クラウドファンディングに100万円を投資するなら、どう運用すべき?

※ このページには広告・PRが含まれています

クラウドファンディングでの資産運用を考えた場合、気をつけるべきポイントはいくつもあります。ここを抑えているかどうかが、損益の分かれ道になると言っても大げさではありません。

そこで、この記事では、実際に個人投資家としてクラウドファンディング投資を手がけている筆者が、「クラウドファンディングに100万円を投資する場合、どのような運用を心がけるべきか」をご紹介したいと思います。

目次

  1. 分散投資を心がける
    1-1.サービス運営会社(事業者)の分散
    1-2.ファンド(投資案件)の分散
    1-3.投資対象の分散
  2. 投資スケジュールを把握する
  3. 主なクラウドファンディング投資事業者
    3-1.クラウドクレジット
    3-2.CREAL(クリアル)
  4. まとめ

分散投資を心がける

資産運用をする場合に、もっとも大切にしなくてはいけないのが、『分散投資を心がける』ことです。これは、もちろんクラウドファンディングで投資する場合にも当てはまります。

分散投資を心がける理由は、『元本を失う』リスクを避けるためです。もし、100万円すべてをひとつの案件に投資したら、その運用が失敗したときに、元本のすべてを失う可能性があります。

資産を何年もコツコツと貯めていたとしても、その1回の失敗で、すべてが水の泡となるかもしれないのです。

この世の中、何があるかわかりません。したがって、投資を行う際は、できるだけリスクを分散する必要があります。実際に、株式相場の世界では、『卵は一つのカゴに盛るな』という有名な格言があるぐらいです。

ただ、分散投資を言っても、何をどのように分散すればよいのかピンと来ないかもしれません。具体的には、

  • サービス運営会社(事業者)の分散
  • ファンド(投資案件)の分散
  • 投資対象の分散

の3つに気をつけて投資すべきでしょう。ひとつずつご説明したいと思います。

サービス運営会社(事業者)の分散

まずは、サービス運営会社(事業者)の分散を考える必要があります。それは、どんなに手堅い案件へ投資を行っても、その運営会社が倒産したら、資金が戻ってこないかもしれないからです。

クラウドファンディング自体が、ここ数年で広がりを見せるサービスです。歴史的にまだ日は浅く、企業と投資家の仲介役を果たす事業者にも、規模の小さい会社が多く見られます。

よって、事業者の面で不安をなくしたいのであれば、

  • 大手企業が経営している
  • 株主がしっかりしている
  • 業績が安定的に伸びている

などの特徴をもつ事業者を見つけるのがよいでしょう。反対に、

  • 新規企業による参入である
  • 株主が心もとない
  • 業績が安定していない

といった事業者は、投資を初める段階では避けて、一旦様子を見るというのが賢明です。

ファンド(投資案件)の分散

分散投資を心がけるのであれば、ファンド選びにも注意が必要です。

100万円を運用する場合、ひとつのファンドに全額を投資してはいけません。投資家には、10個のファンドに10万円ずつを投資する、理想を言えば、30個のファンドに3万円ずつを分散して投資するという安全策が求められます。

30個のファンドに分散投資をしていれば、仮にひとつのファンドで事業が失敗したとしても、3万円を失うだけで済みます。もし、これが100万円の投資であったら、全額を失っていたことでしょう。たしかに、投資先を小分けすることで、手続きや管理の手間は増えます。しかし、それを徹底することで大切な資産を守ることができるようになります。

それに、クラウドファンディングの場合、投資後は株式やFXと違って運用の手間がほとんどかかりません。一度投資を行えば売却などのプロセスも無いため、あとは運用期間が終了するのを待つだけです。

よって、クラウドファンディングは、分散投資を心がける投資家にとって、負担の少ない投資方法と言えるでしょう。

なお、ファンドに関しては、数だけに気をつければよいわけではありません。ファンドの中で、

  • 通貨
  • 担保
  • 事業内容

もかぶらないように、ポートフォリオを形成する必要があります。

通貨

投資を行う際は、通貨がかぶらないようにしなくてはいけません。それは、日本円の案件だけで資産運用を行うと、日本円の価値が大きく下がったときに、損害が出やすくなるからです。

もし日本円だけではなく、

  • ドル
  • ユーロ
  • 中国元

などの通貨に分散投資ができればどうでしょう。日本円の価値が下がった場合でも、ダメージを最小限に留められるのです。

しかし、海外通貨は、為替の影響を大きく受けます。せっかくリターンがあったとしても、為替相場の値動きによっては、利益がゼロになるケースもあります。あらかじめ注意をしましょう。

担保

ファンドへの分散投資を心がけるのであれば、担保の種類にも気をつけなくてはいけません。

貸付型のクラウドファンディングであるソーシャルレンディングでは、担保付き案件を選ぶと、元本割れのリスクを軽くすることができます。しかし、担保と言っても、不動産担保ばかりを選ぶと、危険なケースがあります。それは、リーマンショックのような不動産市場の大暴落が、今後も起こる可能性があるからです。

不動産担保は、融資先企業が資金を返済できなかったときに、事業者がその不動産を売却することで、元本の充当を行います。ただ、そのタイミングで不動産市場が大暴落していたら、事前の評価額通りに不動産の売却を行うことは難しいでしょう。その不動産担保は、安値で買い叩かれることになります。

つまり、投資環境次第では担保があっても元本がすべて戻らない可能性があるのです。よって、担保の種類にも気をつける必要があります。

ただ、現状のクラウドファンディング投資案件では、担保のほとんどが不動産ですので、担保付きのファンドに投資をする際に現時点でできることとしては、まずは流動性の高い都心エリアの物件やマンションなどの担保を中心に選ぶ、担保付きの投資案件数が増えてきたらエリアや物件種別についても分散する、第3者による担保評価などがあるかを確認する、などとなるかと思います。

事業内容

ファンドによる分散投資を心がける場合、事業内容に対する注意は欠かせません。というのも、ひとつの事業に投資を集中させると、世の中の動きに影響を受けやすくなるからです。たとえば、

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電

などの再生エネルギー事業へ集中投資をしたとしましょう。もし、投資後に、政府が再生エネルギーの買い取り価格を下げる方針を出したらどうなるでしょうか。

融資先企業が売電で得た利益を返済に考えていた場合、返済は当然スムーズにできなくなります。その結果、返済の遅延や貸し倒れのリスクも出てくるでしょう。

したがって、投資をするときは、事業内容にも気をつけた方がよいです。たとえば、

  • 不動産事業
  • アミューズメント施設の設備投資
  • 事業者ローン事業

など、いろいろな事業内容での資金募集があります。そこで、幅広いポートフォリオの形成が可能です。

投資対象の分散

分散投資を心がけるには、投資対象の企業にも注意を払う必要があります。たとえば、ソーシャルレンディングの領域では、融資先の企業の情報が開示されていません。つまり、「違う案件に投資していたつもりが、実は投資先が同じだった…」というケースがありえるのです。

実際に、ソーシャルレンディングの投資案件募集ページを見ると、

  • 利回り
  • 画像
  • 事業内容
  • 担保の内容

と詳細はバラバラなのに、投資先の企業が同じということがありえます。これでは、分散投資の効果がまったく効いていません。もし、投資先の企業が倒産したら、元本に影響が出る可能性があります。

したがって、投資先の企業が判別できる案件ページがある場合はできるだけ詳細をチェックするようにすることや、複数のソーシャルレンディングサービスでの投資を心がけること、場合によってはソーシャルレンディングの会社に直接問い合わせをしてみて、投資先の企業に関するヒアリングなどをしてみることなどが大切です。

なお、金融庁が管轄のソーシャルレンディングとは異なり、国土交通省が管轄の不動産投資型クラウドファンディングの領域では、投資物件の詳細情報を確認することが可能です。物件名や所在地はもちろん、第3者の担保評価やこれまでの実績や今後の収益予測なども確認することができますので、自分が不動産投資を行う間隔で投資物件を見極めることが可能です。

投資スケジュールを把握する

クラウドファンディングで資産運用を行う場合、各案件の投資期間を把握する必要があります。それは、無駄のないように資産を回転させて運用効率を高めるためです。

たとえば、とある案件に投資していた元本10万円が、4月1日に償還されたとしましょう。そのことに気づいたのが5月1日だった場合、その10万円は1ヶ月の間、資産運用できずに口座へ眠っていたことになります。

もし4月1日の段階で、すぐ他の案件へ投資し直していれば、その1ヶ月間いくらかの利益が発生していたはずです。

それが一度だけであれば、利益に大した違いはないかもしれません。ただ、そういったルーズなスケジュール管理が続くと、本来得られたはずの利益はどんどん少なくなります。

したがって、効率的な資産運用を目指すのであれば、自分が投資した案件のスケジュール管理は必要になるでしょう。Excelなどで簡単な投資案件の一覧表を作り、投資額とスケジュールをまとめておくとスムーズに再投資を進めることができます。

主なクラウドファンディング投資事業者

それでは、クラウドファンディング初心者が、

  • 分散投資をする
  • 元本割れを防ぐ

この2つを優先的に考えた場合、どのような事業者を選べばよいでしょうか。そこで今回は、以下2つの事業者をご紹介したいと思います。

クラウドクレジット

クラウドクレジットは、海外向けの案件に特化した事業者です。東欧や南米などで、消費者もしくは事業者ローンを支援しています。

サービスの開始は2014年6月です。そして、翌年の2015年には、大手総合商社『伊藤忠商事』と資本提携をしました。他にも、

  • マネックスベンチャーズ
  • GCIキャピタル
  • 三菱UFJキャピタル

などの大手企業が、伊藤忠商事に続いて、クラウドクレジットの株主になっています。

さらに、2018年には、LINEも新しく出資に加わりました。クラウドクレジットは、有名大手企業から将来を期待されている事業者と言えるでしょう。

海外案件では、利息の制限が日本ほど厳しくないので、利回りは10%を超えるものが多くあります。成長著しい発展途上国への投資だからこその利回りと言えるでしょう。

そして、クラウドクレジットの案件では、取り扱い通貨が

  • 円建て
  • ドル建て
  • ユーロ建て
  • ルーブル建て

など、豊富に取り揃っています。よって、クラウドクレジットであれば、通貨による分散投資ができるでしょう。為替の変動が絡むので、不安定な面はあるかもしれません。

しかし、日本円ですらどうなるかはわかりません。したがって、多少のリスクは承知の上で、いろいろな通貨を投資先に決めるのも選択肢のひとつでしょう。

なお、クラウドクレジットが初心者におすすめの理由の一つに、投資前にリスクをきちんと説明してくれる会社だという点があります。投資初心者向けのセミナーやホームページ上では、利回りとリスクがセットとなっていることをきちんと説明しており、高い利回りでハイリスクな案件(発展途上国のベンチャー企業への融資など)については元本割れの可能性も高いということをしっかりと認識してから投資を開始することができます。

CREAL(クリアル)

CREALは、クリアル株式会社が運営する、不動産投資型クラウドファンディングサービスです。2018年12月に案件募集を開始し、2020年5月時点で募集額40億円超の実績となっています。

CREALでは、不動産業界で実績のあるプロが厳選した案件を提供しており、区分投資やマンション一棟投資以外にも、ホテル案件や保育園ファンド、医療施設のファンドなど「ESG不動産投資」に力を入れているのが特徴です。興味のある方は今のうちから会員登録(メールアドレスのみ)や投資家登録などを済ませておき、案件募集開始に備えておくと良いでしょう。

なお、利回りは4%~5%程度と特別高くはありません。しかし、CREALでは、元本の安全性を守るために、『優先劣後システム』を採用しています。これは、物件の価格が下落した際に、一定の割合までは、CREALが損失を負担するというものです。たとえば、第1号案件では、「10%までの損失は運営元であるクリアルが負う」とされていました。

CREALのサイト上では、募集ページで投資先物件の詳細が開示されています。投資を行う前にしっかりと情報収集をしてから臨むと良いでしょう。

まとめ

以上、「クラウドファンディングで100万円を投資する場合、どのような運用を心がけるべきか」のポイントをご紹介しました。

おさらいすると、クラウドファンディングで資産運用を行うときは、

  • 分散投資をこころがける
  • 投資スケジュールを把握する

この2点に気をつける必要があります。

分散投資の具体的なやり方としては、

  • サービス運営会社(事業者)の分散
  • ファンド(投資案件)の分散
  • 投資対象の分散

の3点を意識するようにしましょう。そして、ファンドに関しては、

  • 通貨
  • 担保
  • 事業内容

の3点が注目ポイントです。

今回ご紹介したクラウドファンディング投資の経験者が心がけているポイントを意識しながら事業会社や投資案件をチェックしてみて下さい。

The following two tabs change content below.

石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。