個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット・デメリットは?始め方も

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人生100年時代を迎え、若い年代から老後の生活資金を運用・形成する重要性がますます高まっています。資産運用の方法は数多くありますが、中でも手頃な掛金で運用できる方法として個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。

iDeCoは加入者が毎月一定の掛金を積み立て、投資信託や保険・定期預金などの金融商品で運用を行うサービスであり、節税メリットを享受しながら老後の生活資金を確保できる手段として注目されています。

そこでこの記事では、iDeCoの特徴からメリット・デメリット、iDeCoの始め方について詳しくご紹介するので、関心のある方は参考にしてみてください。

目次

  1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)の5つの特徴・メリット
    1-1.将来の年金を自分で作ることができる
    1-2.積み立てによって税金が安くなる
    1-3.運用益に税金がかからない
    1-4.商品が幅広いニーズに対応している
    1-5.少額で始めることができる
  2. 確定拠出年金(iDeCo)のデメリット・注意点
    2-1.商品ごとにリスクがある
    2-2.60歳になるまで引き出せない
    2-3.手数料がかかる
    2-4.受取り時に税金がかかる
  3. 確定拠出年金(iDeCo)の始め方
    3-1.金融機関を決めて書類を取り寄せる
    3-2.加入申込書を作成・提出する
  4. まとめ

1 個人型確定拠出年金(iDeCo)の5つの特徴・メリット

年金制度への加入は国民の義務の一つであり、中でも国民年金や厚生年金などは公的年金と呼ばれています。一方、iDeCoは加入者本人が毎月一定の掛金を積み立て、投資信託や保険・定期預金などの金融商品で運用を行う確定拠出型の私的年金制度です。iDeCoでは積み立てた掛け金や運用益を60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。

それでは、iDeCoの詳しい特徴やメリットを確認してみましょう。

1-1 将来の年金を自分で作ることができる

将来受け取る公的年金の掛金は制度的に定められているため、基本的には自由に設定することができません。そのため、老後の生活資金に不安を抱えている方は少なくなく、特に自営業やフリーランスの受給額は、一般的な会社員より少ないと指摘されています。

一方、iDeCoは自分が設定する将来的な目標期間や目標額に応じて、毎月の掛金額を一定の範囲内で自由に決めることができ、運用する金融商品の種類も自分の投資方針に応じて好きなように選べます。自分の手で将来の公的年金や企業退職金の不足分を補填できる資産を作ることができるのが特徴です。

1-2 積み立てによって税金が安くなる

iDeCoでは、加入者が毎月一定の掛金を積み立て、金融機関が用意した投資信託や保険・定期預金などの金融商品で運用を行います。この際、積み立てる掛金の全額を所得控除の対象にすることができます。

所得税・住民税は、その年の収入額から経費や所得控除等を差し引いて求める課税所得に税率を乗じて算出されます。
iDeCoの掛金は、課税所得を算出する際に所得控除として収入額から差し引くことができるため、そのぶん課税所得が少なくなり、税金が安くなります。

1-3 運用益に税金がかからない

通常、投資信託による運用益や定期預金の利息には、20.315%の所得税・住民税がかかりますが、iDeCoでは、投資信託・保険・定期預金などの金融商品で運用を行っても、運用益に対して税金は一切かかりません。税金として引かれる20.315%の部分もそのまま運用に回すことができるので、資産形成の効率も良くなります。

1-4 商品が幅広いニーズに対応している

iDeCoで運用する金融商品の種類には、大きく分けて「元本確保型」「元本変動型」の2つがあります。

元本確保型には、定期預金、国債・地方債、保険などがあり、利回りはあまり高くありませんが、原則として元本割れにならないことから、安全第一に運用を行いたい方に向いています。

一方、元本変動型には投資信託が用意されており、元本割れのリスクはありますが、運用次第で利益を伸ばせることから、多少のリスクをとっても資産を増やしたい方に適しています。

例えば、日経平均株価やTOPIXなどのベンチマーク以上の利益を狙う上級者向けのアクティブファンドや、初心者向けとしてはコストが低く、ベンチマークに連動するタイプのインデックスファンドなどが用意されています。

このようにiDeCoでは、加入者の幅広いニーズに対応した金融商品が揃えられています。

1-5 少額で始めることができる

iDeCoの積立は5,000円から始めることができるため、月々のお小遣いの中から無理なく負担することも可能です。毎月の積立額は少額でも、10~30年の長期にわたって積立・運用を行うため、結果的に大きな資産形成を狙うことができます。

なお、毎月の掛金は自由に設定できますが(※自営業者等の第一号保険者の場合、上限は6万8000円)、生活費を圧迫しないよう無理のない範囲で設定することが重要です。

2 確定拠出年金(iDeCo)のデメリット・注意点

次に、iDeCoのデメリットや注意点についても確認しましょう。

2-1 商品ごとにリスクがある

iDeCoには元本確保型、元本変動型の2種類がありますが、元本確保型の定期預金、国債・地方債、保険などは安全型の金融商品として原則的に資産額が減少しないタイプとなります。運用元の破綻などがない限り投資元本を毀損する恐れはまず無いため、リスクの低い商品となっています。

しかし、元本変動型といわれる投資信託は、その時々の経済・景気動向の影響を受けるため、資産額が増える場合もあれば、減る可能性もあります。また、投資信託を運用するファンドマネージャーの運用方針や腕次第で運用成績に差が生じるタイプとなります。

元本変動型では、資産を大きく増やせるチャンスがある反面、場合によっては元本割れが生じる可能性があることを留意する必要があります。このように、iDeCoでは選ぶ金融商品によってそれぞれにリスクが存在しているため、それを把握したうえで投資戦略を考えることになります。

2-2 60歳になるまで引き出せない

iDeCoで積み立てた資産は60歳になるまでは引き出すことができない点にも注意しましょう。60歳になった時点で加入期間が10年以上あれば、年金・一時金として受け取ることができますが、加入期間が10年未満の場合は受取り年齢が遅くなります(最高65歳まで)。

手元に急な資金が必要になった場合でも途中解約はできないので、毎月の掛金は余裕資金で行うことが大切です。

2-3 手数料がかかる

iDeCoを始めるには、金融機関にiDeCo専用口座を設ける必要があり、専用口座を開設する際は「口座開設手数料」がかかります。口座開設手数料は口座開設時に1回だけかかる費用であり、一律2,829円(税込)となっています。

また、運用中には毎月「口座管理手数料」がかかります。こちらも一律となっており、月171円(税込)となります。これに加えて、金融機関ごとに独自の管理手数料(0円~数百円程度)が上乗せされるケースがありますので、口座開設前にしっかりとチェックをしましょう。

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2-4 受取り時に税金がかかる

iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に年金または一時金などの形で受け取ることができますが、その際は受取額に応じた所得税・住民税がかかります。積み立てた資産は元々自分のお金ですが、積立時に掛金全額が所得控除の対象になった代わりに、受け取る際に税金がかかる仕組みである点に注意が必要です。

ただし、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象になり、次のように加入期間に応じた控除枠が設けられています。

公的年金等控除:年齢・収入金額に応じ、年金収入から一定額が控除される
退職所得控除:加入期間20年までは1年あたり40万円。21年目以降は1年あたり70万円が控除され、1,500万円までなら全額控除される

3 確定拠出年金(iDeCo)の始め方

次は、iDeCoを始める手順を確認しましょう。

3-1 金融機関を決めて書類を取り寄せる

iDeCoを始めるには、金融機関にiDeCo専用口座を設ける必要があります。そして、専用口座は一つしか作ることができないので、金融機関選びが重要になります。金融機関によって利用できる金融商品(投資信託や保険の種類など)や口座管理手数料が異なります。金融機関を選ぶ際のポイントは次の通りです。

  • 自分のタイプに合った金融商品が用意されている金融機関を選ぶ
  • 口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ

口座開設する金融機関が決まった後は、案内書や加入申込書など一式を取り寄せます。金融機関のウェブサイトで、iDeCo申込・資料請求ページに必要事項を入力・送信すれば、書類一式を送ってもらえます。

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3-2 加入申込書を作成・提出する

加入申込書が到着した後は、記入案内に従って記入していきます。この際、会社員や公務員の方は、「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」という証明書を貰う必要があります。勤め先の担当部署に提出し、「事業主の証明書」に印を貰わなければなりません。この時、勤め先でiDeCo加入がはじめての場合は、「事業所登録申請書」と「事業主の証明書」の両方を作成してもらう必要があります。

また、加入申込書の作成では、毎月の掛金額や掛金の支払い方法(銀行口座引き落とし・給与から天引きなど)を決めて記入します。

次に、購入する金融商品の種類や購入割合を決めて記入します。購入する金融商品の種類や購入割合は、加入申込段階で記入を求められる場合の金融機関と、口座開設後でも良い金融機関があります。

加入申込書類がすべて準備できたら返送します。書類の審査は国民年金基金連合会で行い、手続きが完了するまでは1~2か月程度かかります。この時、加入申込書への記入誤りや不足書類などがあれば、修正手続きが必要になるので加入申込書類を送付する前によく確認しましょう。

国民年金基金連合会の審査が完了した後は、以下の書類が指定した住所に届きます。

  • 個人型確定拠出年金確認通知書
  • 口座開設のお知らせ
  • コールセンター・インターネットパスワード設定のお知らせ

以上でiDeCoの口座開設手続きは完了です。

4 まとめ

人生100年時代を迎え、日本人の平均寿命も伸びた今、老後の生活期間はこれまでよりも長くなっています。そのため、若い頃から自分の老後を見据え、生活資金を運用・形成しておく重要性は日々高まっています。

iDeCoは、毎月少額から将来の公的年金や企業退職金の不足分を確保できるという点で、初めての資産運用にも向いており、税制上の優遇措置も受けられます。元本変動型では元本を毀損する可能性もありますが、分散投資をすることでリスク低減を図ることも可能なので、運用した後は定期的にポートフォリオを見直すことで様々な環境変化にも対応することができます。

この記事を参考にiDeCoを始める際は、制度の特徴からメリットとデメリットまでをしっかり確認してから、申し込み先の金融機関や商品を慎重に選ぶようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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