能登半島地震の被災地支援、企業の取り組み状況は?海外の国からの寄付の状況も

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、震度7の大きな揺れによって土砂崩れや津波、火災、建物の倒壊、道路の寸断などさまざまな被害が発生しました。また、積雪や路面凍結などで交通に影響が出ている場所もあります。

このような状況下でさまざまな企業が、被災地支援に向けた支援金や義援金、支援物資などの準備や取り組みを始めています。

そこで本記事では、能登半島地震の被災地支援や企業の取り組み状況、海外からの寄付による支援関する情報をご紹介します。

目次

  1. 能登半島地震の被災地支援に関する状況
    1-1.災害義援金
    1-2.支援物資
    1-3.医療支援
  2. 能登半島地震における企業の取り組み
    2-1.ファーストリテイリング
    2-2.日本住宅総合開発
    2-3.ファミリーマート
    2-4.セイノーホールディングス
    2-5.ヤマト運輸
    2-6.花王
    2-7.ファンケルグループ
    2-8.イオン
    2-9.P&G ジャパン
    2-10.トヨトミ
  3. 海外からの寄付状況
  4. まとめ

1.能登半島地震の被災地支援に関する状況

まずは、能登半島地震発生後の被災地支援について義援金と物資、医療の観点から状況を解説していきます。

1-1.災害義援金

2024年3月4日時点で石川県に届けられた災害義援金は約200億円で、2月1日(木曜日)には第1回義援金配分委員会が開催され、第一次配分計画が決定されています。

また、日本赤十字社石川県支部などを通じて集められた災害義援金もあり、多くの個人や団体から支援が続けられています。

なお、個人での寄付に関しては、募金詐欺の被害に遭わないよう寄付先の情報を慎重に見極めるのが大切です。寄付先の情報に関しては、以下記事より参考にしてみてください。

【関連記事】【2024年1月】石川県能登半島地震の被災者の方へ寄付する方法は?主な寄付・支援先

1-2.支援物資

支援物資に関しては、現地での受け入れ体制の整ったエリアに向けて届けられている状況です。自治体と企業が、物資の確保や輸送を続けています。

栃木市では、物資の受け入れ体制が可能になった石川県七尾市へ飲料水やブルーシート、土のう袋、使い捨ての紙食器を提供しています。物資の輸送に関しては、災害協定を結んだ株式会社コメリと共同で届けたり栃木県トラック協会が届けたりしている状況です。

また、被災地では、支援物資の仕分け作業の人員不足といった問題も深刻です。そこでいくつかの自治体では、職員を現地へ派遣して仕分け作業のサポートを行っています。また、物流企業などでは、現地で支援物資の仕分け作業を行ったり職員に効率的な仕分けやレイアウト方法などについてノウハウを伝えたりしています。

1-3.医療支援

能登半島地震後、石川県医師会の要請で日本医師会災害医療チーム(JMAT)が被災地に派遣され、避難所での巡回診療や健康管理、被害を受けたクリニックや医療機関の復旧活動などといった支援活動に従事しています。

また、他にもさまざまな医師、看護師などが現地に入り、避難所や被災者の状況に合わせた医療支援を継続しています。

ただし、地域住民の方々で設立された自主避難所には、交通網の遮断や自治体職員の不足などから医療に関する十分な支援を受けられていないケースがあり、医療スタッフの確保だけでなく道路の復旧や自主避難所の情報共有なども必要な状況です。

2.能登半島地震における企業の取り組み

続いては、能登半島地震の被災地支援に関する企業の取り組み事例を紹介します。

2-1.ファーストリテイリング

ユニクロやGU(ジーユー)を展開している株式会社ファーストリテイリングでは、能登半島地震の支援を行っている認定NPO法人ADRA Japanなどをはじめとした団体へ合計1億円の支援金を寄付しています。

支援金の他にも同社は、地震発生直後から衣料支援のために防寒着類など10万点を確保し、石川県七尾市と珠洲市にそれぞれ提供しました。さらに、県からの要請を受け次第、追加の衣料支援に向けた準備も進めている状況です。

大規模かつ迅速な衣類の提供体制は、物資不足でなおかつ厳しい寒さの続く被災地において必要な支援といえます。

2-2.日本住宅総合開発

太陽光発電や蓄電池を販売している日本住宅総合開発株式会社では、社内に災害チームを設立したのち、飲料水や食料品、日用品、衣類、医薬品などの支援物資を準備し、石川県輪島市に提供しました。

また、支援物資の提供にあたっては、行政からの情報をベースに現地で必要とされている物を選定するなど、適切な支援物資の提供に力を入れているのが特長です。

2-3.ファミリーマート

株式会社ファミリーマートでは、石川県金沢市内の避難所向けにプライベートブランド(PB)のコンビニエンスウェア(衣料品)をはじめとした、さまざまな支援物資を提供し続けています。

地震発生直後の1月3日から総菜パンなどの食料品が提供され始め、その後も飲料水や簡易トイレを1日あたり数1,000~数万個単位で届けられています。さらに、1月19日~20日には、下着類を中心に衣料品の支援が行われています。

東日本大震災の経験から株式会社ファミリーマートは、自社工場にて天然水の製造を続けていて、自社生産~供給を実現しているのも特長です。物資提供の他には、被災した店舗の営業再開へ向けた復旧作業が行われています。

2-4.セイノーホールディングス

西濃運輸を展開しているセイノーホールディングス株式会社は、自社の専門技術を活かして支援物資の管理に関する支援を行っています。

石川県珠洲市の避難所に派遣された自治体職員は、物資の効率的な仕分けや保管管理に関するノウハウ不足によりスムーズな対応の難しい状況でした。問題を認識した福井県は、包括連携協定(自治体の抱える課題解決へ相互に協力していく協定)を結んでいるセイノーホールディングス株式会社へ支援を要請し、課題解決へ向けた取り組みをスタートさせます。

また、同社では、自社の社員を避難所へ派遣し、自治体職員へ物資の管理や仕分け方法などに関する技術を伝えました。

2-5.ヤマト運輸

2024年1月23日、ヤマト運輸株式会社では、能登半島地震で被害を受けた地域に向けた復旧・復興のために1億円を石川県へ寄付したことを発表しました。

また、同社は奥能登地域で日本郵便のサービスが休止しているため、共同輸送の他、営業所のスペースを提供するなど、配送関連のサービス再開や支援も行っています。

2-6.花王

花王株式会社は、日本赤十字社へ2,000万円の寄付を行っている他、生活必需品の提供といった支援を続けています。

ボディソープ、固形石鹸、医療洗剤、紙おむつや生理用品、ドライシャンプー、ウェットシート、紙おむつなどが、自治体などの要請に応じて届けられる仕組みです。さらに、手指消毒液に関しては既に現地へ届けられているので、衛生面での支援も少しずつ進んでいます。

また、花王ハートポケット倶楽部を通じた寄付の予定が予定されている状況です。

2-7.ファンケルグループ

ファンケルグループでは、義援金の寄付と物資の提供、ポイントの3点で被災地支援を行っています。

義援金は合計300万円集まり、日本赤十字社へ寄付されています。支援物資に関しては、ファンケルグループで販売されている発芽枚おかゆやサプリメントなどが含まれています。

ポイントによる支援は、ファンケルメンバーズサービスで貯まるファンケルポイントを寄付に活用できるという内容で、同社HPから手続きを進められるようになっています。ファンケルポイントを貯めている方も、ポイントを通じてすぐに支援を始められるのが特徴です。

2-8.イオン

イオン株式会社は、石川県珠洲市、輪島市、穴水町や新潟県などからの支援要請を受けて、能登半島地震発生から1月10日までに約137万点、2億円相当の物資の支援を行いました。

主な支援物資は食料品や飲料水で、迅速な支援活動といえます。また、能登半島地震の被害を受けた店舗の営業を再開し、地域のライフラインとしての役割を担っています。

2-9.P&G ジャパン

P&G ジャパン合同会社は、自治体などと連携しながら生活用品関連の物資を届けています。

主な支援物資は、シャンプーとリンス、紙おむつやおしりふき、生理用品、トイレ用の消臭剤とスプレーといった内容で、どれも生活に欠かせない品目です。また、食料品や寒さをしのぐために役立つアルミブランケット、復旧活動などに必要な軍手や手袋なども提供されています。

今後も被災地の状況やニーズに合わせて、物資の支援が行われる予定となっています。

2-10.トヨトミ

暖房や空調製品などの製造販売事業を展開している株式会社トヨトミでは、対流形石油ストーブ560台を被災地に届けています。

対流形石油ストーブは、360度方向に熱を伝えられる高火力の暖房器具なので、広い範囲をスピーディに温める必要のある避難所などに適しています。また、コンセントが不要なので、さまざまな場所に設置できるのも特長といえます。

被災地では厳しい寒さが続いていて、石油ストーブなどの暖房器具をはじめ、防寒着や防寒具なども重要な支援物資のひとつです。

3.海外からの寄付状況

能登半島地震の発生後、海外からの支援についても動きが出ています。外務省によると、米国など先進7か国(G7)や中国、台湾など、2月22日時点で172の国・地域43の国際機関からお見舞いのメッセージや支援の申し出が寄せられています。(※参照:令和6年能登半島地震(各国・地域等からのお見舞い)

たとえば、台湾では民間からの支援金が集まっていて、地震発生から1月7日までに約3億9,300万円もの金額まで増えています。また、台湾当局は集まった支援金を能登半島地震で被害を受けた地域の復旧・復興に活用してもらおうと、日本への送金を検討しています。

その他、1月5日には、米国政府から被災地で活動するNGOのピースウィンズ・ジャパンに対して10万ドルの支援が、1月11日には韓国政府から300万ドル、1月17日にはモンゴル政府から10万米ドルの支援が外務省を通じて発表されています。

4.まとめ

能登半島地震の発生以降、今回紹介したケースの他にも多数の企業が、被災地支援を継続的に行っています。また、支援方法は、寄付だけではなく食料品や飲料水、衣類や日用品、衛生用品をはじめとした物資の提供、復旧活動に必要な技術の提供など多岐にわたっています。

企業の被災地支援を知り自分にも何かできることはないか考えている方は、被災地の受け入れ体制が整った段階で検討するのが大切です。物資による支援やボランティア経験の少ない方は、少額の寄付から検討を進めてみましょう。

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菊地 祥

FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。