2022年から高校で金融教育が始まったように、社会全体で金融リテラシーの必要性が高まっています。しかし、すでに働いている社会人の中には、お金の知識に自信がなくて不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
お金の知識は生きていくうえで不可欠のものであり、働きながらでも身に付けていくことが重要です。今回は社会人が働きながらお金のことを効率よく学ぶ方法について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2023年3月9日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- お金のことを学んだほうがよい理由
1-1.お金について適切な判断ができるようになる
1-2.お金についての漠然とした不安を解消できる
1-3.資産形成につながる
1-4.お金の知識がないために損をする可能性もある
1-5.金融商品を選ぶスキルが身につく - 最低限知っておくべきお金の知識
2-1.ライフプランニング・家計管理
2-2.公的年金制度について
2-3.税金(所得税・住民税)の基礎知識
2-4.資産運用 - 働いている人がお金の勉強をする方法
3-1.本を読む
3-2.Webメディアで記事を読む
3-3.SNS・YouTubeを見る[PR]
3-4.ポッドキャストを聴く
3-5.マネーセミナーに参加する
3-6.FP資格の勉強をする
3-7.少額から投資を始める - 働きながら効率よくお金の勉強をするポイント
4-1.最初に所得税について勉強する
4-2.勉強したら即実践する
4-3.経済ニュースに触れる習慣を付ける
4-4.勉強の目的となるテーマを持つ - お金の勉強についての注意点
5-1.無料のセミナーで勧誘されることもあることを知っておく
5-2.情報の信頼性を見極める
5-3.再現性のある情報を取り入れる
5-4.すぐに成果が出るとはかぎらない - まとめ
1.お金のことを学んだほうがよい理由
日本は諸外国に比べて金融リテラシーが低いといわれています。しかし、お金を正しく管理するスキルは誰にとっても必要なものです。お金について学ぶべき主な理由について解説します。
1-1.お金について適切な判断ができるようになる
お金について勉強すると、契約などのさまざまなシーンで適切な判断ができるようになります。
社会に出ると投資の勧誘を受けるなど、お金について自分で判断しなくてはならない場面が増えます。自分にとって有益か、もしくは不要なものかを正しく判断するには、前提となる知識が必要です。
自分の知識だけで決断できない場合も、適切な第三者を選んで意見を聞くなどの選択ができます。お金についての正しい判断は、社会人として身に付けたいスキルです。
1-2.お金についての漠然とした不安を解消できる
お金についてまったく知識がないままの場合、不測の事態が起きた場合や将来のお金について不安を感じることも増えるでしょう。
将来どんなライフイベントがあり、そのためにいつまでにいくら準備するかの目標設定や日頃のお金のやりくりなどは、生きていくうえで重要なスキルです。
お金に関するさまざまなテーマに一定の知識があれば、不安な部分について情報を補うことも簡単にできます。お金についての不安を抱えて過ごすことが少なくなるでしょう。
1-3.資産形成につながる
お金の知識を持つことで、資産形成効果が期待できます。超低金利が続く現在、預貯金だけでお金を増やすのはほぼ無理で、株や投資信託などによる資産運用が必要とされています。
しかし、初心者が闇雲に運用商品を買うと、大きな損失につながりかねません。資産を堅実に増やすには金融商品の特色やリスク、NISAやiDeCoなどの制度についての知識が必要です。基本的な知識を得たうえでの運用の実践が望ましいのです。
1-4.お金の知識がないために損をする可能性もある
お金の知識がないと、金融商品選びなどで損をする可能性があります。
たとえば、投資信託の購入時手数料は同じ商品でも、金融機関ごとに異なります。ある金融機関では購入時手数料が1.0%だったのに、別の金融機関では無料であった、などはよくあることです。
購入時手数料を1.0%支払った場合、運用収益も1.0%以上あげなければ損をします。しかし、無料の場合は少しでも値上がりすれば利益が出ます。
このようなことは、知っているか知らないかだけの差です。知識があれば、知らないことで損をすることが少なくなります。
1-5.金融商品を選ぶスキルが身につく
運用の基本を勉強すると、自分に合った金融商品を選べるようになります。膨大な金融商品の中から自分に合ったものを選ぶのは、初心者にはハードルが高いといえます。
しかし、運用の基本を身に付けるほど、自分に合った投資や運用商品を見極められるようになっていくのです。リスクを取り過ぎて大きな損失を被ったり、反対に値上がりの期待できない商品に投資してしまったりする可能性が低くなります。
2.最低限知っておくべきお金の知識
社会人に必要なお金の知識とは、資産運用だけではありません。その都度調べればよい知識もありますが、以下のテーマは最低限知っておきたいものです。
2-1.ライフプランニング・家計管理
お金を増やすことも大切ですが、そのベースにはライフプランがあります。ライフプランとは将来にどんなライフイベントがあって、そのためにいくら準備が必要か目標を立てることです。
目標がないと運用をしても継続できず、預金が少し増えただけで引き出してしまう人もいるでしょう。大まかな計画を立てて、それに沿って運用していけば資産形成も成功しやすくなります。
ライフプランニングとともに家計管理も学ぶと効果的です。収入から預貯金や運用にお金を回し、生活費をやりくりする方法は早くから身に付けたい知識です。
2-2.公的年金制度について
公的年金は生きていくうえで欠かせないセーフティネットですが、公教育では学ぶ機会がほとんどありません。公的年金は老後に受け取る老齢年金だけでなく、身体に障害を負ったときの障害年金と、一家の大黒柱の万が一のための遺族年金もあります。
それぞれの内容を正しく理解し、保険料を滞りなく納めることが大切です。
2-3.税金(所得税・住民税)の基礎知識
所得税や住民税は、会社員・公務員は給与天引きですが、本来はいくら納めるべきかなどを知っておく必要があります。相続税などは必要に応じて知るのでも間に合いますが、所得税と住民税は計算方法や控除についての基本を身に付けましょう。
2-4.資産運用
超低金利の現在、資産運用でお金を増やすことの必要性はNISA制度の拡充などからも明らかです。資産運用を堅実に行うには、基本となる知識を身に付けたうえで実践する必要があります。
高校の授業でも扱われるテーマですが、学校で学ぶ機会のなかった人は自分で勉強しましょう。
3.働いている人がお金の勉強をする方法
働いている人がお金の勉強をする場合、あまり時間を取られる方法は適していません。ここからは具体的なお金についての勉強法を紹介します。
3-1.本を読む
1つのテーマについて体系的な知識を得るには、本を読む方法が効率的です。何冊も読む必要はありません。テーマごとに初心者向けの読みやすそうな本を選び、あまり時間をかけずに読んでしまいましょう。
3-2.Webメディアで記事を読む
金融機関のオウンドメディアやマネーサイトで、さまざまな金融や投資の情報の記事が公開されています。無料で好きな時間にアクセスできるため、働いている人に適したお金の勉強方法です。
それぞれジャンルやターゲットが異なるため、自分に合ったサイトを選んで定期的に読むとよいでしょう。
3-3.SNS・YouTubeを見る
SNSやYouTubeでも無料で投資などの勉強ができます。好きな時間に見ればよいので、フルタイムで働く人も手軽に知識を習得できます。信頼できる発信元を選び、お金の勉強に役立てるとよいでしょう。
3-4.ポッドキャストを聴く
最近ではポッドキャストでも、さまざまな金融や経済のプログラムが配信されています。ポッドキャストは聞くだけのメディアなので、移動中や休憩時間などの隙間時間を有効活用できます。お気に入りのプログラムを好きな時間に聞くことで、効率のよい情報収集が可能です。
3-5.マネーセミナーに参加する
仕事をしているとマネーセミナーに参加する時間がない人も多いと考えられますが、最近ではオンラインセミナーが増えました。マネーセミナーには有料のものも無料のもの、テーマもさまざまあります。
- 投資スクールが主催する有料セミナー
- 金融機関が主催する無料のセミナー(投資情報・経済情報など)
- IFA(独立系金融アドバイザー)が主催する投資セミナー
- 保険代理店が主催するマネーセミナー
- FP協会や自治体などが主催する非営利のセミナー
- 不動産会社が主催する不動産投資セミナー
ネット証券などではメルマガやオンラインセミナーで有益な情報を無料で提供しているので、有効活用しましょう。また、営利目的の無料セミナーに参加する場合、勧誘される可能性がある点を知っておきましょう。
今後IFAの利用を考えている人は、相談してみたいIFAのセミナーを受講して自分に合うかの判断にも活用できます。
3-6.FP資格の勉強をする
お金のことをトータルで学ぶには、FP(ファイナンシャルプランナー)資格を取得するのも有効です。働きながらFP資格の勉強をするのは難しい人もいるかもしれませんが、キャリアアップにつながる可能性もあります。
FP資格には、以下の国家資格と民間資格があります。
- 国家資格:FP技能士3級~1級
- 民間資格:AFP・CFP
FP技能士2級相当がAFP、1級相当がCFPとなっています。3級なら独学でも十分合格でき、一通りの知識を勉強できます。
3-7.少額から投資を始める
投資の知識やノウハウは、実践しないとなかなか身に付きません。最近ではSBI証券や楽天証券などのネット証券で100円から投資信託が買え、ポイントを使った投資もできます。投資の座学と同時進行で、損をしてもかまわない程度の少額から始めてみましょう。
時間のない人も積立投資なら設定さえすれば自動的に買付が行われるので、手軽に取り組めます。
働きながら効率よくお金の勉強をするポイント
社会人はお金の勉強に費やす時間は多く取れないため、効率よく学ぶ必要があります。
4-1.最初に所得税について勉強する
お金の勉強を始めるにあたり、どうしても優先的に勉強しなければならないテーマがない場合、まずは所得税について学ぶとよいでしょう。所得税は全ての人に関係するものであり、他のテーマとも密接なつながりがあるからです。
とはいっても難しそうで、取り組みにくいと感じる人も多いでしょう。まずは所得税についてやさしく解説している本などを読んでみましょう。すぐに理解できなくてもかまいません。
その後はテキストのように折を見て必要な部分を読み返すと、少しずつ理解できるようになるでしょう。
4-2.勉強したら即実践する
学んだことを身に付けるには、時間をおかずに実践することが大切です。お金の勉強は生きていくために必要だからするのであり、勉強そのものが目的ではないからです。ライフプランの立て方を学んだら自分のライフプランを立て、資産運用を学んだら少額から始めてみましょう。
また、家計管理や資産運用は習慣化することも重要です。お金について学んだことが身に付けば、ビジネスにも役立つでしょう。
4-3.経済ニュースに触れる習慣を付ける
金融リテラシーを高めるには、日頃から経済ニュースにアンテナを立てておくのも大切です。為替変動や金利動向などに関心を持ってチェックする習慣を付けると、お金の勉強も身に付きやすくなります。仕事上もプラスの効果が期待できるでしょう。
4-4.勉強の目的となるテーマを持つ
自分にとって必要な勉強の目的となるテーマがあると、学んだことがすぐに理解できるようになります。必要に迫られて勉強したことは、お金のことに限らず身に付きやすいものです。
たとえば、マイホームを取得しようとした人が資金計画や住宅ローンについて学べば、吸収したことを活かせるでしょう。勉強せずに他人から言われるがままに取得するより、メリットのある住宅購入が期待できます。
その時点で自分に必要なテーマがあると、勉強した内容が有効活用できるのです。
お金の勉強についての注意点
最後に、お金の勉強についての注意点をいくつか解説します。
5-1.無料のセミナーで勧誘されることもあることを知っておく
営利目的のマネーセミナーでは、セミナー後に勧誘される可能性があることも知っておきましょう。
営利目的のセミナーだからといって役に立たないわけではなく、むしろ選ばれるために有益なコンテンツを提供するケースも多くあります。
また、勧誘を受けたとしても関心がなければきちんと断るようにしましょう。どのような場合も、主体的に判断することが大切です。
5-2.情報の信頼性を見極める
特にYouTubeやSNSでは、情報の信頼性の見極めが重要です。ネット上では個人でも自由に配信できるため、誤情報が配信されるおそれもあります。
また、古い情報が更新されずに残っている場合もあります。信頼性の高い発信元からの最新の情報取得を心がけましょう。
5-3.再現性のある情報を取り入れる
特定の投資のノウハウなどを勉強する場合、自分にもできる再現性のある情報を取り入れる必要があります。
限られた人や時期でしかできないような方法も多く発信されていますが、自分が取り入れられなければ勉強する意味がありません。自分にもできそうか考えてから、情報を取り入れましょう。
5-4.すぐに成果が出るとはかぎらない
堅実な資産形成の方法を勉強して実践しても、短時間では大きな成果にはつながらない可能性があります。その場合、すぐにやめてしまわずに続けることが大切です。運用は習慣化する必要があり、長い時間をかけるほうが効果的だからです。
まとめ
お金の知識は、社会に出て働く人にこそ必要です。今まで学ぶ機会のなかった人は、すぐにでも勉強を始めましょう。まずは1冊の本からでも、無料の動画や記事、マネーセミナーなどからでもかまいません。第一歩を踏み出して実践につなげましょう。
松田 聡子
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