つみたてNISA、おすすめの銘柄は?手数料の比較や購入のポイントも

つみたてNISAは、2018年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。最長20年の非課税期間が設定されており、毎月コツコツと少額を積み立てながら将来に向けた資産運用ができる制度です。投資初心者の方でも利用しやすいように、金融庁が厳選した193本(2020年12月23日時点)の銘柄の中から金融商品を選んで運用を行うことになります。

金融庁が厳選しているとはいえ、銘柄の数は193本もあります。とても数が多いので、どのような基準で選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。そこで、この記事ではつみたてNISA向けの銘柄について、具体的なファンドと選び方を解説していきます。つみたてNISAの銘柄選びお悩みの方はぜひ参考にしてください。

※この記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の商品の購入を推奨・勧誘するものではありません。実際の投資判断にあたってはご自身でも情報収集のうえご検討ください。

(記事監修者:藤井 理)

目次

  1. つみたてNISA購入時のポイント
    1-1.分散投資をする
    1-2.信託報酬(手数料)は低いものから検討する
  2. つみたてNISAの銘柄解説・指定インデックス投資信託
  3. つみたてNISAの銘柄解説・アクティブ運用投資信託
  4. つみたてNISAの銘柄解説・バランス型投資信託
  5. つみたてNISAの銘柄解説・元本割れの可能性が低い投資信託
  6. つみたてNISAで銘柄を購入するときの注意点
  7. まとめ

1.つみたてNISA購入時のポイント

つみたてNISAで購入できる対象商品は3種類あり、それぞれの本数は以下の通りです(2020年12月23日時点)。

  • 指定インデックス投資信託……167本
  • 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)……19本
  • ETF(上場株式投資信託)……7本

この3種類の計193本です。投資経験が少ない初心者の方にとって、この中から自分に合った銘柄を選ぶのは難しいでしょう。ここからは、つみたてNISAで銘柄を選ぶときのポイントについて解説していきます。

1-1.分散投資をする

つみたてNISAの銘柄を選ぶ際、商品の性質が偏ってしまう購入の仕方はおすすめできません。たとえば、投資信託でも米国関連の銘柄だけを買っていると、米国の経済が悪化して株価などが下落してしまった場合には、損失を回避することが難しくなります。

つみたてNISAは長期的に分散投資を行うことでリスクを軽減できる積立投資手法です。しかし、市況や選択する商品によっては元本割れをする可能性はあります。購入銘柄を検討する際は、先進国やアジア、株式や債券などといったさまざまな地域や資産タイプを分散的に選んで購入すると良いでしょう。

1-2.信託報酬(手数料)は低いものから検討する

つみたてNISAでは、口座開設費用や運用管理費などはかかりません。しかし、運用するファンドごとに信託報酬などの手数料がかかります。信託報酬は年率0.1%以下のものから1%を超えるものまであり、最長20年、常に手数料負担があることを意識する必要があります。

例として、100万円を積み立てた場合の信託報酬については、以下のような計算となります。

  • 信託報酬が0.1%の場合の手数料……1,000円/年
  • 信託報酬が1%の場合の手数料……10,000円/年

このように、同じように100万円を投資したとしても、信託報酬率によって手数料には大きな差が生じます。実際はファンドの基準価額や残高などは毎日変化するので単純計算はできないものの、目安として手数料の違いは利益の違いに直結することを意識しておきましょう。

もちろん、信託報酬が全てではなく、リターンとコストの関係も分析する必要はありますが、同じような内容のファンドを比較する際には信託報酬の低い方から検討してみると良いでしょう。

2.つみたてNISAの銘柄解説・指定インデックス投資信託

指定インデックス投資信託とは、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの投資の基準となる指数(インデックス)と連動する運用が行われるもので、インデックスファンドとも呼ばれています。世界の経済成長に期待をしている方や手数料を抑えたい方は検討されてみるとよいでしょう。

※以下のファンドに関する数値は2021年1月19日時点のものです。最新の情報はご自身でもご確認頂きますようお願い致します。
※信託報酬はすべて年率・税込表記です。

ファンド名 信託報酬 純資産総額 連動指数
SBI-SBI・バンガードS&P500インデックス・ファンド 0.0938% 1,101.76億円 S&P500
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 0.0968% 2,451.88億円 S&P500
eMAXIS Slim先進国株式インデックス 0.1023% 1,548.90億円 MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)
大和-iFree S&P500インデックス 0.2475% 177.86億円 S&P500
楽天・全米株式インデックス・ファンド 0.1620% 1,831.92億円 CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)
One―たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり> 0.2200% 104.53億円 MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジあり)
野村―野村インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型 0.6050% 50.30億円 MSCI-KOKUSAI 指数(円ベース・ 為替ヘッジあり)
三菱UFJ国際―eMAXIS Slim全世界株式 0.1144% 878.65億円 MSCI オール・カント リー・ワールド・インデックス (配当込み、円換算ベース)
楽天―楽天・全世界株式インデックス・ファンド 0.2120% 671.57億円 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)
三菱UFJ国際―eMAXIS Slim新興国株式インデックス 0.1870% 503.90億円 MSCIエマージング・ マーケット・インデックス (配当込み、円換算ベース)
大和―iFree 日経225インデックス 0.1540% 156.45億円 日経225
ニッセイ日経平均インデックスファンド 0.1540% 172.99億円 日経225
三菱UFJ国際―eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 0.1540% 70.89億円 日経225
東京海上セレクション・日本株TOPIX 0.1540% 242.81億円 TOPIX
ニッセイTOPIXインデックスファンド 0.1540% 351.32億円 TOPIX
三菱UFJ国際―eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 0.1540% 261.65億円 TOPIX

信託報酬の安さが特徴のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、楽天証券SBI証券などの証券会社のウェブサイトでも人気ランキング上位に位置している銘柄です。S&P500は米国の代表的な株価指数の一つで、世界経済の牽引役として堅調に成長を続ける米国への投資を行う際に欠かせないものとなっています。日本国内でもS&P500に連動する金融商品は根強い人気があります。

同じくS&P500に連動する投資信託として、「SBI-SBI・バンガードS&P500インデックス・ファンド(信託報酬0.0938%)」「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式S&P500(信託報酬0.0968%)」、「大和-iFree S&P500インデックス(信託報酬0.2475%)」などがありますが、単一指数を対象にするインデックスファンドは運用成績に差があまりないため、信託報酬が安い銘柄のほうが有利になる傾向があります。

経済破綻や為替のリスクが比較的低い先進国への投資をお考えの方には、「eMAXIS Slim先進国株式インデックス(信託報酬0.1023%)」、「One―たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>(信託報酬0.22%)」などが対象となります。日本を除く先進国の株価に連動するMSCIコクサイ・インデックスという指数を対象に、先進国に上場する大型・中型株を投資対象としています。同様のファンドに「野村―野村インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型(信託報酬0.605%)もありますが、手数料が安い銘柄が有利です。

高い地理的分散効果を得ながら経済成長による資産形成を狙いたい場合は、世界中の国々に投資する「三菱UFJ国際―eMAXIS Slim全世界株式(信託報酬0.1144%)や「楽天―楽天・全世界株式インデックス・ファンド(信託報酬0.212%)などが対象となります。ベンチマークは異なりますが、運用成績やシャープレシオ(リスクに対するリターンの割合)は同水準です。信託報酬が低い銘柄が有利となります。

高リスクながら経済成長率の高い新興国株式に投資をお考えの方は「三菱UFJ国際―eMAXIS Slim新興国株式インデックス(信託報酬0.187%)」が候補となります。騰落率やシャープレシオは他のファンドと同水準ですが、信託報酬が安いため有利です。

日経平均株式指数に連動するファンドに投資したい方は、信託報酬が0.154%の「大和―iFree 日経225インデックス」「ニッセイ日経平均インデックスファンド」「三菱UFJ国際―eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の中から選ぶとよいでしょう。またTOPIXを対象とした投資信託では、「東京海上セレクション・日本株TOPIX」や「ニッセイTOPIXインデックスファンド」「三菱UFJ国際―eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」の信託報酬が0.154%と同水準で安価です。

3.つみたてNISAの銘柄解説・アクティブ運用投資信託

アクティブ運用投資信託(アクティブファンド)は、指標を上回る運用を目指す投資信託で、指定インデックス投資信託(インデックスファンド)に比べるとコストが高い傾向にあります。指標に従わない運用方針であるため、インデックスファンドに比べてハイリスクハイリターンになりやすく、大きな利益を生む可能性がある反面、元本割れのリスクは高くなります。

ファンド名 信託報酬 純資産総額 投資対象
ひふみプラス 1.0780% 4,539.62億円 主に国内外株式
コモンズーコモンズ30ファンド 1.0800% 243.13億円 国内大型グロース株式

「ひふみプラス」は、独立系資産運用会社のレオス・キャピタルワークスが運営する人気のアクティブファンドです。インデックスファンドに比べて信託報酬は高めであるものの、より積極的に資産を増やす運用に向いています。主に日本企業に投資しているので、国内に投資をしたい人や日本の企業を応援したい人は検討されてみるとよいでしょう。

また「コモンズーコモンズ30ファンド」は中長期的に成長が期待できる国内30銘柄に集中投資をしています。シャープレシオは0.77と高く、標準偏差(リスク)が相対的に低いファンドです。

4.つみたてNISAの銘柄解説・バランス型投資信託

バランス型投資信託は、株式・債券・不動産など複数の資産タイプを組み合わせ、高い分散効果のもとに運用を行うものを指します。各ファンドによって投資対象や割合が異なり、値動きやリスク性向も変わるため、これまでの成績や手数料などから総合的に投資判断することが必要となります。

ファンド名 信託報酬 純資産総額 投資対象
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) 0.1540% 90.30億円 国内外株式・債券
三井住友DS―三井住友DC年バランス50(標準型) 0.2530% 372.55億円 国内外株式・債券

「ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型(シャープレシオ0.6・信託報酬0.154%)」はTOPIX、NOMURA-BPI総合指数、MSCIコクサイ指数、シティ世界国債インデックスを各25%に均等配分した指数をインデックスとしたファンドです。

同様のファンドに「三井住友DS―三井住友DC年バランス50(標準型)(シャープレシオ0.45・信託報酬0.253%)」がありますが、シャープレシオが高く信託報酬が安いファンドが有利です。

5.つみたてNISAの銘柄解説・元本割れの可能性が低い投資信託

リスクの低い債券資産への投資割合が高く、元本割れの心配が少ない投資信託もあります。つみたてNISA対象のファンドを下記します。

ファンド名 信託報酬 純資産総額 投資対象
ニッセイーDCニッセイワールドセレクトファンド(債券重視型) 0.1540% 186.68億円 国内外株式・債券
大和―ダイワ・ライフ・バランス30 0.1980% 171.22億円 国内外株式・債券

「ニッセイーDCニッセイワールドセレクトファンド(債券重視型)(信託報酬0.154%)と「大和―ダイワ・ライフ・バランス30(信託報酬0.198%)」は、騰落率や標準偏差がほぼ同水準のため信託報酬が低い銘柄が有利です。特に債券重視のファンドは株式ほど高いリターンは期待できないため、手数料が運用成績を左右します。

6.つみたてNISAで銘柄を購入するときの注意点

つみたてNISAでファンドを購入する際の注意点としては、元本割れの可能性があることと、一度購入してしまうとなかなか銘柄変更ができないということを覚えておきましょう。

同じ積立投資制度であるiDeCoでは、運用商品の入れ替えを行うスイッチングがいつでも簡単に可能です。しかし、つみたてNISAでは事実上スイッチングはできません。銘柄を変更する場合は、購入していた銘柄への投資をストップさせて売却し、新たに別の銘柄を購入する必要があります。仮に資産を売却してしまうと非課税枠が消費されるため、つみたてNISAのメリットが削がれてしまいます。

つみたてNISAで対象銘柄を購入する際は、やり直しが難しいということを理解し、慎重に選ぶことが必要です。

まとめ

つみたてNISAは、これまで投資経験がなかった人でも気軽に始められる少額投資非課税制度です。投資対象は投資信託・ETF(上場投資信託)のため元本割れのリスクはあるものの、金融庁が厳選した銘柄ばかりなので通常の投資信託よりは選びやすく、投資初心者でも長期的な資産形成を目指せます。

一方、一度選んだファンドの選び直しは現実的ではないため、ファンドそれぞれの性質を理解し、過去の成績なども考慮しながら投資対象を選定することで、リスクを軽減させつつ長期運用を行っていきましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。

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鈴原 千景

鈴原 千景

Webライター。内容として、わかりやすくを心掛けながら金融、不動産関係の記事を多く執筆している。日本株・米国株、投資信託、仮想通貨、ロボアドバイザーを運用中。