中国ネット通販最大手のアリババ集団(ティッカーシンボル:BABA(米国)、9988(香港))が18日に発表した2022年度7~9月期(2021年7~9月)決算は、売上高、1株利益ともにアナリスト予想を下回った(*1)。 中国景気の減速や当局による規制強化の影響が出ている。軟調な決算を受け、18日のニューヨーク証券取引所では株価が11.1%急落した(*2)。
売上高は前年同期比29%増の2006億元だった。過年度との比較や同業他社との比較のために一定の調整を加えた調整後EBITDA(金利・税金・償却費控除前利益)は同27%減の348億元。おもに新規事業への投資を拡大したことが利益の大幅減少につながった。アリババは今年これまでに、通販サイト「淘宝(タオバオ)」の特売サービスアプリである「淘特(タオター)」や東南アジア最大級のECプラットフォームである「Lazada(ラザダ)」などへ投資を拡大する方針を示していた。アリババのダニエル・チャン最高経営責任者(CEO)は、長期目標である持続可能な成長のための強固な基盤を築くべく、今期は国内消費、グローバリゼーション、クラウドコンピューティングという3つの戦略領域へ投資を継続したと述べた。
収益の稼ぎ頭であるコマース事業の売上高は1,711億元と、市場予想を下回った。 中国景気の減速が消費活動に打撃を与えているほか、独占禁止法違反やデータ保護を巡り、当局の規制強化の影響も受けている。今年4月には、アリババは独占禁止法に違反したとして、約3,000億円の罰金を科せられていた。また、同社は競合の京東集団(JDドットコム)のみならず、拼多多(ピンドゥオドゥオ)や「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)といった新興勢力との競争環境も激化しているという。
コマース事業とともに投資家が注視するクラウドコンピューティング事業に関しては、売上高が前年同期比33%増の200億元だった。また、調整後EBITDA(金利・税金・償却費控除前利益)は約4億元と、前年同期の赤字から黒転に成功している。
アリババは7~9月期決算の発表の際に、通期の売上高見通しを下方修正した。従来、前年比で約29.5%増を見込んでいたが、20~23%の成長に引き下げた。中国の景気減速や規制強化の影響が業績に色濃く出るなか、アリババがいかなる打開策を図るか注目したい。
【参照記事】*1 Alibaba Group「Alibaba Group Announces September Quarter 2021 Results」
CNBC「Alibaba shares drop 11% as its slashes guidance and earnings plunge on China’s slowdown」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「アリババ・グループ・ホールディング」
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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