株式投資型クラウドファンディングでエンジェル税制を適用できる条件・内容は?

エンジェル税制を利用すれば、ベンチャー企業への投資で税制上の優遇措置を受けることができます。また、投資で損失が出た場合も同様です。

ここでは、個人投資家が株式投資型クラウドファンディングでエンジェル税制を適用できる条件や内容について紹介します。株式投資型クラウドファンディングの利用を考えている方やすでに投資している方も、参考にご覧ください。

目次

  1. エンジェル税制とは
    1-1.エンジェル税制の仕組み
    1-2.エンジェル税制の対象
  2. エンジェル税制の適用を受けるには
    2-1.必要書類の受け取り
    2-2.申告書の作成
    2-3.確定申告
  3. エンジェル税制の節税効果
  4. まとめ

1.エンジェル税制とは

エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促進するための制度です。個人投資家は対象のベンチャー企業へ投資をすることで、税制上の優遇を受けることができます。令和2年4月にエンジェル税制に関する法令が改定され、優遇措置の範囲拡大や書類の簡素化など利用しやすくなりました。

1-1.エンジェル税制の仕組み

エンジェル税制は、個人投資家がベンチャー企業に投資をした場合、「投資時点」と「株式売却」の2つのタイミングで税制の優遇措置を受けることができます。それぞれの優遇措置は、以下の通りです。

投資時点の優遇措置

  • 「優遇措置A」:(ベンチャー企業への投資額−2,000円)をその年の総所得から控除
    ※控除対象となる投資額の上限は総所得金額×40%と800万円の低い方
    ※設立5年未満の企業への投資が対象
  • 「優遇措置B」:ベンチャー企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
    ※控除対象となる投資額の上限はなし
    ※設立10年未満の企業への投資が対象

エンジェル税制優遇措置Aの要件を満たすベンチャー企業に投資した場合は、確定申告時に優遇措置Aと優遇措置Bから選択できます。優遇措置Bの要件を満たす企業に投資した場合は、確定申告時に優遇措置Bしか選択することはできません。

株式売却の優遇措置

  • 「未上場ベンチャーの株式を売却した年に受けられる優遇措置(売却損失が発生した場合)」
    未上場ベンチャー企業の株式を売却して損失が発生した場合は、他の株式譲渡益と通算(相殺)ができます。また、通算(相殺)しきれなかった損失分は、翌年以降3年にわたり株式譲渡益と通算(相殺)ができます。

    ※投資したベンチャー企業が上場しないまま破産や解散により、株式の価値がなくなった場合にも、翌年以降3年にわたり損失の繰越ができます。
    ※ベンチャー企業へ投資した年に優遇措置を受けた場合は、控除対象金額を取得価額から差し引き売却損失を計算します。

エンジェル税制により、このような税制上の優遇を受けることができます。

1-2.エンジェル税制の対象

エンジェル税制を受けられる個人投資家の要件は次の通りです。

  • 金銭の払込みで対象企業の株式を取得している
  • 投資先が同族会社の場合は、持株割合が大きい順に1〜3位までの株主の持株割合を加算して、割合が50%を超える株主グループに属していないこと

同族以外のベンチャー企業への投資であれば、多くの個人投資家がエンジェル税制の適用を受けることができます。

2.エンジェル税制の適用を受けるには

個人投資家がエンジェル税制の適用を受けるには、確定申告が必要です。以下は、エンジェル税制における税額控除を受けるまでの3つのステップになります。

2-1.必要書類の受け取り

まずは、投資先企業から確定申告に必要な書類を受け取ります。該当する書類は次の3つです。

  • 中小企業庁等経営強化法第7条の規定に係る確認書
  • 株式異動状況明細書
  • 個人が一定の株主に該当しないことを確認した書類

これらの書類は2月〜3月を目処に投資先の企業から送られます。

2-2.申告書の作成

次に、確定申告に必要な税務申告書の作成です。優遇措置の種類や個別の事由により記載方法が異なりますので、クラウドファンディングサイトや管轄の税務署等に必ず確認しましょう。

2-3.確定申告

投資先企業から受け取った書類や投資契約書の写しを貼付した上で、管轄の税務署に確定申告書類を提出します。きちんと書類が作成されていれば、受理が行われエンジェル税制が適用されます。その後所得税や住民税を納めた金額から、還付が受けられます。

ただし、確定申告期間中にエンジェル税制の申告手続きが間に合わない場合は、確定申告義務のある人は、事後申請は認められないケースが多くなります。ただし金額間違いなど修正が必要な場合であれば、期限を過ぎても確定申告ができます。

給与所得者など、確定申告の義務がない人は、エンジェル税制の適用を受けられる年の翌年~5年以内に確定申告を行えば、エンジェル税制の適用を受けられます。

3.エンジェル税制の節税効果

ここでは、エンジェル税制の節税効果(優遇措置A)について見ていきましょう。

※所得控除は基礎控除のみで他の控除は考えません。
※概算額の算定になります。

総所得金額が600万円でエンジェル税制適用企業へ100万円の投資をした場合、エンジェル税制未利用時の所得税額は696,500円です(2020年9月時点の税制による)。

エンジェル税制利用の場合は、以下の節税効果が見込めます。

  • 優遇措置Aを利用した場合:税負担軽減額:199,600円
    総所得金額から控除できる額:998,000円
    所得税額:496,900円

また、総所得金額が400万円でエンジェル税制適用企業へ30万円の投資をした場合は、次のようになります。(エンジェル税制未利用の場合は所得税額296,500円)

  • 優遇措置Aを利用した場合:税負担軽減額:59,600円
    総所得金額から控除できる額:298,000円
    所得税額:236,900円

このように、投資金額−2,000円の控除を受けられるため、税負担を大幅に軽減することができます。

まとめ

ここでは、個人投資家が株式投資型クラウドファンディングでエンジェル税制を適用できる条件や内容について紹介しました。

エンジェル税制を受けることでベンチャー企業への投資がやりやすく、個人投資家にメリットの大きなものになります。

なお、最近では大手の株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」を展開している日本クラウドキャピタル社が「エンジェル税制認定業者」として認定されており、今までよりもエンジェル税制適用企業が増えると考えられます。

この記事を参考に、エンジェル税制を上手く活用して株式投資型クラウドファンディングによるベンチャー企業投資の検討を進めてみてください。

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