暗号資産を活用した新しい寄付プラットフォーム「The Giving Block」とは?仕組みと展望を解説

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目次

  1. The Giving Blockとは
  2. The Giving Blockが解決する課題と仕組み
  3. The Giving Blockの展望は?

近年、暗号資産市場の拡大に伴い、新しい寄付の形として暗号資産による寄付が注目を集めています。その中心的なプラットフォームとして台頭しているのが、The Giving Blockです。この記事では、このプラットフォームの概要と、その取り組みについて解説します。

The Giving Blockとは

The Giving Blockは、2018年にパット・ダフィーとアレックス・ウィルソンによって設立されました。設立の背景には、急速に成長する暗号資産市場において、その資産を社会貢献に活用したいと考える保有者が増加する一方で、それを受け入れる体制が整っていない非営利団体の現状がありました。このギャップを埋めるべく、暗号資産での寄付に特化したプラットフォームとして誕生しました。

最大の特徴は、暗号資産による寄付プロセスを完全に自動化し、寄付者と非営利団体の双方にとって使いやすいシステムを構築したことです。Bitcoin、Ethereum、USDCをはじめとする70種類以上の暗号資産に対応しており、寄付者は保有する暗号資産を直接寄付することが可能です。非営利団体側は、受け取った暗号資産を即座に法定通貨に換金することもできます。

さらに、寄付対象は暗号資産だけでなく、株式やDAFによる寄付も可能にするなど、富裕層が気軽に寄付ができるように扱う資産の幅を広げています。

The Giving Blockは現在設立から6年を経過し、その利用者数は急速に拡大しています。2023年までに1,000以上の非営利団体が参加し、累計寄付額は1億ドルを超えました。参加している団体には、Save the Children、United Wayといった国際的な大手非営利団体から、地域に根ざした小規模な慈善団体まで、幅広い組織が含まれています。

また、暗号資産寄付のプラットフォームは、従来の寄付システムでは接点を持つことが難しかった暗号資産コミュニティとの橋渡しに成功し、新たな寄付文化を創出しています。実際、The Giving Blockを通じた寄付の約60%は、これまで慈善活動への参加が少なかった若年層(25-40歳)からのものだとされています。

実際、2022年にバンク・オブ・アメリカが発表したレポートによれば、アメリカの裕福な若い投資家の47%が仮想通貨を保有しているとされ、その世代はサステナブルや寄付にも興味がある世代だとしています。よって、The Giving Blockのような暗号資産での寄付プラットフォームは新しい寄付層の開拓に貢献していると言えます。

また、同プラットフォームは単なる寄付の仲介に留まらず、非営利団体向けの包括的なサポートも提供しています。暗号資産の受け入れに必要な技術的インフラの提供はもちろん、コンプライアンス対応、マーケティング支援、そして暗号資産コミュニティとのネットワーキング機会の創出まで、幅広いサービスを展開しています。

このように、The Giving Blockは暗号資産という新しい技術を活用することで、従来の寄付システムを革新し、より効率的で透明性の高い慈善活動の実現に貢献しています。次章では、同プラットフォームが具体的にどのような課題を解決し、どのような仕組みで運営されているのかについて、詳しく見ていきます。

The Giving Blockが解決する課題と仕組み

従来の寄付システムには、いくつかの構造的な課題が存在していました。まず、国際送金に伴う高額な手数料と時間的なロスです。特に緊急支援が必要な災害時などにおいて、この遅延は深刻な問題となっていました。また、寄付金の使途を追跡することが困難で、透明性の確保が課題とされてきました。The Giving Blockは、これらの問題に独自のソリューションを提供しています。

技術的な仕組みは、主に3つの要素で構成されています。第一に、暗号資産ウォレットの統合システムです。各非営利団体に専用のウォレットが割り当てられ、寄付者はそこに直接送金することができます。第二に、自動換金システムです。受け取った暗号資産は、団体の希望に応じて即座に法定通貨に換金することが可能です。第三に、コンプライアンス管理システムです。寄付の記録や税務関連書類の自動生成など、法規制対応に必要な機能を提供しています。

寄付者にとっての最大のメリットは、税制優遇措置の適用を受けられる点です。The Giving Blockは、米国内のIRS認定を受けた501組織との連携を確立しており、暗号資産での寄付についても従来の寄付と同様の税制優遇を受けることができます。

非営利団体側にとっても、The Giving Blockの活用には様々なメリットがあります。まず、技術的な専門知識がなくても、暗号資産での寄付受け入れが可能になります。プラットフォームが提供する管理画面は直感的に設計されており、従来の銀行口座のような感覚で利用できます。また、暗号資産特有の価格変動リスクも、即時換金機能によって最小限に抑えることができます。

法規制対応については、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)の要件を完全に満たすシステムを構築しています。また、各国の規制当局との対話を継続的に行い、コンプライアンス体制の強化を図っています。

プラットフォームの収益モデルは、寄付額に対する少額の手数料と、非営利団体からの月額利用料で構成されています。この手数料は、従来の国際送金手数料と比較して大幅に低く抑えられており、寄付金の効率的な活用を可能にしています。

また、2024年より「EcoGift」と呼ばれる取り組みを開始し、The Giving Blockによる活動によって排出されたCO2量を計測し、全てオフセットしています。

The Giving Blockの展望は?

最後は展望となります。暗号資産を保有する富裕層の受け皿であり、これまでの寄付に関する透明性や国際送金の問題を解決するプラットフォームとなっているThe Giving Blockは非常に可能性を感じました。暗号資産の扱いに不慣れな寄付先の相手にも法定通貨で受け取りができる機能が実装されているため、どんな事業者も寄付の受け入れを可能にします。

今後も暗号資産業界が拡大するにつれて、より多くの非営利団体と寄付者が登録していくことが考えられます。拡大の戦略としては、寄付者に対しての税制処理をあらゆる国にローカル対応していくことや、例えばDeFiと連携して運用益の数%を自動で寄付できるようになるなどが考えられます。

いずれにせよ暗号資産寄付の領域は今後も拡大していき、既存の寄付プラットフォームを代替する存在になるポテンシャルを秘めていると考えています。今後の発展も引き続き追いかけていきます。