海外不動産投資のキャピタルゲインとインカムゲイン、どう狙えばいい?

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これまで海外不動産投資は節税面がクローズアップされることが多かったのですが、実際には日本の不動産投資のようにインカムゲインを狙える国や、新興国なら値上がり益であるキャピタルゲインを狙える国もあるなど、利益の出し方も様々あります。

そこでこの記事では、海外不動産のキャピタルゲインとインカムゲインの特徴・魅力のほか、利益の出し方・狙い方を詳しく解説します。海外不動産投資に興味のある方は参考にしてみてください。

目次

  1. 海外不動産投資におけるキャピタルゲインとは
    1-1.不動産投資におけるキャピタルゲインの出し方
    1-2.海外不動産でキャピタルゲインを狙うポイント
  2. 海外不動産投資におけるインカムゲインとは
    2-1.不動産投資におけるインカムゲインの出し方
    2-2.海外不動産でインカムゲインを狙うポイント
  3. キャピタルゲインが狙える国・エリア
  4. インカムゲインが狙える国・エリア
  5. 海外不動産投資の注意点

1 海外不動産投資におけるキャピタルゲインとは

不動産投資でのキャピタルゲインとは、所有する不動産を売却したことで生じる、購入時の金額と売却金額との差額となる利益のことを指します。

1-1 不動産投資におけるキャピタルゲインの出し方

不動産を所有している間は様々な費用を支払うことになります。固定資産税や都市計画税などの税金から、修繕積立金や管理会社に支払う管理委託料などの経費まで様々です。

不動産売却時にはこのような出費を差し引いてキャピタルゲインを計算します。つまり、物件購入時の金額にその費用分以上を上乗せして売却額にすることで利益を狙うことになります。

不動産投資でキャピタルゲインを狙うには、土地価格の上昇が見込めることも重要です。国土交通省によると、東京・大阪・名古屋の土地の平均変動率は前年比で2018年がプラス0.7%、2019年がプラス1.0%となります。

首都圏ではこの数年マンション価格が上昇していますが、これは主に資材や人件費の高騰が販売価格に反映されている新築物件での話です。また、金融緩和によって住宅ローンの金利が下がり、マンションを購入しやすくなったことから需要が増えたことも一因です。

このように、中古物件が値上がりするかどうか=キャピタルゲインを得られるかどうかは、「地価の上昇」と「需要の増加」という要素が必要になります。

1-2 海外不動産でキャピタルゲインを狙うポイント

海外不動産は国内不動産よりもキャピタルゲインが狙いやすいと言われることがあります。その理由はいくつかあります。

まず、基本的に不動産価格が上昇するためには国全体の「経済成長」が必要です。物価上昇を背景に不動産が値上がりしても、それを購入できるくらいに国民の所得も増えなければなりません。インフレにより物価が上昇し、それに応じて所得も増えれば不動産価格も上昇していきます。

次に、「人口増加」も不動産需要の増加では欠かせない要素です。新築物件や中古物件の供給数は人口に比例します。人口や住宅が増えれば、病院や学校、ショッピングモールなどの住環境面も充実してきます。生活の利便性が向上すれば、そのエリアの不動産需要も増加し、不動産価格の上昇にもつながります。

そして、これらの要素を満たす国として新興国が注目されています。例えば東南アジアは平均国民年齢が若く、人口も増加しており、インフラ整備の必要性や安い労働力を求めて海外から企業が集まることで経済成長も続いています。それを見込んで世界中から投資マネーが流入しており、不動産価格の上昇が続いています。

このようにキャピタルゲインを狙うためには、「経済成長」と「人口増加」という2つの要素を押さえた国やエリアをピックアップする必要があります。

2 海外不動産投資におけるインカムゲインとは

インカムゲインとは、所有する不動産の部屋を貸し出すことで得る家賃収入を指します。

2-1 不動産投資におけるインカムゲインの出し方

所有する不動産を売却することで得られる利益がキャピタルゲインであることに対して、不動産を保有し続けて賃貸に出し家賃を得るのがインカムゲインです。バブル期以降、土地価格の値上がりが見込めない日本での不動産投資は、インカムゲイン狙いが中心となっています。

インカムゲインでは毎月入る家賃収入から、不動産所有にかかる様々な経費を差し引いた利益を狙います。上述した通り、不動産管理では不動産会社に支払う管理費やメンテナンス費用のほか、ローンを組んで不動産を購入していれば、そのローン返済金額も差し引きます。そのため、これらの出費を上回る家賃収入がなければ、インカムゲインで利益を出すことはできません。

現在、日本での不動産投資はインカムゲインが主流ですが、築年数が経過すると家賃は次第に下がっていきます。これは新築物件が次々に建てられることで賃貸の供給量が増えることと、築年数の経過によって単純に需要が低下することが原因となります。

つまり、インカムゲインで安定した利益を出すためには、物件の適切な維持管理と賃貸需要の見極めがポイントになります。

2-2 海外不動産でインカムゲインを狙うポイント

この数年は日本でも特に都市部における家賃上昇率が顕著ですが、今後の人口減少がどのように影響するのかが懸念されます。

一方、人口増加が続く新興国や、新築物件が少ない国ではインカムゲインが期待できます。新興国の場合、都市部の高級コンドミニアムは別として、現地の人も借りることができるような手頃な賃料設定ができる物件が増えており、人気となっています。物件価格も手頃なものがあるので、現金で購入すればローン返済の金利負担もありません。

都市部のコンドミニアムはほとんどがキャピタルゲイン狙いで投資家が購入しています。家賃設定もかなり高いので、賃借人の対象となるのは現地の富裕層か海外からの駐在員に絞られてきます。

そのため高級物件の賃借人需要には限りがあり、さらに新築のコンドミニアム建設が続くことから、安定したインカムゲインを狙うには難しい場合もあるでしょう。

一方、郊外にある手頃な価格の物件であれば、現地の人を対象に貸せるのでインカムゲインや高利回りを狙えるエリアも出始めます。

あるいは欧米の場合、日本とは異なり新築住宅の供給が少ないことで中古住宅の賃貸需要は安定しています。そのため築年数の経過によって家賃が下がり、インカムゲインが減少するという心配も日本ほどはありません。

3 キャピタルゲインが狙える国・エリア

キャピタルゲインを狙う際の指標となる不動産価格の値上がり率でランキングしたデータをご紹介します。IMFが公表している2019年第1四半期の「過去1年間の値上がり率」が大きな国トップ10は以下のようになっています。

隣の項目は、市内中心部の平方メートルあたり単価(単位は米ドル)です。さらにそのあとに2019年の実質GDP成長率予測も記しています。

順位 国・地域 値上がり率 1㎡の単価 GDP成長率
1 フィリピン 15.02% 1,855ドル 5.7%
2 ハンガリー 11.81% 2,416ドル 4.6%
3 ルクセンブルク 8.93% 10,091ドル 2.6%
4 ポルトガル 8.34% 2,953ドル 1.9%
5 セルビア 7.42% 2,117ドル 3.5%
6 スロベニア 7.08% 2,920ドル 2.9%
7 ポーランド 6.83% 2,326ドル 4.0%
8 クロアチア 6.58% 2,685ドル 3.0%
9 チェコ 6.48% 3,815ドル 2.5%
10 中国 5.68% 6,995ドル 6.1%

※IMF「Global Housing Watch」「Real GDP Growth」・NUMBEO「Property Prices」の情報をもとにHEDGE GUIDE編集部作成

上表のすべての国で不動産を購入できるわけではありません。なお、海外不動産を購入する際には、基本的にローンを組めないことも考慮したほうが良いでしょう。それを踏まえたうえで、日本からでも物件を購入しやすくキャピタルゲインが狙える国として候補に挙がるのは次のエリアになります。

順位 国・地域 値上がり率 1㎡の単価 GDP成長率
1 フィリピン 15.02% 1,855ドル 5.7%
25 シンガポール 2.66% 19,452ドル 0.5%
27 タイ 2.30% 3,660ドル 2.9%
31 米国 1.92% 2,589ドル 2.4%
33 マレーシア 1.61% 2,141ドル 4.5%

※出典・作成元同上

タイは不動産価格がかなり上昇していますが、そのほかの国はいずれも単価が安く、経済成長率は高いのが特徴です(※シンガポールを除く)。不動産価格の値上がりは経済成長率が高い国のほうが見込めることもあるため、世界中から投資マネーが流入することでキャピタルゲインが期待できます。

またフィリピン、タイ、マレーシアは物件価格もさほど高くないので、ローンが組めないとしても現金で購入することが可能な物件もあります。

例えば今後のフィリピンで狙い目のエリアはケソンシティ・マカティ・モンテンルパなどがあります。タイで狙い目のエリアはバンコク・プーケット・パタヤ・チェンマイなどが候補に挙がるでしょう。

4 インカムゲインが狙える国・エリア

インカムゲインを狙う際の指標となる値上がり率でランキングしたデータをご紹介します。IMF発表によると、2015〜2019年第1四半期までのインカムゲインの伸び率が高い国トップ10は、以下のようになっています(2015年を100として算出されています)。

また、市内中心部の平方メートルあたりの単価(単位:ドル)と、2019年の実質GDP成長率予測も記しています。

順位 国・地域 値上がり率 1㎡の単価 GDP成長率
1 カナダ 22.33% 4,719ドル 1.5%
2 ポルトガル 19.34% 2,953ドル 1.9%
3 オランダ 17.19% 4,502ドル 1.8%
4 アイルランド 14.68% 4,331ドル 4.3%
5 スペイン 14.60% 3,252ドル 2.2%
6 ニュージーランド 13.91% 4,779ドル 2.5%
7 ドイツ 13.78% 5,527ドル 0.5%
8 チェコ 13.56% 3,815ドル 2.5%
9 ルクセンブルク 12.03% 10,091ドル 2.6%
10 オーストリア 11.13% 5,399ドル 1.6%

※出典・作成元同上

上表の国を含めて、インカムゲイン狙いで人気なのは以下の国です。

順位 国・地域 値上がり率 1㎡の単価 GDP成長率
2 ポルトガル 19.34% 2,953ドル 1.9%
12 米国 8.09% 2,589ドル 2.4%
14 イギリス 6.87% 5,681ドル 1.2%

※出典・作成元同上

米国は上記のデータを見る限りでは単価が安いのですが、地域によって大きく違います。ニューヨークなどは他のエリアと比べても相当に高く、一部の富裕層を除いて現金で購入するのは難しいでしょう。ただし、エリアを選べば購入も可能で、インカムゲインも狙えます。狙い目のエリアとしては、テキサス州アラント・フロリダ州オーランドなどがあります。

また、ポルトガルは経済成長という面からも不動産市場には期待でき、物件価格もそれほど高くありません。さらに多くの新興国と異なり、土地を保有することもできます。人気エリアは、首都リスボンの中心部です。人口が多いため賃貸もつきやすく、ある程度の利回りも期待できます。

5 海外不動産投資の注意点

海外不動産投資では現金を多めに用意する必要があります。基本的に現地の銀行から融資を受けるためには、現地での居住が条件になります。さらにクレジットカードの使用といった信用履歴も必要な国もあり、住んでからすぐに不動産を購入できるというわけではありません。

国内でも海外不動産を担保に融資してくれる銀行はあまりないため、借りることができてもフリーローンという形が多くなります。その場合、すでに国内不動産を所有していることが条件だったり、不動産事業の海外展開の一環として融資することを条件にしたりするなど、ハードルは高めです。

また、海外不動産の購入では事前調査が欠かせません。物件選びから購入時・所有時・売却時にかかる税金などはあらかじめ調べておく必要があります。しかし、契約手続きはどうするのか、賃借人は付くのか、購入後の物件管理はどの業者に任せるかなど、あらゆる手続きを個人で対応するには限界もあります。

そこでまずは、海外不動産投資のセミナーに参加して情報収集することが大切です。現地の最新情報を入手しつつ、わからないことがあれば担当者に直接質問することもできます。気に入った物件があれば具体的な購入相談にも進むことも可能です。海外物件の取り扱いが豊富なセミナーの主催企業は、購入後の運用・管理の相談にも乗ってくれることがあります。

このように海外不動産投資ではビジネスパートナーとなる不動産会社選びも需要な要素となるため、情報収集をする中で信頼できる会社を見極めましょう。

6 まとめ

新興国を中心に著しい経済成長と人口増加を続ける国はあるので、今後もキャピタルゲインを見込むことはできるでしょう。経済が安定している先進国や不動産市場が整った国ならインカムゲインを期待することも可能です。

ただし、海外不動産投資では国ごとで手続き方法やリスクなども異なってくるので、ビジネスパートナーの力を借りつつ、上手に対処していくことが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」