はじめて不動産を売却する時に知っておきたい10のこと

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自宅や収益物件をスムーズに売却するためには、仲介会社に支払う手数料や不動産譲渡にかかる税金を考慮しながら周辺相場にあわせて売却希望額を設定する必要があります。しかし、買い手がなかなか見つからない場合には売却額を下げたり、仲介会社を選び直したりする必要も出てきます。

このように不動産売却では様々なケースに対応しなければならないため、事前に売却の流れや仲介会社の選び方、必要書類、税金などを知っておくことが大切になります。今回は初めて不動産を売却する方のために事前に知っておきたいポイントをまとめましたのでぜひご参考ください。

目次

  1. 売却理由によって売却方法は変わる
  2. 売却に要する時間
  3. 不動産売却の流れ
    3-1.相場の売却価格を把握する
    3-2.仲介会社を探す
    3-3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
    3-4.不動産を売出す
    3-5.内覧対応
    3-6.購入希望者と売買契約を結ぶ
    3-7.物件を引き渡す
  4. 売却する前に確認すべきこと
    4-1.登記内容と物件の現況が同じかどうか
    4-2.法改正による影響を受けるかどうか
  5. 不動産売却に必要な書類
    5-1.売買契約時に用意する書類
    5-2.売却後の確定申告書類
  6. 仲介会社の選び方
  7. 売却価格の設定の仕方
  8. 売却にかかる費用・税金
  9. 買取を依頼する際の注意点
  10. 売買契約後の注意点
    10-1.瑕疵担保責任の扱い
    10-2.契約破棄の扱い
  11. 不動産売却に関する情報収集に努める

1.売却目標によって売却方法は変わる

不動産の売却では「できるだけ高く売りたいのか」「なるべく早く売りたいのか」によって売却にかける時間や費用が変わります。もちろん物件の条件によってケースバイケースであり、立地や収益性など優れた物件であれば「高く」「早く」売ることもできるでしょう。

しかし、一般的には高く売るためには時間をかける必要があり、早く売るためには売却価格を低くする必要があります。したがって売却目標によって売り方が変わってくることを認識して、売却額を設定することが大切です。

例えば不動産を高く売るためには、不動産の市場価値の向上(人気設備の設置やリノベーションの実施など)、適切な不動産売却会社の選定、市場分析に基づく売却価格の設定・販売活動の実施や一定の売却時間の確保などが欠かせません。

一方、不動産を早く売るためには、不動産買取会社への売却、早めの売出戦略の策定と実施、内覧の即時対応などが求められます。

2.売却に要する時間

売却目標の設定に応じて売却時期も探る必要があります。通常、不動産を市場相場よりも高めで売却するためには一定期間を要します。物件にもよりますが、売出開始から売買契約の締結まで2~3カ月、遅い場合だと半年以上かかることも珍しくありません。さらに物件の内容や価格によっては買手が付かないケースもあります。

そのため売却を急ぐような場合、希望の期限までに売却できる方法を模索する必要が出てきます。例えば不動産会社に売却の仲介を依頼するよりも買取会社へ売却するほうが早いでしょう。

一方、売却の準備期間を十分に確保できる場合、不動産会社の選定や売出戦略の分析など時間をかけて吟味できるため、希望の期限内で納得できる価格での売却も実現しやすくなります。

3.不動産売却の流れ

不動産の売却では相場の把握から始めるのがセオリーです。一般的な不動産を売却するまでの流れは次の通りです。

  1. 相場の売却価格を把握する
  2. 仲介会社を探す
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 物件を売出す
  5. 内覧対応
  6. 購入希望者と売買契約を結ぶ
  7. 物件を引き渡す

それぞれ見ていきましょう。

3-1.相場の売却価格を把握する

納得できる価格で売却するために、まずは不動産会社に相談して市場相場を把握しましょう。また国土交通省のWEBサイトの「土地総合情報システム」や不動産流通標準情報システム(REINS)に基づくREINS Market Informationなどの取引情報も参考になります。

不動産会社の話を鵜吞みにしないためにも売主自ら客観的な情報を調査するのがポイントです。

3-2.仲介会社を探す

不動産の売却は仲介会社を介して行うのが一般的です。売却の目標に適した会社を選びます。早く売却したい場合は買取会社、高く売りたい場合は仲介会社を中心に探索すると良いでしょう。不動産会社を探すには、不動産一括査定サイトを利用したり、近所の不動産会社に直接足を運んで相談したりするのが一般的です。

不動産会社の選定では査定価格と販売力などを考慮することが重要になります。ただ、高い査定価格を提示した会社が適切な会社とは限らないため、価格とともに売却活動の内容や担当者の姿勢・資質などもチェックしましょう。

3-3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産の売却を依頼する契約の種類には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つがあります。「一般媒介契約」では複数の不動産会社に仲介を依頼することができますが、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」では1社のみとなります。

時間に余裕がある場合は「一般媒介」、売却を急ぎたい場合は「専属専任媒介」「専任媒介」を利用するのが良いでしょう。

3-4.不動産を売出す

不動産会社から売却価格や販売活動(PR等)などの売出戦略が提案され、売主の確認を経て所有物件の売出しが開始されます。売出戦略の内容と進捗度が売却に大きく影響するため、全てを業者任せにせず、売主は適宜チェックするようにしましょう。

3-5.内覧対応

売出し後、購入希望者などから問い合わせや内覧希望が入ってきた場合は対応を丁寧に行いましょう。特に内覧対応の成否が売却実現に直結しやすいため、物件の清掃や手入れなどを事前に済ませておくことが重要です。また、質問などへの対応も誠実に早く行うことが大切です。

3-6.購入希望者と売買契約を結ぶ

売買条件で合意に達すれば買手と売手で売買契約を締結することになります。「引渡条件」「瑕疵担保責任」「契約解除条件」「契約違反」「手付金」などの項目を含めた内容を確認しておきましょう。

3-7.物件を引き渡す

契約後では、不動産の引渡しに向けて売買代金の受領、抵当権抹消・所有権の移転等の登記申請が必要になります。なお、売却に伴う費用や税金なども事前に調べて対応できるよう準備しておきましょう。

4.売却する前に確認すべきこと

また売却予定の物件が購入時と状況が異なっていることもあるため、実際に売却を行うまでに事前の物件チェックを行うことも不可欠です。

4-1.登記内容と物件の現況が同じかどうか

売主の事前確認不足から売却物件の土地の位置や形質のほか所有関係などが登記内容と異なっている場合があります。例えば「隣地との境界について不明確になっている」「増築の履歴が登記になく床面積が違う」といったケースです。こうした場合、後日問題になるおそれがあるため、確認のうえ登記内容の修正が必要です。

4-2.法改正による影響を受けるかどうか

過去に購入した時点では問題がなかった建物でも、現在建て替えると法規制を受けるケースがあります。建築基準法などは物件の購入時以降変更されることが多いため、現在の法律の影響を受けるかどうかを確認しておきましょう。

5.不動産売却に必要な書類

不動産の売却では様々な書類が必要になります。不備が出て手続の進行が遅れないように事前に確認して準備しておきましょう。

5-1.売買契約時に用意する書類

売買契約時には仲介する不動産会社から下記の書類が求められます(物件により異なる)。

  • 売主の確認書類(身分証明書、実印、印鑑証明書、住民票)
  • 登記済権利書叉は登記識別情報
  • 重要事項説明書(購入時のもの)
  • 売買契約書(購入時のもの)
  • 固定資産税納税通知書
  • 土地測量図、境界確認書(戸建の場合)
  • 建築確認済証及び検査済証(戸建の場合)
  • 建築図面、平面図図面、設備仕様書
  • マンション等の維持費に関する書類
  • 管理規約や使用細則等(マンション)

5-2.売却後に用意する確定申告書類

売却後の税務署への確定申告の際には次の書類を提出します。

  • 確定申告書の申告書B 申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 売買契約書及び領収証
  • 不動産仲介手数料の領収証
  • 測量費・登記費用その他売却の時の費用の領収証の写し
  • 土地・建物の全部事項証明書

6.仲介会社の選び方

不動産会社選びによって売却の成否が大きく左右されるため、適切な業者を選ばなければなりません。仲介業者や買取業者を探す場合、一般的に「一括査定サイトを利用する方法」と「周辺の業者等を直接探す方法」に大別されます。選ぶときのポイントには次のものが挙げられます。

不動産会社の得意分野 売却を得意とする不動産会社でも住宅、商業施設、オフィスビル、倉庫・工場といった建物の種類、住宅用・収益用などの用途別に得意分野が異なる場合がある。また、同じ住宅でもマンションと戸建のどちらが得意かなども確認して選ぶことが重要
査定価格の評価 査定価格の良さだけでなく価格の根拠も考慮して判断する。買取の場合は事業者が直接購入するため、提示価格の信頼性は比較的高いといえるが、仲介の場合の査定価格は事業者が購入する価格ではなく「これくらいで売れそう」という予想価格であり、媒介契約目的に相場以上の高値を提示されることもあるため注意が必要。仲介の場合は直近の取引事例をどのように査定価格に反映しているかなどの根拠を確認したうえで評価したい
担当者の営業姿勢 買取の場合、物件の買取に興味があれば価格やサービスなどに関する提案が期待できるため、査定後の営業マンの対応の仕方が選定の参考になる。仲介の場合は、査定価格の根拠とともに売出戦略の内容と営業マンの売却意欲の高さの見極めが重要。物件を売却するために具体的に「どのような活動を」「どれだけの時間と量をかけて」実施してくれるのかといった売出戦略を確認する。営業マンについては、「売出戦略に関する知識・経験」「状況分析の的確さ」「売主目線での提案」「誠実に対応しているか」「言葉遣いは丁寧か」などを見極めたい
行政処分歴の確認 不動産会社の行政処分歴は、都道府県の関係行政庁の担当部署や国土交通省のWEBサイトで確認できるため、念のためチェックしておく。もちろん過去に行政処分を受けていたとしても現在は改善されていることもあるため、行政処分の内容や経過年数などを踏まえて参考にする

7.売却価格の設定の仕方

売却価格の設定では、類似物件の成約価格がベースとなり、加えて物件の持つ独自の魅力による価値を反映させるのが一般的です。

物件によりますが時間を多少かけても高く売りたい場合、相場よりも1~2割程度の高めで売出し、一定期間後に値下げするといった価格設定になります。逆に早めに売りたい場合、相場と同等かやや低い価格で売出し、一定期間後に値下げするといった価格設定が一般的です。売却の目標に基づく売出戦略に則した価格設定が求められます。

8.売却にかかる費用・税金

不動産の売却では様々な費用や税金が発生するため、事前に把握しておき資金の準備をしておきましょう。売買契約前にかかる費用には次のようなものが挙げられます(必要な場合に実施されるもの)。

  • 住宅診断費用
  • 測量費用
  • リフォーム、修繕、クリーニング等の費用

売買契約後にかかる費用と税金には次のようなものが挙げられます。

  • 仲介会社への手数料(売却価格×3%+6万円)
  • 印紙代(不動産売買契約書に貼る印紙)
  • 住宅ローンの残債の一括返済
  • 抵当権抹消登記費用
  • 税金(譲渡益課税による所得税と住民税、固定資産税)

*譲渡益課税の場合、物件の所有期間が5年以内と5年超で税率が大きく異なる
*居住用不動産では税額控除や軽減税率などの特例がある
*建物売却での消費税(個人は不要)

9.買取を依頼する際の注意点

不動産会社に直接物件を買い取ってもらう場合、一般的に売却価格は市場相場よりも低くなります(相場の6~8割程度)。不動産の売主としては、相場よりも低い売却価格になることを前提としつつ、できるだけ高く買い取ってくれる買取会社を探すのが良いでしょう。

大手だけでなく地元の事業者も検討します。買い替える場合は、新しい不動産の購入先である分譲会社以外の他の買取会社も加え、比較検討のうえ選定しましょう。

また「引渡条件」を明確にしておくことも重要です。空調機、家具や照明などの家財の有無など、どのような状態で不動産を引き渡すかの条件を具体的かつ明確にしておきましょう。物件を引き渡す際の不動産の状態や処理費用については買取会社の合意のもと契約書等に記載しておくのがポイントです。

10.売買契約後の注意点

売買契約後で問題になることがある「瑕疵担保責任」「契約破棄」については次のように適切に対応しましょう。

10-1.瑕疵担保責任の扱い

売却した不動産に土台の腐食やシロアリ、雨漏りなどの瑕疵が発見された場合、売主には「瑕疵担保責任」が生じることがあります。民法では買主が瑕疵担保責任を問える期間は、「瑕疵の事実を把握した時から1年間」とされていますが、個人の売買では瑕疵担保責任について自由に取り決めできます。例えば、「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることも可能です。

ただし、買主保護の観点から一般的には「物件引渡後3カ月間については売主が瑕疵担保責任を負う」という特約条項が付けられています。物件の状態や買手の希望などを考慮し仲介会社と相談のうえ、瑕疵担保責任の取り扱いを検討しましょう。

10-2.契約破棄の扱い

売買契約後に契約を破棄するとペナルティーが発生することもあるため注意が必要です。売買契約では、手付解除や契約違反による違約金に関する取り決めも盛り込まれます。そのため売主が手付解除期間を過ぎて契約を解除する場合では契約違反による違約金を手付金に加えて支払うことになります。

一方、買主が契約を解除する場合、手付金を返還しないとすることができますが、買主が住宅ローン審査に落ちる場合を想定した手付金の返還を含む白紙解除という融資特約を付けることもあるため留意しましょう。

11.不動産売却に関する情報収集に努める

高額資産である不動産の売却は様々な手続と関係者を通じて行うことになるため、後悔しない売却を実現するためには一定の周辺知識の習得が不可欠です。

もちろん売却に関するすべての情報を学習することは困難ですが、重要なポイント(不動産の売却の流れ、不動産会社の選定、相場の把握・売出価格の設定、売出戦略、税金・費用、必要書類)については情報収集に努めましょう。

自分でもしっかりと調査したうえで売却の目標に則した売却計画を立て、無駄な時間や費用をかけずに、ぜひ売却を成功させてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」