空き家にかかる税金は?種類や金額の計算、対処方法を解説

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相続などの理由で空き家を取得した人の中には、売却せずに空き家のまま所有している人もいます。

空き家のまま所有していると防犯の観点からも危険であるうえ、特定空き家に該当すると軽減措置の特例から外されて、税負担が大きくなってしまう可能性があります。

この記事では、空き家にかかる税金の種類とおおまかな金額、特定空き家にならないための対処方法を解説します。

目次

  1. 空き家にかかる主な税金
    1-1.固定資産税
    1-2.都市計画税
  2. 特定空き家に該当しないように注意
    2-1.保安上危険な状態
    2-2.衛生上有害な状態
    2-3.著しく景観を損なっている状態
    2-4.放置することが不適切である状態
  3. 特定空き家の指定を防ぐ方法
    3-1.修繕を実施する
    3-2.空き家を売却する
    3-3.空き家を賃貸などの事業用の物件として活用する
  4. まとめ

1.空き家にかかる主な税金

不動産を所有していると、毎年税金が徴収されます。所有しているのが活用していない空き家の場合にも、同様に以下の2つの税金が課されます。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

1-1.固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している所有者に対して課される地方税です。

固定資産税の税率は一定ですが、所有しているのが建物の建っている宅地の場合には、軽減措置の特例を利用できます。固定資産税の税率と軽減措置の特例の内容は以下の通りです。

土地の条件 固定資産税
更地 課税標準額×1.4%
宅地で敷地面積200㎡まで 課税標準額×1/6×1.4%
宅地で200㎡を超える部分 課税標準額×1/3×1.4%

課税標準額とは、国土交通省が年に1回定めている地価公示価格の70%を目途に算出した固定資産評価額に基づいて算出される価格です。

300㎡の課税標準額4,000万円の更地を所有している場合の固定資産税は、「4,000万円×1.4%=56万円」です。

もし、宅地だった場合は、200㎡までの部分「4,000万円÷300m×200m×1/6×1.4%=6万2,222円」と200㎡を超える部分「4,000万円÷300㎡×100㎡×1/3×1.4%=6万2,222円」を合算した約12万4,444円となります。

1-2.都市計画税

都市計画税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している所有者に対して課される地方税です。固定資産税と基本は同じですが、税率と軽減措置の特例の内容が以下のように異なるので注意が必要です。

土地の条件 固定資産税
更地 課税標準額×0.3%
宅地で敷地面積200㎡まで 課税標準額×1/3×0.3%
宅地で200㎡を超える部分 課税標準額×2/3×0.3%

300㎡の課税標準額4,000万円の更地を所有している場合の固定資産税は、「4,000万円×0.3%=12万円」です。もし、宅地だった場合は、200㎡までの部分「4,000万円÷300m×200m×1/3×0.3%=2万6,666円」と200㎡を超える部分「4,000万円÷300㎡×100㎡×2/3×0.3%=2万6,666円」を合算した約5万3,332円となります。

2.特定空き家に該当しないように注意

所有しているのが空き家でも宅地であることは変わりません。そのため、軽減措置の特例を受けることが可能です。

しかし、平成27年度から軽減措置の特例の見直しによって、特定空き家に該当した場合は軽減措置の特例を受けられないようになりました。特定空き家とは、以下の4つの条件のいずれかに該当する空き家を指します。

  • 保安上危険な状態
  • 衛生上有害な状態
  • 著しく景観を損なっている状態
  • 放置することが不適切である状態

それぞれの条件に付いて詳しく見ていきましょう。

2-1.保安上危険な状態

保安上危険な状態とは、空き家をそのまま放置した場合に建物が倒壊、屋根や外壁が脱落や飛散、擁壁が老朽化して危険が及ぶ恐れがある状態です。

建物そのものだけでなく、門や看板、屋根瓦などの倒壊の付帯するものの倒壊の恐れなども含まれます。

2-2.衛生上有害な状態

衛生上有害な状態とは、空き家をそのまま放置した場合に建物や設備の破損、ごみの放置や不法投棄によって異臭や害虫の発生といった害が生じている状態です。

この他に、劣化によって吹き付けの石綿(アスベスト)が飛散する可能性が高い、浄化槽の放置や破損による汚物の流出なども含まれます。

2-3.著しく景観を損なっている状態

著しく景観を損なっている状態とは、建物への落書きや動物の汚物が付着して残っている、窓ガラスが割れている、立ち木が繫茂している、ごみが散乱している状態です。

また、景観法に基づく景観計画が策定されている場合は、景観計画に定められている建物の制限に著しく適合していない状態も含まれます。

2-4.放置することが不適切である状態

放置することが不適切である状態とは、敷地の立ち木によるトラブル、空き家に住み着いた動物によるトラブルが生じている状態です。

他に、不適切な管理によって不審者が侵入している、落雪が生じている場合も含まれます。

3.特定空き家の指定を防ぐ方法

特定空き家に該当して自治体から特定空き家に指定された場合、該当する空き家に対して立ち入り調査が行われます。立ち入り調査が行われた際の助言や指導に従って改善すれば、特定空き家の指定から解除されます。

しかし、改善せずに勧告を受けた場合は、軽減措置の特例から外されて固定資産税の税率が大幅に高くなるので注意が必要です。また、立ち入り調査を拒否した場合は20万円以下、勧告を無視した場合は50万円以下の罰金が科されます。

期間内に改善しない場合は行政代執行という強制的な解体撤去が所有者負担で行われます。費用を負担できなければ財産の差し押さえに発展するなど、状況がどんどん悪化するため、状況の悪化を阻止するためにも、まずは特定空き家の指定を防ぐことが重要です。

特定空き家の指定を防ぐ方法として以下の2つが挙げられます。

  • 修繕を実施する
  • 空き家を売却する

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

3-1.修繕を実施する

自治体の立ち入り調査が行われた場合に、助言や指導に従って修繕を実施することで、特定空き家の指定を解除してもらうことが可能です。

助言や指導に従って修繕や建て替えを行った場合は、自治体によっては補助金や助成金を受け取れる可能性があります。金額や内容は自治体によって異なるため、修繕や建て替えを検討している場合には確認してから実施しましょう。

【関連記事】不動産のリフォームや解体で使える税制や補助金は?9つ紹介

3-2.空き家を売却する

空き家を売却するのも、特定空き家の指定を避ける方法の1つです。

空き家の売却で利益が生じた場合でも、昭和56年5月31日以前に建築された空き家で、平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売却した場合は、空き家の譲渡所得の3,000万円控除を利用できます。(*国税庁「マイホームを売ったときの特例」を参照)

控除を利用できた場合は、空き家の売却によって利益が生じても3,000万円まで所得税が課されません。空き家の売却を検討している人は、適用条件を確認して早めに売却しましょう。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

それぞれの不動産一括査定サイトによって、登録されている不動産会社は異なります。登録や査定依頼は無料で行えるため、より多くの不動産会社に依頼したい場合は、複数のサイトに登録すると良いでしょう。

3-3.空き家を賃貸などの事業用の物件として活用する

空き家を売却して手放したくない場合には、賃貸やその他の事業用の物件として転用することも検討してみましょう。賃貸物件として入居者が付いていたり、事業用の物件として稼働すれば特定空き家の指定を避けることが可能です。

どのような活用方法が良いか迷った場合には「HOME4U」の土地活用サービスも利用を検討してみましょう。こちらのサービスでは最大7社まで土地活用の収益プランを比較可能なうえ、自分が選んだ企業以外から連絡がくることは一切ありません。

ただし、このような空き家活用にはリフォーム費用などの初期投資が必要になります。また、想定した収益を実際に得られないリスクもあるため、事前に周辺の需要を調べ、慎重にシミュレーションおくことが大切です。

空き家活用を検討する際は、売却することも併せて検討し、金銭的なメリットを比較しながら検討しましょう。

【関連記事】土地活用がしやすい地域の特徴は?田舎でもできる活用方法も併せて紹介

まとめ

不動産を所有している場合には、固定資産税や都市計画税が課されます。不動産を賃貸用や駐車場として貸し出している、居住せずに空き家として所有している場合も同様です。

固定資産税や都市計画税の税率には一定の基準が設けられていますが、宅地の場合は軽減措置の特例を受けることができます。

空き家も宅地として扱われるため、軽減措置の特例を受けることができますが、特定空き家に指定されると軽減措置の特例の対象外になるので注意が必要です。

特定空き家では固定資産税や都市計画税の税率が高くなり、勧告に応じないと罰金や自己負担で強制的に解体撤去されるなど、空き家として所有し続けるのはリスクが大きいと言えます。

空き家を所有している場合は、なるべく早く売却するか、特定空き家に指定されないように対策を練っておきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。