一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は11月29日、金融機関21社が「インパクト志向金融宣言」に署名したと発表した。同宣言は、民間金融機関が組織の目的として、投融資先の生み出す環境・社会への変化をとらえて環境・社会課題を解決するという考え方(インパクト志向)を持つことを前提に、創出されるインパクトを測定・マネジメント(IMM)を実施したうえでの投融資判断を推進するために、署名機関が互いに連携して活動していくためのイニシアティブ。「金融機関が社会から期待されている役割を果たすためには、その経営においてインパクト志向を持つことの重要性を理解しており、インパクト志向の投融資を各参加金融機関において実践するように取り組んでいく」「金融機関がその投融資活動を通じて生み出すインパクトを可視化し、投資戦略や投資判断に活用しインパクト創出に向けた努力を継続することが必要であると考えており、IMMを伴う投融資活動や金融商品の提供を推進する」など、横断的な7項目の行動指針を掲げる。
事務局のSIIFによると、日本のインパクト投資に金融機関が本格的に関わるようになったのは、2017年に日本で初めて組成された2つのソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)がある。神戸市のSIBに三井住友銀行が、八王子市のSIBにみずほ銀行が参画し、2社にGSG国内諮問委員会が加わった。
同委員会は、社会的インパクト投資をグローバルに推進することを目的に活動するイギリスのGlobal Social Impact Investing Steering Group(GSG)に加盟する日本の諮問委員会。発足から毎年、日本におけるインパクト投資の現状レポートを公表している。また、SIIFでも19年に新生銀行グループ、みずほ銀行との協働で、機関投資家が参加できるインパクト投資ファンド「はたらくFUND」を設立、インパクト投資と金融機関の繋がりを強めてきた。20年6月から金融庁と同委員会が共催する「インパクト投資に関する勉強会」には金融関係者が多数参加して関心の高まりを示した。今年2月、SIIFの発案で、インパクト志向金融宣言が具現化した。
同宣言に署名した21の金融機関はメガバンク、地方銀行、信用金庫・信用組合、資産運用会社、VC、アセットオーナー、保険会社など。インパクト志向の投融資およびインパクト測定・マネジメント(IMM)を実施するだけでなく、署名機関が定期的に集まり、ベストプラクティスや推進上の課題を共有しながら議論を行い、日本の金融業界がインパクト志向の投融資を自律的・持続的に発展させることができるよう努めていく。
署名機関は、アセットマネジメントOne株式会社、ANRI株式会社、株式会社環境エネルギー投資、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、京都信用金庫、グローバル・ブレイン株式会社、株式会社静岡銀行、株式会社新生銀行、第一勧業信用組合、第一生命保険株式会社、但馬信用金庫、日本ベンチャーキャピタル株式会社、Beyond Next Ventures株式会社、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社、プラスソーシャルインベストメント株式会社、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社、リアルテックホールディングス株式会社、株式会社りそなホールディングス、立命館ソーシャルインパクトファンド投資事業有限責任組合。
賛同機関は、国内が独立行政法人国際協力機構、一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ、SIIF、GSG国内諮問委員会。株式会社日本取引所グループ、海外がGlobal Impact Investing Network、Global Steering Group for Impact Investing。
【関連サイト】インパクト志向金融宣言文
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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