ビジネスフレンドリーな環境や世界一の高層タワーがあるなどといった背景から、ドバイは世界中の投資家から注目されている都市の1つです。
ドバイでは日本人を含む外国人も不動産を購入できるほか、購入物件の価格に応じて長期滞在ビザも申請できます。
今回はドバイ不動産投資のメリット・デメリットや移住を目指すにあたって把握するべきポイントなどを解説します。
目次
- ドバイ不動産投資のメリット
1-1.期待利回りが比較的高い
1-2.税金があまりかからない
1-3.売買時期によっては売却益も狙える - ドバイ不動産投資で要注意のデメリット
2-1.利用できる不動産投資ローンの商品が少ない
2-2.物件価格の乱高下には要注意
2-3.為替変動に要注意 - ドバイ不動産の価格推移
- ドバイ移住を目指す際の注意点
4-1.居住ビザの期間が有限
4-2.日本の居住者には日本の税金がかかる - まとめ
1.ドバイ不動産投資のメリット
ドバイは国ではなくアラブ首長国連邦(=UAE)を構成する都市の1つです。ドバイはアラブ首長国連邦の中でも有数の大都市であるにも関わらず、物件によっては高利回りを狙えるものがあることや、低コストな運用によってキャッシュフローを狙いやすいことなどが、ドバイ不動産投資のメリットとなっています。
1-1.期待利回りが比較的高い
不動産投資の利益計算においては、国に関係なく物件価格が高くなると期待利回りは下がります。利回りは家賃収入を物件価格で割り戻して計算するためです。
アラブ首長国連邦は世界的な産油国の1つであり、産油国というところから不動産や物価が高いというイメージを持つ人もいるでしょう。ドバイ不動産投資は利回りが低いというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
しかし、アラブ首長国連邦の不動産ポータルサイトであるBayutが発表した2023年第1四半期のレポート「Bayut’s Dubai Sales Market Report for Q1 2023」によると、ドバイで比較的手ごろな物件の利回りは7%~9%台となっています。なお、高級住宅に分類される物件の利回りは4%台後半~6%台前半です。
例えば、東京都内のマンション投資においては、期待利回りが3%~4%程度でローン返済後のキャッシュフローは赤字というケースも少なくありません。ドバイがアラブ首長国連邦の中でも有数の大都市であることを考えれば、ドバイ不動産投資の期待利回りは比較的高いと言えるでしょう。
1-2.税金があまりかからない
2023年時点の税制では、ドバイ不動産投資では日本と比較して課税される税金が限定的です。
ドバイ不動産投資の利益に対して課税されるのは消費税のみで、日本国内の不動産投資でかかるような所得税・固定資産税・印紙税などがありません。税制面からキャッシュフローを増やしやすい点は、ドバイ不動産投資が持つメリットの1つと言えます。
※参照:国土交通省 海外建設・不動産市場データベース「アラブ首長国連邦 税制関係」
1-3.売買時期によっては売却益も狙える
Bayutが発表した2023年第1四半期のレポート(※同上)によると、ドバイの物件は2022年第4四半期と比較して3%~10%以上値上がりしており、物件によっては23.3%の値上がりを記録したものもあるほどです。
売却時期の適切な見極めができれば、ドバイ不動産投資は大きな売却益を狙える可能性があると言えるでしょう。
ただし、短期間での大幅な値上がりは、反動による値崩れを起こす恐れもあります。大きなリターンへの期待感は損失のリスクと相関関係にあることに注意が必要です。
2.ドバイ不動産投資で要注意のデメリット
ドバイ不動産投資を検討する上で注意を要するポイントは、日本人がローンを利用する方法は限られていることや、為替が円ドルレートの動きに影響されやすい点などです。
2-1.利用できる不動産投資ローンの商品が少ない
2023年時点、ドバイ不動産投資で購入物件を担保に入れて利用できるローンはありません。
なお、オリックス銀行の不動産担保ローンであれば、日本国内で指定された都市の不動産を担保に入れることによって融資を受けることができます。
しかしこの場合も投資対象のドバイの不動産を担保にすることはできません。オリックス銀行のローンを利用する場合には、ローン完済済の不動産を日本国内で担保設定用として保有している必要があります。
また、ドバイには海外在住の外国人が不動産投資に利用できるローンはありません。ローンを利用できないのであれば、ドバイ不動産投資は物件購入費用を全額現金で用意する必要があります。
2-2.物件価格の乱高下には要注意
物件の売却益を狙いやすい点がドバイ不動産投資のメリットですが、不動産市場の動向には要注意です。
既に解説した通り、ドバイの不動産には四半期という短期間で10%~20%の値上がりを見せる物件もあります。しかし、短期間での大幅な値動きは不動産市場のリスクの高さを表しています。
例えば、東南アジアには中国・韓国・アメリカなどから投資マネーが流入することで、不動産市場が不安定な動きを見せる国もあります。ドバイにも海外から投資マネーが大量に流入しているため、市場で似たような動きが起こることもあり得るでしょう。
ドバイ不動産投資を進めるのであれば、定期的に現地の不動産エージェントから情報収集することがリスクヘッジになります。
2-3.為替変動に要注意
ドバイがあるアラブ首長国連邦の通貨は「UAEディルハム」です。例えば日本円とアメリカドルのレートは変動制となっていますが、2023年時点では、UAEディルハムとアメリカドルのレートは1ドル=3.6725 UAEディルハムに固定されています。
2023年6月時点では、円とドルの為替は1ドル=140円前後の円安相場です。海外不動産投資全般に言えることではありますが、円高の時期であればドバイ不動産も割安に購入可能です。しかし、円安相場の時期だと割高になってしまう点には注意を要します。
3.ドバイ不動産の価格推移
実際にドバイ不動産の値動きはどのように推移しているのか、イギリスの不動産コンサルタント会社である、Knight Frankが発表しているレポートを検証します。
Knight Frankが発表した2023年春版のレポート「Dubai Residential
Market Review (Spring 2023)」によると、ドバイ不動産の値動きは2014年がピークであったことが指摘されています。
また、2023年の春時点において住宅全体の値動きは2014年より約15%安く、Apartment(マンションやアパートなどの集合住宅)は2014年より17.5%安い、Villa(別荘およびタウンハウス)はピーク時と同程度の値動きを見せています。
時期と値動きを照合すると、ドバイの不動産市場は既にコロナからの回復局面に入っていると言えるでしょう。
ドバイ不動産の値動きピークであった2014年と比較してみると、Villaに限って言えばピーク時と同様の値段まで上がっているため、2023年の夏以降は値下がりに転じるのか、今度の市場動向には要注目です。
4.ドバイ移住を目指す際の注意点
ドバイ移住を目指して不動産投資を検討するのであれば、長期滞在ビザの有効期限と税金に関するポイントを把握することなどが必要です。
4-1.居住ビザの期間が有限
アラブ首長国連邦の政府が外国人に永住権を与えた事例はありますが、非常に少ないのが実態です。日本人が不動産投資を通じて取得するのであれば、まずは長期滞在ビザが選択肢となります。
アラブ首長国連邦では、外国人が不動産購入によって取得できる滞在ビザには、物件価格に応じて期間が決められています。
購入不動産の価格 | 滞在期間 |
---|---|
75万UAEディルハム | 3年間 |
200万UAEディルハム | 5年間 |
1ドル=140円の想定で計算すると、75万UAEディルハムは2,775万円、200万UAEディルハムは7,400万円です。
一方で、ドバイで現地法人を設立すれば、条件を満たすことで3年~10年の長期滞在ビザを取得できます。完全移住を目指すのであれば、ドバイ不動産を購入後に現地法人を設立するのも1つの方法です。
4-2.日本の居住者には日本の税金がかかる
アラブ首長国連邦は税金の種類が日本よりも少ないため、投資コストを抑制できる点がドバイ不動産投資のメリットです。しかし、ドバイ不動産投資を始めても、日本の居住者のままだと日本国内の税金が課税されることになります。
日本はアラブ首長国連邦と租税条約を締結していますが、租税条約の締結国で不動産投資をする税制上のメリットは「同じ税金を二重課税されないこと」であると言えます。
ドバイ現地の税金が比較的少ないため、ドバイ不動産投資では租税条約によるメリットはあまり大きくありません。税制上のメリットを受けるのであれば、ドバイ不動産の購入とともに長期滞在ビザを取得し、日本の非居住者になる手続きを進めることが必要です。
ただし、各国の税制は常に改正されており、不動産に新たな税金が課税されてしまうリスクは0ではありません。税制メリットを受ける目的のみで不動産投資を行ってしまうと、税制改正により大きく元本を棄損してしまうリスクもあります。
不動産投資では変化しやすい税制面だけでなく、長期的な視点を持って不動産のニーズや収益性について吟味することが大切です。ドバイ不動産投資においても、現地の情報収集を行いながら、慎重に検討していきましょう。
※出典:外務省「日・アラブ首長国連邦租税条約」
まとめ
ドバイ不動産投資は物件を選べば比較的高い利回りを狙える上に、売買時期によっては売却益も狙える投資方法です。一方で、短期間で大幅な値動きを見せている物件もあるため、市場の乱高下によるリスクを回避するためにも、市場動向のリサーチと物件選びを慎重に進めることが重要となるでしょう。
ドバイ不動産の価格推移としては、コロナによる落ち込みからは既に回復しており、2023年春の時点ではピーク時に迫る上昇幅を見せています。ただし、過去10年における最高値に近づいている状況なので、今後の市場動向には要注意です。
また、ドバイ移住を目指すのであれば、不動産購入による長期滞在ビザの有効期間は有限なので、物件購入後に現地法人を設立するなどの計画が必要となります。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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