ソーシャルレンディングの5つのリスク、その対策方法も解説

ソーシャルレンディングは手軽に始められる投資方法として人気ですが、メリットだけではなく、リスクや問題点も抱えています。ただ、具体的にどういった点に注意すべきか、イメージが湧きにくいことも多いのではないでしょうか。

この記事では、ソーシャルレンディングのリスクや問題点、さらにはその対策方法を解説します。

目次

  1. ソーシャルレンディングのリスク・問題点
    1-1.貸し倒れによる元本割れリスクがある
    1-2.満期まで解約できない
    1-3.融資先が匿名である
    1-4.投資から運用までに待機期間がある
    1-5.元本の早期償還がある
    1-6.財政状況が不安定な事業者もいる
  2. ソーシャルレンディング投資でリスクを軽減させる対策方法
    2-1.投資先を分散する
    2-2.担保・保証ありの案件を選ぶ
    2-3.投資は余裕資金で行う
  3. 2-4.融資先が開示されている案件を選んで投資する

  4. まとめ

1.ソーシャルレンディングのリスク・問題点

最初に、ソーシャルレンディングのリスクと問題点をひとつずつ見ていきましょう。具体的には、

  • 貸し倒れによる元本割れリスクがある
  • ソーシャルレンディングは満期まで解約できない
  • 融資先が匿名である
  • 投資から運用までに待機期間がある
  • 元本の早期償還がある
  • 財政状況が不安定な事業者もいる

の順番でご説明します。

1-1.貸し倒れによる元本割れリスクがある

ソーシャルレンディングには「投資家が事業者を通じて、企業へお金を貸す」という融資のイメージがありますが、実際は投資の側面が強く、貸し倒れのリスクがあります。

貸し倒れとは、借り手企業の事業がうまく行かず、元本の一部もしくは全額を返せなくなることです。これまでに貸し倒れの事例は何件も発生しており、実際に損失が出ている投資家も出ています。

1-2.ソーシャルレンディングは満期まで解約できない

ソーシャルレンディングでは、一度投資を行うと投資期間が満期になるまで解約ができません。これは、ソーシャルレンディング事業者が投資家の一人ひとりから集めた資金を借り手企業へまとめて融資するからです。

資金を融資する際に、事業者は借り手企業と融資の期間を取り決めます。期間を設けることで、借り手企業は計画性をもって事業を行い、返済をすることができるのです。よって、借り手企業が返済を完了し満期にならない限り、投資家はお金が引き上げられないのです。

加えてソーシャルレンディングでは、投資期間が2~3年となる長期案件も多く見られます。そのような案件に投資を行った場合、運用中に市況が大きく変化することも考えられます。

実際に、世界的な経済危機であったリーマンショックは、サブプライムローン崩壊の1年後(2008年)に起こりました。しかし、サブプライムローンも崩壊の1年前までは運用が好調とされていました。つまり2~3年あれば、その間に世界的な経済危機なども起こり得るのです。

このように、満期まで解約できないソーシャルレンディングの特徴はリスクのひとつと考えられるでしょう。

1-3.融資先が匿名である

ソーシャルレンディングでは、投資家が資金の借り手企業を特定できません。それは、ソーシャルレンディングが金融商品取引法と貸金業法に則ったビジネスモデルだからです。

上記の法規制により、事業者は投資家に対して借り手企業の情報を特定につながらない範囲でしか提供できません。その結果、投資案件の募集ページには、借り手企業の大まかな特徴や事業の内容などしか記載がされないのです。

融資先の匿名化によって、事業者が投資家から集めた資金を悪用する可能性があります。実際に投資家への説明とは異なる資金の使い方をして行政処分を受けた事業者もいるほどです。

しかし、事業者による匿名化の悪用が相次いだことで、金融庁は2019年3月に「原則として借り手の匿名化は不要」と公式見解を示しました。この公表を受けて、事業者各社でも借り手企業の匿名化をやめる動きを見せています。

よって、近い将来、投資家が借り手企業を特定した上で投資を決められるようになるかもしれません。

1-4.投資から運用までに待機期間がある

ソーシャルレンディングでは、投資が完了してから実際に案件の運用がされるまで、数日~2週間ほどのタイムラグが発生します。

たとえば、資金の募集期間が4/1~4/14までだったとしても、必ずしも募集終了の翌日4/15から運用が始まるとは限りません。事業者と借り手企業の取り決めにより、運用の開始が大きく後ろ倒しになる可能性もあるのです。

そして、その待機期間中には資金融資の利息がつきません。投資家は無利益のまま、しばらく待ちぼうけを食らうことになります。

また、融資期間が満期になった後も、すぐに投資家へ元本が戻るわけではありません。事業者が投資家へ元本を償還するまでには数日~1週間ほどかかります。したがって、短期の案件ばかりに投資を繰り返すと、利益を生まない待機期間の割合が増え、投資効率が悪くなります。

1-5.経営が不安定な事業者もいる

ソーシャルレンディング事業を営む事業者には中小企業も少なくありません。中小企業の場合、経営不振や経営体制の問題によって倒産するリスクが大手企業より高いと言えます。事業者が倒産すれば、元本は投資家へ戻らない可能性も出てきます。

またソーシャルレンディング業界では2018年頃から事業者の経営トラブルが表面化し、行政処分や資格の剥奪などが起こるようになりました。例えば行政処分は、

  • ラッキーバンク
  • みんなのクレジット
  • maneoマーケット
  • エーアイトラスト

など複数の事業者に下された過去があります。一見営業が好調そうに見える会社でも、何かトラブルの種を隠している可能性は否定できません。このように、ソーシャルレンディングにおいては事業者自体が抱えるリスクも考慮しなくてはならないのです。

2.ソーシャルレンディング投資でリスクを軽減させる対策方法

ここまでソーシャルレンディングが抱えるリスクや問題点をご説明しました。では、リスクを軽くするために、投資家にはどういった対策が求められるでしょうか。

  • 投資先を分散する
  • 担保・保証ありの案件を選ぶ
  • 投資は余裕資金で行う
  • 融資先が開示されている案件を選んで投資する

の順番でご紹介します。

2-1.投資先を分散する

まず、ソーシャルレンディング投資家に求められるリスク対策として、投資先の分散が挙げられます。なぜなら、投資先を複数に分けると、そのうちひとつの案件にトラブルが起きた場合でもその案件のみに被害を限定できるからです。

一方、投資先の分散を怠ると、ひとつの案件で貸し倒れが起きた場合に、元本の全額が戻らない可能性が出てきます。

この分散投資は、案件だけではなく事業者に対しても当てはまります。ひとつの事業者だけを利用した場合、その中の案件で分散投資ができても、事業者の倒産で元本が全額戻らなくなる、ということもあるかもしれません。

したがって、ソーシャルレンディングでリスクを避けたいのであれば、案件と事業者のどちらにも分散投資を心がけるべきでしょう。

2-2.担保・保証ありの案件を選ぶ

また、投資先を探す際は担保・保証が付いている案件を選ぶこともリスク対策になります。

担保・保証付きの案件であれば、借り手企業に返済トラブルが生じたときも元本が投資家へ戻りやすくなります。事業者が担保不動産の売却や債務の肩代わりなどを行い、投資家へ元本の償還を図るからです。

一方、担保・保証が付いていない案件の場合、借り手企業が資金を返済できなくなれば、元本の全額償還がされにくくなります。したがって、投資先を決めるときは、担保・保証の有無をしっかり確認するようにしましょう。

なお、担保付きの案件を選ぶときは、担保物件の評価額より融資額が低い案件を狙うべきです。評価額は売却価格の目安になるため、評価額が融資金額を上回っていれば、貸し倒れが発生した際にも担保物件の売却によって元本を全額回収できる可能性が高くなるからです。

また、ひとつの物件に対して、複数の案件で担保設定を行う場合があります。たとえば、評価額が1億円の担保物件に対して、案件A(融資額3,000万円)、案件B(融資額3,000万円)、案件C(融資額3,000万円)がそれぞれ担保設定を行えるのです。この場合、担保を売却した際にお金を受け取れる優先順位(抵当権順位)が設定されます。

担保物件に抵当権の順位が設定されている場合は、なるべく順位が上の案件を選んだ方が良いでしょう。仮に抵当権順位が第3位の案件に投資した場合に担保物件が9,000万円以下でしか売れなかった場合、第1位・第2位の順位に設定された先が優先的に返済を受けられるため、第3位に設定されている案件には元本が全額戻らないリスクがあるからです。

2-3.投資は余裕資金で行う

ソーシャルレンディング投資は余裕資金の範囲で運用することを推奨します。ソーシャルレンディングは元本を保証する投資ではないため、元本が戻らないケースもあるからです。

また、一度投資が成立すると、満期になるまで資金の回収はできません。もし生活資金で投資を行った場合、そのお金が必要になったとしても、すぐに手元へ戻せなくなってしまいます。

したがって、ソーシャルレンディングなどの投資では、生活費や教育資金など、使用の予定が決まっているお金を使わず、減ったり無くなったりしてもダメージが少ない資金で行うことが大切です。

2-4.融資先が開示されている案件を選んで投資する

これまでソーシャルレンディングでは、融資先の情報開示が制度上禁止されていましたが、2019年3月に金融庁が匿名化解除の方針を打ち出したことにより、融資先の開示を行う事業者や案件が増えてきました。クラウドポート社が運営するFundsクラウドバンクLENDEXなどはいち早く開示の情報開示に向けての声明を出しており、今後は融資先が開示された案件が出てくることが想定されます。

融資先が分かれば、事業内容や経営状況なども自分で調べることができるようになるため、貸し倒れリスクを軽減することが可能になります。

まとめ

以上、ソーシャルレンディングの5つのリスクや問題点、その対策方法をご紹介しました。

ソーシャルレンディングには元本保証が無く、貸し倒れや事業者の倒産などによって投資元本が毀損する可能性があります。また融資先企業の情報公開が行われていないケースが多かったり、ずさんな経営により顧客資産を毀損する事業者がいたりするなど、リスクを測れる情報が少ないという問題点もあります。

そうした問題を抱える中で、ソーシャルレンディング投資家は、案件や事業者を分散して投資すること、必要十分な担保や保証が付いた案件を積極的に選ぶこと、そして投資資金を失っても痛くない余剰資金の範囲内に留めることが必要となります。

他の投資に比べて気軽にスタートでき、平均利回りも高い水準であるソーシャルレンディングには、相応の投資リスクがあります。上手にリスクヘッジを行い、堅実に投資を行えるようにしていきましょう。

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石村淳

石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。