ソーシャルレンディングの返済遅延リスク、その会社が大丈夫か確認するには?

ソーシャルレンディングでは、2017年頃からいくつかの会社で返済遅延のトラブルが相次ぎ、返済遅延へのリスクが浮き彫りになりはじめました。投資案件の安全性に個別でいくら注意を払っても、それを仲介するソーシャルレンディング会社に問題があると、元本がすべて戻らない可能性も考えられます。

ただ「安全な会社を見分けるべき」と考えたとき、その方法にピンとこないことが多いのではないでしょうか。この記事では、ソーシャルレンディング会社が大丈夫かどうかを確認する方法をご紹介します。数分で読み終われるように書いたので、業界の現状と併せてチェックしてみてください。

目次

  1. ソーシャルレンディングで起こる返済遅延の現状
    1-1.安全な会社を見分けるのが難しい理由
  2. ソーシャルレンディング会社が大丈夫かを確認する方法
    2-1.運営会社の信頼性
    2-2.情報開示への姿勢
    2-3.経営者の経歴
    2-4.問題発生後の対応
    2-5.償還の実績
  3. まとめ

ソーシャルレンディングで起こる返済遅延の現状

ソーシャルレンディングの基盤となったサービスは、2002年にイギリスで始まりました。そこから現在の形に年々ブラッシュアップされ、日本では2008年10月にmaneoによりソーシャルレンディング事業がスタートしています。

日本の場合、2016年頃までは返済遅延や貸し倒れの件数が少なく、業界全体が好調のように映っていました。しかし、2017年に入ると、いくつかの会社で経営リスクが顕在化しはじめます。たとえば、

  • みんなのクレジット
  • ラッキーバンク
  • グリーンインフラレンディング
  • トラストレンディング

などの会社は、虚偽表示や投資家保護などの法令違反で、金融庁から行政処分を受けました。

行政処分を受けた会社は、投資家から集めた資金を健全に運用・管理できていませんでした。そのため、多くの案件で返済遅延や貸し倒れを発生させやすい状況になっています。実際に、上記4社でも返済トラブルにより大きな損害を投資家へ与えることとなりました。

安全な会社を見分けるのが難しい理由

ソーシャルレンディングは、金融商品取引法と貸金業法に則ったビジネスモデルです。

貸金業法上、ソーシャルレンディング会社は、投資家が借り手企業を特定できない範囲で投資家へ情報提供を行う必要がありました。そのため、投資家は制限された情報から投資の実行を判断しなくてはいけませんでした。

借り手企業の匿名化は、ソーシャルレンディング会社が投資家から集めた資金を悪用しても見つかりにくくなるデメリットがあります。実際に、行政処分を受けた上記の会社は、投資家への説明とは異なる資金の使い方をしていました。その結果、投資家の資金がきちんと償還されない事態に繋がっています。

このように、融資先の不透明さが安全な会社を見分ける障害になっていることは間違いないでしょう。

ただ、ソーシャルレンディング会社による匿名化の悪用が相次いだことにより、金融庁は2019年3月に「原則として借り手の匿名化は不要」と公式見解を示しました。この公表を受けて、事業者各社でも借り手企業の匿名化をやめる動きを見せています。

したがって、今後は投資家が借り手企業を特定した上で、投資をするかどうかを判断できるようになるかもしれません。

ソーシャルレンディング会社が大丈夫かを確認する方法

上では、ソーシャルレンディングにおいて、借り手企業の匿名化がなくなる可能性をご紹介しました。

他にも、投資家は以下のようなことに注目することで、「ここは安全そう」「ここは投資を避けた方がよさそう」といった運営会社の判断基準が持てるようにもなります。

  • 運営会社の信頼性
  • 情報開示への姿勢
  • 経営者の経歴
  • 問題発生後の対応
  • 償還の実績

各項目について、ひとつずつご説明していきます。

運営会社の信頼性

まず投資先を決めるときは、その運営会社の信頼性にフォーカスを当てるとよいでしょう。具体的には、

  • 運営会社が上場企業か
  • 大手企業のグループ会社か
  • 大手企業が株主にいるか
  • 扱う事業のプロフェッショナルか
  • 最近の経営状況が良好か

などがチェック項目として挙げられます。

会社の例としては、『オーナーズブック』であれば、上場企業で不動産のプロが不動産の案件を取り扱っています。また『SBIソーシャルレンディング』は、SBIホールディングスのグループ会社として、安定的な経営基盤があります。『クラウドクレジット』は、筆頭株主が大手総合商社の伊藤忠商事です。

このように、客観的な信頼性がある運営会社を選ぶことで、不必要なトラブルを避けやすくなります。こうした信頼性のある会社は、監査やコンプライアンス遵守への意識が高いと想定できるためです。

情報開示への姿勢

ソーシャルレンディング会社を決めるときは、情報の開示や発信に積極的なところを選ぶのが望ましいでしょう。会社によって、案件募集ページに掲載される情報量は異なります。募集ページでは案件の詳細を掘り下げるほど、投資家が投資先のイメージをしやすくなります。

また、案件の情報以外でも、情報発信に積極的な会社には信頼が置きやすくなります。例えばSBIソーシャルレンディングでは、HP上に貸借対照表や損益計算書を公開し、自社の経営状況(赤字か黒字か)を投資家にわかるようにしています。

またクラウドクレジットでも、定期的にセミナーの開催やブログ記事のアップを行い、

  • 世界の金融市場の動向
  • プロ目線による投資ノウハウ
  • 各ファンドが組まれた背景

などの情報を投資家へ共有しています。

このように投資家目線の情報開示を行う会社であれば、より安心感が得られるはずです。投資にあたっての詳しい情報提供やリスクの開示は、信頼に値する会社として必要な条件とも言えるのではないでしょうか。

経営者の経歴

ソーシャルレンディング会社を選ぶときは、経営者の経歴も調べると良いでしょう。経営者にグレーな経歴があると、その会社でも何かトラブルを引き起こすリスクがあると考えられるからです。

過去に行政処分を受けた会社を調べると、一部の経営者や役員に健全ではなさそうな経歴がありました。

したがって、会社選びの大事なポイントとして、経営者のチェックもおすすめします。今はインターネットで色々と情報が出てくる時代なので、欲しい情報を見つけるのも難しくないでしょう。

問題発生後の対応

運営会社を選ぶときのポイントとして、問題発生後の対応が優れているかどうかも挙げられます。

返済遅延や貸し倒れといったトラブルは、起きないに越したことはありません。それでも色々な不運の積み重ねにより、借り手企業が資金を返済できなくなる場合はあります。

大切なのは、そのような返済トラブルが起きたときに、運営会社が投資家へどれだけ真摯な対応ができるかどうかです。具体的には、

  • 元本回収へのアクションが素早いか
  • 投資家への進捗説明が丁寧か
  • 元本の償還がきちんと完了できるか
  • 問題が起きた案件の詳細をHPに記載するか

などの対応が挙げられます。これらができる企業は、投資家から「また返済遅延が起きても、きちんと対応してくれるだろう」と長期視点の信頼が得やすくなります。

償還の実績

その運営会社を信じても大丈夫かどうかの判断指標として、償還の実績も挙げられます。なぜなら、償還の実績があれば、その案件は次も無事に償還される期待が持てるからです。

もちろん、経済情勢が変わり、好調だった事業がいきなり不安定になる場合もあります。しかし、償還の実績が少ない案件を抱える会社よりは、償還の実績が安定的な会社を選んだ方が、返済遅延や貸し倒れのリスクは少ないと言えるでしょう。

なお、償還の実績については基本的に各会社のHP上で公開されていますので、確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上、ソーシャルレンディング会社が大丈夫かどうかを確認するための方法をご紹介しました。

健全な運営会社を選ぶときのポイントとして、以下の5つをチェックしましょう。

  • 運営会社の信頼性
  • 情報開示への姿勢
  • 経営者の経歴
  • 問題発生後の対応
  • 償還の実績

そのソーシャルレンディング会社はきちんと情報を投資家に開示しているか、今までの償還実績はどうか、返済遅延や貸し倒れが発生した際の対応はどうだったかといったサービス上のポイントに加え、経営者の今までの経歴や運営企業の情報といった会社側の目線でも判断することが大切です。

この記事の内容を、返済遅延や貸し倒れのリスクを下げる会社選びの参考にしてみてください。

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石村淳

石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。