認定特定非営利活動法人(NPO)の「カタリバ」は1月7日、経済的事情を抱える家庭の支援事業「キッカケプログラム」で、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下、生活困窮世帯で、かつ自主休校せざるをえない事情を抱えた子どもたちに、パソコンとWi-Fi貸与と学習支援を行うと発表した。
カタリバは「どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会」を目指して2001年から活動する教育NPO。高校への出張授業プログラムから始まり、11年の東日本大震災以降は子供たちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいる。
今回の緊急事態宣言発令に伴う一斉休校は行われていないが、「一斉休校がなくても自主的に休校しなければならない子たちがいる」とカタリバは指摘する。背景には家庭の生活困窮がある。厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、子供の貧困率(一定基準を下回る所得の家庭で育つ子供の割合)は 13.9%、およそ7人に1人が貧困状態に陥っている。また、同省の「平成28年度全国 ひとり親世帯等調査結果報告」では、父親の平均年間就労収入398万円に対し、母親の収入は200万円というデータも発表されており、「シングルマザーのひとり親世帯は、さらに経済的に困難を抱えやすい」(カタリバ)傾向にある。
母親が働いている場合、子供は学校が終わった後の時間を自宅で一人で過ごすケースが増えている。コロナに伴う休校の長期化は、学校と子供たちをインターネットで繋ぐオンライン学習を進める契機となったが、経済的事情を抱える家庭ではオンライン学習をするための環境すら整っていないケースも少なくない。カタリバのキッカケプログラムは、そうした子供たちにオンラインの学びの機会を提供するものだ。
貧困や不登校といった原因以外に、本人や家族が病気などを患い、自宅から外に出づらい困窮世帯を対象に、パソコン、Wi-Fiの無償貸与と学びのサポート枠を増設し、平日毎朝オンライン自習室を開室する。申込期間は一次募集が1月7日から12日まで、二次募集は13日から21日まで。機器の貸与期間は1月から3月20日までの予定。
対象は小学4年生から高校3年生の子供がいる家庭で、病気やそのほかの特別な事由で自主休校にせざるを得ない、自治体から発行される就学援助受給証明書などを持っている、子供が使えるデバイスやWi-Fiがない、学校からオンライン授業や宿題が出ていても取り組めていないといった事情を持つ家庭から申し込みを受け付ける。地域は全国、緊急事態宣言が発令していない自治体にも門戸を開く。
なお、機器貸与後には、子供と保護者と一緒に参加する初回オンライン研修、子供の週1回のグループでのオンライン面談、保護者が月1回グループでのオンライン面談を受けることが条件となる。
【関連サイト】認定特定非営利活動法人「カタリバ」
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