5分で分かる!はじめてのソーシャルレンディング確定申告ガイド

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ソーシャルレンディングによる投資で収入を得ると、

「自分の税金はいくらになるのか」
「自分の収入で確定申告は必要なのか」
「確定申告はどのように行えばいいのか」

など、年度末に向けて、税金や申告が気になる方は多いと思います。特に会社員は確定申告を自分で行うケースがほとんどありません。よって、「確定申告が必要になるかもしれない…」と感じるだけで、ソーシャルレンディングに取り組むハードルは高くなるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ソーシャルレンディングで収入を得た場合の確定申告について解説しましょう。この記事を読んで確定申告への不安や疑問を解消し、年度末に慌てたりしないで済むようにしましょう。

目次

  1. 所得の意味
  2. 合計所得が年間20万円以下であれば、確定申告は必要ない
    2-1.総合課税の計算方法
  3. 確定申告をした方がお得なケース
  4. 確定申告の基本的な流れ
  5. 確定申告がない場合の住民税の申告義務
    5-1.住民税を申告しないとどうなる?
    5-2.住民税の申告方法
  6. まとめ

所得の意味

まず、確定申告が必要かどうかを調べるには、所得の意味がわからなくてはいけません。所得とは、収入から

  • 必要経費
  • 控除額

を差し引いた金額です。計算式にすると、

【所得=収入-必要経費-控除額】

になります。

合計所得が年間20万円以下であれば、確定申告は必要ない

投資がソーシャルレンディングだけの場合、年間の所得が【合計20万円以下】であれば、基本的に確定申告の必要はありません。

それは、ソーシャルレンディングで得た収益の他に、会社員の給与所得があったとしても変わりません。したがって、給与所得以外の収入を、ソーシャルレンディングの分配金(年間20万円以下)だけに抑えれば、確定申告は避けられます。

なお、どのぐらいの運用規模であれば、雑所得の合計が年間20万円を超えるのか、気になるところではないでしょうか。単純に考えると、

利回り 10%
期間 10ヶ月
投資額 200万円

という内容で投資を行った場合に、雑所得は20万円を超えます。この規模を上回る投資を行うと、確定申告の可能性が出てきます。ひとつの目安として覚えておくといいでしょう。

また、この年間20万円が、”源泉徴収前”の金額であることを理解しなくてはいけません。”源泉徴収後”の所得が20万円では、雑所得の合計がすでに20万円をオーバーしています。源泉徴収後の基準で考えるのであれば、所得が159,160円を上回らないように気をつけなくてはいけません。

総合課税の計算方法

ソーシャルレンディングによる投資で得られた分配金は、”雑所得”に分類されます。雑所得は、総合課税の対象です。そして総合課税とは、他の所得と合算して、税金を計算する制度です。

それでは、総合課税の計算方法をご紹介しましょう。まず、

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 一時所得
  • 雑所得(FX・先物投資以外)
  • 譲渡所得(土地・建物・株式以外)

の中から、自分の所得を合算します。その後、

  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 生命保険控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除

などの各種控除額を差し引いた金額で、所得税の計算を行います。

なお、雑所得は、株式やFXと損益を合わせることができません。よって、ソーシャルレンディングで得た収益を、株式やFXのマイナス分で相殺できないので注意しましょう。

確定申告をした方がお得なケース

ソーシャルレンディングによる分配金収入が20万円以下の場合、基本的に確定申告は必要ありません。

しかし、給与所得と分配金の合計金額が【195万円以下】の場合は、確定申告を行うことで、源泉徴収された税金の一部(実質5%分)が還付されます。それは、

  1. ソーシャルレンディングの源泉徴収は20%行われる
  2. 課税所得が195万円以下の税率は15%(所得税5%+住民税10%)
  3. 確定申告を行うことで、余計に徴収された5%分が戻る(20%-5%)

という仕組みがあるからです。

したがって、給与所得+分配金の合計金額が【195万円超】になる場合は、確定申告を行っても、税金の還付はありません。その理由は、課税所得が195万円超~330万円以下のとき、税率は20%(所得税10%+住民税10%)だからです。ソーシャルレンディングの源泉徴収も20%なので、2つを差し引くことで、還付すべき税金はなくなります。

確定申告の基本的な流れ

ソーシャルレンディングによる分配金収入が【20万円以上】の場合は、確定申告が必要です。確定申告は、1月~12月までの所得を対象に、翌年の3月15日までに行わなくてはいけません。

税理士に確定申告をお願いする方法もありますが、その分の依頼料を支払う必要があります。これからも投資を続けるのであれば、確定申告ははじめから自分で行うのがいいでしょう。何度も行えば、手続きに戸惑うこともなくなるはずです。

また、確定申告の方法は、そこまでややこしいものではありません。最初から申告のやり方を見ていきましょう。

(1)国税庁の確定申告書等作成コーナー(https://www.nta.go.jp/index.htm)へアクセスし、「作成開始」をクリックします。

(2)「書面提出」を選択します。

(3)ソーシャルレンディング以外に、事業や不動産の所得もある方は「青色申告」を押してください。そうではない一般の方は「白色申告」です。ピンクボタンの「所得税の確定申告書作成コーナー」をクリックしましょう。なお今回は、「所得税の確定申告書作成コーナー」の方へ進みたいと思います。

(4)「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」を選びます。

(5)必要事項を入力していきます。あなたが

  • 給与所得
  • ソーシャルレンディングの分配金

の両方を得ている場合は、

  • 給与所得
  • 雑所得(その他)

の2箇所へ入力が必要です。

(6)ソーシャルレンディングの分配金額を入力するには、ソーシャルレンディング事業者の発行した支払調書(または年間取引報告書)が必要です。支払調書(年間取引報告書)は、ソーシャルレンディング事業者のマイページから、PDFなどでダウンロードが可能です。ダウンロードしたデータは、提出に備えて、プリントアウトをしておいてください。

(7)所得控除の入力ページへ進みます。所得控除があれば、ここで入力しましょう。

さらにページを進めると、税金の納付額(または還付額)を自動的に計算してくれます。その後は、確定申告書類をプリントアウトしてください。一緒にプリントアウトした支払調書(年間取引報告書)を添付して、3月15日までに所轄の税務署へ提出しましょう。それで確定申告は完了です。

「行列に並びたくない」
「提出の時間が取れない」

という場合は、確定申告の書類を管轄の税務署へ郵送する方法もあります。

確定申告がない場合の住民税の申告義務

ソーシャルレンディングでの所得が年間20万円以下であれば、確定申告を行う必要はないとご説明しました。ただ、確定申告を行わない場合、ソーシャルレンディングの所得によって生じた住民税を申告する必要があります。

住民税は、

  • 均等割(全員が一定の金額を負担)
  • 所得割(所得に応じた負担の金額)

を合わせて、納付を行うのが普通です。

そして、ソーシャルレンディングの分配金は、”所得割”として課税されます。ソーシャルレンディングで投資を行うと、収益(利息)を受け取る前に、事業者による源泉徴収が行われます。しかし、その源泉徴収の内容は、所得税のみで住民税が含まれておりません。

つまり、ソーシャルレンディングで収益を得ると、住民税の申告義務が生じるのです。ただ、確定申告を行った場合は、税金の調整が入るので、住民税を申告する必要がなくなります。

それでは、

  • ソーシャルレンディングで収益を得ている
  • 確定申告をしていない

という場合の申告義務はどうなるでしょうか。もちろん、住民税の申告義務はあります。
※市町村によっては、収入の金額次第で、所得割の納税義務を負わないケースもあります。

平成29年度の所得割の税率は、【税所得金額×約10%】ほどです。したがって、ソーシャルレンディングで年間10万円を稼いだのであれば、約1万円が住民税の金額になります。

住民税を申告しないとどうなる?

投資家が、住民税の申告を怠った場合、

  1. 住民税を申告しない
  2. 市区町村の税務部署が調査を行う
  3. 無申告や脱税が見つかる

という流れで、問題が生じる可能性があります。雑所得が20万円程度であれば、今まで無申告を指摘されることは稀でした。しかし、今後も同じとは限りません。

しかも、ソーシャルレンディングの場合、事業者が支払調書を税務署へ提出しています。支払調書には、

  • 分配金額
  • 支払先の住所
  • 氏名
  • マイナンバー

が記載されています。この個人データが、国税庁から市町村へ提供されるとどうなるでしょう。市町村の税務部署が、住民税の無申告や脱税を簡単に指摘できるようになるのです。したがって、過去に住民税の申告が漏れた年があれば、今からでも市町村へ相談するのがいいでしょう。

ちなみに、市町村の調査によって、住民税の無申告や脱税が見つかった場合は、年利2.7%(平成29年時点)の延滞金が発生します。さらに、10万円以下の過料が課せられることもあります。

住民税の申告方法

住民税の申告先は、前年の1月1日時点で居住している市町村です。都道府県民税の申告も、市町村で受け付けています。よって、都道府県民税と市町民税は一箇所で払うことができます。

なお、申告書の管理やサービスは、市区町村によって異なります。

  • 申告書の作成や印刷がWEB上でできる
  • 役所で申告書を作成するしかない
  • 役所から申告書を郵送してもらえる

など、自治体によって対応がさまざまです。もし何かわからないことがあれば、役所へ問い合わせるのがよいでしょう。

まとめ

以上、ソーシャルレンディングで収入を得た場合の確定申告について、解説しました。

ソーシャルレンディングの所得が【年間20万円以下】であれば、基本的に確定申告の必要はありません。それは、他に会社員としての給与所得がある場合でも同様です。

ただ、給与所得と分配金の合計金額が【195万円以下】の場合は、確定申告を行うことで、源泉徴収された税金の一部が還付されます。還付金が欲しいときは、確定申告を行うのもおすすめです。なお、合計金額が【年間195万円超え】の場合は、確定申告を行っても還付金がありません。

また、確定申告を行わないのであれば、住民税を市町村へ申告する必要があります。未申告や脱税をすると、延滞金や過料が発生するので、注意をしなくてはいけません。

この記事を読んだことで、

  • 自分は確定申告が必要なのか
  • その場合はどのような手続きが必要なのか

が、おわかりいただけたと思います。確定申告を避けたいという方は、ソーシャルレンディングの所得を【年間20万円以下】に抑えるように心がけましょう。

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石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。