投資信託の「申込日・約定日・受渡日」の違いは?投資の注意点も

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投資信託では、証券会社や投資する銘柄によって申込日・約定日・受渡日が設定されていますが、それぞれがどう違うのかよくわかっていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、申込日・約定日・受渡日の違いや注意点について解説しますので、参考にしてください。

目次

  1. 申込日・約定日・受渡日の違いとは?
    1-1.申込日とは
    1-2.約定日とは
    1-3.受渡日とは
  2. 申込日・約定日・受渡日に関する注意点
    2-1.投資信託の買い付け金額は約定日の基準価額となる
    2-2.NISA口座で年末に投資信託を購入する場合は受渡日に注意
    2-3.税金の計算に直接関係するのも受渡日
    2-4.投資信託の分配金を受け取るには約定日を基準に考える
  3. まとめ

1.申込日・約定日・受渡日の違いとは?

例えば株式投資を行う場合には、購入したい銘柄に対して注文(成行注文)を出せば、すぐに買い付けることができます。

しかし、投資信託を購入する場合は、注文してから売買が成立し、売買代金を支払うまでには時間が掛かります。そして、この流れのなかに「申込日」「約定日」「受渡日」が存在しています。

それぞれ意味が異なりますので、投資信託の運用を行う場合はしっかり理解しておく必要があります。それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.申込日とは

投資信託における申込日とは、投資信託の売買注文を出した日のことをいいます。

投資信託では当日中の申込の締め切り時間が定められており、一般的に15時までに注文を出せば当日の注文として受け付けられるケースが多くなります。また15時を過ぎてしまった場合は、翌営業日の注文として受け付けられます。

ただし、投資信託によっては締め切り時間が異なる場合がありますので、よく確認しておくことが大切です。

1-2.約定日

投資信託における約定日というのは、売買注文を出した投資信託の取引が成立した日のことをいいます。

こちらも投資信託によって異なるケースがありますが、国内の金融商品によって構成されている投資信託の場合は、申込日の基準価額によって約定することになります。ちなみに、申込日の基準価額とは、その日の取引所が終了した後に公表される基準価額のことですので注意しましょう。

また、海外の金融商品によって構成されている投資信託の場合は、申込日の翌営業日が約定日となります。しかし、投資信託の売買には休業日が設定されているほか、日本や海外の休日の事情などによっては約定日がずれてしまうケースがありますので、こちらもあらかじめ確認しておきましょう。

1-3.受渡日

投資信託における受渡日というのは、取引が約定した後に売買代金のやり取りを行う日のことをいいます。投資信託を購入している場合は代金の決済を行い、売却している場合は代金の受け取りを行うのが受渡日になります。

一般的には約定日の2~5営業日後が受渡日になることが多いのですが、投資信託によって設定されている受渡日は異なりますので注意しましょう。

2.申込日・約定日・受渡日の注意点とは?

申込日、約定日、受渡日の違いが分かったところで、注意点について解説します。

具体的には以下の点に注意しましょう。

  • 投資信託の買い付け金額は約定日の基準価額となる
  • NISA口座で年末に投資信託を購入する場合は受渡日に注意
  • 税金の計算に直接関係するのも受渡日
  • 投資信託の分配金を受け取るには約定日を基準に考える

それでは、詳しく解説していきます。

2-1.投資信託の買い付け金額は約定日の基準価額となる

投資信託の買い付け価格となるのは、約定日の基準価額であることを理解しておきましょう。

先述したように、投資信託の基準価額は株式のようにリアルタイムで変動することはありません。投資信託に含まれている株式などの金融商品の価格が変動した後に、1日1回基準価額に反映される仕組みとなっています。

そして、投資信託の基準価額が決まるのが、日本の取引所が閉まる15時を過ぎてからということになります。この仕組みにより、注文と売買のタイミングがずれてしまうことになります。そのため、原則として投資信託の買い付け価格は、売買取引が成立する約定日の基準価額となります。

なお、決済を行う受渡日に投資信託の価格が上昇していたとしても、約定日の基準価額が適用されることになっています。

2-2.NISA口座で年末に投資信託を購入する場合は受渡日に注意

NISA口座を利用して投資信託を購入している方も多いと思いますが、年末に投資信託を購入する場合は注意が必要です。

というのも、年末ギリギリに投資信託を購入する場合、受渡日が翌年の営業日になってしまうと、当年分のNISAの非課税枠が使用できず、翌年分の非課税枠を使ってしまうことになるからです。

各証券会社では年末の最終営業日を定めていますが、これまでも説明している通り申込日と受渡日には数日程度の違いがあります。そのため、当年分の非課税枠を使用するためには、年末の最終営業日までに受渡日が迎えられるスケジュールで投資信託を購入しなければなりません。NISA口座を利用している場合、逆算するために受渡日を基準に考えることを心がけてください。

また、海外資産を対象としている投資信託を購入するのであれば、クリスマスに取引ができないケースがあることを考慮しておく必要もあります。

2-3.税金の計算に直接関係するのも受渡日

投資信託をはじめとする金融商品への投資を行い、利益が発生した場合には税金が掛かります。そして、税金を計算する場合も受渡日が関係することになります。

個人で投資活動を行っている場合、税金の計算は当年の1月1日から12月31日を対象に行います。

そして、実際にお金が動くタイミングは受渡日となりますので、先ほどの例のように年をまたいでから受渡日を迎える場合、その金銭に関わる税金は翌年分として計算することになります。

NISA口座や源泉徴収のある特定口座を使用している場合は、税金の計算は必要ありませんが、それ以外の口座を使用しているなら確定申告に影響することになります。受渡日は、税金の動きにも関わるということを理解しておきましょう。

2-4.投資信託の分配金を受け取るには約定日を基準に考える

投資信託で分配金を受け取る際の基本的なルールは以下の通りです。

  • 分配金が支払われるのは投資信託の決済日となる
  • 分配金を受け取るためにはその前営業日までに買い付けを約定しておく

投資信託の分配金を受け取るためには、約定日を基準にして考えることになります。

仮に、ある投資信託の決済日が15日に設定されている場合、前営業日の14日までに買い付け注文が約定しなければなりません。申込当日に注文が約定する場合は14日の15時までに、翌日に約定する場合は13日の15時までに申込を済ませておく必要があります。

ただし、投資信託の申込や約定のタイミングは、購入する銘柄によって異なるケースがあります。ギリギリになって焦ることがないよう、確実に確認しておきましょう。

まとめ

今回は投資信託における申込日・約定日・受渡日の違いや注意点について解説しました。

株式投資のように即座に取引が完了するとのは違い、投資信託では注文や取引の成立、金銭の支払い・受け取りのタイミングが異なります。そのため、それぞれの意味をしっかり理解したうえで投資活動を行うことが大切です。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。