2017年12月にビットコインが220万円近い最高値をつけてから下落トレンドにあった相場は、2019年5月ころからトレンド転換の兆しを見せており、6月下旬には140万円以上にも達した。米国では、大手仮想通貨取引所コインベースが2018年の9月30日以来の最高値9,388米ドルを記録した。またビットコインの時価総額が1,650億ドルを超えるなど、相場が活気付いている。ビットコイン価格の上昇理由について3つの要因を著名投資家が分析した。6月16日、米仮想通貨メディアCCNが報じている。
1つ目は、大手仮想通貨取引所Binanceが6月14日、米国トレーダーの利用禁止と米国市場に特化した仮想通貨取引所Binance USの設立を正式に発表したことが挙げられている。米国では、仮想通貨が証券に該当するか否かの議論が進められており、Binanceは米国在住者へのサービス提供を制限していた。経済の中心である米国においてBinanceのサービスが提供されることに対して投資家からの注目は大きいとアナリストは指摘している。
2つ目は、Facebookが仮想通貨「Libra(リブラ)」を発表したことだ。Digital Currency Group(デジタル・カレンシー・グループ)の創設者Barry Silbert氏は、Libraを通してビットコインについて学び、利用を決めるかの「触媒」になる可能性があるとの見解を示している。Libraプロジェクトは、複数の著名投資家から「仮想通貨のシェア拡大には不利益」という見方もされており、賛否が分かれている。
3つ目は、中国市場の衰退を原因とする資産逃避マネーの投資先にビットコインが選ばれた可能性が挙げられている。ベンチャー投資企業Placeholder社のChris Burniske氏は、ビットコイン価格上昇と人民元価格の低下に相関関係があると指摘している。中国では、2016年に資本規制を行った際、資産避難先として人民元をビットコインに換金し、ビットコインの市場が大きく成長した過去がある。
2017年後半に見られた「取り残されることへの恐怖」が高まり、ビットコイン価格の上昇に伴ってこれまで傍観していた投資家たちも参入していくことが考えられる。しかし、目先の価格変動に振り回されないよう、仮想通貨の置かれた現状などについて日々情報を収集しておくことが重要だ。
【参照記事】Facebook, Binance, Chinese Yuan Combine to Boost Bitcoin above $9000
仮想通貨取引を始めるなら
立花 佑
最新記事 by 立花 佑 (全て見る)
- ブランド保護の最前線ーブロックチェーンで実現するトレーサビリティと信頼性向上 - 2024年9月6日
- 静岡市プレミアムデジタル商品券 1次販売の結果と2次発売の背景 - 2024年9月5日
- 新潟県十日町市「棚DAO」の取り組みとNFTデジタル会員権|地域創生におけるDAO活用事例 - 2024年9月3日
- 東北地方の経済的自立を目的とした地方創生DAO「みちのくDAO」とは? - 2024年8月22日
- 岩手県紫波町のWeb3タウン構想とは?DAOとNFTを活用した地域活性化の新戦略 - 2024年8月22日