゴミ拾いをしていました。
当時、私の本職は50~60代の医師(主に男性)への営業をしており、日常でフラットに10代の学生や年上の女性と話す機会がないため新鮮な体験でした。
女子大生に「どうやってボランティアを探しているの?」と聞いたところ、「グリーンバードはインターネットで見つけたけど、社会福祉協議会のポスターでも募集している」と教えてもらうこともできました。
3-3.デメリット:天候に左右される
ゴミ拾いのような野外活動を伴うボランティアの場合、雨が降った時や風が強い時などはゴミ拾いができないため中止となります。
中止が分かるのは当日のため、2回目の参加が当日に中止となりがっかりしたことがあります。野外のボランティア活動は天候に左右されやすいことをおさえておくと良いでしょう。
その他、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、リアルでの対面を必要とするボランティア活動を自粛する必要がある可能性もあります。2019年6月の私の参加当時はなかった問題のため、参加時点での状況を鑑みて検討しましょう。
4.ゴミ拾いボランティアの始め方
ここまで私のゴミ拾いボランティアの体験談をお伝えしてきました。次に、実際にゴミ拾いボランティアへ参加する方法についてご紹介します。
これから始めて参加を検討するのであれば、以下の手順で進めてみると良いでしょう。
- ボランティア活動の情報を収集、検討する
- 団体に連絡する
- 活動に参加する
ゴミ拾いボランティアは、活動を行っている団体を探し連絡を取り決められた日時に集合場所に向かいます。団体によっては事前連絡不要の場合もあります。
4-1.ボランティア活動の情報を収集、検討する
ゴミ拾いを募集している団体は自治体やNPO法人など数多くあります。
自治体のボランティア募集を見つける際は、「○○(市町村名)ゴミ拾いボランティア」でウェブ検索することで、自治体によっては募集のサイトが見つかる事があります。
活動内容としては「街中を一時間ほど歩きゴミ拾いを行う」という募集が多く、スタッフがゴミ拾いの道具を準備し参加者は事前連絡も不要、手ぶらで参加できるものもあります。
また、NPO法人から検索したい方は、内閣府NPOホームページの「NPO法人ポータルサイト」で地域やキーワードから検索が可能です。その他、各自治体の社会福祉協議会のホームページや協議会内に貼られているポスター・チラシなどでも、ゴミ拾いボランティアが募集されている事があります。
4-2.団体に連絡する
募集先の団体に連絡を行います。ただし、ゴミ拾いボランティアは連絡不要で当日に現地集合というケースも多くあるため、募集要項を確認してみましょう。連絡が必要な募集であれば、日時・場所と共に当日の持ち物や服装などを確認しておきましょう。
4-3.活動に参加する
ボランティア活動に参加します。雨天中止の場合もありますので、天気予報をチェックしておきましょう。
まとめ
ゴミ拾いボランティアは、参加にあたって専門的な技術や多くの時間を必要とせず、年齢制限も無い団体が多いためボランティア活動の中でも参加しやすい点が特徴です。募集先によっては、道具は団体が準備するため手ぶらで参加可能、事前連絡も不要という所もあります。
私はボランティアに参加する事で、人が多い地域ではゴミのポイ捨てが多いという事実を知り様々な年代の方と交流することができました。この記事がボランティアへの参加を迷っていた方の参考となれば幸いです。
田中 あさみ
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