マネックス証券は代表的なネット証券会社のひとつです。口座開設数は約262万で、新NISAなど様々な対象への投資ができます。
2024年1月からスタートした新NISAは「少額投資非課税制度」とも呼ばれており、1年間で360万円分までの投資額に限定されているものの、その投資額内で得た運用利益に税金がかからない点が特徴です。さらに、つみたて投資枠で選べる金融商品は金融庁が厳選した銘柄であるため、扱う商品は証券会社それぞれで異なる場合があります。
また、「つみたて投資枠の注意点がよくわからない」「マネックス証券でつみたてNISAの口座開設をするメリットは?」といった疑問の声も少なからず聞かれます。
今回は、マネックス証券のNISAで積立投資を始める人向けに、特徴やメリット・デメリットをまとめました。また注目の銘柄も解説します。マネックス証券での口座開設を検討する際の参考にしてください。
目次
- マネックス証券とは
- マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)のメリット・特徴
2-1.充実の金融商品
2-2.マネックスポイントが貯まる
2-3.100円から積み立て可能
2-4.定期自動入金サービスが無料で利用できる
2-5.資産設計ツールが利用できる
2-6.クレカ積立でポイント還元最大2.2% - マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)のデメリット・注意点
- マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)注目銘柄
4-1.ニッセイ日経225インデックスファンド
4-2.eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
4-3.eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
4-4.iFree 8資産バランス - まとめ
1.マネックス証券とは
運営企業 | マネックス証券 |
代表者 | 代表取締役社長 田原務、相川浩 |
住所 | 〒107-6025 東京都港区赤坂1丁目12番32号 |
設立年月 | 1999年5月 |
資本金(資本余剰金含む) | 13,195百万円(2024年6月14日現在) |
従業員数 | 380人(2023年6月30日現在) |
登録番号 | 関東財務局長(金商)第165号 |
事業内容 | 金融商品取引業者 |
上場有無 | 上場(マネックスグループ) |
NISA口座開設数 | 不明 |
口座管理手数料 | 無料 |
最低投資額 | 100円 |
自動積立金額 | 100円単位 |
取り扱い商品本数 | 228本(つみたて投資枠、2024年6月時点) |
取り扱い金融商品 | 指定インデックス投資信託 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等) (上場株式投資信託(ETF)は対象外) |
積立頻度の種類 | 毎日、毎月 |
ポイント | マネックスポイントを貯める |
マネックス証券は1999年に設立された大手ネット証券会社の1社です。20年以上の長い歴史があり、設立当時からインターネットでの取引を提供しています。ちなみに、会社としてのスタートは現マネックスグループ会長の松本氏とSony株式会社の共同出資で設立されたことに始まり、2005年には日興ビーンズ証券、2010年にはオリックス証券を吸収合併、2013年にはソニーバンク証券株式会社と合併、2023年には株式会社NTTドコモと資本業務提携を締結して今の形になりました。
ネット証券会社のメリットを生かして手数料が安価に設定されており、またユーザーは店舗に出向く必要がなく、ネットで口座開設の手続きや取引が全て完結するため、仕事が忙しい人や若い世代など多くの人から注目されている証券会社です。
2.マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)のメリット・特徴
ここでは、マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)の特徴やメリットをみていきましょう。マネックス証券のNISAを検討する際の参考にしてください。
2-1.充実の金融商品
マネックス証券のNISAのつみたて投資枠で購入できる金融商品の数は、2024年6月現在で228本です。つみたて投資枠の全銘柄は293本なので、その多くを網羅しているといえます。そのうちインデックス投信は176本、それ以外のアクティブ投信等は117本と豊富に揃っています。
インデックス投信とは、日経225やTOPIXなどの株価指数に連動する投資成果を目指すタイプの投資信託です。信託報酬(運用中、保有するだけで発生するコスト)が基本的に低いため、長期保有に向いているのが特徴です。
一方、アクティブ投信とは、指定の株価指数の成果を上回るパフォーマンスを目指す投資信託です。信託報酬は基本的に高めで、基準価額の変動幅も大きくなりやすいため、インデックス投信よりもハイリスク・ハイリターンとなります。
マネックス証券では、228本の中から長期・分散・積立に適した選べるため、より自分に合った資産運用がしやすいといえます。たとえば、国内の株価指数に連動するタイプのインデックス投信と、経済成長の著しい米国の株価指数に連動する投資信託を組み合わせたり、債券市場やREIT(不動産投資信託)市場の値動きにも連動するタイプのバランス投信でリスク分散を図ったりできるなど、商品の性質を検討しつつ、自分のニーズに合わせた選択が可能です。
2-2.マネックスポイントが貯まる
マネックス証券では独自のポイントプログラムである「マネックスポイント」を貯められます。マネックスポイントとは、マネックスカードの利用や投資信託の保有で貯まるポイントで、他社(dポイント、Vポイント、アマゾンギフトカード等)にも交換可能です。投資信託を持っているだけで最大で年率0.08%のポイントが貯まり、NISAの利用も対象です。
貯まったポイントの利用用途は以下のようになっています。
- Amazonギフト券と交換
- dポイントと交換
- Vポイントと交換
- Pontaポイントと交換
- nanacoポイントと交換
- WAONポイントと交換
- ANAやJALのマイルと交換
- 日本赤十字社やReadyfor(受付期間のみ)への寄付
- 投資信託の買付
- 株式売買手数料に充当
- 暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、リップル)との交換
貯まったマネックスポイントはさまざまな用途で利用できます。株式売買手数料(信用取引、単元未満株取引含む)への充当と投資信託の買付には1ポイント=1円換算で利用可能で、代金の一部または全額に充てられます。暗号資産の場合は、200マネックスポイントから1マネックスポイント単位で交換可能です。
2-3.100円から積み立て可能
マネックス証券のNISAでは100円から積立可能です。少額からスタートできるため、お財布の状況に合わせた無理のない投資が可能になります。
NISAで積み立てられる金額は年間360万円までです。その内訳は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円となっています。例えば、つみたて投資枠なら毎月10万円を積み立てれば利用可能上限額をまるまる使い切ることができます。なお、マネックス証券では100円から積立可能ですが、使い切れなかった分を来年に繰り越すことはできないので注意してください。1年間で利用できる枠は、つみたて投資枠、成長投資枠ともに決められた金額までとなります。
なお、マネックス証券の現在の積み立て頻度は、「毎日」「毎月」から自由に選ぶことができます。さらに毎日積立は、1日当たりの積立額を指定する「日額指定」と、1か月当たりの積立額を指定して「月額指定」から選べます。日額指定の場合、1か月当たりの営業日数が変わっても毎日の積立額は変わりませんが、月額指定の場合、1か月当たりの営業日数が変われば、1日当たりの積立額が自動的に計算し直されるのが特徴です。
このように、積立頻度の選択肢が多いことで、より細かい計画に沿った投資ができるようになっています。
2-4.定期自動入金サービスが無料で利用できる
マネックス証券では、指定している銀行等の金融機関から毎月1回の引き落としの際に、指定金額をNISA口座に自動入金してくれる「定期自動入金サービス」が利用できます。これにより普段利用している銀行口座からマネックス証券のNISA口座へ手軽に入金できます。定期自動入金サービスの利用料や手数料は無料です。
定期自動入金サービスを利用した場合、手間が省けるのみならず、振込忘れを防ぎつつ、容易に資金移動が可能となります。
2-5.資産設計ツールが利用できる
マネックス証券では、「MONEX VISION(マネックス ビジョン)」という資産設計ツールを利用できます。こちらは主に資産運用をサポートしてくれるアプリです。
「MONEX VISION(マネックス ビジョン)」は金融工学理論による診断で最適なポートフォリオ(資産構成)を分析し、追加購入を検討する際のアドバイスを行います。具体的な銘柄名を挙げてくれるなど、そのアドバイスは投資初心者でもわかりやすい内容です。パソコン・スマートフォン、どちらからも利用できる点もメリットだといえます。
他にも利用しやすいアプリとして「マネックス証券アプリ」があります。スマートフォン向けのUI設計で、自分の利用状況に合わせてカスタマイズできるのが特徴です。指紋認証・顔認証対応のスマートフォンで認証連携が可能であるため、スムーズなログインが可能な点は嬉しいポイントだといえるでしょう。
2-6.クレカ積立でポイント還元最大2.2%
マネックス証券のクレジットカードである「マネックスカード」で、投資信託の積立購入を決済すると、ポイント還元率が最大2.2%になります。
クレカ積立による通常のポイント還元率は1.1%ですが、2023年10月以降にマネックス証券のNISA口座を開設している場合、2024年9月30日までの期間限定でポイント還元率が2.2%となっています(2023年9月までにマネックス証券のNISA口座を持っている場合のポイント還元率は最大1.5%です)。
3.マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)のデメリット・注意点
マネックス証券の利用には注意が必要なものがあります。
まず、マネックス証券のつみたて投資枠の対象銘柄の中に、ETF(上場投資信託)はありません。取り扱いがあるのは「指定インデックス投資信託」と「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)」の2種類です。
2024年6月14日現在、金融庁が指定するつみたて投資枠対象商品293本の中にETFは8本(国内3本、海外5本)あるものの、マネックス証券では取り扱いがないため、ETF(上場投資信託)の購入を検討している場合は注意しましょう。
また、マネックス証券の問い合わせ先として、「FX・先物オプション・米国株ダイヤル」「相続手続き」「iDeco専用ダイヤル」等はあるものの、NISA専用のコールセンターがありません。ネット証券会社のため、問い合わせ窓口が豊富でない点はデメリットですが、メールやチャットでの丁寧なサポートには対応しています。
なお、新NISAは1人1口座に限定されており、利用できる金融期間も1つと限定されています。金融機関の変更は1年単位で変更が可能であるものの(※変更したい年の前年10月1日から変更したい年の9月30日までに手続きする必要あり)、慎重に選定する必要があります。
また、NISA口座では損益通算や繰越控除ができない点にも注意が必要です。特定口座の場合、損失が発生した際には他の特定口座で利益が出ていれば損益通算して、税金の支払いを抑えることが可能ですが、NISA口座で出た損失は、税務上ないものとみなされるため、損益通算および損失の繰越控除(控除しきれなかった分を翌年以降に繰り越して控除すること)ができません。
4.マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)注目銘柄
マネックス証券のNISA(つみたて投資枠)にある注目銘柄について見ていきましょう。マネックス証券が公開している2024年5月1日~5月31日の「つみたて投資枠月間積立契約件数」のランキングを参考に、注目銘柄を解説していきます。
※2024年6月14日時点の情報です。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
4-1.ニッセイ日経225インデックスファンド
信託報酬 | 純資産総額 | 基準価額 | 銘柄の種類 | 為替ヘッジ | 委託会社 |
---|---|---|---|---|---|
0.275% | 291,651百万円 | 47,673円 | 指定インデックス投資信託 | - | ニッセイアセットマネジメント |
国内の上場株式に投資するファンドです。日経平均株価(225種・東証)は、東証第1部上場銘柄の中の、代表的な225銘柄の平均株価指数です。その日経平均株価(225種・東証)の動きに連動する成果を目指します。
日経平均株価指数は、国内の株式市場がどのような動きになっているかを継続的にとらえられる指数です。200銘柄以上に対して、一定期間の空白期間を空けて資金を投入するドルコスト平均法投資を行います。
期間ごとのトータルリターンは、1年+26.52%、3年+11.93%、5年+15.21%となっています。リスクに対して効率的に運用できているかを示すシャープレシオは、1年1.63、3年0.77、5年0.92です(※数値が高いほど効率的に収益を上げていることを示しています)。
また、ニュース等で目にする機会の多い日経平均株価を見れば、ニッセイ日経225インデックスファンドの値動きがわかるというメリットもあります。
4-2.eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
信託報酬 | 純資産総額 | 基準価額 | 銘柄の種類 | 為替ヘッジ | 委託会社 |
---|---|---|---|---|---|
0.15189% | 164,681百万円 | 16,214円 | 指定インデックス投資信託 | なし | 三菱UFJ国際投信 |
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行うインデックスファンドです。対象インデックスに採用されている新興国の株式等に投資を行います。
新興国とは中南米・東南アジア・中東・東欧といった国々を指すものです。エマージングカントリーと呼ばれ、高い成長性を秘めている国のことを指します。
期間ごとのトータルリターンは、1年+24.89%、3年+5.89%、5年+11.10%となっています。シャープレシオは、1年2.37、3年0.47、5年0.66です。
4-3.eMAXIS Slim 全世界株式(日本除く)
信託報酬 | 純資産総額 | 基準価額 | 銘柄の種類 | 為替ヘッジ | 委託会社 |
---|---|---|---|---|---|
0.1144% | 20,578百万円 | 10,762円 | 指定インデックス投資信託 | なし | 三菱UFJ国際投信 |
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用します。日本を除く先進国・新興国の株式等(DR(預託証書)を含む)への投資を行います。
先進国および新興国すべての株式等への分散投資ができるため、多くの地域をカバーしたいという人に向いている投資信託です。分散的に、日本を除く全世界に投資することが可能です。信託報酬が0.1%を切るなど低コストであり、長期投資に向いている点がメリットです。
期間ごとのトータルリターンは、1年+36.92%、3年+18.47%、5年+20.04%となっています。シャープレシオは、1年3.26、3年1.34、5年1.25です。
4-4.iFree 8資産バランス
信託報酬 | 純資産総額 | 基準価額 | 銘柄の種類 | 為替ヘッジ | 委託会社 |
---|---|---|---|---|---|
0.242% | 75,059百万円 | 18,058円 | 指定インデックス投資信託(資産複合タイプ) | なし | 大和アセットマネジメント |
国内外の株式、国内外の債券、国内外のREITの8資産に分散投資し、各資産クラスにおける対象インデックスに連動する投資成果を目指して運用します。8資産(国内株、先進国株、新興国株、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、海外REIT)に均等分散投資を行います。
値動きの相関性が比較的低い株式、債券、REIT(不動産投資信託)に分散投資する投資信託のため、基準価額の変動リスクを抑えて長期的に運用したい方に向いています。信託報酬は0.242%とそこまで低くないものの、月間積立契約件数ランキングの「複合商品(バランス)型(リート含む)」部門で1位を獲得するなど人気ファンドなっています。
期間ごとのトータルリターンは、1年+17.67%、3年+8.46%、5年+9.07%となっています。シャープレシオは、1年2.39、3年1.05、5年0.89です。
まとめ
マネックス証券でNISAの口座を開設した場合、マネックスポイントが溜まる、MONEX VISIONやマネックス証券アプリなどの利用しやすいツールやアプリが揃っているなど、多くのメリットを享受できます。
しかし、ETF(上場投資信託)は対象ではないことや、NISA専用のコールセンターがない点には注意が必要です。
つみたて投資枠は、最低投資金額が低いことから、投資初心者でもスタートのハードルは高くないといえます。しかし、投資であるため、元本割れのリスクはあります。自身の資産状況に応じて、無理のない範囲でNISAを利用しましょう。
鈴原 千景
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